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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 花子さんと契約した男の話-52n

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 ふと、気付けば、彼を目で追うようになっていた

 何故、惹かれるようになったのか
 ……理由は、覚えていない
 高校生になって、親の仕事で学校町にやってきて
 この高校に通うようになって……気付けば、クラスメイトである彼を気にするようになっていた


『ほら、獄門寺君、授業中は寝ないの』
『………眠い』
『あぁ、もう、また…』
『あぁ、いい、起こさなくとも。留年するような点数は取ってないからな』
『もう、先生……』


 日々の、そのやり取りが
 …彼との、やり取りが
 ほんの単純なことでも
 些細な事でも
 ただただ、幸せで

 けれど
 同時に、恐ろしい
 何が、恐ろしいのか
 具体的には、よくわからない
 ただ、時折、無性に恐ろしさを感じてしまう瞬間がある

 それは、彼が時折、あの長い前髪の下で、鋭い視線を放っている事に気付いた瞬間
 それは、彼の周りに、いつからかおかっぱ頭で、白いブラウスに真っ赤な吊りスカートの女の子の姿があると気付いた時
 それは、彼に、学校のクラスメイトとは違う、どんな繋がりがあるのかすら、よくわからない知り合いがいると知った時

 そのような時、無性に恐怖に襲われる
 それでも、彼に惹かれずにはいられない

 でも、それを言い出すことはできない
 それを、伝えてしまったならば

 もう、今の、クラスメイトの一人として接してもらっている、この状態には
 決して、戻れないのではないか、と

 その恐怖に、私はいつも、囚われる



「………委員長?どうした?」
「え……あ、うぅん、何でもない」

 獄門寺に声をかけられ、彼女は思考の海から、意識を引き上げる
 彼女の言葉に、獄門寺はそうか、とすぐに、彼女から意識を放す
 …その行動に、覚える寂しさ
 心配してもらえたのは嬉しいけれど
 ……しかし、それ以上先に、進める訳でも、ない

 獄門寺にとって
 自分は、他のクラスメイト達と、何も変わらない存在でしかない
 ……その事実を、痛い程確認してしまう

 暗い考えを振り払うように、時間を確認した
 …もうそろそろ、クラスの模擬店に戻ったほうがよさそうだ

「獄門寺君、そろそろ戻りましょう?」
「…そうだな………そこで、宮定に何か余計な事言って首締められてる真樹、行くぞ」
「冷静に突っ込んでる暇あったら助けギブギブギブギブ折れるっ!?」
「折れる程は力入れてないわよ」

 ぎりぎりぎりぎりぎり
 ……割と本気のアームロックが決まっていたように見たが、手加減はしていたらしい
 解放された花房が、ぜぇぜぇと酸素を吸い込んでいる

 自分達のクラスに戻ろうと、歩き出す
 …メイドや執事の格好のまま、あちこち歩き回ったのだ
 だいぶ、宣伝効果は出た事だろう
 ……カメラを向けられたりしてちょっと恥ずかしかったけれど、クラスの売上に貢献するなら、まぁ、仕方ない
 メイドや執事の格好のまま歩き回っているのは、自分達だけではないのだし
 …………クラスの9割がノリノリでやっているという事実はさておき

「…そう言えば、獄門寺だっけ?委員長の事は、名前じゃなくて委員長、って呼んでるのね」
「………え?」

 …ふと
 何気なく、宮定が口にした言葉に
 あれ?と、彼女は首をかしげた

 …そう言えば
 獄門寺は、基本、クラスメイトの事などは、苗字で呼んでいる
 友人である花房の事は「真樹」と名前で呼んでいるが……それ以外は、大体、苗字で呼んでいる

 ……休憩時間に入る前、模擬店にやってきた、獄門寺の知り合いらしい、チャラチャラとした格好の青年を、獄門寺は「翼さん」と呼んでいた
 「翼」という苗字は考えられない、名前で呼んでいたのだろう
 親しそうだった様子から見ても……獄門寺は、自覚の有無はともかくとして、親しさの度合いで、苗字で呼ぶか名前で呼ぶかが決まっているようだ

 ならば
 苗字でもなく、名前でもなく


 ……「委員長」と呼ばれている自分は……どう、思われているのだろうか?


「あぁ、そう言やそうだけど。委員長の事はみんな委員長って呼んでるしなぁ」
「言われてみれば、そうね」

 花房の言葉に苦笑する彼女
 言われてみれば、クラスメイト達からも、「委員長」と呼ばれている身だ
 苗字や名前で呼ばれる事の方が、珍しいかもしれない
 それを、考えれば……獄門寺に「委員長」と呼ばれる事も、特別な事ではないのだろうか?


 その事実に
 ほっとしたような、寂しいような
 複雑な感情が、走る


「………?」

 彼女らの話を、聞いていなかったらしい
 獄門寺が、小さく首をかしげる
 その拍子に前髪が揺れて、その下に隠れていた目が、一瞬、見える

 高校生にしては、やや、鋭すぎる眼差し
 それに、彼女はぞくりとした悪寒を覚えた


 何故だろう
 昔…小さな頃に
 よく似た眼差しを、見た事があるような気がして

 しかし、思い出せない
 思い出そうとすると、頭の中が真っ赤になったような錯覚を覚えて
 痛みすら覚え、思い出す事が出来ないのだ


 教室に、近づいてきて
 …目の前から駆けて来る、いつもと違い、メイド服をまとったおかっぱ頭の少女の姿を見つけて
 その子の姿に、花房が気付いていない、事実に………花房だけではない、周囲の人間の大半が、そんな少女の存在になど、気付いてすらいない事実に
 そうだと言うのに、自分だけが気付いている、事実に

 彼女は、戦慄を覚えずには、いられないのだ



 みーみーみー
 まとわりついてくる花子さんの頭を、俺は周囲に気付かれないように撫でておいた
 前方に、天倉の姿が見えて……メイド服を着ていない様子から見て、俺のクラスにいる方ではなく、その双子の姉だと判断する
 …その天倉の傍に、黒い犬の姿が見えて、俺はやや警戒した

「み、大丈夫なの。わんちゃん、悪い子じゃないの」

 花子さんのその言葉で、警戒を解いた
 ……彼女も、契約者という事か
 クラスメイトの方の天倉は気付いているのだろうか?
 考え出すと、やや、頭が痛くなったのだった





to be … ?



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