「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 赤い靴・DNo-12d

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だれでも歓迎! 編集
 夜
 それは、闇が深まる時間
 真夜中
 それは、都市伝説達の時間


 ばさり、と
 夜空を飛ぶ影二つ
 ディランとマクスウェルだ
 マクスウェルの腕にはダミアが抱かれていて、にゃぁ、と小さく鳴き声をあげている

「………エーテル………」

 小さく呟くマクスウェル
 その表情には、喜びと、期待と、不安が、入り混じった感情が浮かんでいる

 ディランが、エーテルを見つけた
 傍に、彼の知らない相手…それも、「組織」の黒服の姿を見かけたので、そこでは声をかけず
 一度、マクスウェルの元に戻って、彼女をエーテルと引き合わせる事にしたのだ

「…エーテルの、傍にいた黒服………強硬派や、過激派の黒服でなければ、いいのだけれども…」
「うぅん……見た感じ、悪い人には、見えなかったよ?」

 やや不安そうなマクスウェルの呟きに、そう答えるディラン
 …まぁ、実際には悪い人かどうかはともかく、エロい人である事は確実なのはさておき
 彼女らが心配するような、強硬派・過激派所属の黒服ではない
 ……むしろ、そちらとは敵対する黒服なのだが、そこまでは彼らが把握している事ではない

 だから、なるべく急いで、急いで
 ディランがエーテルの姿を見かけた、北区の古びた教会の傍へと向かう


 しかし

「--------っ!!」


 感じた悪寒、敵意
 2人は急旋廻して、その突撃を避けた

 ばさり
 背中から翼を生やした、小さな子鬼のような生き物が、ケタケタと笑う

「けけけけけけっ!見つけた、見つけた!マクスウェル!」
「……グレムリン……!」

 ケタケタケタケタケタケタケタ
 首輪をつけたグレムリン
 その姿に、マクスウェルは見覚えがあった

 …上位のHNoの、子飼いの都市伝説だ
 確か、情報伝達及び、斥候役だったはず

 エーテルが、マクスウェルに託した資料
 ……それを、探しに来たのか

「情報、情報……渡してもらう!!」

 再び、突進してくるグレムリン
 小柄な体とは言え、空中でこのスピードで体当たりをされては、体勢が崩れて危険だ
 マクスウェルは、ダミアを抱いたまま、その体当たりを避ける

「情報、情報、情報……渡せぇええ!!」
「…駄目……!あなた達なんかに…渡さない…!」

 き、とグレムリンを睨みつけるマクスウェル
 どちらにせよ、エーテルから託されたあのジェラルミンケースは…今、手元にない
 ディランに頼んで、彼の仲間たちが潜伏していると言う異空間に保存してもらっているのだ
 あそこならば、強硬派や過激派達の手も、届かないから

 だが、だからと言って、グレムリンがマクスウェル達を見逃すとは思えない
 グレムリンの方も、機械に誤作動を起こさせるという己の能力の真髄を発揮できないマクスウェルとディラン相手では、戦闘面では無理だろう
 ……それでも、見逃す訳にはいかないのだろう 
 執拗に攻撃してくる

「マ、マクスウェルちゃん!」
「大丈夫……ディラン、近づいちゃ、駄目……!」

 今、狙われているのは…自分
 ならば、自分がうまく引き付けて、グレムリンを倒した方が、いい……ディランが戦闘向きではない事は、マクスウェルもよくわかっている
 せめて、ダミアをうまく逃がしてやりたいが…

「………?」

 ……と
 マクスウェルは、気付いた
 腕に抱いているダミアの様子が、おかしい事に
 その、背中が……蠢きだしている、事実に

「あ……だ、ダミア、駄目っ!」

 ディランも、それに気付いたのだろう
 慌てて、ダミアを静止する
 が………それは、間に合わず

「ふーーーーーーっ!!」

 ぶわ!!と、全身の毛を逆立たせるダミア
 その、背中から…折りたたんでいた翼が、姿を現した
 目を爛々と輝かせ、ダミアがマクスウェルの腕から飛び出す

 翼猫
 それが、ダミアの正体
 翼をもって生まれた猫を、人々が「悪魔」だと、「悪魔の使いだ」と呼んだ
 ただの、突然変異でしかなかったかもしれないそれは、人々にそう呼ばれたが故に……「その通りの存在」として、生まれてしまった
 それが、ダミアだ

 ばさり、空を飛ぶダミア
 毛を逆立たせながら、グレムリンを睨みつけている

「けけけけっ!!なんだぁ、ただ飛べるだけの猫が、オイラに敵うとでも……」
「ふぎゃーーーーーーっ!!」

 馬鹿にした言葉を吐くグレムリン
 それに、ますます怒りを感じたのだろうか…ダミアが、鋭い鳴き声をあげて

 その、口内に
 ちろちろと燃える炎が、顔を覗かせて

 直後
 ダミアが吐き出した、灼熱の炎が……グレムリンの小さな体を、焼き尽くした
 グレムリンの体は、あっさりと黒焦げになって……地上に落下していく

「ダミアっ!」
「……にゃ??」

 くるり
 ディランに声をかけられ…振り返ったダミアの顔は、元の愛らしい猫の顔に戻っていた
 ぱたぱたぱた
 マクスウェルとディランの元に戻ってきて、首を傾げている
 …とても、先ほど、恐ろしい炎を吐き出した存在には見えない

「……この子、戦えたんだ……」
「う、うん……」

 うにゃにゃん
 ディランに抱かれ、ごろごろ甘えるダミア
 翼を折りたたんだその姿は、もう、ただの少し大柄なだけの猫にしか見えない

「ぁ……さ、さっきの騒ぎで…気付かれた、かな…?」

 下方の教会が、騒がしくなる
 ……そこから、エーテルが顔を出したのを
 マクスウェルは…確かに、見つけた


to be … ?




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