昼過ぎ、南区のウォーター・アミューズメントパークで遊んでいたTさん達
そこに
そこに
「あら、貴方達も来てたの」
と、声がかかった
ん?と舞が顔をあげると、そこにいたのは「赤い靴」と、その契約者、赤坂 美樹だ
Tさん達とは奇妙な縁があり、昨年の秋祭りやマッドガッサーの騒動で関わっている
顔をあわせるのは、マッドガッサーの騒動の時以来か
ん?と舞が顔をあげると、そこにいたのは「赤い靴」と、その契約者、赤坂 美樹だ
Tさん達とは奇妙な縁があり、昨年の秋祭りやマッドガッサーの騒動で関わっている
顔をあわせるのは、マッドガッサーの騒動の時以来か
美樹は、ブランド物と思われる水着をまとっているが、赤い靴はいつも通りの服装だ
契約者や都市伝説以外には、姿が見えない状態になっているのだろう
水着を纏っていない彼が、周囲から不思議そうに見られている様子はない
契約者や都市伝説以外には、姿が見えない状態になっているのだろう
水着を纏っていない彼が、周囲から不思議そうに見られている様子はない
「よぉ、赤い靴の嬢ちゃんにおっさん、久しぶり!」
「ひさしぶりなのー」
「ひさしぶりなのー」
ざぱり
プールから顔を出し、美樹達に挨拶する舞とリカちゃん
一般客に気づかれないよう、小声でのリカちゃんの挨拶に
プールから顔を出し、美樹達に挨拶する舞とリカちゃん
一般客に気づかれないよう、小声でのリカちゃんの挨拶に
「あぁ、久しぶりだ!!その可愛らしいロリボイスが聞けて大変幸せだっ!!??」
どげしっ!!
ざぶんっ!!!
ざぶんっ!!!
……赤い靴が、美樹によってプールに蹴り落とされて、盛大に水飛沫を上げた
真っ赤な靴を履いている状態でもなく、能力も発動していなかったようだが…まぁ、不意を撃てば、後ろから突き落とすくらいはできるだろう
真っ赤な靴を履いている状態でもなく、能力も発動していなかったようだが…まぁ、不意を撃てば、後ろから突き落とすくらいはできるだろう
「変態発言はやめなさい、このど変態」
「うん、もっと罵ってくれ……ただ、一応俺の姿は一般人に見えない状態だから、言葉以外での罵りは程ほどに」
「うん、もっと罵ってくれ……ただ、一応俺の姿は一般人に見えない状態だから、言葉以外での罵りは程ほどに」
ざぷん
思い切り突き落とされたのだが、わりと平気らしい
相変わらず丈夫な様子で、赤い靴はさっさとプールからあがってくる
……確かに、一般人には見えない状態であのように派手に突き落とされては、まるで何もないのに水飛沫があがったようにしか見えず、不自然だろう
思い切り突き落とされたのだが、わりと平気らしい
相変わらず丈夫な様子で、赤い靴はさっさとプールからあがってくる
……確かに、一般人には見えない状態であのように派手に突き落とされては、まるで何もないのに水飛沫があがったようにしか見えず、不自然だろう
「相変わらずだな~」
「まぁ、このような主従関係も、ない訳ではないだろうが」
「まぁ、このような主従関係も、ない訳ではないだろうが」
どこまでも相変わらずな赤い靴達の様子に、苦笑するTさん達
舞は、すいすいとプールサイドに近づくと、赤い靴を蔑んだ目で見ている美樹に声をかける
舞は、すいすいとプールサイドに近づくと、赤い靴を蔑んだ目で見ている美樹に声をかける
「な、赤い靴の嬢ちゃん。せっかくだから、あっちのウォータースライダー、一緒に行かね?」
「は?」
「いっしょのほうがたのしいの」
「は?」
「いっしょのほうがたのしいの」
舞とリカちゃんに誘われ、仕方ないわね、と手をひかれていく美樹
その後姿を見送りながら、赤い靴は異空間にでもしまっておいていたのか、どこからかタオルを取り出して自分を拭いている
そして、しみじみと呟いた
その後姿を見送りながら、赤い靴は異空間にでもしまっておいていたのか、どこからかタオルを取り出して自分を拭いている
そして、しみじみと呟いた
「ふむ、ロリはやはり元気で無邪気なものが一番だな」
「まぁ、子供は元気が一番と言う事は否定せんが」
「まぁ、子供は元気が一番と言う事は否定せんが」
どこまでも(ある意味で)まっすぐな赤い靴の発言に、苦笑するTさん
どこまでも、歪む様子はない
どこまでも、歪む様子はない
…しばし、己の契約者とリカちゃんの後姿を見ていた赤い靴だったが
やがて、ぽつりと口を開く
やがて、ぽつりと口を開く
「……ザン・ザウィアーと会ったらしいな?」
「………うん?」
「………うん?」
どこか、真面目な様子の、赤い靴の言葉に
先日のハンニバルの騒動の時、顔をあわせた、白髪に銀の瞳の青年を思い出すTさん
…確かに、彼は「ザン・ザウィアー」と名乗っていた
先日のハンニバルの騒動の時、顔をあわせた、白髪に銀の瞳の青年を思い出すTさん
…確かに、彼は「ザン・ザウィアー」と名乗っていた
「知り合い、か?」
「……できれば、知り合いたくなかった部類に入る相手だが……恩人の親友なものでな」
「……できれば、知り合いたくなかった部類に入る相手だが……恩人の親友なものでな」
ほんの少し、遠い目をする赤い靴
が、軽く頭を振ると、続けてくる
が、軽く頭を振ると、続けてくる
「何か、あの男、迷惑をかけなかっただろうか?」
「ふむ…?」
「いや、あの男、自分勝手と言うか空気を読まないというか、まぁ、他人のことはあまり考慮しないからな」
「ふむ…?」
「いや、あの男、自分勝手と言うか空気を読まないというか、まぁ、他人のことはあまり考慮しないからな」
この物言いから察するに、彼相手には苦労しているのだろうか
あまり気苦労をかけるのも悪いと思いつつ、嘘を突くのもどうかと思い
あまり気苦労をかけるのも悪いと思いつつ、嘘を突くのもどうかと思い
「まぁ、対して迷惑はかけられてはいない……ただ、生首などという、舞にとって少々、心臓に悪い光景は見せられてしまったがな」
と、そう正直に答えておいた
実際のところ、それはザンのせいというよりは首を切り飛ばしたハンニバルのせいだが
実際のところ、それはザンのせいというよりは首を切り飛ばしたハンニバルのせいだが
「……そうかそうか。ロリにとってもそれは良くない光景だな。後で殴っておく」
うん、と
Tさんからの返答に頷きつつ、拳を握り締めている赤い靴
迷いなく殴るという選択肢を選んでいる辺りに、彼とあのザンという不死身の青年との関係性を、何となく感じ取る
……一応、生首状態に関してはザンのせいだけではない事と、彼のおかげで助かった事もあるのだという事実を伝えるべきか
Tさんが、軽く悩んでいると
Tさんからの返答に頷きつつ、拳を握り締めている赤い靴
迷いなく殴るという選択肢を選んでいる辺りに、彼とあのザンという不死身の青年との関係性を、何となく感じ取る
……一応、生首状態に関してはザンのせいだけではない事と、彼のおかげで助かった事もあるのだという事実を伝えるべきか
Tさんが、軽く悩んでいると
「Tさーーーーん!!」
聞こえてきた、舞の声
ざぱーーーん!と言う、着水音と共に、ウォータースライダーを流れてきた舞達が、Tさん達の目の前に着水する
ざぱーーーん!と言う、着水音と共に、ウォータースライダーを流れてきた舞達が、Tさん達の目の前に着水する
「…あら、あの人形、流されてるわよ」
「きゃー」
「おぉっと!?リカちゃーーーん!?」
「きゃー」
「おぉっと!?リカちゃーーーん!?」
舞の頭につかまっていたリカちゃんが、着水の衝撃に耐えられなかったのか、うっかり流されたりもしているが
まぁ、平和な光景である
どうやら、舞は美樹と一緒に、ウォータースライダーを流れてきたようだ
…多分、美樹が身長制限か何かで引っかかって、「お姉さんと一緒ならいいですよ」とか係員に言われたのだろう
その光景が、容易に想像できる
まぁ、平和な光景である
どうやら、舞は美樹と一緒に、ウォータースライダーを流れてきたようだ
…多分、美樹が身長制限か何かで引っかかって、「お姉さんと一緒ならいいですよ」とか係員に言われたのだろう
その光景が、容易に想像できる
「…平和だな」
「あぁ」
「あぁ」
リカちゃんと美樹の様子に和んでいる様子の赤い靴に
何とかリカちゃんを回収している舞の様子に和みながら
何とかリカちゃんを回収している舞の様子に和みながら
「平和が一番だ」
と
Tさんは、今の平和を噛み締めるように、そう答えたのだった
Tさんは、今の平和を噛み締めるように、そう答えたのだった
fin