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連載 - 花子さんと契約した男の話-57

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 それは、学園祭も終わり、夏休みもあけた頃の事


「天倉、ちょっといいか?」
「獄門寺君?どうしたの?」

 クラスメイトの、天倉 紗奈に声をかける
 顔をあげてきた天倉に、俺は今週末、暇があるかと訪ねた

「今週末なら特に予定はないけど、どうしたの?」
「いや、それなら、これを渡そうと思って」

 そう言って、懐からそれを取り出す
 え?と、天倉は、それを見て、驚いたような声を出した

「…これって、フェアリー・モートのデザートフェスタのチケット!?どうやって手に入れたの?」
「知り合いが、そこでバイトしてるから。分けてくれたんだよ」

 学校街にあるとあるファミリーレストラン、フェアリー・モート
 そこでは、年に4回、季節の変わり目に「デザートフェスタ」というイベントが行われているらしい
 …何でも、そのチケットは常に入手困難で、ネット上で馬鹿みたいな値段がつけられているとか
 俺は、たまたまこうやって手に入れたが

「え、でも、いいの?獄門寺君が誰かと一緒に行けばいいんじゃない?」
「……誘う相手がいない」
「あ、でも…」

 ちらり、と天倉が視線を向けたのは、教室内をちょろちょろと動き回って遊んでいる花子さん
 …まぁ、言いたい事はわかる

「……花子さんを連れて行きたいのは山々だが、花子さんの姿は、一般人には見えない」
「…あ、なるほど」

 わかってくれたようだ
 花子さんの姿は一般人には見えない、つまり……花子さんが何か食べていたら、ひとりでに食べ物が消えたように見えてしまうのだ
 それは、さすがに色々不味い

 …と
 天倉は、そのチケットに書かれている注意事項などを見て、んー、と考え込み

「…このチケットって、一枚で四人まで入れるんだよね?だったら、私と紗江ちゃんと、獄門寺君でもいいんじゃないかな?花子さんも連れて。花子さんの姿は他の人には見えないんだから、他の誰か誘ってもいいし」
「………?」

 どう言う事だ?
 俺が首をかしげると、天倉は続ける

「隅っこの席とかでさ。花子さんが食べてる様子を誰かに見られないようにすれば大丈夫だと思う。私達で影作っちゃえば」
「……なるほど」

 その手があったか
 そうすれば、花子さんも遠慮なく、ケーキを食べる事ができる

「…そうか、なら、頼めるだろうか?」
「うん、任せて」

 良かった
 …花子さんの事を知っている知り合いが増える、と言うのは、便利なこともあるようだ
 ………同時に、契約者の知り合いが増えている、と言う事で、一概には喜ぶべきではないのかもしれないが…

「ところで。このチケットを分けてくれた知り合いって…ひょっとして、学園祭の時に話していた、あのちゃらちゃらした男の人?」
「…?翼さんの事か?確かにそうだが…よくわかったな」
「うん、何となく、勘でね」

 にっこりと
 なぜか、心の底から楽しそうに微笑んだ天倉
 その微笑の意味がわからず、俺は首をかしげるしかなかった














「………」

 龍一は、気付かない
 龍一が、紗奈にチケットを渡している様子を
 委員長が、複雑そうな表情で見つめていた事に

 ……カケラも、気付いては居ないのだった






to be … ?





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