気絶したままの未冬に、職員室にあった予備の制服のスカートを着せて(下着は諦めてもらう事にした)
ディランが受けた女郎蜘蛛の毒も解毒し
…ひとまず、ほっとした、ところで
ディランは、繰が鞄を置いていってしまって居る事に気付いた
確か、携帯電話なども、鞄に入れていたはず
忘れていって、困っているだろう
ディランが受けた女郎蜘蛛の毒も解毒し
…ひとまず、ほっとした、ところで
ディランは、繰が鞄を置いていってしまって居る事に気付いた
確か、携帯電話なども、鞄に入れていたはず
忘れていって、困っているだろう
「…ん?ディランちゃん、それ、届けるの?」
「う、うん…同じマンションだから、届けるくらいは、できるし……そ、それに、繰ちゃんにも、ドリスの土、与えないと…」
「う、うん…同じマンションだから、届けるくらいは、できるし……そ、それに、繰ちゃんにも、ドリスの土、与えないと…」
殴られた痕がちょっぴり残ったままのザンに問い掛けられ、頷くディラン
繰は、能力を暴走させかけたディランの誘淫の芳香の影響を受けてしまっている
せいぜい、24時間程度たてば自然とその効果は切れるのだが……そこまで放置する訳にも行くまい
繰は、能力を暴走させかけたディランの誘淫の芳香の影響を受けてしまっている
せいぜい、24時間程度たてば自然とその効果は切れるのだが……そこまで放置する訳にも行くまい
「じゃ、送っていこうか?俺の能力で行った方が早いだろ?」
なるべく、ディランと一緒にいたいザン
そう、ディランに提案してきた
ディランは、少し悩んで……はい、と頷いた
それじゃあ…と、ザンの能力によって、空間が歪む
ザンに手を引かれて、ディランはザンの「彷徨えるオランダ人」の能力によって作られた異空間へと入り込んだ
そう、ディランに提案してきた
ディランは、少し悩んで……はい、と頷いた
それじゃあ…と、ザンの能力によって、空間が歪む
ザンに手を引かれて、ディランはザンの「彷徨えるオランダ人」の能力によって作られた異空間へと入り込んだ
真っ暗な空間
月明かりも星明りもない、夜の海をイメージした空間
…そこを、ザンは孤独な空間だ、と言った事がある
ザンが誰かを引き込まなければ、そこはザン一人きりの世界
そして…ここでは、ザンか、ザンが能力で出した船に乗っていないと…この、暗い暗い海へと、飲み込まれてしまう
基本的に、ザン以外にとっては死に直結していると呼んでもいい世界なのだ
……もっとも、ダレンはここを「静かで優しい空間」と表現していたのだが
月明かりも星明りもない、夜の海をイメージした空間
…そこを、ザンは孤独な空間だ、と言った事がある
ザンが誰かを引き込まなければ、そこはザン一人きりの世界
そして…ここでは、ザンか、ザンが能力で出した船に乗っていないと…この、暗い暗い海へと、飲み込まれてしまう
基本的に、ザン以外にとっては死に直結していると呼んでもいい世界なのだ
……もっとも、ダレンはここを「静かで優しい空間」と表現していたのだが
しばし、その空間を、ザンはディランの手を引いて歩いていたのだが
「………ん?」
…ふと
何かを見つけたように……立ち止まった
何かを見つけたように……立ち止まった
「…ザン様…?どうか、したんですか…?」
「……異空間が形成されてる。ここそのまま通るとなると、そん中入っていかないと駄目だな。つっても、回り道できない距離でもないが…」
「……異空間が形成されてる。ここそのまま通るとなると、そん中入っていかないと駄目だな。つっても、回り道できない距離でもないが…」
こんこん、と
ディランの目には何も見えない虚空を、軽く叩くザン
ザンの能力は他者の形成した異空間の影響を受けやすいせいか、、ジブリル程ではないものの、ある程度他者の形成した異空間にも干渉できるのだ
目前にあるらしい異空間を、ザンは覗き込んでいるようで…
ディランの目には何も見えない虚空を、軽く叩くザン
ザンの能力は他者の形成した異空間の影響を受けやすいせいか、、ジブリル程ではないものの、ある程度他者の形成した異空間にも干渉できるのだ
目前にあるらしい異空間を、ザンは覗き込んでいるようで…
「…うん?」
と、眉をひそめた
「……ザン様……?」
「…ディランちゃん。俺を殴り飛ばした……繰、だっけ?都市伝説につかまってるぞ」
「…ディランちゃん。俺を殴り飛ばした……繰、だっけ?都市伝説につかまってるぞ」
え、と
思わず、ザンが叩いていたその空間を見つめるディラン
ディランには、その先は見えない
けれど、ザンには「見えて」いるのだ
思わず、ザンが叩いていたその空間を見つめるディラン
ディランには、その先は見えない
けれど、ザンには「見えて」いるのだ
「「ブティックの更衣室」辺りっぽいな……どうする?」
ザンの、問いかけに
迷わず、ディランは答える
迷わず、ディランは答える
「…助けます。申し訳ありませんが、ザン様…」
「ん、手伝うさ。ディランちゃん一人じゃ、心配だからな」
「ん、手伝うさ。ディランちゃん一人じゃ、心配だからな」
そう言って
ザンは、無造作に…目の前の空間に、爪を立てた
ぴしり
空間に、ヒビが、入って
ザンは、無造作に…目の前の空間に、爪を立てた
ぴしり
空間に、ヒビが、入って
まるで、ガラスが粉々に砕け散るかのような音が、辺りに響き渡り
真っ暗な海の空間から
視界が、ガラリと入れ替わった
真っ暗な海の空間から
視界が、ガラリと入れ替わった
「-----っ!!??」
その、侵入者に
「ブティックの更衣室」の主は、即座に気付いた
彼の前方に……白髪に真っ白なスーツの男と、黒い髪に褐色肌の男が姿を現したのだ
拘束具をつけた少女から離れ、それは即座に、睡眠効果のあるガスを二人に放った
二人の体が、ガスに包み込まれて…
「ブティックの更衣室」の主は、即座に気付いた
彼の前方に……白髪に真っ白なスーツの男と、黒い髪に褐色肌の男が姿を現したのだ
拘束具をつけた少女から離れ、それは即座に、睡眠効果のあるガスを二人に放った
二人の体が、ガスに包み込まれて…
「効くかよ、そんなもん」
…いや
二人を…先に、漆黒の闇が包み込んで
その闇が、ガスを吸い込んだ
ブラックホールのようなそれが、ガスを残らず吸収してしまった
二人を…先に、漆黒の闇が包み込んで
その闇が、ガスを吸い込んだ
ブラックホールのようなそれが、ガスを残らず吸収してしまった
「俺は闇そのもの、闇の先にゃあ、なぁんにもないんだ。そんなもの効かないさ」
漆黒の、闇そのものが
まるで生きているかのように、「ブティックの更衣室」の主に襲い掛かる
ガスマスクをつけたそれは、襲いくる闇から逃げそびれて
まるで生きているかのように、「ブティックの更衣室」の主に襲い掛かる
ガスマスクをつけたそれは、襲いくる闇から逃げそびれて
「-------っぐ!?」
ず、と
片腕が…吸い込まれた
ぱっくりと、鋭利な刃物で切り裂かれたかのような断面から、鮮血が吹き出る
片腕が…吸い込まれた
ぱっくりと、鋭利な刃物で切り裂かれたかのような断面から、鮮血が吹き出る
「…っと、捕まえ損ねたか?」
闇が、白いスーツの男に変わった
男が、闇を出したのではない
男の言葉通り…この男が、「闇」そのものなのだ
男は、眼鏡の下でニヤリと、残酷に笑って
男が、闇を出したのではない
男の言葉通り…この男が、「闇」そのものなのだ
男は、眼鏡の下でニヤリと、残酷に笑って
「痛ぇだろ?…その痛みも、ぜぇんぶ吸い込んでやるよ」
と、そう残酷に告げて
次の瞬間、再び全身を闇へと変えて……「ブティックの更衣室」を、完全に、飲み込んだ
次の瞬間、再び全身を闇へと変えて……「ブティックの更衣室」を、完全に、飲み込んだ
「繰ちゃんっ!!」
…ディランの、呼びかけに
目隠し、猿轡、拘束具によって、体の自由を奪われていた繰は、即座に反応した
体を、抱き起こされる
目隠し、猿轡、拘束具によって、体の自由を奪われていた繰は、即座に反応した
体を、抱き起こされる
「目隠し、外すよ?」
言葉通りに、外された目隠し
ディランが、心配そうに繰を見つめてくる
続けて猿轡も外され、ぷはっ、と繰は酸素を吸い込んだ
ディランが、心配そうに繰を見つめてくる
続けて猿轡も外され、ぷはっ、と繰は酸素を吸い込んだ
「せん……せ……」
「もう、大丈夫だよ」
「もう、大丈夫だよ」
大丈夫、と
繰を安心させるように、頭を撫でてきたディラン
ディランは、そのまま繰の拘束具も外し始める
繰を安心させるように、頭を撫でてきたディラン
ディランは、そのまま繰の拘束具も外し始める
…ザン(いや、繰はその名前を知らないのだが)が、菊花が入れられたケースを見つけ出し
都市伝説が触れられないお札をケースに張られているせいで脱出できず、ぺちぺちケースを叩いている菊花の姿を、確認しながら
都市伝説が触れられないお札をケースに張られているせいで脱出できず、ぺちぺちケースを叩いている菊花の姿を、確認しながら
……助かったのだ、と
繰は改めて、それを実感したのだった
繰は改めて、それを実感したのだった
続く?