「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 赤い靴・DNo-17e

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 闇に沈んでいた意識が、ゆっくりと覚醒する

「ん………」

 ぼんやりと、瞼を開ける繰
 自分は………どうなったの、だっけ?
 状況を把握しようとした、その時

「ぁ………く、繰ちゃん。目が、さめたんだね?」

 聴こえてきた、その声に
 色んな記憶が、一気に蘇った
 トラウマな意味じゃなくて思い出したくない記憶も一緒に、全部

 全てを思い出した繰がとった行動は………全速力での、逃亡
 跳ね上がるように起き上がり、逃げ出そうとして

「あぅぅ……ま、待って!」

 がし!
 あっさりと、ディランに捕まった
 細身の体つきのディランが、正体は淫魔である
 繰一人捕まえて、逃走を阻止するくらい、簡単だ

「に、逃げてもいいけど………あ、あの子を置いていっちゃ、駄目だよ」

 ……あの子?
 言われて視線を彷徨わせると、硝子ケースに入った、菊花の姿が
 ぺちぺちぺち!!と硝子を叩き、脱出を試みている

「菊花!」

 その姿に、慌てて硝子ケースに駆け寄る繰
 ケースに張られた妙な札をはがして菊花をケースから出してやろうとして…

「……え?」

 …札、に
 触れられない…?

「契約者でも駄目なのか、本当に厄介だな」

 いつの間にか部屋にいた…否、最初からいたのだが、単に繰が気付いていなかっただけだ…ザンが、硝子ケースを見つめて呟く
 しばし考え込んだ様子を見せた後

「ディランちゃん、確か、団と結婚した女、契約者じゃなかったよな?」
「…繭浬ちゃんの事…?う、うん……彼女は、今でも契約者じゃなかったはずだけど……」
「よし、じゃあ、ちょっと呼んでくるわ。団に話しつけちゃ、来てくれるだろ」

 そう言って、ザンは周囲の空間を歪ませると、姿を消してしまった
 待った
 この状態で置いていくな!?
 抗議したい繰だが、相手がいない以上、抗議もできやしない

「え、えっと……繰、ちゃん。もう、体、大丈夫…?」

 そして
 プチパニック状態の繰の顔を、ディランが覗き込んできた
 ……ディランに悪気は、一切ない
 繰を心配しての行動だ

 繰を刺激するつもりなど、一切合財存在しない
 ………天然とは、時として罪である

「だ、大丈夫!」

 赤くなりながらも、何とか答えた繰はよく頑張った
 繰が赤くなっている様子に気付かず、ディランはほっとした様子を浮かべて
 そして

「……御免ね」

 と
 申し訳なさそうに、謝罪してきた

「え…」
「…僕が、きちんと能力を制御できなかったから………橋本さんが、都市伝説に憑かれているのに気付いて、すぐに対処出来なかったから………繰ちゃんを、巻き込んで。そのせいで、もっと危険な事に巻き込ませてしまって…本当に、ごめんね」

 …確かに
 未冬が女郎蜘蛛にとり憑かれている事に気付いた後、すぐにディランが対処できなかったのは事実だろう
 毒を受けたあと、一時的に能力を制御できなくなったのも、また、事実
 そして、繰がディランの催淫の芳香の影響を受けたのも事実であり、「ブティックの消える客」に誘拐されるに至った経緯も…まぁ、元をたどればディランのせいと言えなくも無い
 だが、そこまでディランが責任を感じる必要性など、ない
 ディラン一人が悪い訳ではないのだ

 ………ふと、繰が思い出したのは、「自分はいつ、いなくなるかわからない」と言う趣旨の、ディランの発言
 あれは、やとわれの臨時講師だから、と言う意味ではない
 …己は、都市伝説だから、と言う意味
 いつ、正体を知られて、そこにいられなくなるか
 いつ…………都市伝説同士の、契約者との戦いに巻き込まれて、死んでしまうかわからない
 その意味だったのだ、と繰はこの時、はっきりと気付いた

「…………………い」
「繰ちゃん?」
「先生は………悪く、ない」

 ディランのせいではない
 必死に、それだけを伝えようとする繰


 もし
 ディランが、今回の件を、どこまでも自分自身の責任にしてしまったら

 ……ディランが、中央高校から、いなくなってしまうのではないだろうか

 そんな、予感を
 繰は、はっきりと感じたのだった





to be … ?




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