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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 魔法少女銀河-07

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匿名ユーザー

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【不思議少女シルバームーン~第五話 第三章「魔法少女と道化師」~】

 夢を見ていた。
 まだ幼い頃、何度か父にあった時の夢。
 記憶が曖昧で顔をハッキリ覚えていないのだけれども、
 手のひらからは良い香りがしていて、抱っこしてもらった時にそれに気づいたことを覚えている。
 母もその頃はまだ結構家に居ることが多くて、結構楽しく毎日生きていられた気がする。
 何時ごろからだったんだろう。
 母があまり家に帰って来なくなったのは。
 父に会う機会がとんと無くなってしまったのは。
 そんな寂しさを埋めるように私はテレビアニメのヒーローに憧れるようになっていた。
 人々に望まれ求められる彼らは寂しさとは無縁の存在に見えたから。
 誰からも愛されて望まれて、それだけ目立ったらお父さんにまた会えるかも知れないと思った。
 お母さんがたくさん帰ってきてくれるようになるかもしれないと思った。
 けど駄目だったんだ。
 私は、私は友達一人救えなかった。
 いや違う。
 友達に私の自分勝手な正義を押し付けていた。
 私は最低だ。
 私は最低だ。
 私は最低だ。
 私は最低だ。
 私は本当に馬鹿だ。
 都市伝説の力で戦っているうちに私は自分を正義の味方だって思っていたんだ。
 いつも自分の思う正義を他人にぶつけて……
 それって、それってなんて……
 私は自分がこんなに嫌なやつだったなんて知らなかった。
 もう嫌だ。
 何もかもが嫌だ。
 全部全部……、人間って怖い。

『救えない未来がそこにあったとして、見過ごせない今を見過ごす理由にはならない。』

 あの声だ。
 あの男の声だ。
 人類の邪悪の極致とも言うべきあの男の声だ。
 幾千幾万の人外を葬り続けてきた最強最悪の生物種【人間】の悪意だ。
 コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ

「いやああああああああああああああああああああああ!」

 恐怖と共にベッドから跳ね起きる。
 何故ベッドに居るんだろう?
 さっきまであの男と戦っていて……私は気絶して……。

「ヨツバ様!サクヤ様が眼をお覚ましになりました!」
「おや、眼を覚ましたかい。」
「おばあちゃま、バットン、なんで、私は……ここに?」
「気絶して倒れているところを運び込まれたのよ。
 貴方のお父さんが間一髪で貴方を助けたって言っていたわよ?」
「お父様が来ていたの!?」
「忙しいからすぐに帰っちゃったけどね。」
「会いたかったのに……。」
「薄情な男でございます、お嬢様はあんな男のことお忘れなさいませ。」
「あなた、あの人を駄人間呼ばわりした挙句『アニメ化した時に声がかぶりそうなんだよ死ね!』って締め上げられてたわよね。」
「さ、さてなんのことやら……。」
「ところで朔夜、貴方おばあちゃまに何か言うことはない?」
「…………ごめんなさい。」
「未熟な力で一人で行動して、挙句の果てに負けて誰かに助けられて帰ってくるなんて。
 魔女の誇りというものはないのですか?」
「ごめんなさい。」
「分かれば宜しい。今後しばらく……」
「ねえおばあちゃま。」
「なに?」
「私もう誰かを助けるのはやめるよ。」
「…………まあ。」
「それで真面目に勉強して立派な魔女になって魔法の研究もいっぱいするね。」
「それはうれしいけど……。」
「もう疲れたよ、人が人を救うなんて、助けるなんて無理だよ。
 守るのだって運任せ、守れたとしてもそれがよく働くかなんて分からない。
 なにをしたって恨みは生まれる。
 私だって解っているんだよ。解っていたんだよ。
 だからもう、オシマイ。」
「朔夜……。」
「お嬢様……。」
「なんか疲れちゃった。少し一人にさせて……。」
「え、ええ……。」
「承知いたしました……。」

 お腹の奥のほうが鉛でも飲んだように重い。
 少し眠ろう。
 闇の底に沈んでいきたい。



 所変わってとある古城の薄暗い部屋の中。

「という訳で作戦の進行状況はどうなのかな?」

 椅子に腰掛けるグラマラスな体をしたメガネの女性の膝の上に伸び伸びと座る少年。
 円卓を囲んで沢山の人々がそこには座っていた。

「完璧だよジャックくん、今すぐにでもモスクワは掌握できるだろう。」
「さすがドク、『原子力発電所周囲の巨大生物』かい?」
「ああ、僕の故郷で生まれた都市伝説で僕の故郷を征服する。
 素晴らしいとは思わないかい?
 しかも僕の祖父母を故郷から追い出した原子力発電所を人質にとりながらそれは行われるんだ。」
「最高だ、素晴らしい戦争、否、虐殺になりそうだね。」
「あら、私は反対ですわ。」
「なんでだよ“お姉ちゃん”」
「環境に悪いんですもの。大人を全員殺して文明を崩壊させるのは良いけど環境が破壊されるんなら意味はないわ。
 人間は紛う方無き地球の癌だけどその排除の為に地球を殺しちゃ意味が無い。」
「そうだったね。」

 不機嫌そうなその女性の胸を枕がわりにしてゆったりと腰掛ける少年。
 ジャック・ジョーカー、世間一般的にはテロリストと呼ばれる類の人間だ。
 彼が先程から枕がわりにしている女性の名前は紅瀬緑。
 若干二十一歳にして国際指名手配中の過激派の環境保護主義者である。

「おいおい、じゃあ僕の原発使った作戦は?」
「代わりに火力発電所とかにしていっきにライフライン破壊して回る作戦ならいいわよ。
 火力発電所なら私は何も言わないわ。」
「なんとか言ってくれよジャックぅ~!」
「無理だね、“お姉ちゃん”怒らせるとこわいもん。」
「解ったよ解りましたよ、じゃあ原発への攻撃はやめまーす。」
「それでよろしい。」
「サンタさん、アメリカは?」

 ヒゲを蓄えた初老の男が億劫そうに書類を取り出してジャックに報告を開始する。

「まず、アメリカ政府の妨害が激しい。」
「うーん、人員増やしたほうが良い?」
「人数増やしても仕方が無いからな。
 むしろ精鋭を一人くれ。
 そうだな……戦闘力の高いものが良い。
 隠密行動などの必要性は無いからとにかく暴力で政府の奴らをねじ伏せられる駒が必要だ。」
「解った、めぼしい人たちにスカウトかけてるから少し待ってね。」
「ルル=ベル、南極に埋まっていた“アレ”の発掘は終わったの?」

 中学生くらいの、人形のような容姿の少女が立ち上がる。
 彼女の存在は一癖二癖もありそうなこの円卓のメンバーの中でも浮いていた。

「おわったよー、私の探知能力にかかれば楽勝だったね。」
「それは幸い。」
「ナチスの南極支部とかち合いそうになってビビったけどね。」
「おいおいやめてくれよ。そうなったら本当に僕達の計画はオシマイだ。」
「解ってるよー。私の探知能力と隠蔽能力ならなーんでも隠して探せるから安心して。」
「とりあえず皆計画は順調に進んでいるみたいなのね。」
「安心したね。」
「まあ仕事はしないと胸をはって同志とは名乗れないからね。」
「そうだ、今日は新しい同志を紹介するよ。」
「ほう、タイプは?」
「がっつくねえサンタさん。
 近接戦闘特化、一人で戦車百台分じゃあないかな?」
「是非欲しい。」
「解った、じゃあ君と一緒に仕事できるように頼んでみるよ。
 “真紅戦車(シンクタンク)”入ってきて。」

 扉が開いて部屋に真っ赤な装甲を纏った男が入ってくる。

「…………。」
「無口ね。」
「顔も見えないし。」

 男の無愛想な様子を見て口々にヒソヒソ話を始める円卓の人々。
 男はゆっくりと口を開いた。

「探知能力持ちってのは誰だ。」
「喋った!」
「会話くらいできるに決まっている。」
「君の調査を依頼した子かい、それならそこのルルちゃんだよ。」
「つまり貴様の言っていた地獄耳って言うのはその女のことか。」
「うん。」

 次の瞬間、目にも留まらぬ速さで甲冑の男の拳がルルの前に突きつけられる。
 しかしそれと同時に甲冑の男に中華剣を突きつける男がいつの間にか円卓の上に立っていた。
 細い目、にやついた口元、得体のしれない雰囲気がただよっている。

「鳥人(ライディーン)、机の上に立たないでよ。」
「初対面の相手に殴りかかるというのはあまりに紳士的でないと思われたのでついネ。」
「ライディーンとやら安心しろ、俺は基本的に女は殴らない主義だ。」

 甲冑の男は拳を円卓に叩きつける。

「だが次に偉大なるこの俺の家を勝手に覗いたら貴様の両目をえぐりとってやる。
 その約束で偉大なる俺はここに来たんだ。いいな。」
「それっていつのことー?」
「…………?」
「ああ、ルルちゃんは頭のビョーキで記憶が三日しか続かないの。」
「それを先に言え、これでは偉大なる俺がまるで道化だ。
 とはいえ道化を務めるのも天に立つ物として当然のサービスか。
 まあ良い、それならばそのことについてはもう言うまい。」
「なんだかんだでお優しいんだネ、その子にプライベート暴かれ続けて自殺に追い込まれた人も居るんだヨ?」 
「偉大なる俺は女子供には優しいのだ。」
「さて、ライディーンもシンクタンクも揃ったところで再び会議を始めようか。
 君たちは僕の能力で得た下僕ではない。
 僕の誠意に応じてくれた同志だ。
 僕達のそれぞれの理想の実現のために今は手を取り合い、互いに力を尽くそうじゃないか。」

 全員が静かに頷く。

「それじゃあ会議の前にまずは飲もう。」
「同志の殆んどが未成年と聞いたが?」
「ええ、だから牛乳よ。」
「えええぇ……。」
「不服そうね、カルピスも有るわ。」
「僕カルピスー。」
「ドクはいつもカルピスだもんね。」
「わたしの!わたしの!」
「ルルちゃんはオレンジジュースだもんね。」
「うん!」
「待て、ここは飲み物くらい偉大なる俺が運んでこよう。
 ここでは新参だからそれくらいはやらねばな。」
「シンクはなかなか気がきくね。
 じゃあルルちゃんも一緒に手伝ってあげて。」
「はーい!」

 ジャックとルルを除いた全員がひきつった表情をしていたのは言うまでもない。
 しかしその後甲冑の男は甲冑を脱がないままでそこそここの濃いメンバーに馴染んでいたのだった。
 かくして学校町に、否、世界に彼らの魔手は伸びる。
【不思議少女シルバームーン~第五話 第三章「魔法少女と道化師」~】

【不思議少女シルバームーン~第五話 第四章「少年と正義の味方の味方」~】

「…………。」
「…………。」

 きまずい。
 今僕はおっちゃんに教えられた八極拳の道場に来ている。
 本来は朔夜や霙を誘う予定だったのだが僕の知らないところで色々あったとのことで来られなくなってしまった。
 おっちゃんの話によれば道場の先生である明日恋路さんは僕と似たような境遇にあったとのことで、
 なにやら色々と参考になる話を聞けるだろうと言っていた。
 だが
 話してみると僕と彼女は予想をはるかに超えるレベルで経歴が似通っていた。
 ていうか時代はちがえど同じ戦場で同じ軍で働かされていた。
 同病相哀れむってレベルじゃない。同病相乗大発作みたいな。
 なんとなくお互いの嫌な思い出を刺激されあって話しづらい。

「あの、さ……。」

 とはいえそこは大人である。
 恋路さんの方が先に口を開いた。

「私は君に謝らなくてはいけないことがあってね……。」
「い、いえお互い被害者ですし、ほらそそそ、それより……。」
「うん、いやね。私のおぼろげーな記憶が正しければその戦争を始めたのが私の……。」
「私の?」
「私の大伯父さんに当たる人でだね……。」
「てことは良い生活してたんじゃないですかあの国だと。」
「うん、まあそのなんだ……私妾の子だったから。」
「なんか……すいません。」
「いや構わない構わない!気にしてないし!
 むしろ今は大切な人と平穏な暮らしができているし!
 なんだかんだ有ったけど全て今の日常の為だと思ったら納得出来る分幸せだよ!?
 いやそこはほら、アスマには言えなくて悩んだこともあったけどそこらへんはさ!」

 来た!共通の知り合い!
 これでこの気まずいトークから抜けられる!

「け、刑事さんって昔からあんなんだったんですか!?
 すすすす、すごいですよねあの人ー!
 正義感の塊って言うか!」
「そ、そそおういえば知り合いだったんだよね!
 笛吹さんの店の行きつけだったんだっけ!?」
「は、はいそうなんですよ!」
「そそっそうだ!お二人はどうやって知り合ったんですか!?」
「うん、笛吹さんに友達を殺されて自分も殺されそうだったアスマが都市伝説に飲まれて記憶を失った私と擬似的な契約を……」

 うわ重い!?
 予想をはるかに上回る重たさだった!?

「あの頃の笛吹さんは間違いなく全盛期だった。
 今でこそ老いが隠せないがあの頃の彼は冗談じゃなく世界を敵に回して戦えた。
 不意打ちで腕焼かなかったら私たちも殺されてたかも。」
「な、何があったんですか……。」
「うん、私たちの居た建物にゾンビが大量発生してね。」
「え、じゃあ……。」
「うん、君も私と同じ訓練を受けているなら知っているよね?」
「そうなんだよ……彼が他に犯した罪を完全に無視してあの時あの場においてはねえ……。」
「ええ、そうですね。

「「少数精鋭による皆殺しは正しい対処法だ。」」

「イタズラな兵力投入は感染者を増やす。」
「あの手の汚れ仕事には人間の姿をしていようが平気で原型なくすまで殺せる鋼の精神の所持が欠かせない。」
「感染直後は理性を保ってて無事なふりしておいて周囲の人間を襲い、
 後から感染者が爆発的に増える事例もある。」
「そのような事態の防止の為には少なくとも一般人は全滅させ、耐性のある契約者も容態の観察は必須。」
「まあそうは言っても生存者はできるだけ保護するのが今の時代だけどねー。」
「ですよねー。」

 とまあそこまで言い終わってお互い自己嫌悪に陥る。

「平然とこうやって話せる自分って嫌にならない?」
「嫌と思う感情も実は擦り切れています。0ではないけど。
 嫌と思うよりもなんていうか……笑えてきますね。」
「私よりきついね。」
「だって恋路さんなんだかんだ言って扱い良いじゃないですか。
 俺たち使い捨てでしたからね?恋路さんみたいな高級品じゃないですしー。」
「あーそうだ君の友達のジャック君だっけ……。
 彼はきっとあれだよ、私に使われていた技術を進歩させたものが使われてる。」
「マジっすか。」
「うん、人間兵器の完成はあの人のうけていた依頼だからね。」
「どこから?」
「私なんかが知るわけないじゃん。親族だし裏切らないからって理由だけで運用されてたんだし。」
「ほんっと、正義の味方にも倒せない巨悪が多すぎますね。」
「うん。」

 溜息をつく。

「でも私は絶望していない。」
「なんで?」
「どんな巨悪にも倒せない正義の味方が沢山居るから。」
「なるほど、そう捉えられますか。」
「そういえば君も今正義の味方のサポート役してるんだって?」
「最近、『私に人なんて救えない』とか言い出して引きこもってますけどね。」
「『私に人なんて救えない』ねえ……。ああおこがましい。
 どうして正義を語る子供はいつも小難しい理屈を並べたがるかね。
 おしなべてそういう子供は馬鹿だからそんな理屈に振り回されて要らん事考えるのに。」

 恋路さんはクククと笑う。

「救えなかったとしても、救おうとした気持ちは残る。
 失敗してもそこから学んで次に続ければどこかで誰かをきっと守れる。
 傷つけても傷つけられても、愚直に、只必死に目の前の危機から誰かを守る。
 それだけでいいんじゃ無いかな。救おうとしなくて良いんだ。人間ってのは勝手に救われるもんだよ。」

 そういう人たちの眩しい姿を見ながらね。
 と言って恋路さんは笑った。
 僕も何時かああやって笑える日が来るようになるんだろうか。
 でもそんな日が来たら素敵だなって、僕は心からそう思った。
 そう、思えた。

「だから頑張れ、正義の味方の味方。あいつらがきつい時に支えられるのはあんただけだぞ。」
「できるだけはやってみますよ。」

 その為に、僕は僕にしかできないことを始めよう。

【不思議少女シルバームーン~第五話 第四章「少年と正義の味方の味方」~】

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