「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 夢幻泡影-66

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Retsuya

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【な……何だあの化物はぁ!?】

ジェノブレイカーを駆る軍服裂邪は驚愕した
目の前で、異なる世界の自分が、己の契約している都市伝説と融合したのだ
彼のみでなく、裂邪の傍にいた少女の裂邪―――サクヤも唖然としていた
その反応はあながち間違いではないのだが、裂邪は単純に気になった

「…あれ? お前らも出来ないの?」
「でっ、出来る訳ないでしょ!?」
「そうなんですか?」
「ホウ、ソノ方ガ興味深イナ」
「あっしらはこれが当たり前でやしたからねぇ」
「並行世界ってのはそんなに違うもんなのか?」
『君達、好奇心旺盛なのは良いが、今は戦闘中なんだけど』

ふと視線を向けた時、ようやく思い出したかのように裂邪が若干仰け反る
ジェノブレイカーは未だ荷電粒子砲のチャージを行っている最中だった

【……都市伝説の反応が一気に減少した……本当に“融合”しているのか?
 どういう手を使ったか知らんが、殺すには惜しい人材だ…貴様が黄昏裂邪でなければ研究材料として生かしておいてやったのに
 無論生かしはせん! そもそも、融合したところで一体何になるというのだ!?
 ターゲットが絞りやすくなっただけ、それ以外にメリットなど無い!】

ジェノブレイカーの目が光り、口腔内の砲門を中心に雷光が走る

【結局は俺が最強なんだよぉ!!
 貴様等は俺の野望を止める事はおろか、邪魔する事さえできない!
 俺は、完全なる世界征服を成功させる男だ!!】
「…世界制服、か……懐かしいな。俺は世界なんかより、もっと大事なものを手に入れた!」

裂邪が走り出すと同時に、荷電粒子砲が放たれた
真っ直ぐに伸びる黒い光条を、彼は―――否、“彼等”は寸での処で避けながら駆けてゆく

【っは、速い……!? だ、だがこれしきのことでぇ!!】

今度はジェノブレイカーの首を動かし、荷電粒子砲で薙ぎ払おうとするが、
裂邪は「レイヴァテイン」を盾に変化させてそれを受け止めた
押されはするが、それでも一歩一歩確実に進んでゆく

【ヒハハハハハハハハ!! 死ね、我が野望の為に!!】
「ご主人様!」
「っくぅ、ミナワ!ウィル!ナユタ!」

ミナワが歌い始めると、先程斬り刻まれたシザークローがふわりと浮かぶ
ウィルは炎の翼から大量の火炎弾を発射する
ナユタは「ティルヴィング」の切っ先から白い熱線を放出する
それぞれがジェノブレイカーに直撃したが、少しぐらついた程度で粒子砲の勢いは衰えない

「駄目か…ちっ、背中のジェネレータさえぶっ壊せたら……!」






「み、皆……」

サクヤは、ただ見ていることしかできなかった
だがこの状況で、そんなことをしている場合で無い事くらい承知していた

「正面から行ったら、また防がれる……一気に後ろに回り込めたら……」

ぶつぶつと独り言を呟きながら方法を摸索する
そうしていると、突然脳裏にある事柄が浮かんだ

「…ブラックホールはホワイトホールに繋がってる……
 ブラックホールが暗黒物質なら、ホワイトホールだって作れる筈……でも……」

それは、あくまで可能性の話
失敗すれば、彼女がどうなるかくらい、自分でもよく分かっていた
それでも

「……ううん、ここで怖がってたら、前に進めない
 あいつ―――――裂邪だって、あの化物に立ち向かってるんだもん
 あたしが…あたしがやらなきゃ!!」

彼女は両手を合わせると、黒い小さな塊を作り出す
それを野球ボール程度の大きさまで作り上げると、彼女の姿は忽然と消えた






「っご、ご主人様! サクヤさんが!」
「何っ!?」
【んあ? ヒハハハハハハハ! とんだ馬鹿が居たもんだぜ、ブラックホールに自分から飲み込まれやがった!
 状況が絶望的過ぎて自ら命を経ったか……ウヒヒヒヒヒヒヒヒ……ヒッハハハハハハハハハ!!!】
「んの、野郎ォ――――――――ッ!?」

裂邪は捉えた
ジェノブレイカーの背後、両手を構えて落ちてくるサクヤの姿が
その両掌には、黒い光が禍々しく渦を巻いていた
攻撃中の為にマザーコンピュータの反応が遅れたのか、軍服裂邪がそれに気付いた時は既に遅かった

【なっ……い、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!】
「『シュヴァルツ・リヒト・スターク』!!」

黒い巨大な光弾が、光を超える速度で放たれる
2つのシールドによるガードも間に合わず、光弾は背部のブースターに直撃して大爆発を起こした
その瞬間、ジェノブレイカーの口から吐き出されていた荷電粒子砲が、フェードアウトしていった

【ま、さか……荷電粒子砲が……!?】
「有難うサクヤ! 行くぞお前らぁ!!」

ウィルの翼がロケットエンジンの如く出力を上げ、
理夢はシェイドを纏う事によって底上げされた脚力で、そのスピードに乗って一気に駆け抜ける
ミナワは氷の槍を作り出し、裂邪は金色の鎌と銀色の剣を構えた

「俺達の必殺技ァ!! スペシャルヴァージョン!!!」

一閃
すれ違い様に、「レイヴァテイン」と「ティルヴィング」、そして『バブロッド』の一撃を叩き込んだ
バチッ、バチッ!という音と共に、小規模な爆発を起こすジェノブレイカー
見事着地に成功した裂邪は、その融合が解け、元の裂邪、シェイド、理夢、ウィルの姿に戻った

「良かった、皆無事で…」
「ッヒヒ…これでやっと戦いは――――」
【何故だ…………!?】

機体の損傷度が激しいにもかかわらず、ジェノブレイカーは未だに動き続け、裂邪達の方に振り向いた
傷つきながらも佇むその姿は、軍服裂邪の執念の象徴とも言えるものだった

【圧倒的な戦力を持ってしても…最先端の科学力を結集させたとしても…
 何故、たった数人のガキ共に勝てんのだああああああああ!?】
「しつけぇ野郎だぜ、ったくよぉ!」
「往生際ノ悪サハドノ世界デモ共通ト見タ…ダガ、長クハ無カロウ」
「皆、下がっててくれ!」

裂邪が指示すると、彼は金の鎌を空中に放り投げる
「レイヴァテイン」は黄金の水となり、裂邪の身体に覆いかぶさると、
身体の各所に鋭利な装飾がなされた黄金の鎧となった

「うわぁ…そ、そんなことも出来るんだ」
「サクヤ!」
「え、は、はい!?」
「お前の力を貸してくれ……最後の仕上げだ!」
「あ……分かった!」

「レイヴァテイン」と融合した裂邪の隣にサクヤが立つ
呼吸を整え、2人は各々の力を両手に込める

「「2人のこの手が眩く輝く!!」」
「滅ぼせ悪をとぉ!!」
「煌めき叫ぶぅ!!」

裂邪は右手を、サクヤは左手を差し出し、黄金と暗黒の光が入り混じり、黄昏時の空の色になる

「「無限の混沌(カオス)に消えてなくなれ!! 『全土滅殺 天征破』ァ!!!」」

黄昏色の光条が2人の掌から解放され、
惑う事なくそれは軍服裂邪の乗るジェノブレイカーを飲み込んだ

【ばっ、馬鹿な――――ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??】

ジェノブレイカーは光条に押され、壁を突き破り複雑な機械を破壊する
その動きが完全に停止した時、母艦が大きく揺れ始めた

「…ッヒヒヒ、ようやく、終わったな」
「勝った…私達、勝ったの?」
「お疲れ様です、ご主人さmきゃあっ!?」

がくんっ、と母艦が傾いたかと思えば、
床が罅割れ、屋根が崩れ、機械がスパークを起こし、辺りに炎が広がり始める

「うおっとぉ!? な、何が起こったんでい!?」
「そ、そういえば、さっきエンジンルームがどうこうって……」
『どうやら潮時らしいね…ここから逃げた方が良さそうだ』
「脱出だ! シェイド!『シャドーダイブ』!」
「了解シタ」

裂邪が融合を解除し「レイヴァテイン」をパスに戻すと、シェイドが影に溶け込み、影の扉を開く
その中に急いで入るように、裂邪は全員に指示を促した


















【……………待っ…………て…………くれ…………………】

















響く爆破音の中で微かな声を聞き取り、裂邪はそこで立ち止まる
最後に入ろうとしていたミナワが、それに気付いて彼を見た

「…どうかなさったんですか?」
「いや……悪ぃ、先行っててくれ」
「え、あの、ご主人様!?」

黒煙を掻きわけ、裂邪は「ティルヴィング」を持ったまま、声のする方に走った
やがて視界が開けると、目に入ったのは、もはや棺桶と呼ぶに相応しい姿となったジェノブレイカーだった
声は、この中から聞こえるようだ

【………だ………誰、か…………】
「…まだ生きてたのか?」
【い、異世界の俺、か……ハッチが、故障して………出られなく…なった………助けて……くれ……】
「っ……この期に及んで『助けろ』だと? 本気で言ってるのか?」
【頼む………まだ、死にたく……ない………助けて、くれ………!!】

強く握り締めた拳を、どこを狙うでもなく振るった

「ふざけるな!! そうやって命乞いした人間を、お前は何人殺したんだ!?
 情けないだの、醜いだの言っていたお前が今更同じ事をするのか!? はらわたが煮えくり返るわぁ!!」
【すまな……かった……もう、誰も殺さない……世界征服も、諦める……奴隷も解放する………
 だ、から………ここから、出してくれ……たす……けて………】

涙声に近い声で強く懇願する
ぷるぷると「ティルヴィング」を携えた手を震わせ、裂邪は一歩、また一歩とジェノブレイカーのコクピットに歩み寄る
そして彼はゆっくりと、白刃の剣をコクピットに向けた

「…分かった、叶えてやる、お前の願い」
【……あ、りが、とう……助かった――――――――】
「今すぐ楽にしてやる」

コクピットの中央に、秀麗な剣を突き刺した
中から苦悶の声が漏れ出てくるが、構わず裂邪は「ティルヴィング」でコクピット内を抉るように剣を上下させる
その行動を何回やっただろうか、声が聞こえなくなったのに気付くと、彼は勢い良く「ティルヴィング」を引き抜いた
剣が刺さっていたところから、つぅ、と紅い筋が走る

「………殺された“俺”達の分だ……あの世まで持っていきやがれ」
『ギハハハハハハハ…おめでとうマスター、これで君も晴れて殺人鬼、僕の同類だ』
「黙れ! お前なんかと一緒にすんじゃねぇ!!」

力任せに、紫のもやを纏った「ティルヴィング」をバックルに翳すと、金の柄の邪悪な剣は、瞬時に紫色のパスに戻った
彼は紫のパスをベルトのホルダーに仕舞うと、踵を返して影に足を踏み入れようとした
直後、胃の奥から込み上げるものをその場で解放した



――――――人間を殺した



その事実が強く、深く、彼の心に刻まれた














裂邪が脱出に成功した後
「UFO」の母艦は、何千もの「エイリアン」と何百もの「ミュータント」を乗せたまま、
学校町の赤く染まりかけた空の下で、爆音を轟かせて爆散した
ある少年の、大きな野望と共に


   ...To be Continued

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