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連載 - 首塚-83b

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 サンジェルマンが、その空間に足を踏み入れた、時
 聞こえてきたのは、泣き声、叫び声

「----っして、どうして、どうして、どうして………っ!!??」

 泣いているのは、少年
 いつもしゃがみこんで、小石でも落とすような動作を繰り返して波紋を作り続けていた、少年
 いつも淡々とした話し方をして、サンジェルマンに対しても、ひどく無関心な態度しかとっていなかった、あの少年だ

 感情を見せた事のない、少年が
 感情を、爆発させている

 すぐに、サンジェルマンは気づいた
 真っ暗な空間、上も下もない、不可思議な、この空間に

 ……その、足元に
 何か、映し出されていた

「…S-No.444.中立派のSNoにいながら、強硬派よりの男………これは確実に、上の指示じゃなくて、独断行動ですね……」

 そういえば、あの男……学校町の旧家について、危険性を調べていたのだったような
 その事をS-No.0……すなわち、イクトミに進言して、しかし、イクトミは「あまりかかわるな」と、それしか指示を出していなかったはず
 ………業を煮やして、実力行使に出たのか
 愚かな事を………!
 「首塚」側近組筆頭、それも、平将門のお気に入りである日景 翼
 それを殺してしまえば、今度こそ、「組織」と「首塚」の全面戦争になりかねないというのに……!

「うー………うーうーうーうーうーうーうーうー!!いらないっ!!こんな世界、いらないっ!!」

 うーうーと、癇癪を起したように泣いている少年

 …現実世界では、「首塚」の一員である少年
 翼とは、親しかったのだろう
 その翼の「死」を見せつけられ、泣き叫んでいる

「いらない、いらない、いらない、いらない、いらないっ!!翼お兄ちゃんを殺す世界なんて、いらない、翼お兄ちゃんを死なせる世界なんて、いらないっ!!」
「……っ!?」

 そして
 サンジェルマンは、気づいた
 少年の、体が…………かすかに、透け始めている事に

「こんな世界、いらない!!消えろ!なくなれ!!消えてなくなってしまえぇえええええええええっ!!!」
「……まさかっ!?」

 少年が
 「現実」を否定しているせいか?

 現実に、世界に、消えろと少年は憎悪を吐いている
 だが、たった一人の少年の憎悪程度で消える程、世界は脆くない
 ならば
 その、世界を消すための憎悪は
 そのまま、少年に返ってきて…………っ!!??

「消えろ消えろ消えろ消えろ消えろっ!!!お前達の作った世界なんていらない、翼お兄ちゃんを死なせるお前達なんていらないっ!!!お前達の脚本なんて知らない、消えろ!!!そんなもの、受け入れない!!!みんな死ね、消えろ、創造者も観測者も何もかも、消えてしまえっ!!死んでしまえぇえええっ!!!」
「……っよしなさい、このままでは、消えるのはあなたですよっ!?」

 さすがに、目の前で子供が消滅しそうになっているところを見捨てるのは、目覚めが悪い
 サンジェルマンは少年に手を伸ばすが、少年はその手を払いのける
 いや
 すでに、その存在は消えかけていて……触れる事すら、できない

 世界を、そして、世界を作り上げる存在すら、拒絶して
 …そのせいで
 少年は、世界から拒絶され、はじき出されようとしているのだ


 ----駄目か!?


 サンジェルマンが、何か手段はないか、と模索しようとした、その時

 そっと、何かが、少年に触れた
 触れてきたその存在に、少年は叫ぶのを止めて、びくりと体を震わせる

 触れてきた存在は……サンジェルマンには、よく、見えなかった
 目の前にいるはずなのに、存在がぼやけていて………はっきりと、見えないのだ

 だが、気づく
 見えないのだが、わかる
 それが、どんな存在なのか……サンジェルマンは、はっきりと理解する

 そして
 それは、少年も同じなのだろう

「……何だよ、いまさら出てきて………何の用だ、人殺し、嘘付きっ!!殺さないって、言ってたくせに!翼お兄ちゃんの事は殺さないって、そう言ってた癖に!!!」

 少年は、それに憎悪をぶつける
 涙がたまった瞳で睨みあげ、殺意にも似た憎悪をぶつけ続ける

「嘘付き嘘付き嘘付きっ!!人殺し!!!僕達は、お前達の玩具じゃないっ!お前達に弄ばれる為に生まれたんじゃないっ!!僕に触れるな、消えろっ!!」

 少年の憎悪の叫びに、それは答えない
 ただ、つい、と
 先ほどまで、日景 翼が殺害される様子を映し出していた、虚空を指差す


『……何、だ、と……どうなっている!?』


 そこから、叫び声が聞こえてきた
 S-No.444の、叫び声が

 先ほど映し出していた光景
 その、もう少し先が、映し出され始める

「………ぇ」

 そこには
 確かに、心臓をえぐり取られたはずの、翼が……


 まるで、何事もなかったかの、ように
 しっかりと、立ち上がっている様子が、映し出されていた





to be … ?







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