「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-83c

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「……何、だ、と……どうなっている!?」

 馬鹿な
 こいつは、たった今、自分が殺して……!?

 S-No.444は、目の前の光景に、我が目を疑った

 心臓をえぐりだし、殺したはずの日景 翼
 学校町五大旧家が一つ、日景家と、危険極まりない血筋である大門家のハイブリットと言う、危険因子
 確かに、殺したはずだ
 人間が、心臓をえぐり取られて生きていられるはずがない

 それが
 立ち上がり………S-No.444に、視線を向けてくる

 その、目は
 爛々と、赤く光っているように、見えた
 日景 翼の目は、一般的な日本人の、黒い瞳だったはず
 赤い瞳では、なかったはずだと言うのに

「貴様……何故、生きていられるっ!?」
『っせぇな。雑魚の癖に、余計な事をしやがって。今、ギリギリ生きてるか死んでるかっつー状態だっての』

 S-No.444の言葉に、翼が
 いや
 翼ではない「何か」が、答える
 翼の口から漏れ出す声は、翼のものではない
 別の、誰かの、声

『俺様が表に出て、今、ギリギリ状態でつなぎとめてんだ。余計な手間かけさせるなっての』
「……貴様、何者だ!?」
『あぁん?「組織」の癖に調べがついてないのかよ?』

 それは、ニヤニヤと、翼の顔で笑う
 翼なら、絶対に浮かべる事はないだろう、どこか、邪悪さの混じった、笑顔

『……俺様は、「厨2病」。契約者様の「日焼けマシンで人間ステーキ」を進化させてやった都市伝説だぜ?』
「-----っ!?」

 確かに
 日景 翼が、多重契約者であることは調べがついている
 「厨2病」との多重契約で、「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力活用の幅を広げた事も知っている
 ………だが
 その「厨2病」が自我を持った存在などと、そんな話は聞いていない………!!

『あぁ、知らなかっただろうなぁ?俺様が自我を持っている事なんて、ほとんどの奴が知らねぇよ。契約者様ですら、俺様の声が聞こえないんだからなぁ?』

 馬鹿にしたように、そう言ってくる翼の「厨2病」
 S-No.444は舌打ちすると、再び、能力を発動しようとする

 日景 翼が契約している「厨2病」に自我があったなど、知らなかったが
 そんなことは関係ない
 その「厨2病」が、日景 翼を生かしているというのならば……その「厨2病」を、消滅させる!!
 どうやら、契約者の肉体を操る能力があるようだが、その肉体を壊しきってしまえば……

『おっと、俺様を消すか?………っはは、無駄無駄。お前の能力じゃ、それは無理だ。なぁ、アンサー?』

 翼の体を使って、それは笑い
 ……一気に、S-No.444の目の前まで、接近してきた
 「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力による、体温の上昇
 それを使い、身体能力まで、強化しているのだろう
 ……契約者の肉体を操るだけではなく、その契約者が契約している、他の都市伝説能力まで使用できるのか!?

「っ円周率の、34番目の数字は…………っ!?」

 っが!!と
 喉を捕まれ、首が絞められる
 じゅぅううううううう……っ、と
 己の喉元から、肉が焼け焦げるにおいが、立ち上り始めた

「ぐ、ぁ………」
『アンサーの対処法は、簡単だ。相手がくっちゃべる前に、潰しちまえばいい』

 ぎりぎりと、S-No.444の喉を焼きながら締め続けつつ、それは笑う

『本来なら、アンサーは実体がないから、それは難しいが………てめぇのように、飲まれて「アンサーそのもの」になった、肉体持ちなら、殺す事なんざ簡単なんだよ』

 っぼぅ!!と
 S-No.444の首を絞める右手が、燃え始めた
 「厨2病」の多重契約によって日景 翼が得た、炎の力
 それが、発動したのだ
 灼熱の炎に身を包まれ、S-No.444は悲鳴を上げる事もできぬまま、その身を焼き尽くされていく

『どうだぁ?俺様の契約者様の、契約者様が望むなら世界だって焼き尽くせる炎(レーヴァテイン)の威力は?』

 燃え盛り、黒焦げになっていくS-No.444を見つめながら、「厨2病」はけらけら笑う

『困るんだよ、まだ、契約者様を殺されちゃあ……!まだまだ、俺様は、契約者様の人生を楽しみたいんだ。素敵にヒロイックな、この「厨2病」の契約者差にふさわしい人生を、な。その為にも、こんなところで死なせる訳にゃあいかねぇんだよ』

 焼き尽くされたS-No.444の体は、光の粒子となって消えていく
 それを見届けて……「厨2病」は、自分が使っている翼の体を見下ろした

 ……見事に、心臓がえぐり出されている
 「厨2病」が表に出た事で出血は止められているが放置すれば、本当に死んでしまうだろう
 翼が倒れた場所に流れ出ている血の量から見ても、それは明らかだ
 服も、翼自身が流した血で、ひどく汚れてしまっているうえ……心臓をえぐり出された時に、一緒に破壊されたのだろう
 首元から下げている銀のペンダントの飾りが、壊れてしまっている

『ったく、本当、厄介な事しやがって……まぁ、死亡ルートも、それはそれで素敵にヒロイックな展開になってくれるだろうけどな。そっちのルートは、いらねぇんだよ』

 ぶつぶつと呟きながら、「厨2病」は翼の体で、その傷口と血で汚れた服をなでた
 直後……傷痕は、消え失せ、服の破れた個所も元通りになり、服に着いた血の汚れも、消滅する
 彼は「厨2病」
 それは、魔法に匹敵する万能の力
 これくらいの事、簡単にできるということか

 死んだと見せかけて…もしくは、死んでも復活する
 それもまた、「厨2病」の一部なのかもしれない

『さぁ、契約者様。あんたは、自分が殺された事も知らない。そして、誰もこの現場を見てはいない……だから、あんたは「死んでない」。問題なく生きていていいんだぜぇ?もっともっともっともっともっともっともっともっともっと、俺様を楽しませてくれよぉ?』

 けらけら、けらけらと
 「厨2病」はどこまでも邪悪に、笑い続けた



「………あれ?」

 翼の意識が戻った
 彼の体は、走り続けている

 ……当たり前だ
 急がなければならないのだ
 早く、望の元に到達して、助けだして

 ………そして
 あの、K-No.0を、殺す
 焼き殺す
 K-No.0が、望にとってのどんな存在であろうが関係ない
 望を害しようというのなら
 自分の家族を奪おうというのなら

 ………一片の慈悲もかける事なく、殺す!!

 激しい殺意と怒りを保ったまま、翼は走り続ける
 襲いくる兄貴達を、視界に入り込む兄貴達を、片っ端から焼殺しながら



 翼は、気づかない
 一度、自分が死んだ事に
 すべては「なかった事」にされて、翼は生き続ける



 ただ
 翼の胸元で揺れる、壊れたシルバーアクセサリーだけが
 かすかに、その痕跡を残していたのだった





to be … ?





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