単発 - 幸せ家族計画 - 「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

貴方は「雪虫」というものを見たことがあるだろうか
彼らがどこかへ飛んでゆくと、三日後その地に初雪が降るという
ゆえに噂された。「雪虫が飛ぶと雪が降る」と

１人の新婚女性がいた。結婚生活6ヵ月目、12月23日の深夜に家の前で立っていた
「………ふ」
彼女は未だに処女であった。
原因は彼女の猛攻を凌ぎ続ける、どうしようもなくヘタレで、しかし彼女を誰より愛する彼女の夫だ
「………ふふ、」
どれだけ攻勢にでても逃げ切ってしまう草食動物に対して、肉食動物は一計を案じた
逃げられてしまうなら逃げられない環境を作ればいい
「ふふふ、ふは」
きっかけはインターネット上のある記事。
大雪の9ヵ月後にはベビーブームが発生するという「都市伝説」
そして彼女にはそれを信じるだけの根拠と、その状況を作り出す能力があった

「ハーッハッハッハッハ！！」
まるで悪役のように笑う彼女。もはやなりふり構ってはいられないのだ
「行け雪虫たち！私の明るい家族計画のために！！」
暗がりから「雪を降らせる雪虫」が一斉に空へ向けて飛び立つ
これで彼女の雪虫は24時間後、確実に町を雪で覆うだろう。
「………寝よう。クリスマスに備えて」
計画の第一段階を終えた彼女はニヤニヤ笑みを浮かべて家に入っていった

さて、結果を言ってしまうと彼女の計画は失敗した。
まず積雪にムラがありすぎた。都市伝説と都市伝説はひかれあうという性質がある
雪虫もまたその例外ではなく、都市伝説の巣窟である学校町ではまんべんなく分散しなかったのだ
そのため彼女の家付近にはそこまで降り積もらなかった

そして肝心の「大雪ベビーブーム」。これは一切の片鱗も見せなかった
かくして彼女は事態に気付いた夫によってがっつりお仕置きされた
それでも彼女は諦めたりはしない。彼の子供を産むまで彼女の戦いは続くのである

「はぁ、プレゼント渡しづれー………」
「なにか言ったか？」
「言ってねえよ。もう少し眠ってろ変態」
「顔にはクッションより君のナニを押し付けウブホッ！？」
「黙れ」

………案外、願いが叶う日は近いのかもしれない

終。

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