幼芽の底力より
植物園事件から数日経ったある日
裂邪は学校町にある、とあるトンネルの中に足を運んでいた
時は既に人々が寝静まる頃
比較的強い雨が、裂邪の傘を激しく叩いていた
裂邪は学校町にある、とあるトンネルの中に足を運んでいた
時は既に人々が寝静まる頃
比較的強い雨が、裂邪の傘を激しく叩いていた
(裂邪>ふあ~ぁ・・・ん、そろそろ来ると思うんだけど
(蓮華>お待たせしました
(蓮華>お待たせしました
トンネルの向こうから、緑色の傘を差した緑の髪の少女――蓮華が現れた
(裂邪>やぁ今晩は。凄い雨だね
(蓮華>単刀直入に言います
表向きでは、試作品のモニターになって下さい
(裂邪>・・・裏向きは?
(蓮華>貴方に、プレゼントがあります
(蓮華>単刀直入に言います
表向きでは、試作品のモニターになって下さい
(裂邪>・・・裏向きは?
(蓮華>貴方に、プレゼントがあります
蓮華は傘を首と肩で挟んで固定すると、アタッシュケースを開けて、中にある物を裂邪に渡した
(蓮華>これです
(裂邪>・・・・・・・何、これ?
(裂邪>・・・・・・・何、これ?
渡されたものはベルトのようなもの
それ自体は銀色を基調としたシンプルなデザインだが、注目すべきはそのバックル
PSPほどの大きさの、丸みを帯びた四角形をしており、
中央よりやや左寄りに丸く大きな水晶体が埋め込まれ、
その右には横に長い楕円のボタンが、白、赤、青、黒と、上から順に並んでいた
そして、ベルトの横にはホルダーがあり、そこには金色の四角いものが収まっている
それ自体は銀色を基調としたシンプルなデザインだが、注目すべきはそのバックル
PSPほどの大きさの、丸みを帯びた四角形をしており、
中央よりやや左寄りに丸く大きな水晶体が埋め込まれ、
その右には横に長い楕円のボタンが、白、赤、青、黒と、上から順に並んでいた
そして、ベルトの横にはホルダーがあり、そこには金色の四角いものが収まっている
(蓮華>説明の前に・・・例のものはありますか?
(裂邪>あぁ、「レイヴァテイン」だろ? 言われたとおり持ってきたよ
契約したいのにシェイドが暴力で抑制するからさぁ、参った参tt
(蓮華>その金色のパスを、「レイヴァテイン」にかざして下さい
(裂邪>?
(裂邪>あぁ、「レイヴァテイン」だろ? 言われたとおり持ってきたよ
契約したいのにシェイドが暴力で抑制するからさぁ、参った参tt
(蓮華>その金色のパスを、「レイヴァテイン」にかざして下さい
(裂邪>?
言われるがままに彼はホルダーから、パスと呼ばれた四角い物を取り出し、
胸に提げられた小枝の形をした「レイヴァテイン」にかざす
その時、「レイヴァテイン」とパスが同時に眩く輝き、
「レイヴァテイン」の光が、パスの中にスゥ、と入っていった
胸に提げられた小枝の形をした「レイヴァテイン」にかざす
その時、「レイヴァテイン」とパスが同時に眩く輝き、
「レイヴァテイン」の光が、パスの中にスゥ、と入っていった
(裂邪>へ? な、何があった??
(蓮華>貴方がご存知かどうか知りませんが、この世には契約書と言うものがありましてね
それ自体は紙のようなものなのですが、それを少し改良したのがそのパスです
(裂邪>・・・契約書? じゃあ俺は「レイヴァテイン」と契約しちゃったの?
そんな感覚しないんだけど・・・
(蓮華>契約状態になるのは“今から”です
今度はそのパスをバックルのコアに、左から右へ流れるようにかざして下さい
(裂邪>流れるように、ねぇ・・・
(蓮華>貴方がご存知かどうか知りませんが、この世には契約書と言うものがありましてね
それ自体は紙のようなものなのですが、それを少し改良したのがそのパスです
(裂邪>・・・契約書? じゃあ俺は「レイヴァテイン」と契約しちゃったの?
そんな感覚しないんだけど・・・
(蓮華>契約状態になるのは“今から”です
今度はそのパスをバックルのコアに、左から右へ流れるようにかざして下さい
(裂邪>流れるように、ねぇ・・・
何やら複雑そうな顔をしながら、裂邪はまた言われるように、パスを左手に持ってかざした
バックルから《レイヴァテイン》という電子音声が響くと同時に、彼の体内に熱いものが流れ込む
それは今まで契約してきた時と同じ感覚ではあったが、「レイヴァテイン」となると話は別だ
以前、彼がそれと契約した瞬間は、まさに血が滲むような体験だった
今はどうだ
彼は、一滴の血も流さず、ただ平然と――表情は唖然としていたが――、そこに立っていた
左手に黄金の鎌を持って
バックルから《レイヴァテイン》という電子音声が響くと同時に、彼の体内に熱いものが流れ込む
それは今まで契約してきた時と同じ感覚ではあったが、「レイヴァテイン」となると話は別だ
以前、彼がそれと契約した瞬間は、まさに血が滲むような体験だった
今はどうだ
彼は、一滴の血も流さず、ただ平然と――表情は唖然としていたが――、そこに立っていた
左手に黄金の鎌を持って
(裂邪>なっ・・・う・・・嘘ぉぉぉぉぉお!?
何で!? 前に契約した時はこうじゃなかったじゃん!?
(蓮華>「組織」の力を舐めないで下さい・・・私も苦労したんですよ?
都市伝説は言わば“情報”のようなものです
それが姿形を持って、「口裂け女」やその「レイヴァテイン」のようにこの世に存在しているのです
そのベルトには、前に貴方に使った「刃物は縁を切る」を情報化したものを封印してましてね
パスの中から「レイヴァテイン」の情報がバックルのコアを通じて、貴方の体内に伝達する前に、
コア内部の「刃物は縁を切る」が契約コストを和らげたんです
尤も、一種の賭けでしたが、まさか成功するとは・・・それにパス自体が変化するのは予想外でした
(裂邪>よく分かんないけどこいつぁすげぇや! ありがとう!
ところでさ
何で!? 前に契約した時はこうじゃなかったじゃん!?
(蓮華>「組織」の力を舐めないで下さい・・・私も苦労したんですよ?
都市伝説は言わば“情報”のようなものです
それが姿形を持って、「口裂け女」やその「レイヴァテイン」のようにこの世に存在しているのです
そのベルトには、前に貴方に使った「刃物は縁を切る」を情報化したものを封印してましてね
パスの中から「レイヴァテイン」の情報がバックルのコアを通じて、貴方の体内に伝達する前に、
コア内部の「刃物は縁を切る」が契約コストを和らげたんです
尤も、一種の賭けでしたが、まさか成功するとは・・・それにパス自体が変化するのは予想外でした
(裂邪>よく分かんないけどこいつぁすげぇや! ありがとう!
ところでさ
嬉々としていた裂邪の表情が変わる
何を言おうとしていたのか、蓮華は頷いて
何を言おうとしていたのか、蓮華は頷いて
(蓮華>えぇ、分かってます。完全に都市伝説です
(裂邪>だよねぇ。だってある訳無いもんな
――――――トンネルの中で傘差してるこの状況が
(裂邪>だよねぇ。だってある訳無いもんな
――――――トンネルの中で傘差してるこの状況が
よく分からない人はこの話の最初の2行目と4行目をご覧下さい
・・・お分かり頂けただろうか
彼らは今まで、トンネルの“中”で会話をしていたのだ
傘を差しながら
激しい雨音を聞きながら
血の臭いの充満した、トンネルの中で
彼らは今まで、トンネルの“中”で会話をしていたのだ
傘を差しながら
激しい雨音を聞きながら
血の臭いの充満した、トンネルの中で
(裂邪>懐かしい都市伝説、っつうか怪談話だな。夏場ならよかったのに
下がっててよ蓮華ちゃん。ここは俺に任せろ
(蓮華>あ、そのベルトには他にm
(裂邪>大体分かってる!
下がっててよ蓮華ちゃん。ここは俺に任せろ
(蓮華>あ、そのベルトには他にm
(裂邪>大体分かってる!
彼はバックルの黒いボタンを押す
《シャドー》という電子音声が響いたあと、鎌となった「レイヴァテイン」をバックルにかざす
瞬間、《インフォーム》の電子音声が流れ、水晶体が黒く光り、彼の背後に黒いローブを来た者が現れた
真夜中で、雨が降るトンネルの中に
《シャドー》という電子音声が響いたあと、鎌となった「レイヴァテイン」をバックルにかざす
瞬間、《インフォーム》の電子音声が流れ、水晶体が黒く光り、彼の背後に黒いローブを来た者が現れた
真夜中で、雨が降るトンネルの中に
(シェイド>何・・・? 裂邪、何ガアッタ?
(蓮華>ど、どうして分かったんですか?
(裂邪>簡単なことさね
蓮華ちゃんがこの時間この場所を指示した理由、それはこの《シャドー》のボタンのテストだ
さっき『都市伝説は“情報”みたいなもの』って言ったろ?
それに俺を呼び出した時『1人で来てくれ』とも言ってた
そしてこの・・・ベルトの形
つまり、このボタンを押してパスを翳すと、
俺と契約状態にあるシェイド、ミナワ、リム、ウィルを、
一度情報に変換した後で俺の元に呼び出し、またその形を作り出すことで、
離れた場所からでも皆を呼び出すことができる、みたいなもんかなぁ、と
(蓮華>・・・よくそれだけのことが一瞬で分かりましたね・・・
(裂邪>勘よ、勘。しかしシェイドが俺の影無しで召喚できるなんて・・・「組織」すげぇ
(???>何をごちゃごちゃ話しているの?
(蓮華>ど、どうして分かったんですか?
(裂邪>簡単なことさね
蓮華ちゃんがこの時間この場所を指示した理由、それはこの《シャドー》のボタンのテストだ
さっき『都市伝説は“情報”みたいなもの』って言ったろ?
それに俺を呼び出した時『1人で来てくれ』とも言ってた
そしてこの・・・ベルトの形
つまり、このボタンを押してパスを翳すと、
俺と契約状態にあるシェイド、ミナワ、リム、ウィルを、
一度情報に変換した後で俺の元に呼び出し、またその形を作り出すことで、
離れた場所からでも皆を呼び出すことができる、みたいなもんかなぁ、と
(蓮華>・・・よくそれだけのことが一瞬で分かりましたね・・・
(裂邪>勘よ、勘。しかしシェイドが俺の影無しで召喚できるなんて・・・「組織」すげぇ
(???>何をごちゃごちゃ話しているの?
怪しく笑っているような、女性の声
振り返ると、白くぼやけた幽霊が1人
どうやらこの都市伝説の本体らしい
振り返ると、白くぼやけた幽霊が1人
どうやらこの都市伝説の本体らしい
(裂邪>・・・つぅわけよシェイド、状況読めた?
(シェイド>大体ナ
(裂邪>ならいいや。 さっさと始めようぜ
『シャドーフォーム:シャドーズ・アスガルド』ォ!
(シェイド>大体ナ
(裂邪>ならいいや。 さっさと始めようぜ
『シャドーフォーム:シャドーズ・アスガルド』ォ!
裂邪が傘を投げ捨てると、トンネル内の影から黒い手が伸び、彼の身体を包み込んだ
赤い雨の中でもはっきりと煌くその紅い眼は、鋭く幽霊を見据えていた
赤い雨の中でもはっきりと煌くその紅い眼は、鋭く幽霊を見据えていた
(裂邪>原作通りに・・・俺、君臨!!
著しく改悪されているがそれはさておき
幽霊が手を頭上から前方に向けて振ると、トンネル中から赤い手が伸びる
裂邪はそれを鎌でばさり、ばさりと薙ぎ払う
幽霊が手を頭上から前方に向けて振ると、トンネル中から赤い手が伸びる
裂邪はそれを鎌でばさり、ばさりと薙ぎ払う
(裂邪>ヒハハハハハハハ! 何だ何だ何なんですかそれはぁ!? この程度かよぉ!?
(幽霊>くぅ・・・人間なんかに、負けるかぁぁぁぁ!
(幽霊>くぅ・・・人間なんかに、負けるかぁぁぁぁ!
血で染まった赤い腕が集まって巨大な腕となり、裂邪に迫る
(幽霊>潰れてしまえぇぇぇぇ!
(裂邪>ウヒヒヒ、『レイヴァテイン・シールド』!
(裂邪>ウヒヒヒ、『レイヴァテイン・シールド』!
その拳を、金色の盾で防いでみせた
(幽霊>何っ!?
(裂邪>『レイヴァテイン・アックス』!
(裂邪>『レイヴァテイン・アックス』!
盾で受け流した後、盾は大きな両刃の斧となり、赤い拳を粉々にした
(裂邪>さぁ行くぞ、『レイヴァテイン・ボウ』!
斧は長く、しなやかな弓となり、
影は裂邪を離れ1本の矢となり、それぞれ彼の手に収まる
影は裂邪を離れ1本の矢となり、それぞれ彼の手に収まる
(幽霊>こ、今度こそ潰してやr
(裂邪>『サジタリウス』
(裂邪>『サジタリウス』
金色の弓から放たれる黒い1本の矢
矢に頭を射抜かれた幽霊は、血の雨が降るトンネルの中で倒れ伏し、光となって消え失せた
矢に頭を射抜かれた幽霊は、血の雨が降るトンネルの中で倒れ伏し、光となって消え失せた
(裂邪>ヒャッホォ! 初陣にしては良い出来だと思わないかシェイド?
(シェイド>マァマァ、ダナ
(裂邪>この野郎・・・
(蓮華>お疲れ様です。あとはこちらで片付けておきますので
(裂邪>了解、じゃあそろそろ帰った方がいいかな
(蓮華>夜遅くに呼び出してすみません
(裂邪>いやいや、こんな便利なものくれたんだし、ホントにありがとう
(蓮華>まだ試作段階ですから、至らない点があれば連絡してください
(裂邪>分かった。それじゃおやすm・・・そうだ、さっきから気になってたんだけど
(蓮華>何ですか?
(シェイド>マァマァ、ダナ
(裂邪>この野郎・・・
(蓮華>お疲れ様です。あとはこちらで片付けておきますので
(裂邪>了解、じゃあそろそろ帰った方がいいかな
(蓮華>夜遅くに呼び出してすみません
(裂邪>いやいや、こんな便利なものくれたんだし、ホントにありがとう
(蓮華>まだ試作段階ですから、至らない点があれば連絡してください
(裂邪>分かった。それじゃおやすm・・・そうだ、さっきから気になってたんだけど
(蓮華>何ですか?
少し顔を引きつらせながら、裂邪は問う
(裂邪>・・・何で『デンオウベルト』なの?
(蓮華>あ、ご存知だったんですか? 私もよくわからないのですが、
その『かめんらいだぁ』というものに詳しい方がR-No.にもいまして
(裂邪>面白いな「組織」って・・・
ところで何と契約してた人なの?
(蓮華>確か・・・「仮面ライダーケタック」だったと思います
(裂邪>あれって都市伝説化してたんだ!?
(蓮華>あと、「仮面ライダー555(仮)」、「仮面ライダーモーガ」というものがいた筈です
(裂邪>ますます面白いな「組織」って・・・
(蓮華>それより、まだ解除法教えてませんでしたね
パスをさっきとは逆に、つまり右から左に向けてかざして下さい
(蓮華>あ、ご存知だったんですか? 私もよくわからないのですが、
その『かめんらいだぁ』というものに詳しい方がR-No.にもいまして
(裂邪>面白いな「組織」って・・・
ところで何と契約してた人なの?
(蓮華>確か・・・「仮面ライダーケタック」だったと思います
(裂邪>あれって都市伝説化してたんだ!?
(蓮華>あと、「仮面ライダー555(仮)」、「仮面ライダーモーガ」というものがいた筈です
(裂邪>ますます面白いな「組織」って・・・
(蓮華>それより、まだ解除法教えてませんでしたね
パスをさっきとは逆に、つまり右から左に向けてかざして下さい
言われた通りにする裂邪
「レイヴァテイン」が、最初のパスの形に戻り、
「レイヴァテイン」が、最初のパスの形に戻り、
(裂邪>・・・おぉ、ホントに契約切れてら
(蓮華>成功のようですね
「レイヴァテイン」の力が必要なければ、パスを開いてからかざしてください
(裂邪>おう! んじゃ改めて、おやすみなさ~い
(蓮華>成功のようですね
「レイヴァテイン」の力が必要なければ、パスを開いてからかざしてください
(裂邪>おう! んじゃ改めて、おやすみなさ~い
「組織」に電話をかけているらしい蓮華を背に、裂邪は大欠伸をしながらトンネルを出る
(裂邪>あ、晴れてるじゃん
今日も月が綺麗だなぁ・・・ベルトの名前、どうしようかな
今日も月が綺麗だなぁ・・・ベルトの名前、どうしようかな
そんなことを考えながら、彼はゆっくりと自分の影の中に入っていった
...To be Continued
