気が付くと、何時もと変わらない部屋の天井が見えた。
時計は朝の6時30分を指している。未だアラームは鳴らない。
けれど再び眠ることも出来なくて、極はのろのろとベッドに上半身を起こした。
時計は朝の6時30分を指している。未だアラームは鳴らない。
けれど再び眠ることも出来なくて、極はのろのろとベッドに上半身を起こした。
昨日、日も暮れそうになった時分に黒服の人に連れられて帰って来ると
皆ノイが居ないことに驚いていたけれど無事を喜んでくれた。
ノイの事は言えなかった。叩いてしまった事も、それなのに僕の事を護ってくれて、でも僕自身は何も出来なかったことも。
黒服の人がノイが撃たれてからの成り行きを話し
怪我が治るまで責任を持って治療しますと言うと、皆少しはほっとした様子だった。
7時30分になると、リジーが朝食の支度が出来たと呼びに来たけれど、体がだるいし、食欲もない。
授業はもう通常通りと連絡は来たけれど、体が動かなかった。
ベッドの上で文庫本をめくったけれど、集中力が足りないのかどれも頭に入らない。
目に付いた古いアルバムを開くと、古い写真の中で、母さんと僕と、「あの男」が笑っている。
僕はあまり覚えてないけれど、この頃は幸せだったのだろうか。母さんも僕も。
アルバムを学習机の棚に戻そうとして、危うくコップを引っかけそうになる。
「危ないな」
コップには8分目まで水が入っていて、小さな赤い金魚がのんびりと泳いでいた。
皆ノイが居ないことに驚いていたけれど無事を喜んでくれた。
ノイの事は言えなかった。叩いてしまった事も、それなのに僕の事を護ってくれて、でも僕自身は何も出来なかったことも。
黒服の人がノイが撃たれてからの成り行きを話し
怪我が治るまで責任を持って治療しますと言うと、皆少しはほっとした様子だった。
7時30分になると、リジーが朝食の支度が出来たと呼びに来たけれど、体がだるいし、食欲もない。
授業はもう通常通りと連絡は来たけれど、体が動かなかった。
ベッドの上で文庫本をめくったけれど、集中力が足りないのかどれも頭に入らない。
目に付いた古いアルバムを開くと、古い写真の中で、母さんと僕と、「あの男」が笑っている。
僕はあまり覚えてないけれど、この頃は幸せだったのだろうか。母さんも僕も。
アルバムを学習机の棚に戻そうとして、危うくコップを引っかけそうになる。
「危ないな」
コップには8分目まで水が入っていて、小さな赤い金魚がのんびりと泳いでいた。
「ねーねー見て、金魚取れたよ!」
人の気も知らないで脳天気な奴。
僕から何を奪って幸せに生まれ育ったと思っているんだ。
父を奪ったお前のことを恨んでるかも知れないなんて考えたこともなかったのか?
人の気も知らないで脳天気な奴。
僕から何を奪って幸せに生まれ育ったと思っているんだ。
父を奪ったお前のことを恨んでるかも知れないなんて考えたこともなかったのか?
「金魚、持ってて。落としちゃヤだよ?」
それなのに、何で僕の事まで護ったりしようとするんだ。
僕はそんな事・・・
いっそあいつが、顔も見たくないくらいに嫌な奴だったらよかったのに。
わがままなくせにバカでお人好しで・・・
それなのに、何で僕の事まで護ったりしようとするんだ。
僕はそんな事・・・
いっそあいつが、顔も見たくないくらいに嫌な奴だったらよかったのに。
わがままなくせにバカでお人好しで・・・
(僕は、どうしたらいいんだろう)
(どうしたらよかったんだろう)
(どうしたらよかったんだろう)
極の内心の嵐とは正反対に、小波ひとつないコップの水の中で、金魚は無心に泳いでいる。