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仇討ち姉妹?いいえ兄妹です-04

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 さらに翌日。揃いの衣装は何とか間に合い、二人は襟元にジャボをつけた、揃いのスーツ姿。
 真夏の気温に黒スーツは堪える。朝早くにも関わらず響は既に汗だくだが、暑いとは言うもののそれを脱ごうとはしなかった。
(オシャレは我慢だぜ!・・・でも、眠い)
 正直彼には、まだ朝早い時刻の気温より、睡眠不足の方が辛い。
 黒服となってからは暑い寒いの感覚が幾分失せた桜はジャケット1枚くらいどうという事も無い。
 都市伝説に対しての威力を誇る「七星剣」彼女を飲み込んだそれを油断なく握りしめ・・・ている、つもりが。
「う・・・眠いー」
「俺も・・・」
「おまえら、しっかりせんかい」
 昨日と同じ場所でブロック塀にもたれさせた寝不足の体が重い。
「そろそろ来る頃かな・・・じゃ、これでよろしくね」
 言って桜が取り出した物は一本の紐。組織より支給された「グレイプニル」だ。
 響はそれを使い、手近な電信柱の脇に座り込んだ桜の体を電信柱に繋ぎ止めるように結わえた。
「これでいいのか?」
「うん。あたしの考えでは、多分これで上手く行くと思うの」
「縛り具合、キツいとか、痛いとかないか」
「平気・・・来る、二人とも下がって!」
 桜は座り込んだ体勢のまま、七星剣を横ざまに構える。ぎゃりっ、という音を三人が聞き取った、次の瞬間。
「ぐぁっ!」
 またしても昨日のような衝撃波が三人を襲う中。
 ぎぃん、という金属のぶつかり合う耳障りな音。
 桜が横ざまに構えた剣を音速以上のスピードで走る車はかわせなかった。
 いかに「空軍パイロットの運転手」でも、路面に近い位置に構えられた剣一本、気づくには車の速度は速すぎるし、仮に気づいても避けるほどの道幅はない。
 耳を塞ぎたくなる大音響が通りの突き当たりから響いてきた。
 吹き飛ばされた先から響とおっさんが視線を向けると、バンパーの辺りから綺麗に上下に両断された「もと自動車」が民家のブロック塀を破壊してようやく止まっている。
 それもつかの間のことで、本来都市伝説であるそれは、光の粒子となり飛散していった。
「やったか!?」
「そうみたい・・・うー、手が痺れる」
 響が急いで桜を電柱に固定していた「グレイプニル」を解きにかかる。

「あー、終わったみたいだねー」
 のんびりとした声と共に現れたのは桐生院蘇芳。
「すいません。塀がこんなに」
 破壊されたブロック塀を指さして桜が頭を下げる。
「いいよいいよー。その為にあらかじめオイラが待機してたんだからね」
「今日は・・・これで終わりっすか?」
「うん。お仕事ご苦労様」
 やっぱ、いきなし本命、とはいかないか。
 響が頭をがしがしと掻くと、桜と揃いのおかっぱ頭はものの見事にもつれてしまった。

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