彼女は、己の容姿に絶対の自信を持っていた
自分のような美少女を前にして、堕ちない男等存在しない、と本気で考えていた
事実、彼女の周囲から、男性の影が絶える事はなかった
いつだって、クラスの男子達の視線は自分に釘付け。男性教員だって、その例外ではなかった
だから、高校生になってからも。クラスどころか学年中の男子が、常に自分に釘付けになって、自分を巡って争うという愉快なことをシてくれるんだろうな、と
今までそうして生活してきたがゆえに、高校は地元ではなく少し遠い場所を選ぶことになったが、それでも、今までのような生活に変わりはない
………彼女は、心からそう信じて疑っていなかった
自分のような美少女を前にして、堕ちない男等存在しない、と本気で考えていた
事実、彼女の周囲から、男性の影が絶える事はなかった
いつだって、クラスの男子達の視線は自分に釘付け。男性教員だって、その例外ではなかった
だから、高校生になってからも。クラスどころか学年中の男子が、常に自分に釘付けになって、自分を巡って争うという愉快なことをシてくれるんだろうな、と
今までそうして生活してきたがゆえに、高校は地元ではなく少し遠い場所を選ぶことになったが、それでも、今までのような生活に変わりはない
………彼女は、心からそう信じて疑っていなかった
の、だが
「いい加減にしろ、このナチュラルホモ共ぉ!!」
華やかになるはずだった、彼女の高校生活は
今現在、主に突っ込みに回る側として、消費されていっていた
今現在、主に突っ込みに回る側として、消費されていっていた
「……はて、ナチュラルホモ、とはなんでしょうか」
彼女の言葉に、クラスメイトの少年の一人が首を傾げた
ここは、校舎の屋上。そして、今は昼休み
大体皆、昼食を食べ終えてのんびりとする時間帯である
今、屋上にいるメンバーは、皆で一緒に昼食を食べ、その後こうしてのんびりとしているのだが
メンバーの男女比が偏っているのはいいとしよう
これくらいの年頃は、同性同士で固まっている場合の方が多いのだから
しかし、しかし、だ
だとしても、この光景は突っ込みたい
彼女は心からそう考えた故に、彼女は盛大に突っ込みの言葉を吐き出したのだ
ここは、校舎の屋上。そして、今は昼休み
大体皆、昼食を食べ終えてのんびりとする時間帯である
今、屋上にいるメンバーは、皆で一緒に昼食を食べ、その後こうしてのんびりとしているのだが
メンバーの男女比が偏っているのはいいとしよう
これくらいの年頃は、同性同士で固まっている場合の方が多いのだから
しかし、しかし、だ
だとしても、この光景は突っ込みたい
彼女は心からそう考えた故に、彼女は盛大に突っ込みの言葉を吐き出したのだ
まずは、首を傾げた少年。仮にRとしよう
成績優秀、今時珍しいくらいの真面目な性格。何でも、この街でも古い家柄の生まれだとか、彼女はそう聞いていた
そんな男性ならば、ぜひとも堕として侍らせたい、と思っていた、の、だが
成績優秀、今時珍しいくらいの真面目な性格。何でも、この街でも古い家柄の生まれだとか、彼女はそう聞いていた
そんな男性ならば、ぜひとも堕として侍らせたい、と思っていた、の、だが
「まずはあんた達がそうよ。男が男に膝枕とか、なにそれ寒い」
そうなのである
Rは、今、膝枕をしてやっている………クラスメイトの、別の少年に
Rは、今、膝枕をしてやっている………クラスメイトの、別の少年に
「えー、いいじゃん別に。これくらい。なー、龍哉」
彼女の突っ込みの言葉を物ともせずに。少年に膝枕されていたもう一人が、楽しげに笑った、仮にNとしよう
こちらは、成績は中の中。運動神経も並。発言にお調子者成分多め、と賑やかし成分が多めの少年だ
Rとはタイプ的に正反対だが、この二人、仲がいい。なんでも幼馴染らしい
まぁ、幼馴染なのはいいのだ。幼馴染同士で仲がいい、と言うのもよくある事だからいいのだ。そう言う二人が、一人の女性を取り合って仲違いする、とか見て楽しいし
こちらは、成績は中の中。運動神経も並。発言にお調子者成分多め、と賑やかし成分が多めの少年だ
Rとはタイプ的に正反対だが、この二人、仲がいい。なんでも幼馴染らしい
まぁ、幼馴染なのはいいのだ。幼馴染同士で仲がいい、と言うのもよくある事だからいいのだ。そう言う二人が、一人の女性を取り合って仲違いする、とか見て楽しいし
しかし………しかし、だ
いくら仲がいいからって、男同士で膝枕はないだろう
しかも、ごくごく自然にやっているからタチが悪い
お昼を食べ終わった後、正座していたRの膝の上にNはごくごく自然な流れで頭をおいて横たわり。Rはそれをさせたいがままにしていた
この、このナチュラルホモ共め!
彼女から見て気に食わないのは、このRとN、どちらも彼女に対して特に恋愛的な視線を向けてきていない事だ
単なるクラスメイトの一人、としか見ていない
Nの方は「美人だよな」とは言ってくるがあくまでもそれだけで、恋愛方面やら何やら、そういうのはさっぱりだった
おかしい、おかしいのだ
今まで、男性からそんな視線を向けられなかった事、一切なかったのに
これも、こいつらがナチュラルホモってるせいだ。彼女はそう信じて疑わない
いくら仲がいいからって、男同士で膝枕はないだろう
しかも、ごくごく自然にやっているからタチが悪い
お昼を食べ終わった後、正座していたRの膝の上にNはごくごく自然な流れで頭をおいて横たわり。Rはそれをさせたいがままにしていた
この、このナチュラルホモ共め!
彼女から見て気に食わないのは、このRとN、どちらも彼女に対して特に恋愛的な視線を向けてきていない事だ
単なるクラスメイトの一人、としか見ていない
Nの方は「美人だよな」とは言ってくるがあくまでもそれだけで、恋愛方面やら何やら、そういうのはさっぱりだった
おかしい、おかしいのだ
今まで、男性からそんな視線を向けられなかった事、一切なかったのに
これも、こいつらがナチュラルホモってるせいだ。彼女はそう信じて疑わない
「そうですね。特に、問題はないと思われますが」
「さっきも言ったけど、男同士で膝枕は!周りから見ていて問題しか無い!!ってか、男の膝枕って硬くない!?」
「この程よい硬さがいいんだよ。慣れ親しんでるし」
「慣れ親しむ程やってんの!?」
「さっきも言ったけど、男同士で膝枕は!周りから見ていて問題しか無い!!ってか、男の膝枕って硬くない!?」
「この程よい硬さがいいんだよ。慣れ親しんでるし」
「慣れ親しむ程やってんの!?」
駄目だこいつら、やっぱりナチュラルホモだ!
彼女は心の中で追撃の突っ込みである
自覚ないってのは、本当、タチが悪い
彼女は心の中で追撃の突っ込みである
自覚ないってのは、本当、タチが悪い
「まぁ、二人は仲いいからな。昔からこうだったぞ」
と、そんな言葉をかけてきた、三人目の少年
彼もまた、クラスメイトである。仮にHとしよう
サラサラとした綺麗な金髪に透けるような白い肌。体格はなかなかがっしりとしているが、それでも美少年の範疇に入れて問題ない。何でも、ハーフらしい
当然、彼女としては、そんな女子の注目集めまくりのこの少年のハートを、ぜひとも射止めたかったのだ、が
彼もまた、クラスメイトである。仮にHとしよう
サラサラとした綺麗な金髪に透けるような白い肌。体格はなかなかがっしりとしているが、それでも美少年の範疇に入れて問題ない。何でも、ハーフらしい
当然、彼女としては、そんな女子の注目集めまくりのこの少年のハートを、ぜひとも射止めたかったのだ、が
「あんたらもよあんたらも!!このナチュラルホモパート2!!その体勢は何っ!?」
悲しいかな、Hもまた、ナチュラルホモの片割れである
こちらは今、何をやっているか、と言うと
……もう一人、四人目の少年を、背後から抱きしめるような体勢で座っている
こちらは今、何をやっているか、と言うと
……もう一人、四人目の少年を、背後から抱きしめるような体勢で座っている
「え?いや、こいつが読んでる本、俺も読みたいから。一緒に読んでた………あ、今のページ、俺読み終わったぞ」
「だとしてもその体勢はナチュラルホモと呼ばざるをえない!!そして憐も言われるがままにページめくらないっ!!」
「だとしてもその体勢はナチュラルホモと呼ばざるをえない!!そして憐も言われるがままにページめくらないっ!!」
盛大な突っ込みをHはスルーし、そして、Hに背後から抱きしめられている少年……先ほど名前を呼びはしたが、一応Lとしようか
やや癖毛気味の髪と若干タレ目気味の目の色はどちらも日本人の物ではない。彼もまた、ハーフなのだ。ここに集まっている面子の中では小柄な体格をしている
……小柄であるが故、やや大柄なHに背後から抱きしめられると、腕の中にすっぽりと収まってしまうのだ
Lは、どちらかと言うとNに近い雰囲気のへらっ、とした笑顔で………でも、どこか困っているようなそんな表情で、口を開いた
やや癖毛気味の髪と若干タレ目気味の目の色はどちらも日本人の物ではない。彼もまた、ハーフなのだ。ここに集まっている面子の中では小柄な体格をしている
……小柄であるが故、やや大柄なHに背後から抱きしめられると、腕の中にすっぽりと収まってしまうのだ
Lは、どちらかと言うとNに近い雰囲気のへらっ、とした笑顔で………でも、どこか困っているようなそんな表情で、口を開いた
「あー……やっぱこの体勢、おかしいんすねー」
「え?おかしくないだろ、普通だろ。憐とこの両親だって、よくこの体勢やってんじゃん」
「それは男女だから!夫婦だから!!男同士では!やらない!」
「……そっすよねー」
「え?おかしくないだろ、普通だろ。憐とこの両親だって、よくこの体勢やってんじゃん」
「それは男女だから!夫婦だから!!男同士では!やらない!」
「……そっすよねー」
彼女の言葉にHは反論したが、Lはだよなぁ、と納得の表情だ
しかし、Hの腕から逃れようとはしない。単に逃れられないだけかもしれないが
HとLも、大体いつもこう言う感じなのである
主にHがLにべっとり、と言う感じで、Lはそれにちょっと困ったような表情をしながらも、おおっぴらには拒絶していない
故に、Hは余計調子に乗ったようにLにべったり、と言う悪循環だ
しかし、Hの腕から逃れようとはしない。単に逃れられないだけかもしれないが
HとLも、大体いつもこう言う感じなのである
主にHがLにべっとり、と言う感じで、Lはそれにちょっと困ったような表情をしながらも、おおっぴらには拒絶していない
故に、Hは余計調子に乗ったようにLにべったり、と言う悪循環だ
いつもへらへらとしていて何もかもが軽薄な印象を与えてくるLと、どこか兄貴分気質で周囲から頼られることが多いらしいH
彼女としては、どっちも堕としてやろうと思っていたのに
……どちらも見事に、彼女に特別な感情等抱いてこない
HもLも、恋愛には興味が無い、と言ってはいたが………この状況。少なくともHの方はLに何かしら、それっぽい感情を抱いているのでは、と疑ってしまわざるを得ない。たとえ、腐女子じゃなくとも
彼女としては、どっちも堕としてやろうと思っていたのに
……どちらも見事に、彼女に特別な感情等抱いてこない
HもLも、恋愛には興味が無い、と言ってはいたが………この状況。少なくともHの方はLに何かしら、それっぽい感情を抱いているのでは、と疑ってしまわざるを得ない。たとえ、腐女子じゃなくとも
R、N、H、Lの四人は、昔から仲の良いグループらしい
今、この場には居ないが、正確には他にも数人、男女の双子等仲の良い相手がいる。親同士が仲がいいとかで、昔からよくつるんでいたらしい
彼女になびいてこないのは、主にこの仲良しグループなのだ
彼女の美貌と魅力を持ってして、今までそうして仲良しグリープもいくつも壊滅させてきたというのに、彼らは違う
一切、彼女に恋愛的感情は抱かず、特別扱いなどせず
……それが、彼女にとってなんとも気に食わない
故に、何が何でも、この男共を堕としてやる。この仲良しグループ壊滅させてやる!と躍起になっているののだが………現状、うまくいっていないが故の目の前のナチュラルホモ×2の光景である
今、この場には居ないが、正確には他にも数人、男女の双子等仲の良い相手がいる。親同士が仲がいいとかで、昔からよくつるんでいたらしい
彼女になびいてこないのは、主にこの仲良しグループなのだ
彼女の美貌と魅力を持ってして、今までそうして仲良しグリープもいくつも壊滅させてきたというのに、彼らは違う
一切、彼女に恋愛的感情は抱かず、特別扱いなどせず
……それが、彼女にとってなんとも気に食わない
故に、何が何でも、この男共を堕としてやる。この仲良しグループ壊滅させてやる!と躍起になっているののだが………現状、うまくいっていないが故の目の前のナチュラルホモ×2の光景である
「大体あんたら、いっつも男同士でつっくきすぎ!今の組み合わせだけじゃなくて、龍哉と遥もどっちかってとくっつき気味よね!?」
「まぁ、龍哉とは親父の代からの付き合いだし」
「遥様は、主様の息子さんですから。次を継ぐ者としてお仕えする事は、当たり前の事なのです」
「遥の発言は若干わかるけど、龍哉の発言は時代が違いすぎる感じでわからないしっ!?」
「龍哉は昔からこうだぜ。ま、家同士の付き合いが長いって事だ」
「まぁ、龍哉とは親父の代からの付き合いだし」
「遥様は、主様の息子さんですから。次を継ぐ者としてお仕えする事は、当たり前の事なのです」
「遥の発言は若干わかるけど、龍哉の発言は時代が違いすぎる感じでわからないしっ!?」
「龍哉は昔からこうだぜ。ま、家同士の付き合いが長いって事だ」
俺達もな、とNが言うと、そうですね、とRはのほほんと笑って答えた
えぇい、こいつら、こいつら………っ!!
次の突っ込みの言葉を口にしようとした時、あぁ、とLが声を上げた
えぇい、こいつら、こいつら………っ!!
次の突っ込みの言葉を口にしようとした時、あぁ、とLが声を上げた
「そろそろ、休み時間終わるっすよー。教室、戻らないと」
「っと、もうそんな時間か。直斗もほら、龍哉の膝解放してやれ。龍哉も足しびれてくるだろ」
「正座は慣れているので、これくらいは平気ですが………教室に戻らねばなりませんね。直斗」
「ほいほいっと。次の授業なんだっけか。移動教室ではなかったよな」
「っと、もうそんな時間か。直斗もほら、龍哉の膝解放してやれ。龍哉も足しびれてくるだろ」
「正座は慣れているので、これくらいは平気ですが………教室に戻らねばなりませんね。直斗」
「ほいほいっと。次の授業なんだっけか。移動教室ではなかったよな」
ようやくHはLを腕の中から解放し、Nも起き上がった
目の前のナチュラルホモ状態がようやく終わった、と思いきや、RとNはともかくHはLの腰に手を回している
もう一度いう。肩ではない、腰だ
目の前のナチュラルホモ状態がようやく終わった、と思いきや、RとNはともかくHはLの腰に手を回している
もう一度いう。肩ではない、腰だ
「いい加減にしろ、このナチュラルホモ代表格ーーーーーっ!!」
「うごっふ!?」
「あぁっ!?は、はるっち、しっかり!?」
「うごっふ!?」
「あぁっ!?は、はるっち、しっかり!?」
ついつい、彼女がツッコミの勢いそのままにHに回し蹴りをかまし、それがクリーンヒットしたりもしたが
それもこれも全て目の前のナチュラルホモ共が悪い、と、彼女はそう結論づけて特に反省はしなかった
それもこれも全て目の前のナチュラルホモ共が悪い、と、彼女はそう結論づけて特に反省はしなかった
「………ったく、もう。本当に。この学校の男共は……」
ブツクサとつぶやきつつ、彼女は学校の廊下を一人で歩いていた
放課後、少々用事があって、先ほどまで職員室に居たのだ。今は、教室にかばんを取りに戻っている最中である
今日は部活動もまだ本格化していないせいか、校舎に残っている生徒は少ないようだ。辺りはしぃん、と静まり返っている
放課後、少々用事があって、先ほどまで職員室に居たのだ。今は、教室にかばんを取りに戻っている最中である
今日は部活動もまだ本格化していないせいか、校舎に残っている生徒は少ないようだ。辺りはしぃん、と静まり返っている
あぁ、本当に、この学校の男共は見る目がない
あのナチュラルホモ共以外にも、この学校には彼女になびかない男が多いのだ
彼女としては、それがなんともつまらないし、イライラとする
あのナチュラルホモ共以外にも、この学校には彼女になびかない男が多いのだ
彼女としては、それがなんともつまらないし、イライラとする
「もーちょっと、積極的に色仕掛けとか色仕掛けとかするべきかしらね………」
この年頃の男子はそういうのにも興味津々だし、きっと引っかかるはず
この高校生活を突っ込みで埋めることなく、輝かしいものにする為に、彼女が今後のことを考えていた………、その時、だった
この高校生活を突っ込みで埋めることなく、輝かしいものにする為に、彼女が今後のことを考えていた………、その時、だった
とんとんっ、と後ろから、誰かに肩を叩かれた
「ん、なぁに?」
振り返って、彼女は怪訝な表情を浮かべた
そこにいたのは、野球帽にマスク、と言う出で立ちの男
一体、何者だろうか。学生には見えない
………まさか、不審者?、と彼女が警戒の体勢をとったのと
そこにいたのは、野球帽にマスク、と言う出で立ちの男
一体、何者だろうか。学生には見えない
………まさか、不審者?、と彼女が警戒の体勢をとったのと
「俺は与田惣だ」
と、男がそう、名乗ったのは、ほぼ同時で
そして更に同時、与田惣と名乗ったその男は、片手を振り上げた
鎌を握った、手を
そして更に同時、与田惣と名乗ったその男は、片手を振り上げた
鎌を握った、手を
「…………え?」
え?え??
………………………え?
………………………え?
彼女は、混乱していた
与田惣?
名前、なのだろ、きっと
それはいい。ただ、何故……鎌を、振り上げている?
与田惣?
名前、なのだろ、きっと
それはいい。ただ、何故……鎌を、振り上げている?
不審者なのだろう、きっと
それも、とびきり質の悪い犯罪者に違いない
それは理解できた、理解できた、けれど………
それも、とびきり質の悪い犯罪者に違いない
それは理解できた、理解できた、けれど………
体が、動かない
恐怖に支配されて、体も、思考もフリーズする
恐怖に支配されて、体も、思考もフリーズする
「さかさまだ」
与田惣が、続けてそう言ってきた
意味がわからない
ただ、唯一、唯一、理解できたことは
意味がわからない
ただ、唯一、唯一、理解できたことは
きっと、自分はこのまま
殺され
殺され
「うそだよ」
不意に、誰かに腕を捕まれ、軽く引かれた
とんっ、と背中に感じた誰かの体温に、はっ、と顔を上げる
とんっ、と背中に感じた誰かの体温に、はっ、と顔を上げる
「……直斗?」
「どうしたよ、こんなとこでぼーっとして」
「どうしたよ、こんなとこでぼーっとして」
彼女の腕を引いてきたのは、Nだった
どうした、と。不思議そうに彼女を見つめてくるその眼差しは、いつもの軽いお調子者の目
どうした、と。不思議そうに彼女を見つめてくるその眼差しは、いつもの軽いお調子者の目
その目に、意識を引き戻された
慌てて、答える
慌てて、答える
「っふ、不審者!犯罪者がっ!!」
「へ?………ここに居んの、俺とお前だけだけど。え、何、俺犯罪者??」
「へ?………ここに居んの、俺とお前だけだけど。え、何、俺犯罪者??」
慌てた彼女の言葉に、Nはきょとんっ、とした表情になった
何を、言っているのだ
今、目の前、に……
何を、言っているのだ
今、目の前、に……
「………え?」
いない
与田惣と名乗った、野球帽にマスクの不審な男は……そこには、いなかった
つい先程まで、そこにいたはずなのに。影も形も存在しない
まるで、幻のように消え失せてしまった
与田惣と名乗った、野球帽にマスクの不審な男は……そこには、いなかった
つい先程まで、そこにいたはずなのに。影も形も存在しない
まるで、幻のように消え失せてしまった
「どうした?まさか、歩きながら寝てたのか?」
「違う!そんな訳……ない……」
「違う!そんな訳……ない……」
そんなはずがない
しかし、だとしたら、説明できない
つい先ほどまで、目の前に居たはずの男が、突然消え失せるなんて、そんな事
………あるはずが、ないのに
しかし、だとしたら、説明できない
つい先ほどまで、目の前に居たはずの男が、突然消え失せるなんて、そんな事
………あるはずが、ないのに
「お前、こっちに引っ越してきたばっかで、疲れとか溜まってるんだろ。ほら、早く帰って休んだほうがいいんじゃないのか?お前いっつもハイテンションだから疲れやすいんだろ」
「ハイテンションなのは、主にあんた達ナチュラルホモのせいなんだけど!?」
「ハイテンションなのは、主にあんた達ナチュラルホモのせいなんだけど!?」
盛大にツッコミを入れると、Nは楽しげに、からかうように笑ってきた
……あぁ、そうだ
きっと、さっきのは、夢だったのだ
たちの悪い悪夢
知らないうちに疲れがたまって、一瞬でも寝ていたのかもしれない
まったく、自分としたことが、うかつだ、彼女はため息を付いた
きっと、さっきのは、夢だったのだ
たちの悪い悪夢
知らないうちに疲れがたまって、一瞬でも寝ていたのかもしれない
まったく、自分としたことが、うかつだ、彼女はため息を付いた
「…じゃ、私、鞄とったら、帰るから。直斗は?」
「俺は荒神先生に用事あっから、もうちょい後で帰る。あ、最近また物騒だから、帰り道気をつけろよ」
「俺は荒神先生に用事あっから、もうちょい後で帰る。あ、最近また物騒だから、帰り道気をつけろよ」
じゃあな、と手を振ってきたNに手を振り返し、彼女は教室に戻った
恋愛的な目では見られていないにしろ、一応、気にかけてはくれるらしい
その事実に、彼女はちょっとだけ、ほっとして
恋愛的な目では見られていないにしろ、一応、気にかけてはくれるらしい
その事実に、彼女はちょっとだけ、ほっとして
「……………」
彼女を見送った、Nが
与田惣が立っていた辺りを、普段とは全く違う表情で鋭く睨んでいた事に
気づくことは、なかったのだった
与田惣が立っていた辺りを、普段とは全く違う表情で鋭く睨んでいた事に
気づくことは、なかったのだった
to be … ?