「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-12a

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匿名ユーザー

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「………情報が漏れることを恐れた、か」
「恐らくは、そうであるかと」

 首無しライダーの捕縛、失敗
 それを、黒服、赤鐘 愛百合と黒服、小道 郁(かおる)はしっかりと報告した
 相手が自決した、と言う事実
 ……それほどまでに、情報を漏らそうとしない態度に、悪寒に近いものすら感じた

「わかった。赤鐘は、自分の上司にも報告しとけ」
「わかりましたわ…………しかし、任務は失敗のようなものですのに、お咎めはありませんの?」
「もともと、捕縛が無理だったら討伐、って事になってたんだ。逃げられた訳じゃないから問題ない」

 二人の報告を聞いたその男………門条 天地は、そう結論づけた
 そう、逃げられなかっただけ、マシなのだ
 天地のその言葉に、二人はほっとした表情を浮かべる

「それでは、私は上司に報告してくるわね」
「……では、ぼくは報告書をまとめて」
「あぁ、郁は少し、待て。ちょい話しておく事がある」

 愛百合と一緒に部屋を出ようとした郁だったが、呼び止められてしまった
 じゃあね、と涼しい顔で部屋を出た愛百合が若干、恨めしい

「何だろうか?」
「……かなえの様子は、どうだった?」
「うん?あぁ、彼女か。うまく捕縛できそうだったのが失敗してしまって、ショックな様子だったな。これは、ぼくと愛百合の責任なのだから、彼女が気にすることはないのに」

 ふぅ、と小さくため息をつく郁
 郁が担当している紅 かなえは、少々真面目、と言うか………思い悩んでしまいがちな性格をしている
 真面目なのは、悪いことではない
 しかし、背負い込みすぎるのは問題なのだ
 郁の言葉に、天地はそうか、と考えこむ

「………なんとなく、察してんのかもしれないな、かなえも」
「それは…………今、学校町で都市伝説事件が増えている背景に。「三年前」の事件の黒幕が絡んでいる可能性に、と言う事かい?」
「そうだ。三年前の、「中学校連続飛び降り事件」。その主犯は捕まった。が、あいつをそそのかした奴は逃げ失せやがった。俺達「組織」も奴の行方を追い続けたが、結局、奴の痕跡をたどるので精一杯だった」

 三年前、学校町東区の中学校で発生した飛び降り事件
 世間的には、あれは飛び降りではなく、とある教師が生徒達を屋上から突き落としていたのだ、と言う幕切れにされている
 ……実際には、確かに、彼らは、彼女達は飛び降りてしまったのだ
 最後に飛び降りた土川 咲李を除き、全員、都市伝説の影響を受けて
 土川 咲李が犠牲となってしまった直後、無事に犯人は捕縛された

 その時の騒動は、郁にとっても苦い思い出の残るものだ
 あの時、強硬派が先走った行動をとってしまい、その結果、咲李は屋上から飛び降りてしまったのだ
 残された遺書を読む限り、彼女は死んだとしても、戦いぬくつもりだったのだろう
 しかし……無理だったのだ、彼女では
 彼女の死は、ただ、無駄なものでしかなかった
 土川 咲李の死にこちらが慌てているその僅かな間に、今度は彼らが動いてしまった
 結果的には、彼らのお陰で犯人を捕まえることが出来たとも言う
 だが、同時に日景 遥、荒神 灰人の二人が都市伝説を暴走させ、あわや飲まれる寸前までなってしまった
 もしも、あの時あの二人が飲まれていたら、と思うとぞっとする
 両名の親がどういう態度に出たか、考えただけで背筋をつめたいものが降りていく

「………三年前のあの時の犯人は、自決はしなかったね」
「だな。黒幕相手にそこまで忠誠を誓ってなかったからな…………もっとも、黒幕はあの野郎の時のことを反省したのか、そっからは手駒とっ捕まえようにも、捕まって情報源になるくらいなら死を選ぶ連中ばかりになりやがった」
「わりと最近、獄門寺家の方で「くねくね」の契約者を捉えましたよね、そちらは?」
「ダメだ。生きてはいるが、まともな返答がないらしい。半分飲まれかけてたのかもしれない。都市伝説関係者専用の収容所に入ったんで一応事情聴取やらせたが、成果なしだ」
「あぁー………精神まで「くねくね」っぽくなっていた、か。そりゃ無理だろうね」
「どちらにせよ、奴は今、学校町に入り込んでいる………手駒は見つけ次第、捕縛、もしくは討伐だ。三年間で、鬼灯に削られたとはいえかなり手駒増やしてるらしいからな。戦力は削っておくに限る」

 はい、と頷く郁
 こちらがやる仕事は今までどおりだ
 特に、変わりはない

「まぁ、お前はしばらく紅 かなえのケアな。三年前の件も、真相知らないなりに「自分にも責任があったのでは」と考えている節があるからその辺も、な」
「……やれやれ、担当持ちの苦労とはこの事かな。了解した」
「おぅ…………で、ついでに聞くが。お前、その服装、どうにかならないか?」

 天地の言葉に、郁は首を傾げる
 はて、この服装をどうにか、とな?

「何か、問題はあっただろうか。スーツではないとは言え、きちんと黒一色。黒服と呼んで問題無いと思うのだが」
「黒一色だな。確かに黒一色だな。ただ、お前、男だよな?」
「可愛らしいものを好む心に男女の違い等些細なものさ」

 ふふん、と言い切り、用件はすんだとばかりに部屋を出る郁
 やれやれ、と言うように、天地はため息を付いた

「………ったく。どこに潜伏してやがる。あの狐」

 忌々しげに呟かれた声は、彼の執務室の中でどこか虚しく、こだました


to be … ?




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