「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-57c

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匿名ユーザー

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 ………あぁ、「同じ」だな、とファザータイムは感じたようだった
 ただ、つ、と少し見ただけで、視線はすぐに外す
 姿は覚えた。同じであるのであれば、ヴィットリオの契約都市伝説の力があれば一瞬で無力化できる
 もちろん、油断はすべきではない
 ヴィットリオ本人には戦闘能力がないのだから、戦闘に巻き込まれたならば自分や唯、九十九が守ってやる必要性がある
 理想としては不意打ちで無力化する事だが、どちらにせよ、皓夜に食べさせる際には樽から出す必要が出てくる

(……難しいものだ)

 静かに隠れて行動し、仲間の食料を確保する事が、ここまで難しいとは
 ファザータイムがそのように思案している間も、ミハエルは黄と会話を続けている

「そのうち、皓夜……あぁ、ボク逹の仲間の一人なんだけど。その子のご飯にするか………強いやつなら、ボクらの仲間にしたいかな。あの方の居場所がわかればいいんだけれど…」
「うん?……その言い方、まさか、あの御方の居場所がわかっていないのか?」

 うん、とドーナッツもぐもぐしながらミハエルは頷いた
 そう、未だに自分達はあの御方の……「白面九尾の狐」の居場所をつかめていない
 この学校街のどこかに間違いなくいるはずだと言うのに、その気配すらつかめていない
 明らかな異常事態であり、動きにくい状況になっていたのが現状だ

「そうなんだよね……ボク逹が学校街に集まってきてるんだし、接触してくれてもいいはずなのに接触ないしさぁ……」
「本当に、一度の接触もなし?」
「うん、一切なし。ねぇ、君はどこで、あの御方に遭遇したの?」

 じーーーーっ、とミハエルは黄をじっと見つめながら、そう問うた

「…参考にならないと思うぞ。お声をかけていただいたのは、契約者になる前………三年前だ」
「あー……あの方が、前にここ来てた時かー。そん時、ボクドイツにいたし。そもそも、その頃は肉体違うよぉ…」

 ぐでぇ、とミハエルはテーブルの上に顎を置いてダレた
 流石にだらしないので、軽く体を持ち上げて起こす。むぅー、と不満そうな声を上げながらも、ミハエルはきちんと席に座り直した

「姿が違っても、あの御方がいればわかるはずだが…」
「うん、そうなんだよね。だから、明らかに「おかしい」んだ。ボクらがあの御方がどこにいるのかすらわからない、なんてさ」
「………こうして、合流できたのだ。今後、『凍り付いた碧』とやらの者に気づかれぬ程度に、情報共有をすべきだろう」

 ぼそり、ファザータイムはそう口に出した
 ミハエルも、うん、と頷く

「多分、ボクくらいの年齢なら、君と接触してても平気でしょ?なんだったら、『凍り付いた碧』にボクをスカウトしてるように見せかけちゃえば?」
「いいのか?」
「別にいいよ。大人と一緒に行動してるとこ見られたらまずいなら、他のみんなとはなるべく一緒に出歩かないし」

 ……それは、迷子になる可能性があるのでは
 ファザータイムはそう感じたが、直後、「自分が道を把握していれば良いか」と考えなおした
 自分は、常にミハエルの傍にあるのだから、それくらいはサポートするべきであろう
 そもそも、ミハエルが実際の年齢より明らかに子供っぽいのは、半ば自分の責任であるのだから、自分が責任をもってミハエルを保護するべきなのだ
 自分という存在が、「今のファザータイム」が消滅する、その瞬間まで

「………あぁ。そうだ。お前は、『凍り付いた碧』において。ある程度、隠れ家等で自由に動き回れる立場だろうか?」
「?…それを聞いて、どうする?」
「もし、そうであるならば。隠れ家などに、仕掛けて欲しいものがある」

 そう言うと、ファザータイムはさらさらと、メモに何やら書き記していく……最初ドイツ語で書いてしまい、すぐに日本語に直した。ある程度学んでいて正解だったと言えよう。学んだのは、ミハエルが日本語を読めなかった時に備えてだったのだが
 黄はそのメモにざっと目を通している
 メモに書いた、仕掛けて欲しい物。それは「ワイヤーや、鉄製やニッケル製の物」。元からそれらがそれなりの量存在するならばいいが、なければできるだけ仕掛けて欲しい、と

「…後半については、形や重量は問わないか?」
「あぁ、問題ない」
「うんうん、つくつくなら大丈夫だよね」

 形も、大きさもあの能力の前ではさほど関係ない
 ……あの男は、ある意味自分達の中で一番、契約都市伝説の能力を使いこなしていると言って良いのだから

「覚えたか?」
「あぁ、当然だ」
「そうか。なら、いい」

 渡したメモへと手を伸ばす
 そのメモは、ファザータイムが触れた瞬間、まるで何百年、何千年も一気に時間が過ぎたかのように朽ちて、かけらすら残さずに消えてしまった
 完全消滅、と言っていい。それはテーブルの上を汚すことすら、なかった

「これから、よろしくね」

 ミハエルが笑う、楽しげに
 ……この子が楽しいならば、それでいい
 ファザータイムはそう考え、ひっそりと笑ったのだった


to be … ?




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