………あぁ、「同じ」だな、とファザータイムは感じたようだった
ただ、つ、と少し見ただけで、視線はすぐに外す
姿は覚えた。同じであるのであれば、ヴィットリオの契約都市伝説の力があれば一瞬で無力化できる
もちろん、油断はすべきではない
ヴィットリオ本人には戦闘能力がないのだから、戦闘に巻き込まれたならば自分や唯、九十九が守ってやる必要性がある
理想としては不意打ちで無力化する事だが、どちらにせよ、皓夜に食べさせる際には樽から出す必要が出てくる
ただ、つ、と少し見ただけで、視線はすぐに外す
姿は覚えた。同じであるのであれば、ヴィットリオの契約都市伝説の力があれば一瞬で無力化できる
もちろん、油断はすべきではない
ヴィットリオ本人には戦闘能力がないのだから、戦闘に巻き込まれたならば自分や唯、九十九が守ってやる必要性がある
理想としては不意打ちで無力化する事だが、どちらにせよ、皓夜に食べさせる際には樽から出す必要が出てくる
(……難しいものだ)
静かに隠れて行動し、仲間の食料を確保する事が、ここまで難しいとは
ファザータイムがそのように思案している間も、ミハエルは黄と会話を続けている
ファザータイムがそのように思案している間も、ミハエルは黄と会話を続けている
「そのうち、皓夜……あぁ、ボク逹の仲間の一人なんだけど。その子のご飯にするか………強いやつなら、ボクらの仲間にしたいかな。あの方の居場所がわかればいいんだけれど…」
「うん?……その言い方、まさか、あの御方の居場所がわかっていないのか?」
「うん?……その言い方、まさか、あの御方の居場所がわかっていないのか?」
うん、とドーナッツもぐもぐしながらミハエルは頷いた
そう、未だに自分達はあの御方の……「白面九尾の狐」の居場所をつかめていない
この学校街のどこかに間違いなくいるはずだと言うのに、その気配すらつかめていない
明らかな異常事態であり、動きにくい状況になっていたのが現状だ
そう、未だに自分達はあの御方の……「白面九尾の狐」の居場所をつかめていない
この学校街のどこかに間違いなくいるはずだと言うのに、その気配すらつかめていない
明らかな異常事態であり、動きにくい状況になっていたのが現状だ
「そうなんだよね……ボク逹が学校街に集まってきてるんだし、接触してくれてもいいはずなのに接触ないしさぁ……」
「本当に、一度の接触もなし?」
「うん、一切なし。ねぇ、君はどこで、あの御方に遭遇したの?」
「本当に、一度の接触もなし?」
「うん、一切なし。ねぇ、君はどこで、あの御方に遭遇したの?」
じーーーーっ、とミハエルは黄をじっと見つめながら、そう問うた
「…参考にならないと思うぞ。お声をかけていただいたのは、契約者になる前………三年前だ」
「あー……あの方が、前にここ来てた時かー。そん時、ボクドイツにいたし。そもそも、その頃は肉体違うよぉ…」
「あー……あの方が、前にここ来てた時かー。そん時、ボクドイツにいたし。そもそも、その頃は肉体違うよぉ…」
ぐでぇ、とミハエルはテーブルの上に顎を置いてダレた
流石にだらしないので、軽く体を持ち上げて起こす。むぅー、と不満そうな声を上げながらも、ミハエルはきちんと席に座り直した
流石にだらしないので、軽く体を持ち上げて起こす。むぅー、と不満そうな声を上げながらも、ミハエルはきちんと席に座り直した
「姿が違っても、あの御方がいればわかるはずだが…」
「うん、そうなんだよね。だから、明らかに「おかしい」んだ。ボクらがあの御方がどこにいるのかすらわからない、なんてさ」
「………こうして、合流できたのだ。今後、『凍り付いた碧』とやらの者に気づかれぬ程度に、情報共有をすべきだろう」
「うん、そうなんだよね。だから、明らかに「おかしい」んだ。ボクらがあの御方がどこにいるのかすらわからない、なんてさ」
「………こうして、合流できたのだ。今後、『凍り付いた碧』とやらの者に気づかれぬ程度に、情報共有をすべきだろう」
ぼそり、ファザータイムはそう口に出した
ミハエルも、うん、と頷く
ミハエルも、うん、と頷く
「多分、ボクくらいの年齢なら、君と接触してても平気でしょ?なんだったら、『凍り付いた碧』にボクをスカウトしてるように見せかけちゃえば?」
「いいのか?」
「別にいいよ。大人と一緒に行動してるとこ見られたらまずいなら、他のみんなとはなるべく一緒に出歩かないし」
「いいのか?」
「別にいいよ。大人と一緒に行動してるとこ見られたらまずいなら、他のみんなとはなるべく一緒に出歩かないし」
……それは、迷子になる可能性があるのでは
ファザータイムはそう感じたが、直後、「自分が道を把握していれば良いか」と考えなおした
自分は、常にミハエルの傍にあるのだから、それくらいはサポートするべきであろう
そもそも、ミハエルが実際の年齢より明らかに子供っぽいのは、半ば自分の責任であるのだから、自分が責任をもってミハエルを保護するべきなのだ
自分という存在が、「今のファザータイム」が消滅する、その瞬間まで
ファザータイムはそう感じたが、直後、「自分が道を把握していれば良いか」と考えなおした
自分は、常にミハエルの傍にあるのだから、それくらいはサポートするべきであろう
そもそも、ミハエルが実際の年齢より明らかに子供っぽいのは、半ば自分の責任であるのだから、自分が責任をもってミハエルを保護するべきなのだ
自分という存在が、「今のファザータイム」が消滅する、その瞬間まで
「………あぁ。そうだ。お前は、『凍り付いた碧』において。ある程度、隠れ家等で自由に動き回れる立場だろうか?」
「?…それを聞いて、どうする?」
「もし、そうであるならば。隠れ家などに、仕掛けて欲しいものがある」
「?…それを聞いて、どうする?」
「もし、そうであるならば。隠れ家などに、仕掛けて欲しいものがある」
そう言うと、ファザータイムはさらさらと、メモに何やら書き記していく……最初ドイツ語で書いてしまい、すぐに日本語に直した。ある程度学んでいて正解だったと言えよう。学んだのは、ミハエルが日本語を読めなかった時に備えてだったのだが
黄はそのメモにざっと目を通している
メモに書いた、仕掛けて欲しい物。それは「ワイヤーや、鉄製やニッケル製の物」。元からそれらがそれなりの量存在するならばいいが、なければできるだけ仕掛けて欲しい、と
黄はそのメモにざっと目を通している
メモに書いた、仕掛けて欲しい物。それは「ワイヤーや、鉄製やニッケル製の物」。元からそれらがそれなりの量存在するならばいいが、なければできるだけ仕掛けて欲しい、と
「…後半については、形や重量は問わないか?」
「あぁ、問題ない」
「うんうん、つくつくなら大丈夫だよね」
「あぁ、問題ない」
「うんうん、つくつくなら大丈夫だよね」
形も、大きさもあの能力の前ではさほど関係ない
……あの男は、ある意味自分達の中で一番、契約都市伝説の能力を使いこなしていると言って良いのだから
……あの男は、ある意味自分達の中で一番、契約都市伝説の能力を使いこなしていると言って良いのだから
「覚えたか?」
「あぁ、当然だ」
「そうか。なら、いい」
「あぁ、当然だ」
「そうか。なら、いい」
渡したメモへと手を伸ばす
そのメモは、ファザータイムが触れた瞬間、まるで何百年、何千年も一気に時間が過ぎたかのように朽ちて、かけらすら残さずに消えてしまった
完全消滅、と言っていい。それはテーブルの上を汚すことすら、なかった
そのメモは、ファザータイムが触れた瞬間、まるで何百年、何千年も一気に時間が過ぎたかのように朽ちて、かけらすら残さずに消えてしまった
完全消滅、と言っていい。それはテーブルの上を汚すことすら、なかった
「これから、よろしくね」
ミハエルが笑う、楽しげに
……この子が楽しいならば、それでいい
ファザータイムはそう考え、ひっそりと笑ったのだった
……この子が楽しいならば、それでいい
ファザータイムはそう考え、ひっそりと笑ったのだった
to be … ?