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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代ーズ-04a

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匿名ユーザー

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04 会遇




 人面犬のおっさんと別れた後、俺は何をしていたか
 一言で言うと、追い掛けてくる数名の「赤マント」から逃げていた

 まさか土砂降りの中を逃げ回る破目になるとはね
 トホホだぜ畜生

「マジなんなの、ホントなんなの」

 赤いマントはいらんかと直球で尋ねられたので平静にスルーしてその場を立ち去ったら、これだ
 どこから湧いたのやら徒党を組んで追い掛けて来やがった
 もう少し頭を使うべきだった

「撒いた、よな?」

 長いこと逃走した

 振り向いてみたがもう連中の気配もニオイもない
 ひとまずは安心って所だろうけど、もちろん油断はできない
 ここ最近は特に「赤マント」と出くわすのが増えている
 特に人っ気のない道と時間帯は遭遇の確率が高い気もする


 辺りを見回す余裕もある
 やたらガムシャラに走った所為か見覚えのない場所に来ていた
 多分、東区のかなり奥の方だ
 閑静な住宅街、そう言えば聞こえはいいが、まだ宵の口だっていうのにこの静けさは何だ
 薄気味悪く感じるのは雨に降られて濡れ鼠になった所為だけでは無い

 雨に濡れて服が重い
 おまけに靴の中までグショグショだ
 いい加減この履き古しは買い替えよう
 そうだな、明日にでも買い替えた方がいい

 もう今日は帰るぞ、これ以上「赤マント」に出くわさないといいけどな
 そう思いながら、とりあえず勘で南区方面へ向かうことにした



 その勘が、知らせる
 うしろ、と


「こんばんは」


 俺が振り返ったのと、振り返った先から声がしたのは、ほとんど同時だった

 傘を差した女の人が立っていた
 灯りが遠いのではっきりとは見えない
 なので、目を凝らしてしっかりと視ようとした

「ずぶ濡れ、ね
 大丈夫?」

 俺に声を掛けてるのだという当たり前のことに数秒置いて気づく

「あ、はい。大丈夫っす」
「私の傘に、入りますか?」

 目が慣れてきた
 女の人は美人さんだ
 そして恐らく、俺と年齢は近い

 先程よりも弱まりはしたものの、雨自体は未だに降り続けている
 傘に入らないか、とは嬉しいお誘いだ

「ありがとうございます、でも大丈夫っす。俺ん家はもう近いんで」
「そう
 本当に、大丈夫?」

 だが相手は初対面の女性
 ここは断っておくのが男としての、ほら、なんかアレだ

「あなたは、雨に降られて、走っていたの?」
「はい。まあ、そういう。最近は天気予報当たんないですね」



「今夜は、少し、騒がしいわ
 こんな夜は、早く帰るに、限るわね
 ――なにと行き遭うか、分からないし、ね」

 目が慣れてくるとよく分かる
 女の人がじっとこちらを見つめていることを

「例えば
 『赤マント』、とか」
「はあ、そうっ、す、ね――!?」


 待て

 今、何と言った
 目の前のこの人は、今、何と言った

 確かに「赤マント」と、そう言ったのではないか


「本当に、何も、されなかったかしら」

 息が詰まった
 急に緊張がこみ上げてくる

 俺を追っていたあれが赤マントであると知っている
 知っているということは、つまり
 “視える”人なのか、それとも契約者なのか

 集中しろ
 自分にそう言い聞かせて、感覚を押し拡げる

 微かだがこの人から夜の大気のようなニオイが滲んでいた
 このニオイは純粋に、都市伝説由来の感覚だ

 間違いない
 契約者だよこの人



「気をつけて
 最近は、以前より、殖えているわ」


 この町に越して来たからには、こういうことが起こるのは予想していた
 こういうことってのは、もちろん契約者との遭遇だ
 ただ四月から随分この町をうろついたのに契約者と出くわすなんて無かった
 いや、遠巻きに見かけることなら何度かあったが今回みたいなのは初めてだ
 いくらなんでも急過ぎる


「人気のない道には、特に」


 正直言って心の準備が間に合ってない
 落ち着けって、俺
 落ち着くんだ


「ごめんなさい、唐突過ぎた、でしょうね」


 女の人の言葉に我に返る
 目の前の美人さんは目を伏せていた

「お喋りが、過ぎたわ」

 声がどこか申し訳なさそうなのは、気の所為ではない
 先程よりも一段とトーンが低めだ

 俺がさっきからずっと黙ってた所為か
 何か返事しないと
 頭の中を掻き回すが言葉が出ない

「こういう日は、早く帰った方が、いいわ
 特に、こんな夜は、ね」



 女の人は踵を返した
 いいのか? この人を行かせてしまって
 いいのか!? 契約者で、しかも美人さんだぞ!?
 いいのか!? 俺!!


「あ……、あの、あのぉっ! すいません!」


 思った以上に大きい声が喉から飛び出ていた
 女の人は振り返った


「こ、今度、一緒に……お茶でもどうですか」


 口から飛び出た言葉に、頭が真っ白になった

 なに言ってるんだ俺は
 これじゃ、ただのナンパじゃねえか


「あら」


 美人さんの表情は大きく変化したわけではない
 でも、少し驚いているような感じがした
 あくまで印象だ


「そうね」


 美人さんが微笑んでいるのに気づく
 これは俺の印象じゃない、確かに微笑んでる


「じゃあ、今度、会えたら、また、誘ってください、ね」



 今
 この人、なんて言った?

 また、誘ってください??

 正直、やっちまったと思ったが、これは
 もしやこれは、成功した、だと?

 何が成功したってんだ
 落ち着けって

 普段の俺なら舞い上がっていただろう
 だが今は状況が状況だ、心臓もドコドコ鳴いてる

「さようなら
 気をつけて」

 女の人は今度こそ踵を返して歩き出した

 彼女の別れの言葉に返事が詰まる
 ここでさよならと返したら二度と会えなくなるような気がしたからだ

 未だ頭は真っ白のままだ
 後ろ姿を呆然と眺めるより外ない
 傘に隠れて彼女は笑っているのではないか、そんな感じがした



 美人さんは行ってしまった










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