「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 赤い靴-10

最終更新:

guest01

- view
だれでも歓迎! 編集
 色鮮やかな浴衣が踊る
 己の契約者は、昨日とは違う浴衣を纏っていた
 昨日の浴衣は戦闘中に汚れてしまったから、着る気がしないのだろう
 帯を可愛らしく結び、子供っぽさを強調した姿
 だが、そうだと言うのに、その浴衣のデザインは、どこか大人びたもの
 そのアンバランスさがまたいいのだが

「…変な事考えてない?」
「いや、何も」

 契約者の言葉に、首を左右に振る
 変な事は考えてないぞ
 当たり前の事を考えていただけだ

「…なら、いいんだけど」

 肩をすくめ、契約者は祭り会場を歩いていく
 祭り会場には、相変わらず、堂々と歩いている都市伝説たちの姿が見えた
 まぁ、今回のような機会でもないと、祭に参加して楽しむなど、できない都市伝説たちも多いだろう
 案外、いい機会なのかもしれない

 祭というものはいいものだ
 ロリの浴衣、うん、素晴らしいぞ
 浴衣になっても、歩き方は洋服のままの子供が多いから、微妙に浴衣が着崩れてきたり
 ちらり、ちらり、足が見えたり
 …うん、いいぞ、いいぞ

「…やっぱり、変な事考えてるでしょ?」
「いいや」

 あくまで、首を左右に振ってみせる
 変な事ではない
 これは、全て当たり前のことなのである

 ロリは素晴らしい
 だからこそ、ロリを観察するのは、別に変な事ではあるまい

「…全く」

 契約者は、小さくため息をつく
 やや早脚になった彼女の後を、決してはなれずについていく

 結局、彼女の父親は何も知らないままだ
 この秋祭りが、ある都市伝説を倒すために利用された事は知らないまま

 きっと、それでいいのだろう
 知らないままの方がいいのだ
 自分も都市伝説であるが、その存在は広く知られない方がいいと思う
 それによって、良い結果がもたらされるとは限らないのだから

「…それよりも、せっかくの祭なんだ。もう少し、屋台を楽しんだらどうだ?」
「……そうは言っても、ねぇ」

 …まぁ、育ちが育ちである
 出店の、屋台の食べ物なんて、ほとんど食べたことがないのだ
 夏祭りの時とて、見て回っただけで、何かを食べたりはしていなかった
 秋祭りの1日目だって、そうだ
 自分の契約者は、祭を心から楽しむことなど、できていない
 父親が金を出資している祭だから、視察に来ている
 それくらいの認識しかないのだ
 1日目、友人である少年と一緒に居た時とて、少年がはしゃぐ様子を見て和んでこそいたものの…祭自体を楽しんでいる様子がなかった

 まだ、子供なのだ
 まだ、ロリなのだ
 もっと、無邪気に祭を楽しんでもいいと思うのに

 この契約者は、早く大人になろう、大人になろう、と焦りすぎている
 大人に囲まれてばかりの環境、背伸びしたくなるのはわかるのだが

 …もっと、ゆっくりでいい
 ロリの時間は貴重なのだ
 まぁ、そうやって貴重だからこそ、ロリとは人類の至宝であり、護るべき存在であると理解しているが

「…楽しんだら、って言っても。何をしたらいいのかわからないわ」

 ぼそり
 契約者が呟く
 …祭を楽しんだ事がないから
 楽しみ方も、わからない

「気になる食べ物があれば、買って食べて見ればいいだろうし、クジなり射的なりをやってみたかったら、やってみればいい
 幸い、軍資金はたっぷりあるだろ?」
「まぁ、確かにそうだけどね」

 それじゃあ……と、契約者は、周囲の屋台を見渡しだす
 …その、表情に
 かすかに、子供らしさと言うか、歳相応のロリっぽさが戻ってきて
 その事実に、ほっとした

 やはり、ロリはロリらしくしているのが一番だ

「…ところで」
「何だ?」
「浴衣姿のちみっこたちに見とれてんじゃないわよ?」

 っが!!!!
 下駄で、盛大に足を踏まれて
 おぉおおお……っ!?久々に程よい痛みがっ!?
 こちらがうめいている間に、契約者はさっさと歩き出して
 痛む足を引きずりながら、慌てて追いかける


 秋祭り、最終日
 せめてこの日に、契約者が少しでも楽しんでくれればいいのだ


fin





タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー