夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

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「マスター、戻ったよ」
「ああ。悪い、変な命令出しちまって」
「いいや、私の技量が足りなかっただけのことだ。マスターが気に病むことじゃない」
「……次からは注意する。今度は頼むよ」

はやて達の狙撃を失敗し、帰ってきたヴェールヌイを待っていたのはトーカの苦笑と気遣いの言葉だ。
想定していたよりも表情に滾りがないのは、やはり相手が子供だったからか。
ヴェールヌイとしては、敵を仕留められなかった以上、ある程度の失望で返されるかと思っていたので意外であった。

「さてと。どうする? 今なら追いかけることも不可能ではないはずだ」
「……追いかけられるのか?」
「あの子供は足が不自由だ。必然……サーヴァントも実体化し、彼女を背負わなくてはならない」
「それじゃあ、追撃しなくちゃな。手に届く範囲の【敵】を捨て置くのはもったいない」

マスターであるトーカが深く追求しないのだ。
ならば、こちらもいつまでも引きずる訳にはいかないし、この失態は別の形で取り返そう。
故に、もう一度汚名を雪ぐ機会を今度こそ掴み取る。

「ただ、彼女達を追っている間はマスターを一人にさせてしまう。
 もしもサーヴァントが襲ってきたら令呪を使ってすぐ呼んでくれて構わないが……」
「心配、か。あのなぁ、私はそこまでやわな身体じゃないんだ。というよりも、人間じゃないしな」

今のはやて達は逃走することで頭がいっぱいで戦闘がままならない状態だろう。
態勢を整えられる前に討つ。
セオリーとしてはそれが最善ではあるし、サーヴァントを侍らせるよりはよっぽど有効性のある活用だ。

「だから、多少の荒事は平気だ。お前はお前が正しいと思った判断を信じろ」

サーヴァントを最優のまま使うには、自分もある程度の綱渡りをしなければならない。
お互いに離れて行動するのもその一環だ。

「……わかった。しつこいようだが、危機が迫ったら」
「令呪で呼ぶよ。そこまで跳ねっ返りじゃないから安心してよ」

しぶしぶといった感じではあるが、了承したヴェールヌイはその小さな身体を使い、あっという間にはやて達が逃げた方角へと駆けて行く。
再び一人になったトーカは漸く一息つく。

「……学校、ダルいなぁ」

このままだと早めの登校になるがどうしようか。
親友である依子が来るまで、屋上で一人たそがれるのも悪くはない。
朝から屋上でたむろっている奇特な人もいないだろうし、落ち着く場所としても最適だ。
これから先にあたって、気持ちを整えるにも丁度いい。

「かったりい」

深く吐き出した溜息は朝の涼しい風に乗って飛んでいった。







懐かしいな。
そっと囁いた声が風に溶けていく。
金木研が今着用しているのは学園の制服だ。
サーヴァントになる前。
金木研が人間であり、高校生であった頃にはそれなりに馴染みがあるものだというのに、随分と久しぶりのようにさえ感じられる。

「ランサーさん、着心地はどうですか?」
「うん、丁度いい感じだね。それと、毎回言うのもどうかと思うけどさ。敬語じゃなくていいよ。僕はサーヴァントで君はマスターなんだから」

マスターであるネギ・スプリングフィールドは強張った表情を変えず、朝日の照らすグラウンドを見下ろして軽く溜息をつく。
現在、彼らがいる場所はネギが担任を受け持っている教室だ。
学園の教師として赴任し、中等部の担任を受け持っている設定であると脳内では記憶している。
ネギからすると、元の世界と同じ生徒が幾らか紛れ込んでいて、困惑したことだろう。
彼女達は偽者であるとはいえ、この世界では本物なのだ。
死体も残るし、喜怒哀楽もある。ここまで来ると、人間と遜色ないとさえ思えてくる。

「いえ、このままで。僕は年下ですので」

ネギも、金木も勝ち残ることを決意はしている。
だが、この街に住まう人々を躊躇なく斬り捨てられる程、割り切れてはいない。
彼らは戦いに臨むには優し過ぎる。
未だ、【形振りを構わないまでに】追い詰められてはいなかった。

「礼儀が良すぎるというのも考えものかな? ヒナミちゃんもそうだったけどさ」
「性分みたいなものですから。今更変えるというのも難しいですね」

鳴海との戦闘後、ネギは学校に行く事を選択した。
生徒以上に教師が休むということは目立つからという理由もあるが、やはりネギが学校生活に依存しているといったことも理由にあげられるだろう。
なるべく普段通りに過ごそう。そう、決めたはいいがいつまで保てることやら。
穏やかな会話を繰り広げていながらも、その内は黒く澱んだ願いで埋め尽くされている。
自分の身勝手な想いで、他者を傷つける。
そんな今までの自分の辿った道を覆す行為が許されていい訳がない。
けれど、その禁忌を踏み越えてでも叶えたい願いがある。
跡形もなく壊された過去に、戻りたい。
ただそれだけが、二人に残った道標であり最後の夢でもあるが故に――聖杯を求めるのだ。


「じゃあ、僕は職員会議があるので。ランサーさんは」
「わかってる。この学園全体を見回ってるよ。アナウンスが告げられてから最初の朝だ、せっかちな主従はもう動いてるかもしれない。
 事実、さっきのアイツは積極的だったしね」
「戦闘の判断はランサーさんに任せます。ただ、無茶はしないでください。ある程度までは許容できますが……」
「わかってるって。マスターが用意してくれたこの服のお陰で怪しまれずに済むだろうし、フットワークは軽いよ」

だから、負けない。
互いの意思を再確認し、二人は役割を全うする為に、今は行動を分かつ。
金木は実体化しても大丈夫なように、ネギから受け取った学校の制服をしっかりと着用している。
元の年齢は大学生ではあるが、童顔である金木は特段の違和感を与えることなく学園の雰囲気に溶け込んでいた。
ネギと別れた後は着用している制服に合った高等学部の校舎へと歩を進める。
道中、辺りの散策をしてみたが、まだ登校時間が早いのか、生徒の数も数える程しかいない。
部活の掛け声を威勢良く出しているがっしりとした体格の青年、下らない雑談に花を咲かせている少女達。
それは、今の金木からすると遠い世界の物事にしか思えない。

彼らを切り捨てるとは思えなかったのは、まだ自分が境界線にいるからなのか。
サーヴァントになってもなお、捨てることのできない未練が『あんていく』には残っている。
それは見苦しくも肩を寄せ合って生きる喰種達の楽園だった。
少なくとも、金木にとっては何にも代えがたい大切な場所であり、実家のような安心感を与えてくれる。
穏やかな顔つきで日常を過ごしている彼らを見ると、どうしても躊躇いの念が生まれてしまう。
彼らの居場所を、自分達は戦場にするのだ。
その過程で彼らを利用し、時には排除することも視野に入れなくてはならない。
先行きなんて不確かだ、考えてもしかたがないことではある。
けれど、金木はその思慮深さからどうしても考えてしまう。
自らの行く末を。聖杯を軸とした物語の結末を。


校舎の静かな空気は金木の決意を鋭く尖らせた。
閑散とした廊下はかつての自分が通った母校を思い出し、階段を踏み鳴らす音は確かにある日常を噛み締めることができる。
そうして、彼の足は自然と屋上へと向かっていた。
何となくと言ってしまえばそれまでではあるが、一度でいいからこの学園を一望できる場所で日常の景色を目に焼き付けておきたかった。
ほんの気紛れに過ぎない些末事。その程度で済むことだった。
屋上への階段を一段、一段。ゆっくりと登り切り、金属特有の煌めきが多分に含まれているドアノブを軽く回す。
金属特有の嫌な音が軽く響いた。しかし、そのドアを開けると広々とした景色が独り占めできるはずだ。
けれど、そこには先客がいて。

呆気にとられたような表情を浮かべ、彼女は視線を此方へと向ける。
だが、表情はすぐに悲痛へと変わり、何故と問いかけるかのように口をわなわなと震わせた。
それは何時かの再会を再現しているかのようで。
優しい彼には似合わない表情だが、思わず口が釣り上がってしまった。
あんな別れ方をしたのだから、彼女がここに居るのも当然なのかもしれない。
なにせ、諦めが悪い愚直な女の子だ。
聖杯を求めるという願いもまた、一つの結末だったのだろう。

「久しぶり、トーカちゃん」

だって、眼前にいる少女――霧嶋董香は諦めることが嫌だって叫ぶ女の子だから。
そのことを、金木研はよく知っている。



【C-3/通学路/一日目 午前】

【アーチャー(ヴェールヌイ)@艦隊これくしょん】
[状態]健康
[装備]12.7cm連装砲
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターと共に戦う。
1.少女(八神はやて)を追撃する。ただし、無茶はしない。
2.マスターの心情に対し若干の不安。
[備考]
マスターの少女(八神はやて)とサーヴァントの男(キャスター・ギー)を確認しました。


【C-2/学園・中等部職員室/一日目 午前】

【ネギ・スプリングフィールド@魔法先生ネギま!(アニメ)】
[状態]戦闘による肉体・精神の疲労。戦闘・再生・魔術使用による魔力消費。
[令呪]残り三画
[装備]杖(布でぐるぐる巻き)、スーツ姿(葉っぱや枝でちょっと汚れている)
[道具]鞄(授業用道具一式にその他諸々)
[金銭状況]中学教師相応の給料は貰っている。
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れ神楽坂明日菜を蘇らせる。
1.このまま日常に溶け込む。
2.明日菜さん……
[備考]
敵サーヴァント(加藤鳴海)を確認しました。
住居の位置等の設定は後続の書き手に任せます。

【C-2/学園・高等部屋上/一日目 午前】

【霧嶋董香@東京喰種】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]なし。
[道具]鞄(ノートや筆記用具など学校で必要なもの)
[金銭状況]学生並み
[思考・状況]
基本行動方針:勝ち残り聖杯を手に入れる。しかし迷いもある。
1.……どうして。
2.少女(八神はやて)を傷つけなかったことに対する無自覚の安堵。
[備考]
詳しい食糧事情は不明ですが、少なくとも今すぐ倒れるということはありません。詳細は後続の書き手に任せます。

【ランサー(金木研)@東京喰種】
[状態]健康
[装備]高等部の制服
[道具]なし。
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れる。
1.マスターと共に戦う。
[備考]
敵サーヴァント(加藤鳴海)を確認しました。



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アーチャー(ヴェールヌイ) 019:盤面上の選択者達
013:白銀の凶鳥、飛翔せり ネギ・スプリングフィールド 024:マギステル・マギ
ランサー(金木研)

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