ラノロワ・オルタレイション @ ウィキ

CHALLENGER

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CHALLENGER ◆MjBTB/MO3I


「ちょっと一人にさせてもらっていいか?」
「構いませんが……彼女は?」
「お前に任せる。悪いな、陸」
「いえ。ではキョンさん、ごゆっくり」
「突然すまんな」


さて。
陸とのそんな会話を経て、俺が今どうしているかというとだな。
先人が敵襲に備えて昇り辛くなるように加工した急な階段を慎重に降り、下の階へ移動していた。
別に観光がしたかったわけじゃない。こんな状況で暢気にそんなことは言ってられないのは流石にわかっている。
俺はただ、一人で考える時間が欲しかっただけなのだ。


さて。
何の変哲も無い正にコッテコテな城っぷりを発揮した"間"。それが今俺の居る場所だ。
天守閣といい、この"間"といい、全く以って立派なお城だと思う。どっから持ってきたんだ。
これもハルヒの所為って言うのか? ハルヒの所為に出来るのか? ハルヒの所為にするのか?
……そう。俺が考えたかったのは、まさにそういう旨の話。今のこの状況のことなのだ。
本人達には大変申し訳ないことなのだが、一度酔っ払いも犬も居ないところで考えておきたかった。
混乱に次ぐ混乱により我慢弱くもあらぶっている脳を、誰も居ない場所で整理したかったのだ。


さて。
過去を回想してみれば、俺の行動パターンはもう決まっているも同然だった。
何かあればハルヒの所為だと考えていたし、実際そうだった事例ばかりだった。
俺は常々長門に協力を仰ぎ、朝比奈さんに癒されながら、古泉の解説を聞く。
ハルヒは常に蚊帳の外。親玉にばれないように事件をこっそりと解決し、俺はそれを眺め続ける。
もう、普遍だ。「パターン入った!」ってくらいのお約束だ。


さて。
では現状、俺はどうするべきだろうか。
ここに来たばかりのときは、マオさんに陸という奇妙な取り合わせに気圧されて正常な判断が出来なかった。
故に俺はこの状況に対して特に何も考えず、目の前の対処――主にマオさんの――に必死になったわけだが……。
だがそんな中で俺はふと、この状況をハルヒの所為にするには些かおかしなことが多いのではないだろうかと気づいたのだ。
何の拍子にだったかは解らない。とにかく俺は、自分の脳内にて警鐘を慣らすことが出来たのだ。
だから今ここにいるわけで。って、いやそうじゃない。俺の考えた"些かおかしいなこと"とは……最初に俺に語りかけてきた男の話だ。

「ハルヒが……こんなこと望むか?」

そう、何せあの人類最悪とやら曰く「最後の一人になるまで生き残れ」だ。
いつも非日常的なワクワクを求めているあいつだが、自分が厄介な目に遭うことは望んではいないはず。
閉鎖空間に丸ごと閉じ込められたときには高揚していたが……今回とは事情が全く違う。
ならば長門のところのボス? 未来人の仕業? 古泉の"機関"?
……さっぱり、わからん。


さて。
じゃあどうすればいい?
正直今、俺は地味に恐怖している。さっきからしつこいだろうが、何もかもをハルヒの所為にして逃げてしまいたい。
冷静に状況を整理すればする程、恐ろしい事態であると俺も確信しているからだ。
だがそもそもこれがハルヒやらの仕業じゃなかったら? 長門や古泉のテリトリーでは無い事件だとしたら?
それは考えたくもない仮定だ。だが、目を逸らして良い問題じゃない。
もしも今までからは考えられないケースだったとしたら、俺は本当に"どうすればいい"?


さて。
思い返せば、俺は今この瞬間に至るまでずっと"楽天的だった"と言わざるを得ない。
何せ場に流されたとはいえ、途中までは"またハルヒの仕業か"と思考停止を図ったわけだからな。
いや、その事自体はいいだろう。ハルヒの所為にしてしまったのは仕方が無い。まぁ仕方が無い。そこは。
やってしまったものは仕方が無いというじゃないか。って、俺は誰に言い訳をしているんだ。
……げふんげふん。いいか、俺。よく考えろ。

今、俺の隣には、SOS団の連中はいない。

そう、誰もいない。俺の事情を知らないマオさんと陸がいるだけだ。
長門もいない、朝比奈さんもいない、古泉もいない。そして、ハルヒもいない。
探せば見つかるかもしれん。ああ、見つかるかもしれんさ。
だが少なくともこんな大変な状況下で、俺が頼りにしてたメンツは誰一人として近くにいないわけだ。
隣にもし長門がいたなら、俺はただただその力を頼りにしただろう。
隣にもし朝比奈さんがいたら、俺はこの世界の手がかりを少しでも掴んでくれるよう願っただろう。
隣にもし古泉がいたら、俺は安心感欲しさに様々な仮説やら仮定論やらを説いてくれるよう頼んだだろう。
だが、今はそれを望むことが出来ない。

「一人、か……」

SOS団のメンバーの中で、唯一と言ってももいいだろう……俺は一人じゃあ何も出来ない人間だ。
だから常に隣に誰かいて、そのおかげで現実離れした事象も跳ね除けることが出来たんだ。
マオさんと陸がいたところで、正に一般人丸出しな俺が何をどうすればいいのか。

「ちょっと甘かったな……」

最初は長門たちと出会えばまぁ大丈夫か、なんて軽い気持ちだったが……こうなると会うまでが大変だ。
天守閣から見た景色がとても広かったところから察するに難儀な作業に違いない。
ハルヒの仕業にしても、そうでない場合にしても、都合よく俺が皆と再会出来るという保証は無い。
こうなるともう、本気で人生設計を立てるくらいのレベルで物事を考えていくしかないな。
未来を見据えて、一手先を考えて……ええい。

「やるしか、ないだろうよ」

いいだろう。上等だ。人類最悪とやら、お前の言うとおり最後まで生き残ってやろうじゃないか。
見知った奴らが近場にいなけりゃ、俺が俺自身の力でなんとかしてやる。なんとかしてみせる。
そしてハルヒ達SOS団と合流して、マオさんも陸も一緒のままでここから帰ってやる。
そうするしかないならやってやる、やってやるぞ。長門達頼りないつもの俺は封印だこの野郎。
と、そう決意すると抱いていたはずの恐怖やら不安やらが少し冷めた。ふむ、ここに来て随分と麻痺してしまったようだ。
俺も来るところまで来たということか。ちょっと格好良いじゃないか自分め。
というか、肝が据わってきたのかもしれないな。


さて。
ここで豆知識だが、城にはところどころで三角や四角や円形の穴が開いている箇所がある。
これは矢座間(やざま)、または鉄砲狭間(てっぽうざま)と呼ばれるものだ。
その小さなスペースはどんな用途を想定して作られたかというと、それは早い話弓矢や鉄砲を使用する為だ。
昔の人たちはこの小さな穴を使い、外にいる敵達を城内部から狙撃していたわけなのである。う~ん、凄過ぎる。
で、だ。突然それの話をしてどうしたかって言うと。

『――この舞台に呼ばれた者達よ、聞こえるか? 我が名は『我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)』とでも記憶しておけ』

突然、その狭間から声が聞こえてきやがったのだ。
少し離れた場所で誰かが叫んでいる。狭間がなければ天守閣にでもいない限り聞こえてこなかっただろう。
一体何なんだ、と狭間から俺は外を覗き込む。当然だが、壁を隔てた向こう側に人がいるわけではなかった。
これは……そうか、何か機械を使うことで声量を増幅させているのだろうな。
声の主は誰だ? あ、いや、名乗ってたな。誰だっけ。"鰐が最小で……なんたら"、さん?

『この声が聞こえた者もそうでない者も関係無しに僕は貴様達に対して宣言する。貴様達のような愚かな者たちにその名を聞かせるのも憚られる為に、あえて名前までは伝えることはしないが、この僕が命に代えても守り抜くべき存在もこの舞台へと呼ばれている』

マジでか。お互い大変だな。


       ◇       ◇       ◇


さて。
俺はあれから、狭間越しに話を聞いていたわけだが……まずいことになった。


『よって僕はここに宣言する! 万が一この先彼女の名前が呼ばれるようなことがあれば僕は貴様達を一人残らず地獄へと叩き落そうと! 』

『脱出を願う多少は賢明なる者達よ、貴様達の奮闘を僕は期待しよう。貴様達が一刻も早くそして一人でも多くこの舞台から脱出できる方法を見つけ出せることを』

『タイムリミットはかの存在の命が尽きるまで、貴様達が戦う意思があろうとなかろうと関係ない。そのときがきたのなら僕は貴様達が無抵抗であろうがなかろうが、区別無しに殺す』

『そしてあの男程度の口車に乗せられて殺し合いを肯定してしまった愚劣極まりない矮小な微生物にも劣る存在たちよ。正直この瞬間にも貴様達と同じ空気を吸っていると思うことすら耐えがたい』

『すぐにここに来い! 僕のこの言葉が身の程知らずな大言壮語ではないことを、貴様達の苦痛と絶叫と死をもって証明してやろう』

『僕の所在地はD-4のホールだ』

『繰り返…いや、貴様達のような愚か者は先の言葉全ては覚えきれないか。簡潔に伝えてやろう』

『優勝したいと願うような愚か者はエリアD-4ホールへ来て己が愚劣さをあの世で後悔せよ!』


まずい。まずいって、いや、本当まずい。一つ一つ分けて並べるとよく解るこの絶望感。
何がまずいってこの危険思考だ。荒れ狂うベーリング海すら大人しくさせるであろう殺気。
見える、見えるぞ。声の主の目がギラギラしているのがよくわかる。俺ってエスパー?
こんなのに近くにいられては、俺は俺なりに頑張る暇もなく何かに巻き込まれて死ぬ。死んじゃう。
……よーし、よしよし、よし。よし、こうなったら今からやることは決まったぞ!

俺は元居た場所へと戻る為、急いで階段を昇った。
こうしている間にも、周りで同じようにあの声を聞いた人間が何かアクションを起こしているだろう。
好戦的な奴にとって、あの挑発は極上の餌が付いた釣り針そのものだ。
声の主も嬉々として所謂一つの「フィーッシュ!」ってやつだろうよ!
鰐が最小なんたらさんめ! グラ○ダー○蔵じゃないんだから! って俺何言ってんの!?
ああもう! 階段がこんなに登り辛いから! そんなことだから! そんなことだから!
よし到着!

「おや、キョンさん……もしや」
「ああそうだよそのもやしだよ!」
「いえ、モヤシではなく」

既に事情も察しているのであろう陸が律儀に俺に話しかけている。冷静だなお前。
律儀で結構。それに俺よりも冷静なようでありがたいが、今は長々と話に付き合っている暇は無い。後でな!
マオさんなんか「おかえり~」と楽しそうに手を振ってくる! あー、笑顔。超笑顔。
律儀で結構。それに俺よりも暢気なようでありがたいが、今は長々とその手に応えている暇は無い。後でな!

「今すぐ逃げましょう! 多分ここ、戦場になります!」

今は、これが先決だ。場に流されてる気はあるけどな。
そんなこんなで息も絶え絶えに叫ぶ俺の姿は、なんだか格好悪かった。
だがそれでも良いさ。俺は俺なりに頑張ってやる!




【C-3/天守閣前/一日目・深夜】

【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:健康
[装備]:陸@キノの旅
[道具]:デイパック、支給品一式(確認済みランダム支給品1~2個所持)
[思考・状況]
1:城から逃げたい。
2:SOS団との合流し、脱出する。
[備考]
※陸の思考
1:キョンたちについていく。
2:シズとの合流

メリッサ・マオ@フルメタルパニック!】
[状態]:健康、やや酒に酔っている
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式(確認済みランダム支給品1~3個所持)
[思考・状況]
1:キョンを守る
2:仲間達と合流
3:自身の名前が無い事に疑問


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