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摩天楼狂笑曲
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摩天楼狂笑曲 ◆76I1qTEuZw
【共通問題】
摩天楼について、思うところを書きなさい。
摩天楼について、思うところを書きなさい。
■朧さん(伊賀鍔隠れ衆暫定頭目、女性)の答え
「まてんろう……天を摩(す)る程の高楼、の名に恥じぬ立派なものですね。
城のちかくにあるということは、きっと敵の軍勢を見張るための物見櫓なのでしょう。
ずいぶん頑丈な石造りのようですが、やはりいくさを意識してのことでありましょうや。
整然と並んでいるのは、鉄砲狭間……いえ、矢狭間でありましょうか。
おなじ形に切りだされた石を、これほど見事に積み上げて揺るぎないこの技、驚きです」
「まてんろう……天を摩(す)る程の高楼、の名に恥じぬ立派なものですね。
城のちかくにあるということは、きっと敵の軍勢を見張るための物見櫓なのでしょう。
ずいぶん頑丈な石造りのようですが、やはりいくさを意識してのことでありましょうや。
整然と並んでいるのは、鉄砲狭間……いえ、矢狭間でありましょうか。
おなじ形に切りだされた石を、これほど見事に積み上げて揺るぎないこの技、驚きです」
■教師のコメント
「摩天楼」という単語の説明は、まさにその通りです。より正確には、「Skyscraper」の訳語ですね。
ですが、それ以外は全くトンチンカンです。
摩天楼は軍事施設ではありませんし、展望室はあっても物見櫓ではありません。
あとこれ、石を積み上げてるわけではないですよ。その線は表面に張られたタイルプレートの継ぎ目です。
並んでいる窓も、別にそこから矢や鉄砲を射るためのものではありませんから。
ま、未だ戦国の世の余韻残る時代の人からは、そう見えてしまうのかもしれませんね。
「摩天楼」という単語の説明は、まさにその通りです。より正確には、「Skyscraper」の訳語ですね。
ですが、それ以外は全くトンチンカンです。
摩天楼は軍事施設ではありませんし、展望室はあっても物見櫓ではありません。
あとこれ、石を積み上げてるわけではないですよ。その線は表面に張られたタイルプレートの継ぎ目です。
並んでいる窓も、別にそこから矢や鉄砲を射るためのものではありませんから。
ま、未だ戦国の世の余韻残る時代の人からは、そう見えてしまうのかもしれませんね。
◇ ◇ ◇
「弦之介さま……」
継ぎ目も見えない不思議な石畳(アスファルト)の道を踏みしめ歩きながら、朧は愛する男の名を呟く。
彼女の願いは、たった1つ。
かつて将来を誓った甲賀の若君、甲賀弦之介の手によって討たれること。ただそれだけである。
逆に言えば、それ以外のことは、ほとんど「どうでもよい」。
彼女は背後に遠ざかる2本の巨搭の方を振り返りもせず、歩き続ける。
彼女の願いは、たった1つ。
かつて将来を誓った甲賀の若君、甲賀弦之介の手によって討たれること。ただそれだけである。
逆に言えば、それ以外のことは、ほとんど「どうでもよい」。
彼女は背後に遠ざかる2本の巨搭の方を振り返りもせず、歩き続ける。
彼女は考える。
この不可解な催しのことではなく、この不可解な街のことでもなく、過去のことを考える。
なぜ自分はこうして生きているのか。
確かに自らの胸を刺し貫いたはずなのに、なぜ生きているのか。
この場に放り込まれるよりも前、伊賀甲賀の血を血で洗う凄惨な忍法勝負のことを考える。
この不可解な催しのことではなく、この不可解な街のことでもなく、過去のことを考える。
なぜ自分はこうして生きているのか。
確かに自らの胸を刺し貫いたはずなのに、なぜ生きているのか。
この場に放り込まれるよりも前、伊賀甲賀の血を血で洗う凄惨な忍法勝負のことを考える。
あの時、朧は自らの胸を自らの刀で貫いたはずだった。
弦之介の瞳術にかかってみせたフリをして、自害して果てたはずだった。
だが、そこから意識を取り戻してみれば、自分はこうして生きており、胸には傷1つ残ってはいない。
弦之介の瞳術にかかってみせたフリをして、自害して果てたはずだった。
だが、そこから意識を取り戻してみれば、自分はこうして生きており、胸には傷1つ残ってはいない。
もちろん、忍びの世界において、「誰かが死んだ」という情報ほどアテにならぬものはない。
世の中には、殺しても死なない忍者がいる。
他ならぬ伊賀鍔隠れ衆が1人、薬師寺天膳がまさにそういう忍法の使い手だ。
彼ならば、死して後に復活してみせても不思議ではない。
朧の「破幻の瞳」を用いて確実に「殺した」はずだが、あれから時間をかけて蘇ったとしても、驚きはしない。
他ならぬ伊賀鍔隠れ衆が1人、薬師寺天膳がまさにそういう忍法の使い手だ。
彼ならば、死して後に復活してみせても不思議ではない。
朧の「破幻の瞳」を用いて確実に「殺した」はずだが、あれから時間をかけて蘇ったとしても、驚きはしない。
世の中には、死んだフリをしてみせる忍者もいる。
いや、死んだと見せかけて敵を欺くのは策略の基本だ。もし必要なら、味方ごと欺いてでも確実を図る。
筑摩小四郎も確かに死亡したはずだが、しかし、実は朧は、その眼で彼の死体を確認していない。
ちょうどその時、七夜盲の秘薬で視力を失っていたからだ。
あの時の朱絹の嘆きが嘘だったとも思えないが、朱絹さえも欺かれていた可能性はなきにしもあらず。
ゆえに、このたびの殺し合いにおいて人別帖に筑摩小四郎の名があることにも、そう驚きはしない。
いや、死んだと見せかけて敵を欺くのは策略の基本だ。もし必要なら、味方ごと欺いてでも確実を図る。
筑摩小四郎も確かに死亡したはずだが、しかし、実は朧は、その眼で彼の死体を確認していない。
ちょうどその時、七夜盲の秘薬で視力を失っていたからだ。
あの時の朱絹の嘆きが嘘だったとも思えないが、朱絹さえも欺かれていた可能性はなきにしもあらず。
ゆえに、このたびの殺し合いにおいて人別帖に筑摩小四郎の名があることにも、そう驚きはしない。
世の中には、他者に化けてみせる忍者もいる。
甲賀卍谷衆が1人、如月左衛門などがその好例である。
直接見たわけではないが、彼は味方である甲賀弦之介に化け、影武者を演じていた時期もあったようだ。
誰かが討たれた、と言われても、それが身代わりではない保障などどこにもない。
甲賀卍谷衆が1人、如月左衛門などがその好例である。
直接見たわけではないが、彼は味方である甲賀弦之介に化け、影武者を演じていた時期もあったようだ。
誰かが討たれた、と言われても、それが身代わりではない保障などどこにもない。
しかし、それが朧自身のこととなると別だ。
彼女は蘇生の忍法など知らぬ。蘇生の術どころか、一切の忍法を知らぬ。
彼女は己の生死を偽ってなどおらぬ。偽るどころか、確実に死ねる方法を選んだつもりだった。
もちろん、彼女は身代わりなど立ててはいない。身代わりなど立ててしまっては何の意味もない。
となると、死んだハズの自分が生きている、その道理は限られてくる。
彼女は蘇生の忍法など知らぬ。蘇生の術どころか、一切の忍法を知らぬ。
彼女は己の生死を偽ってなどおらぬ。偽るどころか、確実に死ねる方法を選んだつもりだった。
もちろん、彼女は身代わりなど立ててはいない。身代わりなど立ててしまっては何の意味もない。
となると、死んだハズの自分が生きている、その道理は限られてくる。
「やはり、弦之介さまの瞳術か……」
弦之介の瞳術には、謎が多い。
その発動を一度ならずと見ている朧とて、その術理を正確に理解しているわけではない。
一種の催眠術で、弦之介に向けられた殺意・敵意を跳ね返すのだ……との説明はされているものの。
例えば2人が同時に切りかかり、黄金色の視線を向けられれば、同士討ちをして果てる。
例えば1人きりで切りかかり、黄金色の視線を向けられれば、その場で自害して果てる。
どうやら、状況に応じ細かな反応は異なっているようなのだ。
その発動を一度ならずと見ている朧とて、その術理を正確に理解しているわけではない。
一種の催眠術で、弦之介に向けられた殺意・敵意を跳ね返すのだ……との説明はされているものの。
例えば2人が同時に切りかかり、黄金色の視線を向けられれば、同士討ちをして果てる。
例えば1人きりで切りかかり、黄金色の視線を向けられれば、その場で自害して果てる。
どうやら、状況に応じ細かな反応は異なっているようなのだ。
さて、そんな弦之介の眼前で、あえて自ら望んで死を選ぼうとする者がいたら、どうなるか。
あの時、弦之介の眼は七夜盲の秘薬により閉じられていた。
しかし同時に、秘薬の効果が切れようとする刹那でもあった。
朧自身も気付かぬうちに、あの黄金の閃光放つ視線に射られていた可能性は、否定できない。
あの時、弦之介の眼は七夜盲の秘薬により閉じられていた。
しかし同時に、秘薬の効果が切れようとする刹那でもあった。
朧自身も気付かぬうちに、あの黄金の閃光放つ視線に射られていた可能性は、否定できない。
「わたしは……弦之介さまに、とめられたのだ……」
どういうからくりなのか、夜道は点々と灯る明かりに照らされている。
石造り(鉄筋コンクリート)の物見櫓(ビル群)の隙間を抜け、彼女は歩き続ける。
物見櫓の隙間から見えた、こればかりはよく見慣れた作りの、城郭の天守閣。
なんとはなしにそれを目指して彷徨いながら、彼女は考える。
石造り(鉄筋コンクリート)の物見櫓(ビル群)の隙間を抜け、彼女は歩き続ける。
物見櫓の隙間から見えた、こればかりはよく見慣れた作りの、城郭の天守閣。
なんとはなしにそれを目指して彷徨いながら、彼女は考える。
弦之介はおそらく、その無敵の瞳術をもって朧を止めたのだ。
本来の使い方ではない、応用的な、あるいは場当たり的で強引な使い方で、彼女を止めたのだ。
瞳術の本質が催眠術であるならば、その応用の範囲は幅広い。
瞳術の本質が催眠術であるならば、その前後の記憶が乱れているのも頷ける。
少なくとも、朧はそのように理解する。そのように確信する。
本来の使い方ではない、応用的な、あるいは場当たり的で強引な使い方で、彼女を止めたのだ。
瞳術の本質が催眠術であるならば、その応用の範囲は幅広い。
瞳術の本質が催眠術であるならば、その前後の記憶が乱れているのも頷ける。
少なくとも、朧はそのように理解する。そのように確信する。
やはり、だめなのだ。
自害などではだめなのだ。
立会い人たる阿福や服部半蔵の眼は欺けても、甲賀弦之介の眼は欺けない。
ただ彼のために命を投げ出そうとしても、そうと知った彼はそれを許さないのだ。
その優しさこそが彼に惚れた理由であり、命を捨てるに足る理由でもあるのだけど。
自害などではだめなのだ。
立会い人たる阿福や服部半蔵の眼は欺けても、甲賀弦之介の眼は欺けない。
ただ彼のために命を投げ出そうとしても、そうと知った彼はそれを許さないのだ。
その優しさこそが彼に惚れた理由であり、命を捨てるに足る理由でもあるのだけど。
「弦之介さまが、わたしを殺そうと願わなければ、わたしの願いは叶わない……!」
きっと初志貫徹こそが必要だったのだろう。
朧は土壇場で『自害』という妥協に至った自分を恥じる。
最初に夢見た通り、弦之介の手によって斬られること。それでしか彼女の願いは叶わない。
彼自身が明確な殺意をもって剣を振り下ろさない限り、彼女の望む死は得られない。
朧は土壇場で『自害』という妥協に至った自分を恥じる。
最初に夢見た通り、弦之介の手によって斬られること。それでしか彼女の願いは叶わない。
彼自身が明確な殺意をもって剣を振り下ろさない限り、彼女の望む死は得られない。
しかし、自分は白状してしまった。あの荒寺で、自分は白状してしまった。
卍谷との争いを見たくなくて、自ら盲となったということ。
自分は決して弦之介を裏切ってはいなかったということ。
ただこみ上げる感情のままに、全てを明かしてしまったのだ。
これでは、弦之介が斬ってくれようはずがない。このままでは、弦之介に斬られる道は開けない。
卍谷との争いを見たくなくて、自ら盲となったということ。
自分は決して弦之介を裏切ってはいなかったということ。
ただこみ上げる感情のままに、全てを明かしてしまったのだ。
これでは、弦之介が斬ってくれようはずがない。このままでは、弦之介に斬られる道は開けない。
だから。
「もっと、憎まれねば。あの人に、憎まれなければ。
……無辜の人をこの手にかけたら、あの人も私を憎んでくれるのでしょうか?」
……無辜の人をこの手にかけたら、あの人も私を憎んでくれるのでしょうか?」
いつしか目的と手段が逆転していることに、彼女は気付かない。
とうの昔に思惑が破綻していることに、彼女は気付けない。
事ここに至っては、伊賀と甲賀の忍法勝負など何の意味もなく、彼女が彼のために命を投げ打つ理由もない。
そして甲賀弦之介は既に無惨な骸を晒し、一歩先に黄泉路に旅立ってしまっている。
それでも妄執と化した愛に酔い痴れた彼女は、己の甘美な破滅をただ夢見て微笑む。
とうの昔に思惑が破綻していることに、彼女は気付けない。
事ここに至っては、伊賀と甲賀の忍法勝負など何の意味もなく、彼女が彼のために命を投げ打つ理由もない。
そして甲賀弦之介は既に無惨な骸を晒し、一歩先に黄泉路に旅立ってしまっている。
それでも妄執と化した愛に酔い痴れた彼女は、己の甘美な破滅をただ夢見て微笑む。
朧はその破幻の瞳を除けば、忍法の心得もないただの娘である。
しかし、歩く他に移動手段のない江戸時代の人間。それも、山深い伊賀の里で育った身である。
路面がここまで整備されているとなれば、ただ歩くだけでも相当の速度となる。
現代人の基準で見れば相当な健脚で、しかしさほど息を切らすこともなく、彼女は進み続ける。
石と鉄で出来た頑丈な橋を渡り、広い十字路の中ほどで立ち止まる。
多少なりとも見慣れた場所――すなわち、弦之介と会えるやもしれぬ場所――である城を目指すとして。
この道をどちらに行けばいいのだろう。どちらに行けば、彼女の願いに近づけるのだろう。
しかし、歩く他に移動手段のない江戸時代の人間。それも、山深い伊賀の里で育った身である。
路面がここまで整備されているとなれば、ただ歩くだけでも相当の速度となる。
現代人の基準で見れば相当な健脚で、しかしさほど息を切らすこともなく、彼女は進み続ける。
石と鉄で出来た頑丈な橋を渡り、広い十字路の中ほどで立ち止まる。
多少なりとも見慣れた場所――すなわち、弦之介と会えるやもしれぬ場所――である城を目指すとして。
この道をどちらに行けばいいのだろう。どちらに行けば、彼女の願いに近づけるのだろう。
声が聞こえてきたのは、ちょうどそんなことを考えていた時だった。
『――この舞台に呼ばれた者達よ、聞こえるか?
我が名は『我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)』とでも記憶しておけ――』
我が名は『我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)』とでも記憶しておけ――』
――朧の顔に、歪んだ笑みが張り付くように浮かび上がった。
人並み外れたこの大声。この大音声もまた、何らかの『忍法』に拠るものなのだろうか?
だが、だとしたらこれは彼女にとっては、うってつけの獲物だ。
全ての『術』を打ち払う力を秘めた『破幻の瞳』、この朧にとっては――!
だが、だとしたらこれは彼女にとっては、うってつけの獲物だ。
全ての『術』を打ち払う力を秘めた『破幻の瞳』、この朧にとっては――!
【D-5/川の西側・路上/一日目・深夜】
【朧@甲賀忍法帖】
[状態]:健康、精神錯乱?
[装備]:弦之介の忍者刀@甲賀忍法帖
[道具]: デイパック、支給品一式
[思考・状況]
基本:弦之介以外は殺す。そして弦之介に殺してもらう。
1:大きな声(ステイルの拡声器越しの宣言)に興味。挑戦に応じる?
[備考]
※死亡後からの参戦
【朧@甲賀忍法帖】
[状態]:健康、精神錯乱?
[装備]:弦之介の忍者刀@甲賀忍法帖
[道具]: デイパック、支給品一式
[思考・状況]
基本:弦之介以外は殺す。そして弦之介に殺してもらう。
1:大きな声(ステイルの拡声器越しの宣言)に興味。挑戦に応じる?
[備考]
※死亡後からの参戦
※拡声器の存在を知らないため、ステイルの宣言を「大声を増幅する忍法」を使ったもの、と判断しました。
◇ ◇ ◇
【共通問題】
摩天楼について、思うところを書きなさい。
摩天楼について、思うところを書きなさい。
■黒桐鮮花さん(高校生、女性)の答え
「ナンセンスですね。
たった1つの建物の中に、何もかも全部詰め込もうだなんて。非効率にも程があります。
お店にマンション、オフィスにホテル……それぞれ必要な機能も構造も違うでしょうに。
しかもそれぞれに管理が異なっているなんて、これなんていう非効率ですか?
ああもういっそ全部燃やしてしまおうかしら……」
「ナンセンスですね。
たった1つの建物の中に、何もかも全部詰め込もうだなんて。非効率にも程があります。
お店にマンション、オフィスにホテル……それぞれ必要な機能も構造も違うでしょうに。
しかもそれぞれに管理が異なっているなんて、これなんていう非効率ですか?
ああもういっそ全部燃やしてしまおうかしら……」
■教師のコメント
残念ながら、ナンセンスどころか成功例がいくつもあります。
とはいえ、1990年代後半に生きる鮮花さんの時代感覚としては、無理もない回答かもしれませんね。
似たような建物としては、既に六本木アークヒルズの建設が始まっていますが、まだ未完成ですし。
建築業界に強い関心を寄せてでもいない限り、知らなくても恥じるようなことではありません。
……まあそれ以上に、どうやら複雑な構造に怒ってらっしゃるようですね。でも放火は勘弁してください。
残念ながら、ナンセンスどころか成功例がいくつもあります。
とはいえ、1990年代後半に生きる鮮花さんの時代感覚としては、無理もない回答かもしれませんね。
似たような建物としては、既に六本木アークヒルズの建設が始まっていますが、まだ未完成ですし。
建築業界に強い関心を寄せてでもいない限り、知らなくても恥じるようなことではありません。
……まあそれ以上に、どうやら複雑な構造に怒ってらっしゃるようですね。でも放火は勘弁してください。
◇ ◇ ◇
まったく、なんとナンセンスな建物なのだろう。
『STAFF ONLY』と記された扉の奥で、黒桐鮮花は何度目になるかも分からぬ溜息をついた。
『STAFF ONLY』と記された扉の奥で、黒桐鮮花は何度目になるかも分からぬ溜息をついた。
どうやらこの「摩天楼」、相当に複雑な形状と機能を兼ね備えた代物のようだった。
状況を甘く見ていた自分を恥じると共に、こんな施設を作った物好きな連中に対して微かな怒りを覚える。
状況を甘く見ていた自分を恥じると共に、こんな施設を作った物好きな連中に対して微かな怒りを覚える。
ここでひとまず、ざっとその構造を確認してみよう。
まず、敷地は相当に広い。緑地公園のような格好になっている部分がかなりある。
そしてその余裕ある敷地の中に、これまた低層階部分がかなりの広さをもって広がっている。
この低層階部分は、だいたい地上5階くらいまでだろうか。
吹き抜けなども広く取られており、複雑な通路と相まって、これだけでちょっとした街の様相を示している。
まず、敷地は相当に広い。緑地公園のような格好になっている部分がかなりある。
そしてその余裕ある敷地の中に、これまた低層階部分がかなりの広さをもって広がっている。
この低層階部分は、だいたい地上5階くらいまでだろうか。
吹き抜けなども広く取られており、複雑な通路と相まって、これだけでちょっとした街の様相を示している。
しかし、なんといっても目を引くのは、その低層階の上に突き出す格好になった2本の高層ビルディングだ。
単純に「西棟」「東棟」と呼ばれている、ツインタワー構造。
黒桐鮮花がスタートしたのもその片方、西棟の最上階にある展望室だった。
タワーと言っても、それほど細いものではない。かなりの太さと広さを備えた代物だ。これが数十階分。
総述床面積としてはいったいどれほどのものになるのか、想像もできない。
単純に「西棟」「東棟」と呼ばれている、ツインタワー構造。
黒桐鮮花がスタートしたのもその片方、西棟の最上階にある展望室だった。
タワーと言っても、それほど細いものではない。かなりの太さと広さを備えた代物だ。これが数十階分。
総述床面積としてはいったいどれほどのものになるのか、想像もできない。
そして――何よりも鮮花にとって頭が痛いのは。
その広大な建物の中に詰め込まれた、多様な機能の数々である。
その広大な建物の中に詰め込まれた、多様な機能の数々である。
各種服飾ブランドの店舗スペースが並ぶエリアがある。
和洋中、あらゆる分野の料理の店が揃った高級レストラン街がある。
コンサートや演劇などにも使えそうな、イベントスペースもある。
ビジネス街のように企業が入っている階層もある。
高級ホテルになっている一角もある。
分譲で買ったら確実に億ション級であろう、豪奢なマンションが占めている部分もある。
(どうやら実際には賃貸になっているようだが、いったい家賃がどれほどになるのか想像もつかない)
和洋中、あらゆる分野の料理の店が揃った高級レストラン街がある。
コンサートや演劇などにも使えそうな、イベントスペースもある。
ビジネス街のように企業が入っている階層もある。
高級ホテルになっている一角もある。
分譲で買ったら確実に億ション級であろう、豪奢なマンションが占めている部分もある。
(どうやら実際には賃貸になっているようだが、いったい家賃がどれほどになるのか想像もつかない)
とにかく思いつくだけの機能を1つの敷地の中に詰め込んでみた。そんな印象である。
鮮花にしてみれば、これだけの敷地面積があるのだ。
マンションはマンション、ビジネスはビジネス、百貨店は百貨店、と個別に建てた方がマシな気がするのだが。
鮮花にしてみれば、これだけの敷地面積があるのだ。
マンションはマンション、ビジネスはビジネス、百貨店は百貨店、と個別に建てた方がマシな気がするのだが。
「……何より困るのは、同じ建物なのに、管理が機能ごとに別々なんですよね。ここ」
誰も聞いていないのを承知の上で、鮮花は小さく愚痴を漏らす。
そう――これらの多機能施設の性格ゆえに、鮮花の思惑は出だしからつまづいてしまったのだった。
そう――これらの多機能施設の性格ゆえに、鮮花の思惑は出だしからつまづいてしまったのだった。
当初鮮花は、『守衛室』、あるいはそれに類する機能のある部屋を探すつもりだった。
防犯カメラを利用できれば、広い建物を一挙に把握できる。他の参加者が居たとしても、すぐ見つけられる。
そうすれば不意打ちでも何でも思うがまま。……そう、思っていたのだが。
防犯カメラを利用できれば、広い建物を一挙に把握できる。他の参加者が居たとしても、すぐ見つけられる。
そうすれば不意打ちでも何でも思うがまま。……そう、思っていたのだが。
実際に少し調べてみて、その考えは儚く潰えてしまった。
一言で言えば、この広大な設備を一括管理する守衛室のような部屋は、そもそも存在しないのだ。
一言で言えば、この広大な設備を一括管理する守衛室のような部屋は、そもそも存在しないのだ。
百貨店にも似たショッピング街を管理している部分は、ある。
マンション部分にも、管理人室はある。
ビジネスフロアの管理室もあるし、ホテルにも警備のための部屋がある。
しかし、それぞれが独立している。それぞれに管理の系統が異なっている。
互いの管理室は相互に連絡が取れるようになっているようだが、しかし人っ子1人居ない今、意味はない。
マンション部分にも、管理人室はある。
ビジネスフロアの管理室もあるし、ホテルにも警備のための部屋がある。
しかし、それぞれが独立している。それぞれに管理の系統が異なっている。
互いの管理室は相互に連絡が取れるようになっているようだが、しかし人っ子1人居ない今、意味はない。
考えてみれば当然のことではある。
そもそも、それぞれに機能も目的も違うのだ。
無理に一極集中させるより、それぞれの部署が別個に管理した方が早いし便利だ。
また一箇所に集めてしまえば、何かあった時に全ての機能が一挙に損なわれる。分散した方が安全なのだ。
相互の連携さえ確保しておけば、運営していく上で、そう困ることもない。
そもそも、それぞれに機能も目的も違うのだ。
無理に一極集中させるより、それぞれの部署が別個に管理した方が早いし便利だ。
また一箇所に集めてしまえば、何かあった時に全ての機能が一挙に損なわれる。分散した方が安全なのだ。
相互の連携さえ確保しておけば、運営していく上で、そう困ることもない。
困るのは、手軽に建物の全体像を押さえたい侵入者……例えば鮮花のような者。
低層階のショッピングゾーンを管理する管理室の中で、鮮花はしぶしぶ決断する。
低層階のショッピングゾーンを管理する管理室の中で、鮮花はしぶしぶ決断する。
「となると……ココに拘るだけ無駄ですかね。諦めて次に行きましょうか」
そもそも、マンションやホテルの部分は、居住者のプライバシーも考え、元から監視に穴がある。
監視カメラが設置されているのは、せいぜい廊下などの共用部分だけだ。部屋の内部までは見えはしない。
そんな所に他の参加者が隠れていたら探しようがないわけで、しかし1つ1つ見て回るほどの時間もない。
この会場にある施設は、この摩天楼1つではないのだ。
少なくとも低層階のショッピングエリアには「今は」誰もいない、という辺りで妥協すべきだろう。
今は特に必要とする物資もないし、もうここには用はない。
監視カメラが設置されているのは、せいぜい廊下などの共用部分だけだ。部屋の内部までは見えはしない。
そんな所に他の参加者が隠れていたら探しようがないわけで、しかし1つ1つ見て回るほどの時間もない。
この会場にある施設は、この摩天楼1つではないのだ。
少なくとも低層階のショッピングエリアには「今は」誰もいない、という辺りで妥協すべきだろう。
今は特に必要とする物資もないし、もうここには用はない。
「もし誰か居たとしても、上のほうで引きこもっててくれるのなら、邪魔にもならないでしょうしね」
従業員用の廊下を早足で歩きながら、黒桐鮮花は呟く。
そう。
彼女の目的は、実の兄であり、また片思いを寄せる対象でもある黒桐幹也の生存率を上げることだ。
禁断の愛と分かっていても断ち切れぬ、その想いに殉じることだ。
黒桐幹也という青年は冴えない外見に反し、それなりに頭も回るし要領も悪くない。
そう簡単に殺されたりはしないと思うが、それでも鮮花に出来ることはあるはずだ。
そう。
彼女の目的は、実の兄であり、また片思いを寄せる対象でもある黒桐幹也の生存率を上げることだ。
禁断の愛と分かっていても断ち切れぬ、その想いに殉じることだ。
黒桐幹也という青年は冴えない外見に反し、それなりに頭も回るし要領も悪くない。
そう簡単に殺されたりはしないと思うが、それでも鮮花に出来ることはあるはずだ。
例えば、幹也を殺すかもしれない、勝ち残り狙いの危険人物を排除しておくとか。
例えば、幹也の足手まといになるかもしれない、何の役にも立ちそうにない弱者を排除しておくとか。
例えば、幹也をの好奇心を刺激してしまうかもしれない、面白そうな背景のある人を排除しておくとか。
例えば、幹也の足手まといになるかもしれない、何の役にも立ちそうにない弱者を排除しておくとか。
例えば、幹也をの好奇心を刺激してしまうかもしれない、面白そうな背景のある人を排除しておくとか。
……どうにも思考がバイオレンスだ。
そして狐面の男の言葉に素直に乗せられたような格好で、なんともすっきりしない。
摩天楼の裏口の1つに当たる、従業員用の扉を開いて外に歩き出しながら、鮮花は首を振る。
そして狐面の男の言葉に素直に乗せられたような格好で、なんともすっきりしない。
摩天楼の裏口の1つに当たる、従業員用の扉を開いて外に歩き出しながら、鮮花は首を振る。
「……だって、仕方がないじゃない。
ここにいる時点で、私たちは既に、完膚なきまでに『負けて』るんだから」
ここにいる時点で、私たちは既に、完膚なきまでに『負けて』るんだから」
あくまで前向きに歩を進めながらも、口調が愚痴めいたものになることは否めない。
そうなのだ。自分たちは、既に『負けて』いるのだ。
この大前提を忘れてはいけない。
そうなのだ。自分たちは、既に『負けて』いるのだ。
この大前提を忘れてはいけない。
ここにこうして居るということは、普通に考えれば誘拐されてきたということ。
それはつまり、曲がりなりにも魔術を身に刻んだ自分が、敗北を喫したということ。
いや、これはただの敗北ではない。
完敗だ。
身体には抵抗の跡1つ残っておらず、前後の記憶すらも曖昧。
おそらく記憶は「消された」のだろう。これでは敗北を糧に反撃の糸口を探すことすらできない。
そして、一旦は取り上げられたのであろう『火蜥蜴の皮手袋』が、こうして手元に戻ってきているという事実。
単にクジ運が良かったのか、それとも、狐面の男たちの作為的な操作なのかは分からない。
だがどちらにせよ、鮮花にこの手袋が戻ったところで、イベントを覆すような脅威にはなりえない――
そう判断されたのは確かだった。
それはつまり、曲がりなりにも魔術を身に刻んだ自分が、敗北を喫したということ。
いや、これはただの敗北ではない。
完敗だ。
身体には抵抗の跡1つ残っておらず、前後の記憶すらも曖昧。
おそらく記憶は「消された」のだろう。これでは敗北を糧に反撃の糸口を探すことすらできない。
そして、一旦は取り上げられたのであろう『火蜥蜴の皮手袋』が、こうして手元に戻ってきているという事実。
単にクジ運が良かったのか、それとも、狐面の男たちの作為的な操作なのかは分からない。
だがどちらにせよ、鮮花にこの手袋が戻ったところで、イベントを覆すような脅威にはなりえない――
そう判断されたのは確かだった。
そのことに腹が立たないと言ったら嘘になる。
そのことに落胆しないと言ったら嘘になる。
だがそれはそれとして、もうこの時点で、このゲーム自体に反抗する、という発想は消えて失せるのだった。
そのことに落胆しないと言ったら嘘になる。
だがそれはそれとして、もうこの時点で、このゲーム自体に反抗する、という発想は消えて失せるのだった。
禁断の愛を叶えるための布石として、仮病を使って実家を離れるような真似までする鮮花だ。
勝算のない勝負は、彼女の流儀ではない。
負けん気の強い性格は、決して猪突猛進を意味しない。
取っ掛かりすら見えない「反抗」という希望に、自分と兄、2人の命を賭けるつもりはさらさらないのだった。
勝算のない勝負は、彼女の流儀ではない。
負けん気の強い性格は、決して猪突猛進を意味しない。
取っ掛かりすら見えない「反抗」という希望に、自分と兄、2人の命を賭けるつもりはさらさらないのだった。
それはもちろん、兄と2人、手を取り合ってこの悪趣味なゲームを飛び出せるに越したことはない。
越したことはないが……狐面の男に嘘を言う理由がない以上、それはまず無理なのだろう。
そして無理ならば、次善策を採るしかない。
できることならこの戦場で、兄と自分とで最後のアダムとイブになって、
散々いちゃついて本懐を遂げてから終わりを迎えたいところだが……
まあ、それも「もし可能なら」だ。無理してまで狙うものでもない。
越したことはないが……狐面の男に嘘を言う理由がない以上、それはまず無理なのだろう。
そして無理ならば、次善策を採るしかない。
できることならこの戦場で、兄と自分とで最後のアダムとイブになって、
散々いちゃついて本懐を遂げてから終わりを迎えたいところだが……
まあ、それも「もし可能なら」だ。無理してまで狙うものでもない。
「さて……ここからどっちに行こうかな」
夜の街をただ歩いてきた彼女は、太い道路を目の前に、少しだけ考える。
摩天楼からなんとなく北上してきて、今は、地図の上ではD-5に相当するエリアなのだろうか。
三角州の突端あたり、ちょうど幹線道路が鈍角に曲がっているあたりである。
水族館や灯台に行く積極的な理由はなかったし、「漠然と中央の方」、と思ってここまで来たが……。
摩天楼からなんとなく北上してきて、今は、地図の上ではD-5に相当するエリアなのだろうか。
三角州の突端あたり、ちょうど幹線道路が鈍角に曲がっているあたりである。
水族館や灯台に行く積極的な理由はなかったし、「漠然と中央の方」、と思ってここまで来たが……。
声が聞こえてきたのは、ちょうどそんなことを考えていた時だった。
『――この舞台に呼ばれた者達よ、聞こえるか?
我が名は『我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)』とでも記憶しておけ――』
我が名は『我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)』とでも記憶しておけ――』
――黒桐鮮花の顔に、歪んだ笑みが張り付くように浮かび上がった。
もちろんこんな安っぽい挑発に、乗ってやるつもりなどない。
こいつが勝手に『敵』を減らしてくれるなら、鮮花としてもそれに越したことはないのだ。
兄の幹也も、この手合いに関わるような性格ではないし、多分たいした影響は受けないだろう。
だが、この状況は利用できるかもしれない。
集まってくる連中を狙うもよし、あるいは、『城方面』はコイツに任せて、別の方向に向かってもよし……?
こいつが勝手に『敵』を減らしてくれるなら、鮮花としてもそれに越したことはないのだ。
兄の幹也も、この手合いに関わるような性格ではないし、多分たいした影響は受けないだろう。
だが、この状況は利用できるかもしれない。
集まってくる連中を狙うもよし、あるいは、『城方面』はコイツに任せて、別の方向に向かってもよし……?
【D-5/三角州上・幹線道路の路上/日目・深夜】
【黒桐鮮花@空の境界】
[状態]:健康
[装備]:火蜥蜴の革手袋@空の境界
[道具]: デイパック、支給品一式
[思考・状況]
基本:黒桐幹也以外皆殺し
1:少なくとも拡声器による挑発(ステイルの声)は、直接的には相手をしない。でも……?
【黒桐鮮花@空の境界】
[状態]:健康
[装備]:火蜥蜴の革手袋@空の境界
[道具]: デイパック、支給品一式
[思考・状況]
基本:黒桐幹也以外皆殺し
1:少なくとも拡声器による挑発(ステイルの声)は、直接的には相手をしない。でも……?
[備考]
※「忘却録音」終了後からの参戦
※「忘却録音」終了後からの参戦
◇ ◇ ◇
【共通問題】
摩天楼について、思うところを書きなさい。
摩天楼について、思うところを書きなさい。
■玖渚友さん(青色、女性)の答え
「六本木ヒルズや東京ミッドタウンみたいなスタイルの建物だね。
つまり職住近接。施設1つで全てがまかなえる構造にして、生活を効率化しようっていう発想。
ビジネスの最突端では、一分一秒の差で数億・数兆ものお金が動くことがあるからね。
『いざという時』にも瞬時に対応できる『かもしれない』、という『安心』に大金を払う人は必ずいるんだよ。
(僕様ちゃんなんかは回線を確保しとけばそれで済む気がしちゃうんだけど、それはそれとして、ね)
もちろん、眺めの良さや生活の便利さ、ステータスシンボルとしてこーゆートコに住みたがる人もいるね。
あと、観光や商業の機能も備えることで、どれかが厳しくなっても他で支えられる。経営的にも柔軟なんだ。
テレビ局の移転とか、省庁の跡地とか、広い土地を大きく使える大規模再開発ならではだよね。
ちなみに計画の裏にいるのは、玖渚機関よりも四神一鏡の方なんだよ。表には名前出てこないけど。
僕様ちゃんたちはどっちかっつーと使う方。お金儲けとかあんまり興味ないし。
もし東京に数週間ほど滞在する用事があったら、レジデンスの最上階とか取ることになるんじゃないかなー。
今いるココみたいにね。うにゃうにゃ」
「六本木ヒルズや東京ミッドタウンみたいなスタイルの建物だね。
つまり職住近接。施設1つで全てがまかなえる構造にして、生活を効率化しようっていう発想。
ビジネスの最突端では、一分一秒の差で数億・数兆ものお金が動くことがあるからね。
『いざという時』にも瞬時に対応できる『かもしれない』、という『安心』に大金を払う人は必ずいるんだよ。
(僕様ちゃんなんかは回線を確保しとけばそれで済む気がしちゃうんだけど、それはそれとして、ね)
もちろん、眺めの良さや生活の便利さ、ステータスシンボルとしてこーゆートコに住みたがる人もいるね。
あと、観光や商業の機能も備えることで、どれかが厳しくなっても他で支えられる。経営的にも柔軟なんだ。
テレビ局の移転とか、省庁の跡地とか、広い土地を大きく使える大規模再開発ならではだよね。
ちなみに計画の裏にいるのは、玖渚機関よりも四神一鏡の方なんだよ。表には名前出てこないけど。
僕様ちゃんたちはどっちかっつーと使う方。お金儲けとかあんまり興味ないし。
もし東京に数週間ほど滞在する用事があったら、レジデンスの最上階とか取ることになるんじゃないかなー。
今いるココみたいにね。うにゃうにゃ」
■教師のコメント
ほぼパーフェクトな解答です。
『職住近接』、『大規模再開発』、『経営の柔軟性』など、大事なキーワードが漏れずに入っていますね。
しかし、四神一鏡とかいった裏事情、ここに書いてしまっていいのでしょうか?
先生まだ消されたくはありません。
ほぼパーフェクトな解答です。
『職住近接』、『大規模再開発』、『経営の柔軟性』など、大事なキーワードが漏れずに入っていますね。
しかし、四神一鏡とかいった裏事情、ここに書いてしまっていいのでしょうか?
先生まだ消されたくはありません。
◇ ◇ ◇
この摩天楼、と地図上に記されている建物は、それ自体が複合施設であり、複合都市である。
職。住。遊。
オフィス、ホテルやマンション、ショッピングやレストラン。
それぞれに高い機能と専門性を保ちつつ、相互に影響を与え合うことで、新しい価値が生み出される。
街の中に聳え立つ2本の摩天楼。
ここには、あたらしい時代の都市がある。あたらしい生活の提案がある。
職。住。遊。
オフィス、ホテルやマンション、ショッピングやレストラン。
それぞれに高い機能と専門性を保ちつつ、相互に影響を与え合うことで、新しい価値が生み出される。
街の中に聳え立つ2本の摩天楼。
ここには、あたらしい時代の都市がある。あたらしい生活の提案がある。
◇
環境は、全てにとって大事。
働く上での活力になり、暮らす上での潤いになり、遊ぶ上での楽しみとなる。
働く上での活力になり、暮らす上での潤いになり、遊ぶ上での楽しみとなる。
敷地内に広く取られたガーデンエリアは、都市の中にぽっかり開けた緑のオアシス。
青々と茂る芝生の上には、寝転んでもよし。お弁当を広げてもよし。
週末には野外イベントも開かれることもあるのだろう。
木々の間を抜ける散歩道には、小川が心地よいせせらぎの音を響かせる。
そして、野外のあちこちに点在するオブジェや彫像。
これらもまた、この都市を構成する大事なパーツなのだ。
青々と茂る芝生の上には、寝転んでもよし。お弁当を広げてもよし。
週末には野外イベントも開かれることもあるのだろう。
木々の間を抜ける散歩道には、小川が心地よいせせらぎの音を響かせる。
そして、野外のあちこちに点在するオブジェや彫像。
これらもまた、この都市を構成する大事なパーツなのだ。
◇
横に大きく広がった低層階は、主にショッピングのエリアとなっている。
開かれた都市、のイメージで、庭園へのアクセスも多く取られており、天井は高く開放的。
外部からの買い物客が多く来ることを見越して、通路も広く余裕が取られている。
開かれた都市、のイメージで、庭園へのアクセスも多く取られており、天井は高く開放的。
外部からの買い物客が多く来ることを見越して、通路も広く余裕が取られている。
入っている店も、多岐に渡る。
ファッション関係の有名ブランド店。紳士物から女性向け、カジュアルからフォーマル、子供向けまで。
衣類のみならず、靴。帽子。時計。宝飾品。カバン。眼鏡。ベルトにネクタイ。その他もろもろ。
スタイリッシュなアイテムを揃えた高級店の数々は、一箇所に集められることで相乗効果を発揮。
この摩天楼の低層階を巡るだけで、最新流行のアイテムを揃えることができる。
ファッション関係の有名ブランド店。紳士物から女性向け、カジュアルからフォーマル、子供向けまで。
衣類のみならず、靴。帽子。時計。宝飾品。カバン。眼鏡。ベルトにネクタイ。その他もろもろ。
スタイリッシュなアイテムを揃えた高級店の数々は、一箇所に集められることで相乗効果を発揮。
この摩天楼の低層階を巡るだけで、最新流行のアイテムを揃えることができる。
ファッションのみならず、各種の生活雑貨。家具。ステーショナリー。本屋に音楽ショップ。
食料品や惣菜、酒や珍味を扱う店もあるし、片隅にはコンビニエンスストアまである。
高級食材をズラリと並べたスーパーも壮観だ。
郵便局やエステ、美容室なども揃っているし、一角にはクリニックや歯医者まで入っている。
かさむ出費を支えられるのならば、この施設だけで本気で完全に生活が成立するのだ。
食料品や惣菜、酒や珍味を扱う店もあるし、片隅にはコンビニエンスストアまである。
高級食材をズラリと並べたスーパーも壮観だ。
郵便局やエステ、美容室なども揃っているし、一角にはクリニックや歯医者まで入っている。
かさむ出費を支えられるのならば、この施設だけで本気で完全に生活が成立するのだ。
もちろん、食事ができる店も豊富で豪華。
和食だけでも、寿司に蕎麦に懐石料理、鉄板焼きにとんかつに、天麩羅おでんに鍋料理。
洋食フレンチ中華にイタリアン、韓国料理にベトナム料理。本格インドカレーに無国籍創作料理。
そのどれもが一流シェフを抱えた一流の名店で、値段も高いが間違いなく美味い。
もちろん、軽食やカフェの店も豊富だ。
コーヒー専門店の他にも、ケーキやドーナツの専門店、和菓子の店、ベーカリー。
毎日ここで外食を続けたとしても飽きが来ないほどの店が揃っている。
ここで暮らす人、ここで働く人、ここで買い物をする人。
それらの胃袋を等しく満たし支えるのが、このレストラン街なのだ。
和食だけでも、寿司に蕎麦に懐石料理、鉄板焼きにとんかつに、天麩羅おでんに鍋料理。
洋食フレンチ中華にイタリアン、韓国料理にベトナム料理。本格インドカレーに無国籍創作料理。
そのどれもが一流シェフを抱えた一流の名店で、値段も高いが間違いなく美味い。
もちろん、軽食やカフェの店も豊富だ。
コーヒー専門店の他にも、ケーキやドーナツの専門店、和菓子の店、ベーカリー。
毎日ここで外食を続けたとしても飽きが来ないほどの店が揃っている。
ここで暮らす人、ここで働く人、ここで買い物をする人。
それらの胃袋を等しく満たし支えるのが、このレストラン街なのだ。
◇
横に広がった低層階からは、東西2本の巨大な高層ビルディングが聳え立っている。
西側に立つ『西棟』は、主にオフィスとホテルのための空間となっている。
西側に立つ『西棟』は、主にオフィスとホテルのための空間となっている。
西棟の中層階あたりまでは、オフィスゾーンとなっている。
開放的なエントランス。イベントや国際会議にも使える大型ロビー。
最先端のビジネスを支える様々な設備に、恵まれた交通アクセス。
いくつもの一流企業が拠点を構える、新たなビジネススポットとなっている。
開放的なエントランス。イベントや国際会議にも使える大型ロビー。
最先端のビジネスを支える様々な設備に、恵まれた交通アクセス。
いくつもの一流企業が拠点を構える、新たなビジネススポットとなっている。
◇
西棟の上層階は高級ホテル、および観光用のスペースとなっている。
優れた展望と至れり尽くせりの誠意あるサービス。
眼下にはこの辺り一帯の街並みが広がり、川の向こうには城が一望できる。その向こうには美しい山並み。
最上級の景色を独り占めしながら、最上級のおもてなしを受ける。実に贅沢な時間を過ごせる場所。
もちろんホテルにはその格に見合ったレストランも付属しており、最高のディナーを楽しめる。
優れた展望と至れり尽くせりの誠意あるサービス。
眼下にはこの辺り一帯の街並みが広がり、川の向こうには城が一望できる。その向こうには美しい山並み。
最上級の景色を独り占めしながら、最上級のおもてなしを受ける。実に贅沢な時間を過ごせる場所。
もちろんホテルにはその格に見合ったレストランも付属しており、最高のディナーを楽しめる。
そして最上階は、ホテルとはまた独立した展望スペースとなっている。
観光施設としての側面も持つ、この摩天楼の目玉の1つ。
もちろん、コイン式の双眼鏡なども随所に設置されている。
ちなみに、ホテルはホテル専用の、展望室は展望室専用のエレベーターがあり、1階まで直通。
ショッピングやビジネスの方とは人の動線が重ならないようにして、それぞれの快適さを保っている。
観光施設としての側面も持つ、この摩天楼の目玉の1つ。
もちろん、コイン式の双眼鏡なども随所に設置されている。
ちなみに、ホテルはホテル専用の、展望室は展望室専用のエレベーターがあり、1階まで直通。
ショッピングやビジネスの方とは人の動線が重ならないようにして、それぞれの快適さを保っている。
◇
対になる東棟、もう1本の高層ビルは、ほぼ丸ごと全て最高級の賃貸マンションとなっている。
入居者の生活スタイルや家族の人数に合わせ、大小様々な部屋で数百戸。
西棟のオフィスのみならず、周辺に建つビルで働く人が入居することも視野に入れての規模である。
セキュリティ面での配慮も万全で、下層階のショッピングエリアに来た客が迷い込むようなこともない。
窓やベランダの位置を工夫することで、西棟側から私生活を覗かれないような配慮もしてある。
入居者の生活スタイルや家族の人数に合わせ、大小様々な部屋で数百戸。
西棟のオフィスのみならず、周辺に建つビルで働く人が入居することも視野に入れての規模である。
セキュリティ面での配慮も万全で、下層階のショッピングエリアに来た客が迷い込むようなこともない。
窓やベランダの位置を工夫することで、西棟側から私生活を覗かれないような配慮もしてある。
大きな吹き抜けのホールに、生活を支える数々の施設。
地下駐車場にトランクルーム、住人専用フィットネススタジオ。
ハウスキーピングサービスやシェフの出張料理サービスなどは、西棟に入っているホテルが提供。
利便性とホスピタリティを両立させた、まさにラグジュアリーレジデンス。
地下駐車場にトランクルーム、住人専用フィットネススタジオ。
ハウスキーピングサービスやシェフの出張料理サービスなどは、西棟に入っているホテルが提供。
利便性とホスピタリティを両立させた、まさにラグジュアリーレジデンス。
ちなみに、上層の階に行くに従って戸数は減り、一戸辺りの床面積は増えていく。
最上階に至っては、最高の展望と丸々1フロアを共に一戸で独占するという、超・贅沢設計だ。
そして、その、最も豪勢な部屋の最も豪華な、しかし意外にもシンプルな寝室では……。
最上階に至っては、最高の展望と丸々1フロアを共に一戸で独占するという、超・贅沢設計だ。
そして、その、最も豪勢な部屋の最も豪華な、しかし意外にもシンプルな寝室では……。
◇
窓の外から、声が聞こえてくる。
『――この舞台に呼ばれた者達よ、聞こえるか?
我が名は『我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)』とでも記憶しておけ――』
我が名は『我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)』とでも記憶しておけ――』
――けれども、青色は一顧だにしなかった。
黒桐鮮花がスタートを切った西棟展望台とは異なる、「摩天楼のもう1つの最上階」。
東棟の最高級マンションの最高の部屋。その中でも一番居心地のいい寝室にて。
黒桐鮮花がスタートを切った西棟展望台とは異なる、「摩天楼のもう1つの最上階」。
東棟の最高級マンションの最高の部屋。その中でも一番居心地のいい寝室にて。
玖渚友は、寝息を立てていた。
【E-5/摩天楼東棟・最上階(超高級マンション)/1日目・深夜】
【玖渚友@戯言シリーズ】
[状態]:健康、睡眠中
[装備]:なし
[道具]:デイパック、基本支給品、五号@キノの旅
[思考・状況]
基本:いーちゃんらぶ♪ はやくおうちに帰りたいんだよ。
1:いーちゃんが来るまで寝る。ぐーぐー。
[備考]
※登場時期は「ネコソギラジカル(下) 第二十三幕――物語の終わり」より後。
【玖渚友@戯言シリーズ】
[状態]:健康、睡眠中
[装備]:なし
[道具]:デイパック、基本支給品、五号@キノの旅
[思考・状況]
基本:いーちゃんらぶ♪ はやくおうちに帰りたいんだよ。
1:いーちゃんが来るまで寝る。ぐーぐー。
[備考]
※登場時期は「ネコソギラジカル(下) 第二十三幕――物語の終わり」より後。
※ステイルの挑発には、何の反応も示しませんでした。
そもそも挑発自体に気付かなかったのか、それとも気付いた上で無視したのか、現時点では不明です。
そもそも挑発自体に気付かなかったのか、それとも気付いた上で無視したのか、現時点では不明です。
◇ ◇ ◇
【共通問題】
摩天楼について、思うところを書きなさい。
摩天楼について、思うところを書きなさい。
■白井黒子さん(中学生、女性)の答え
「なんとも古臭い都市計画の産物ですわね。21世紀初頭に流行ったとは聞きますが。
そもそも、過去の成功例にしたって、計画が優れていたというより立地条件に恵まれすぎですわ。
あれで成功してなければ、関係者は腹でも切るしかないでしょう。それくらいの好条件です。
で、ざっと見たところ……
この摩天楼のあたり一帯は確かにビジネス街とはいえ、都心の一等地と比べれば数段劣るようです。
この土地にこういうモノを建てても、おそらく採算は取れないのではないでしょうか。
まあわたくしも第三種経済の授業でちょっと齧った程度の学生ですから、断言まではできませんけれど」
「なんとも古臭い都市計画の産物ですわね。21世紀初頭に流行ったとは聞きますが。
そもそも、過去の成功例にしたって、計画が優れていたというより立地条件に恵まれすぎですわ。
あれで成功してなければ、関係者は腹でも切るしかないでしょう。それくらいの好条件です。
で、ざっと見たところ……
この摩天楼のあたり一帯は確かにビジネス街とはいえ、都心の一等地と比べれば数段劣るようです。
この土地にこういうモノを建てても、おそらく採算は取れないのではないでしょうか。
まあわたくしも第三種経済の授業でちょっと齧った程度の学生ですから、断言まではできませんけれど」
■教師のコメント
これはまた辛辣なご意見ですね。
周囲より2、30年は技術の進んでいるという学園都市から見たらそういう評価になってしまうのでしょうか。
……それにしても、第三種経済なんてマニアックな選択授業を取っていることに先生は驚きです。
これはまた辛辣なご意見ですね。
周囲より2、30年は技術の進んでいるという学園都市から見たらそういう評価になってしまうのでしょうか。
……それにしても、第三種経済なんてマニアックな選択授業を取っていることに先生は驚きです。
◇ ◇ ◇
質量の上限、130.7kg。
飛距離の上限、81.5m。
ただし、どちらも上限近くになると精度が落ちる。
距離と質量の間に因果関係はなく、対象が軽いからといって精度が上がるわけではない。
また複雑な計算を要する関係上、その時の精神状態によって能力は大きく変化する。
ぶっちゃけてしまえば、激痛や動揺によって能力が使用できなくなることがある――。
これが、白井黒子の『能力』、『空間移動(テレポート)』に課せられた限界である。
飛距離の上限、81.5m。
ただし、どちらも上限近くになると精度が落ちる。
距離と質量の間に因果関係はなく、対象が軽いからといって精度が上がるわけではない。
また複雑な計算を要する関係上、その時の精神状態によって能力は大きく変化する。
ぶっちゃけてしまえば、激痛や動揺によって能力が使用できなくなることがある――。
これが、白井黒子の『能力』、『空間移動(テレポート)』に課せられた限界である。
彼女は日々努力を重ね、この能力の上限を上げようと勉強と開発に専念しているわけだが。
今の『大能力(レベル4)』から、御坂美琴と並ぶ『超能力(レベル5)』になる日を夢見ているわけだが。
同時に、一朝一夕のうちにこの数値が上がるとも思っていない。
気合1つでレベルを上げられるなら、学園都市の誰も苦労などしやしない。
だから、この能力値を元に、考えていかねばならない。
何をして、どう立ち回るのか、考えていかねばならない。
今の『大能力(レベル4)』から、御坂美琴と並ぶ『超能力(レベル5)』になる日を夢見ているわけだが。
同時に、一朝一夕のうちにこの数値が上がるとも思っていない。
気合1つでレベルを上げられるなら、学園都市の誰も苦労などしやしない。
だから、この能力値を元に、考えていかねばならない。
何をして、どう立ち回るのか、考えていかねばならない。
「最大に見積もっても、『あと1人』、ですわね……」
「……?」
「……?」
夜の街を連続して転移移動しながら、白井黒子は小さく呟いた。
小脇に抱えた格好のティーが不思議そうな目で見上げるが、詳しい説明をするのも手間だ。ほうっておく。
小脇に抱えた格好のティーが不思議そうな目で見上げるが、詳しい説明をするのも手間だ。ほうっておく。
ほぼ130キログラム、という壁。
正確な転移と微調整のためには、自分自身も一緒に飛ぶのが一番確実な方法だ。でないと事故が怖い。
だから、ここから自分の体重を差し引いて……
乙女の名誉に賭けて体重の数値は伏せるにしても、残りは成人男性1人分+α。女性や子供なら2人分。
100kgオーバーの高度肥満者や巨漢は、既にそれだけで彼女の手に余ってしまう。
正確な転移と微調整のためには、自分自身も一緒に飛ぶのが一番確実な方法だ。でないと事故が怖い。
だから、ここから自分の体重を差し引いて……
乙女の名誉に賭けて体重の数値は伏せるにしても、残りは成人男性1人分+α。女性や子供なら2人分。
100kgオーバーの高度肥満者や巨漢は、既にそれだけで彼女の手に余ってしまう。
だから、最大に見積もっても『あと1人』。
ティーは小さいし、黒子自身もどちらかと言えば小柄な方だ。ゆえにごく普通の成人男性くらいは何とかなる。
だが、それでもあと1人が限界だ。
白井黒子が保護し、共に『空間移動』で転移することができるのは、あと1人まで。
それも、心身共に最高のコンディションを保ち、持てる能力が万全に発揮できるのなら、である。
ティーは小さいし、黒子自身もどちらかと言えば小柄な方だ。ゆえにごく普通の成人男性くらいは何とかなる。
だが、それでもあと1人が限界だ。
白井黒子が保護し、共に『空間移動』で転移することができるのは、あと1人まで。
それも、心身共に最高のコンディションを保ち、持てる能力が万全に発揮できるのなら、である。
元々、逃げに徹すれば相当に強い能力である。
自由にテレポートを繰り返す彼女を捕らえられる者は、そう居ないだろう。
だが、彼女の性格と使命感が、弱者を見捨てることを許さない。安易な選択肢を、選ばせない。
自由にテレポートを繰り返す彼女を捕らえられる者は、そう居ないだろう。
だが、彼女の性格と使命感が、弱者を見捨てることを許さない。安易な選択肢を、選ばせない。
ティーを信頼できる誰かに預けて、身軽になりたい――白井黒子は、すこしだけそんな風に思う。
もちろん、今ここでティーを見捨てる気はない。
彼女もまた、全力を挙げて保護せねばならない対象だ。
けれど自分の能力を最大限に発揮しようと思ったら、やはり1人で動くのが一番なのだ。
もちろん、今ここでティーを見捨てる気はない。
彼女もまた、全力を挙げて保護せねばならない対象だ。
けれど自分の能力を最大限に発揮しようと思ったら、やはり1人で動くのが一番なのだ。
信頼できて、それなりの実力があって、ティーやその他の弱者を預けることの出来るような『仲間』。
これから何をするにも、これが必要だ。
御坂美琴や上条当麻はまさに適任だし、ティーの旅のパートナーだというシズや陸でもいいかもしれない。
いかに強力な『能力』を持っていようと、白井黒子1人ではやれることに限界があるのだ。
これから何をするにも、これが必要だ。
御坂美琴や上条当麻はまさに適任だし、ティーの旅のパートナーだというシズや陸でもいいかもしれない。
いかに強力な『能力』を持っていようと、白井黒子1人ではやれることに限界があるのだ。
「とはいえ……その『仲間』を探すアテがないのですけれど、ね」
軽く愚痴っている間にも、彼女たちは摩天楼の正面入り口に到着する。
1回の跳躍の限界距離は80メートル程度だが、連続して跳躍することで高速での移動が可能。
時速に換算して、最大で288キロ。それでいて空気抵抗を受けることも、慣性を感じることもない。
今回は相当に抑えて『跳んだ』からそこまでの速度はないが、それでもこの程度の距離、あっという間だ。
周囲を見回し、来訪者用に掲示されている地図を見つけると、その眼前に再度跳躍する。
1回の跳躍の限界距離は80メートル程度だが、連続して跳躍することで高速での移動が可能。
時速に換算して、最大で288キロ。それでいて空気抵抗を受けることも、慣性を感じることもない。
今回は相当に抑えて『跳んだ』からそこまでの速度はないが、それでもこの程度の距離、あっという間だ。
周囲を見回し、来訪者用に掲示されている地図を見つけると、その眼前に再度跳躍する。
ざっと地図と照らし合わせて確認したところ、この摩天楼には2つのタワー部分があるようだ。
西側がビジネス・ホテルの棟。東側が賃貸マンションの棟。
西棟最上階には展望室があるということだし、そこから周囲を見渡した方が良いだろうか。
東棟の最上階でもいいかもしれない。さてどっちに行ったものやら。
西側がビジネス・ホテルの棟。東側が賃貸マンションの棟。
西棟最上階には展望室があるということだし、そこから周囲を見渡した方が良いだろうか。
東棟の最上階でもいいかもしれない。さてどっちに行ったものやら。
声が聞こえてきたのは、ちょうどそんなことを考えていた時だった。
『――この舞台に呼ば――者達よ、聞こ――か?
我が名は『我が――最強である理由――こに証――る(Fortis931)』とで――憶しておけ――』
我が名は『我が――最強である理由――こに証――る(Fortis931)』とで――憶しておけ――』
――白井黒子の顔に、困惑の表情が浮かんだ。
どこか遠くで、誰かが挑戦状を読み上げている。ノイズ交じりのこの声は、拡声器でも使っているのだろうか。
だがビル群や複雑な摩天楼内部で反響して、距離も方向も判然としない。内容も途切れ途切れだ。
さて、どうしたものだろう。
捨て置いていいものか、探すべきか、それとも……。
だがビル群や複雑な摩天楼内部で反響して、距離も方向も判然としない。内容も途切れ途切れだ。
さて、どうしたものだろう。
捨て置いていいものか、探すべきか、それとも……。
【E-5/摩天楼・正面入り口/一日目・深夜】
【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[装備]:グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ、地虫十兵衛の槍@甲賀忍法帖
[道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品0~1
[思考]
基本:ギリギリまで「殺し合い以外の道」を模索する。
1:当面、ティー(とシャミセン)を保護する。可能ならば、シズか(もし居るなら)陸と会わせてやりたい。
2:できれば御坂美琴か上条当麻と合流したい。美琴や当麻でなくとも、信頼できる味方を増やしたい。
3:拡声器越しの声を探す? それとも、西棟最上階展望室に上がって辺りを見回す? あるいは……。
【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[装備]:グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ、地虫十兵衛の槍@甲賀忍法帖
[道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品0~1
[思考]
基本:ギリギリまで「殺し合い以外の道」を模索する。
1:当面、ティー(とシャミセン)を保護する。可能ならば、シズか(もし居るなら)陸と会わせてやりたい。
2:できれば御坂美琴か上条当麻と合流したい。美琴や当麻でなくとも、信頼できる味方を増やしたい。
3:拡声器越しの声を探す? それとも、西棟最上階展望室に上がって辺りを見回す? あるいは……。
[備考]:
※『空間移動(テレポート)』の能力が少し制限されている可能性があります。
現時点では、彼女自身にもストレスによる能力低下かそうでないのか判断がついていません。
※『空間移動(テレポート)』の能力が少し制限されている可能性があります。
現時点では、彼女自身にもストレスによる能力低下かそうでないのか判断がついていません。
※ステイルの挑発の声はギリギリ届きましたが、ビル群による反響などで、内容・方向ともに不明瞭です。
◇ ◇ ◇
【共通問題】
摩天楼について、思うところを書きなさい。
摩天楼について、思うところを書きなさい。
■ティーさん(旅人、女性)の答え
「…………くろい。とう。」
「…………くろい。とう。」
■教師のコメント
もう少し何か答えてもらえると、先生は嬉しいです。
確かに外見は黒くて、並んで立った塔のようですけど……。
それとも、何か思うところがあったのでしょうか。過去の思い出と被るとか?
もう少し何か答えてもらえると、先生は嬉しいです。
確かに外見は黒くて、並んで立った塔のようですけど……。
それとも、何か思うところがあったのでしょうか。過去の思い出と被るとか?
■シャミセンさん(三毛猫、オス)の答え
「私には何も思うところはない。
そもそも摩天楼が商業施設であろうと住空間であろうと、猫である身には何の関係もないことだ。
私の時間の感覚が人間のそれと異なっているように、空間の感覚もまた人間とは異なるものなのだ」
「私には何も思うところはない。
そもそも摩天楼が商業施設であろうと住空間であろうと、猫である身には何の関係もないことだ。
私の時間の感覚が人間のそれと異なっているように、空間の感覚もまた人間とは異なるものなのだ」
■教師のコメント
支給品には聞いていません。
支給品には聞いていません。
◇ ◇ ◇
声が聞こえてきた時も、ティーは相変わらずの無表情で黙り込んでいるだけだった。
『――この舞台に呼ば――者達よ、聞こ――か?
我が名は『我が――最強である理由――こに証――る(Fortis931)』とで――憶しておけ――』
我が名は『我が――最強である理由――こに証――る(Fortis931)』とで――憶しておけ――』
――どこか遠くで、誰かが何かを言っている。
なんとはなしに、デイパックから出てきたシャミセンを抱きしめながら、彼女は静かに摩天楼を見上げる。
いきなりの空間転移の連続に、混乱しているのかもしれないし、
このいきなりの宣言に白井黒子がどう反応するのか気になっているのかもしれないし、
あるいは――やっぱり何も考えていないのかもしれなかった。
なんとはなしに、デイパックから出てきたシャミセンを抱きしめながら、彼女は静かに摩天楼を見上げる。
いきなりの空間転移の連続に、混乱しているのかもしれないし、
このいきなりの宣言に白井黒子がどう反応するのか気になっているのかもしれないし、
あるいは――やっぱり何も考えていないのかもしれなかった。
【E-5/摩天楼・正面入り口/一日目・深夜】
【ティー@キノの旅】
【状態】健康。
【装備】RPG-7(1発装填済み)@現実、シャミセン@涼宮ハルヒの憂鬱
【道具】デイパック、支給品一式、RPG-7の弾頭×2、不明支給品0~1
【思考】
基本:???
1.RPG-7を使ってみたい。
2.手榴弾やグレネードランチャー、爆弾の類でも可。むしろ色々手に入れて試したい。
3.シズか(もし居るなら)陸と合流したい。そのためにも当面、白井黒子と行動を共にしてみる。
[備考]:
※ティーは、キノの名前を素で忘れていたか、あるいは、素で気づかなかったようです。
【状態】健康。
【装備】RPG-7(1発装填済み)@現実、シャミセン@涼宮ハルヒの憂鬱
【道具】デイパック、支給品一式、RPG-7の弾頭×2、不明支給品0~1
【思考】
基本:???
1.RPG-7を使ってみたい。
2.手榴弾やグレネードランチャー、爆弾の類でも可。むしろ色々手に入れて試したい。
3.シズか(もし居るなら)陸と合流したい。そのためにも当面、白井黒子と行動を共にしてみる。
[備考]:
※ティーは、キノの名前を素で忘れていたか、あるいは、素で気づかなかったようです。
※ステイルの挑発の声はギリギリ届きましたが、ビル群による反響などで、内容・方向ともに不明瞭です。
ティーはさほどの興味を示さなかったようです。
ティーはさほどの興味を示さなかったようです。
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