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ユケムリトラベル(下) 人類五名温泉宿の旅
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ユケムリトラベル(下) 人類五名温泉宿の旅 ◆LxH6hCs9JU
姫路瑞希、朝倉涼子、北村祐作の三人が入浴に向かった頃、怪我人の筑摩小四郎は一人、客間で待機していた。
相変わらず壁に背をやり、肩には鷹を止まらせ、そして手には北村から譲り受けた巻物が握られている。
この巻物は、ただの巻物ではない。
相変わらず壁に背をやり、肩には鷹を止まらせ、そして手には北村から譲り受けた巻物が握られている。
この巻物は、ただの巻物ではない。
服部家が定めし伊賀と甲賀の『不戦の約定』……それが解かれたことを意味する、忍法殺戮合戦の象徴であるのだ!
実際にその目で確かめること叶わぬが、北村が読み上げた文面は正しく、
伊賀と甲賀の国境、土岐峠のうえで薬師寺天膳が読んだものと同じであった。
そう、同じであったのだ……不足がない、という意味では。
小四郎が頭を悩ませているのはまさにそこ、あそこで確認したときにはなかった、追記が為されていたのである。
伊賀と甲賀の国境、土岐峠のうえで薬師寺天膳が読んだものと同じであった。
そう、同じであったのだ……不足がない、という意味では。
小四郎が頭を悩ませているのはまさにそこ、あそこで確認したときにはなかった、追記が為されていたのである。
つまり、伊賀組十人衆と甲賀組十人衆の計二十名が死に、最後に朧が伊賀の勝ちを綴った――と。
(解せぬ……いつぞやじゃ、いつぞやおれは死んだ? おれはこうして生きておる……朧さまや天膳さまとて、生きておる)
ここに連れて来られる以前の記憶を辿る。
池鯉鮒の東にある駒場野の原野で、小四郎は主、薬師寺天膳とはぐれてしまった。
盲の身ながらに主の姿を探しさ迷い歩き、気づけば斯様な事態に巻き込まれ、姫路と出会った。
池鯉鮒の東にある駒場野の原野で、小四郎は主、薬師寺天膳とはぐれてしまった。
盲の身ながらに主の姿を探しさ迷い歩き、気づけば斯様な事態に巻き込まれ、姫路と出会った。
その間に、決着がついたのだろうか。
一人はぐれとなった小四郎は死んだと見なされ、何者かが己の名を血で消したのか。
一人はぐれとなった小四郎は死んだと見なされ、何者かが己の名を血で消したのか。
(ありえん。天膳さまとはぐれてからまだ半日も経っておらぬ。その間に決着など、ありえようはずがない!)
そもそも、朧や天膳、敵方の甲賀弦之介とて、小四郎と同じくここに連れ去られたはずなのだ。
この事実から読み取るに、やはり手元の秘巻に記されているのは偽りの死亡と戦勝報告。
長らく続く伊賀と甲賀の因縁、その終止符となるであろう戦が穢されるとは、腹ただしいにもほどがある。
この事実から読み取るに、やはり手元の秘巻に記されているのは偽りの死亡と戦勝報告。
長らく続く伊賀と甲賀の因縁、その終止符となるであろう戦が穢されるとは、腹ただしいにもほどがある。
(しかこれは事……このままでは、朱絹どのお一人で室賀豹馬や如月左衛門、陽炎を相手にせねばならなくなる)
同時に、このまま見知らぬ土地で燻っていては、この秘巻のとおり四名が死んだと取られる可能性もある。
もとより、即刻戻らねば伊賀と甲賀の一対三。一人残してきた同胞、朱絹の安否が気にかかるというものだ。
もとより、即刻戻らねば伊賀と甲賀の一対三。一人残してきた同胞、朱絹の安否が気にかかるというものだ。
汗が溜まり気持ち悪いという女の心はわかる。しかし己は忍者也。
盲とはいえ休んでばかりもいられない。忍者だからこそ、主と怨敵は足で探し出す。
小四郎の具足が畳を強く踏みしめ、ゆらりと長躯を持ち上げたと同時に、突然鷹が騒ぐ。
盲とはいえ休んでばかりもいられない。忍者だからこそ、主と怨敵は足で探し出す。
小四郎の具足が畳を強く踏みしめ、ゆらりと長躯を持ち上げたと同時に、突然鷹が騒ぐ。
肩から飛び立ち、甲高い鳴き声とはばたきの音。
何事かと小四郎は訝る。二つの音はすぐにやんだ。
代わりに、鷹が畳みに落ちる音が聞こえた。
鼻は、血の臭いを嗅ぎつけた。それも、鳥の血だ。
何事かと小四郎は訝る。二つの音はすぐにやんだ。
代わりに、鷹が畳みに落ちる音が聞こえた。
鼻は、血の臭いを嗅ぎつけた。それも、鳥の血だ。
ああ、なんということか……お幻の鷹が死によった!
唐突な別れに小四郎は感慨を得る間もなく、鷹が死んだ要因を気配に捉えた。
人だ。人が立っている。
小四郎の眼前、十数歩ほど先。障子戸の前に、何者かの気配が感じ取れる。
人だ。人が立っている。
小四郎の眼前、十数歩ほど先。障子戸の前に、何者かの気配が感じ取れる。
「誰か。姫路どのか、北村どのか、朝倉どのか」
気配だけではその正体までは掴めず、声で判断しようにも相手は問いかけに答えない。
しかし、既に鷹は死んでいるのだ。
鷹はなぜ死んだのか。突然死の原因もまた、眼前の者が知っているに違いない。
しかし、既に鷹は死んでいるのだ。
鷹はなぜ死んだのか。突然死の原因もまた、眼前の者が知っているに違いない。
「答え申されよ。誰か――」
より強く問う、小四郎の総身に震えが走った。
デジャヴ――既視感のある殺気が、眼前の人と思える方から放たれたのだ。
すかさず身構え、鎌がなかったことに一瞬だけ躊躇するも、蓑念鬼愛用の棒を振り翳す。
デジャヴ――既視感のある殺気が、眼前の人と思える方から放たれたのだ。
すかさず身構え、鎌がなかったことに一瞬だけ躊躇するも、蓑念鬼愛用の棒を振り翳す。
「まさか、甲賀弦之介かっ」
あの日、鍔隠れの里で相対した際、体に覚え込まされた嫌な空気。
その鋭い眼光から放たれる、魔のごとき殺意は目を離すこと不可能にさせた。
結果、小四郎の顔面は拉げ、目が使い物にならなくなった。
その鋭い眼光から放たれる、魔のごとき殺意は目を離すこと不可能にさせた。
結果、小四郎の顔面は拉げ、目が使い物にならなくなった。
今、眼前から放たれる底なしの殺気はまさしく――甲賀卍谷衆が首魁、甲賀弦之介のものとしか思えないのであった。
なればこそ、今この場で逆襲を果たす好機也!
小四郎はあれ以来目が見えない。見えないということは、つまり弦之介が誇る瞳術も通じないということである。
あのときは目をそらせなかったばかりに負けた。しかし今度は見ろと言われようが見えぬ状況。望むべき再戦。勝てる。
小四郎はあれ以来目が見えない。見えないということは、つまり弦之介が誇る瞳術も通じないということである。
あのときは目をそらせなかったばかりに負けた。しかし今度は見ろと言われようが見えぬ状況。望むべき再戦。勝てる。
――――ひゅる。
風が鳴いた。小四郎のみ気づけた。
伊賀一党、弦之介を討てる見込みがある者がいるとすればただ一人。この筑摩小四郎である。
小四郎の忍法は必殺必中。如何な忍者といえども、間合いに踏み込みさえすれば死は免れない。
それが恐るべき瞳術を秘めた忍者、甲賀弦之介であったとしても。
瞳術の要たる目が、小四郎の瞳に映らないともなればなおのこと。
伊賀一党、弦之介を討てる見込みがある者がいるとすればただ一人。この筑摩小四郎である。
小四郎の忍法は必殺必中。如何な忍者といえども、間合いに踏み込みさえすれば死は免れない。
それが恐るべき瞳術を秘めた忍者、甲賀弦之介であったとしても。
瞳術の要たる目が、小四郎の瞳に映らないともなればなおのこと。
(来い! 朧さまに代わり、今この場でおまえを討つ)
弦之介が障子戸の前から一歩、また一歩と、客間の中へ踏み込む。
足音は壁際に立つ小四郎のもとへ、一直線に進み寄ってくる。
足音は壁際に立つ小四郎のもとへ、一直線に進み寄ってくる。
小四郎と弦之介の間に、見えぬ凶器が形成される。
虚空に生まれしは小旋風。その小旋風の中心に、わずか真空が生じている。
姿形を成すとすればそれは小さな、しかし真空に触れたが最後、犠牲者は鎌いたちに襲われるがごとく内部から弾けだす。
虚空に生まれしは小旋風。その小旋風の中心に、わずか真空が生じている。
姿形を成すとすればそれは小さな、しかし真空に触れたが最後、犠牲者は鎌いたちに襲われるがごとく内部から弾けだす。
これこそが、筑摩小四郎の妖術とも言うべき忍法。
強烈な吸息により、虚空に小旋風を生み出す技也。
強烈な吸息により、虚空に小旋風を生み出す技也。
警戒すべきは、吐き出しではなく吸い込み――しかし誰がそれを警戒などできようか。
小四郎の忍法はいわば呼吸。封じる策など、呼吸を止めさせる以外にありはしない。
そして呼吸を止めさせることなど、口元を痰で覆いでもしない限り不可能なのだ。
風待将監ならいざ知らず、瞳術以外に奇異な忍法を持たぬ弦之介では、不可避は必定。
小四郎の忍法はいわば呼吸。封じる策など、呼吸を止めさせる以外にありはしない。
そして呼吸を止めさせることなど、口元を痰で覆いでもしない限り不可能なのだ。
風待将監ならいざ知らず、瞳術以外に奇異な忍法を持たぬ弦之介では、不可避は必定。
一歩、また一歩と、弦之介が歩み寄る。
小四郎は棒を構えながら待った。息を吸いながらに待った。小旋風を作りながら待った。
小四郎は棒を構えながら待った。息を吸いながらに待った。小旋風を作りながら待った。
やがて、ぱっと空気がはためいた。
肉柘榴の出来上がる音が、豪快に聞こえてきた。
どしり、と重みのあるものが、眼前で倒れた音も聞こえた。
肉柘榴の出来上がる音が、豪快に聞こえてきた。
どしり、と重みのあるものが、眼前で倒れた音も聞こえた。
(手応えは、あった。音も、あった。殺気も……消えた)
戦いが決しても、小四郎に惨状を見やることはできない。
弦之介は今やどんな変わり果てた姿となっているのか。
弦之介は今やどんな変わり果てた姿となっているのか。
爆ぜた肉の色は、飛び出した眼球の行方は、刻まれた神経のほつれは、確認が取れないでいる。
しかしこれだけはわかる。手応えと倒れた音と失せた殺気が証明している。歓喜に身が震えた。
しかしこれだけはわかる。手応えと倒れた音と失せた殺気が証明している。歓喜に身が震えた。
怨敵は今や、物言わぬ躯へと変わり果てた!
「甲賀弦之介、討ち取った――」
次の瞬間、小四郎の意識はどこぞへと飛び、その命も潰えた。
◇ ◇ ◇
「いやぁ、実にいいお湯だった。これで二度目だが!」
男湯の脱衣所、備え付けの浴衣に身を包んだ湯上りの北村祐作がいた。
左手を腰に当て、右手には瓶のコーヒー牛乳を掴み、天を仰ぐようにしてぐいっと一気飲みする。
願望としてはこのままマッサージチェアに雪崩れ込みたくもあったが、さすがにそれは自重しておこう。
左手を腰に当て、右手には瓶のコーヒー牛乳を掴み、天を仰ぐようにしてぐいっと一気飲みする。
願望としてはこのままマッサージチェアに雪崩れ込みたくもあったが、さすがにそれは自重しておこう。
北村がここで湯に浸かるのは、今回で二度目になる。
一度目は上条当麻との接触の際。北村は初対面の相手を前にしても物怖じせず、平然と入浴を楽しんでいた。
そして今回、朝倉涼子の申し出により再び入浴の時間を設けることになり、せっかくだからと二度目の入浴にしゃれ込んだのだった。
一度目は上条当麻との接触の際。北村は初対面の相手を前にしても物怖じせず、平然と入浴を楽しんでいた。
そして今回、朝倉涼子の申し出により再び入浴の時間を設けることになり、せっかくだからと二度目の入浴にしゃれ込んだのだった。
それはなにも、彼が無類の風呂好きだからというわけではない。
焦っても事は無し。こんなときだからこそ、平常心を保ち体力を温存させる必要がある。
クラス委員長兼生徒会副会長の役職に就く彼は、物事を冷静に捉えられる視点に立とうと務めたのだ。
焦っても事は無し。こんなときだからこそ、平常心を保ち体力を温存させる必要がある。
クラス委員長兼生徒会副会長の役職に就く彼は、物事を冷静に捉えられる視点に立とうと務めたのだ。
北村が尊敬してやまない生徒会長――狩野すみれなら、そうやって皆を導く側に立つはずだから、と。
(三日間の猶予、か……我ながら楽観した考えだよな)
朝倉と姫路、いや上条や千鳥の前でとて、北村は弱気を秘めることに必死になっていた。
先ほどの話し合いで自らが提示した論も、嘘ではないにしてもいろいろと不安が内包されている。
七十二時間が経過すれば全員が死ぬ運命、しかしそれまでは誰が誰と争う必要もない。
本心でこそそう思ってはいるが、他の五十九人すべて同じ価値観を持っているとは限らないのだ。
先ほどの話し合いで自らが提示した論も、嘘ではないにしてもいろいろと不安が内包されている。
七十二時間が経過すれば全員が死ぬ運命、しかしそれまでは誰が誰と争う必要もない。
本心でこそそう思ってはいるが、他の五十九人すべて同じ価値観を持っているとは限らないのだ。
中には、他人の死など歯牙にもかけない者とているだろう。
中には、他のすべてを犠牲にしてでも生き延びようとする輩もいるだろう。
中には、自分すら含めた五十九人を殺害してまで守りたい女がいる男だっているだろう。
中には、他のすべてを犠牲にしてでも生き延びようとする輩もいるだろう。
中には、自分すら含めた五十九人を殺害してまで守りたい女がいる男だっているだろう。
北村がほのかな恋心を抱く相手、狩野すみれに対しそこまでできるかといえば、答えは否だ。
まだまだ先の長い生涯、もちろん死にたくなどないし、高須竜児や逢坂大河といった友人たちを犠牲にする気にもなれない。
そもそもここに狩野すみれがいるかどうかとて不明瞭だ。
いるかどうかもわからない人物を探し回るよりは、地道な人集めに徹したほうが効率的である。
まだまだ先の長い生涯、もちろん死にたくなどないし、高須竜児や逢坂大河といった友人たちを犠牲にする気にもなれない。
そもそもここに狩野すみれがいるかどうかとて不明瞭だ。
いるかどうかもわからない人物を探し回るよりは、地道な人集めに徹したほうが効率的である。
(会長がここにいるなら、きっと俺と同じように、もしくは俺よりも上手いやり方で人を集める。
逢坂たちだって黙っちゃいないだろうが……高須あたりは例のごとく、初対面の人間に誤解されてそうだな)
逢坂たちだって黙っちゃいないだろうが……高須あたりは例のごとく、初対面の人間に誤解されてそうだな)
見た目恐々とした三白眼の友人を思い描きつつ、北村は空になった瓶をその場に置き捨てる。
脱衣所を出て、小四郎が待っている客間へと向かった。おそらく女子二人はまだ入浴中だろう。
脱衣所を出て、小四郎が待っている客間へと向かった。おそらく女子二人はまだ入浴中だろう。
(あの人は俺なんかに守られるほど弱くはない。亜美や櫛枝も、怒らせるとなにをしでかすかだ)
しんとした廊下をスリッパで歩む。窓の外からは、かすかに朝焼けが差し込んできていた。
(一人でできることは少ない。だけど一人一人が協力し合えばなんとかなるさ……そうだろみんな)
やっぱり楽観してるかなぁ、などと声に漏らしている内、北村の身は客間の手前まで来た。
引き戸に手をかけようとして、ふと止める。中から話し声が聞こえてきたのだ。
引き戸に手をかけようとして、ふと止める。中から話し声が聞こえてきたのだ。
「だから言ったでしょう。他の二人はともかく、この男だけは違う、と」
「私には予想もできなかったなぁ。だって有機生命体の呼吸器官じゃとても無理な芸当よ」
「素性は知れませんが、只者ではないというのが一見してわかりました。まあ、それも既に死人です」
「そうね。さすがに首を裂かれて生きているなんてこともないでしょうし……念のために、もいでおこうかしら?」
「私には予想もできなかったなぁ。だって有機生命体の呼吸器官じゃとても無理な芸当よ」
「素性は知れませんが、只者ではないというのが一見してわかりました。まあ、それも既に死人です」
「そうね。さすがに首を裂かれて生きているなんてこともないでしょうし……念のために、もいでおこうかしら?」
声色は女性、それが二組。
一人は朝倉のもので、もう一人は姫路のものではない。
どこか大人びた、聞き覚えのある声は……朝倉と一緒にいた“師匠”という人のものだろうか。
一人は朝倉のもので、もう一人は姫路のものではない。
どこか大人びた、聞き覚えのある声は……朝倉と一緒にいた“師匠”という人のものだろうか。
(風呂に入っている間に戻ってきたのか? それにしても、首がどうとか……)
考えながら、北村は障子戸を引いた。
客間の光景が視界に飛び込んでくる。
客間の光景が視界に飛び込んでくる。
朝倉涼子と師匠はそこに立っていて、北村のほうへと振り返った。
朝倉は湯上りなのか、服装がセーラー服から浴衣に変わっている。
朝倉の右手には刀が握られており、足下に目をやれば――凄惨極まりない血の海が広がっていた。
朝倉は湯上りなのか、服装がセーラー服から浴衣に変わっている。
朝倉の右手には刀が握られており、足下に目をやれば――凄惨極まりない血の海が広がっていた。
「……っ」
北村が息を呑む。戸を開けるべきではなかった、と今さらの後悔に苛まれる。
惨状を目の当たりにして、嘔吐の波も押し寄せてきた。今はまだ、と懸命に我慢する。
事実を言葉にして問うのは躊躇われた、それでも口にしないわけにはいかなかった。
惨状を目の当たりにして、嘔吐の波も押し寄せてきた。今はまだ、と懸命に我慢する。
事実を言葉にして問うのは躊躇われた、それでも口にしないわけにはいかなかった。
「朝、倉……っ、なんなんだ、これは!」
絞り上げるように叫ぶ、北村の表情からは余裕が消えていた。
朝倉はにこやかに、北村の絶叫とも言える質問を受け取る。
朝倉はにこやかに、北村の絶叫とも言える質問を受け取る。
「あのね、北村くん。あなた――」
「刀を貸しなさい」
「刀を貸しなさい」
朝倉が答えようとした寸前、横に立つポニーテールの女性が、右手の刀を奪い取った。
その女性、師匠は自分の手に刀を握り直し、先端を北村に向け、
その女性、師匠は自分の手に刀を握り直し、先端を北村に向け、
「あ――?」
腹を刺した。
血が逆流する。口内に血の味が充溢する。口から血が零れる。腹にも血が滲む。目でも血を見た。出血で倒れ込む。
脳はスプーンで抉られたのかと錯覚するほどに機能を失い、揺らぐ視界で狂気に淀む二人の殺人者を捉えた。
血に混じった畳の匂いが、うつ伏せになった北村の鼻にかかる。
視点が低くなって、その惨状はより鮮明に頭の中に入ってきた。
脳はスプーンで抉られたのかと錯覚するほどに機能を失い、揺らぐ視界で狂気に淀む二人の殺人者を捉えた。
血に混じった畳の匂いが、うつ伏せになった北村の鼻にかかる。
視点が低くなって、その惨状はより鮮明に頭の中に入ってきた。
(筑摩に……姫路……っ)
死体が二つ、転がっている。
黒い装束の男と、裸の女と思える死体が、二つ。
男のほうは服装からして筑摩小四郎に違いなく、喉には鮮血の華が咲いていた。
女のほうは顔が潰されており何者かわからなかったが、消去法でいって姫路瑞希に間違いなかった。
それ以外にも、鷹の死骸が転がっていた。一羽と二人、北村も入れて三人、仲良く血の海を泳いでいる。
黒い装束の男と、裸の女と思える死体が、二つ。
男のほうは服装からして筑摩小四郎に違いなく、喉には鮮血の華が咲いていた。
女のほうは顔が潰されており何者かわからなかったが、消去法でいって姫路瑞希に間違いなかった。
それ以外にも、鷹の死骸が転がっていた。一羽と二人、北村も入れて三人、仲良く血の海を泳いでいる。
「まだお話中だったんだけど」
「これ以上、あなたの回りくどいやり方に付き合うのは御免です」
「だからって、すぐに殺しちゃうのはどうかと思うわ」
「必要な情報は引き出せたのでしょう。“試験”も終わりました。生かす価値は皆無です」
「もう。本当にシビアなんだから」
「これ以上、あなたの回りくどいやり方に付き合うのは御免です」
「だからって、すぐに殺しちゃうのはどうかと思うわ」
「必要な情報は引き出せたのでしょう。“試験”も終わりました。生かす価値は皆無です」
「もう。本当にシビアなんだから」
この二人は、いったいなにを和やかに談笑などしているのだろう。
北村にはわからなかった。自分がなぜ刺されたのか、姫路と筑摩がなぜ殺されたのか。
朝倉と師匠は、なぜ人を殺すのか。それだけが知りたかった。
北村にはわからなかった。自分がなぜ刺されたのか、姫路と筑摩がなぜ殺されたのか。
朝倉と師匠は、なぜ人を殺すのか。それだけが知りたかった。
なのに。
もはや言葉を口にする力も残っていなかった。
たかが腹を刺されただけだというのに、いや腹を刺された経験などないが。
それとも、胸だったのだろうか。刺されたのは心臓か、肋骨に阻まれたりはしなかったのか。
どうにも瑣末なことばかり考えてしまう。死の間際だというのに、走馬灯すら見ることができない。
たかが腹を刺されただけだというのに、いや腹を刺された経験などないが。
それとも、胸だったのだろうか。刺されたのは心臓か、肋骨に阻まれたりはしなかったのか。
どうにも瑣末なことばかり考えてしまう。死の間際だというのに、走馬灯すら見ることができない。
(なんか……想像してたのと違う、なっ)
案外、苦しくはなかった。痛みを実感するよりも先に、死が駆け抜けたのかもしれない。
師匠の殺し方は実に的確だったと言えよう。北村は感慨を得る間もなく、黄泉路へと旅立った。
師匠の殺し方は実に的確だったと言えよう。北村は感慨を得る間もなく、黄泉路へと旅立った。
◇ ◇ ◇
「それで、点数は?」
「そうですね……一点といったところでしょう」
「それは何点中?」
「十点中、一点です」
「採点の仕方を詳しく訊きたいのだけれど」
「そうですね……一点といったところでしょう」
「それは何点中?」
「十点中、一点です」
「採点の仕方を詳しく訊きたいのだけれど」
すべての騒動が一段落した後、制服に着替えた朝倉と、服装変わらぬ師匠の身は、温泉の外にあった。
「まず、あなたが自ら作戦を考案し提案してみたところで加点一。
北村祐作、姫路瑞希、筑摩小四郎の三人に気取られることなく輪に溶け込んで見せたところで加点三。
姫路瑞希を誘い出し、殺害を滞りなく済ませたところで加点六。この時点であなたの点数は十点です」
北村祐作、姫路瑞希、筑摩小四郎の三人に気取られることなく輪に溶け込んで見せたところで加点三。
姫路瑞希を誘い出し、殺害を滞りなく済ませたところで加点六。この時点であなたの点数は十点です」
ふむふむ、と頷きながら朝倉は小型乗用車の運転席に乗り込む。
師匠は相変わらずの図々しさで助手席へと乗り込んだ。
師匠は相変わらずの図々しさで助手席へと乗り込んだ。
「知恵を絞って見せたのは評価に値しますが、やり方が回りくどく、時間をかけた割には収穫が少ない。よって減点二。
筑摩小四郎の力に気づかず、私から忠告を受けたことで減点一。実際に私が止めなければ死んでいたでしょうから減点五。
殺害が露見した後、北村祐作の殺害にさらに時間をかけようとしたところで減点一。この時点であなたの点数は一点です」
筑摩小四郎の力に気づかず、私から忠告を受けたことで減点一。実際に私が止めなければ死んでいたでしょうから減点五。
殺害が露見した後、北村祐作の殺害にさらに時間をかけようとしたところで減点一。この時点であなたの点数は一点です」
ハンドルを握ろうとしたところで終了した採点に、朝倉は異を唱えた。
「それ、減点が厳しすぎないかしら?」
「実際に死に掛けたのですから、本来は減点どころの話ではありません。そもそも」
「あー……わかったわ。なんだか長いお説教をくらいそうだから、一点で我慢する」
「実際に死に掛けたのですから、本来は減点どころの話ではありません。そもそも」
「あー……わかったわ。なんだか長いお説教をくらいそうだから、一点で我慢する」
朝倉は渋々といった様子で、師匠の評価を受け入れた。
温泉での“試験”は――朝倉にとっては“実験”とも言える過程は、終了したのである。
温泉での“試験”は――朝倉にとっては“実験”とも言える過程は、終了したのである。
朝倉と師匠が温泉を目指し車を走らせていた頃のことだ。
目的地を目前にしたところで、北村祐作という少年に呼び止められた。
師匠の目的は皆殺しであり、朝倉の目的は涼宮ハルヒの保護だ。
自分たちや涼宮ハルヒを害する可能性のある人間は、すべからく殺害の対象となる。
なので師匠は、出会いがしらに北村を殺そうとした。しかし、朝倉がそれを制したのだ。
目的地を目前にしたところで、北村祐作という少年に呼び止められた。
師匠の目的は皆殺しであり、朝倉の目的は涼宮ハルヒの保護だ。
自分たちや涼宮ハルヒを害する可能性のある人間は、すべからく殺害の対象となる。
なので師匠は、出会いがしらに北村を殺そうとした。しかし、朝倉がそれを制したのだ。
理由はこうだ――『ちょっと試してみたいの』。
(単細胞と捉えていましたが、向上心はあるようですね。まるで生まれたての赤子……心は、の話ですが)
朝倉涼子は外見に釣り合わぬ異常な運動神経と怪力、そして椅子を槍へと作り変えた、あの異能を持っている。
ただし戦闘経験に乏しく、仲間ではなく“武器”として使いどころを見極める必要があるとも思っていた。
それが彼女は自分から、他の人間を殺すための作戦を考案し、実行に移して見せたのだ。
それも刀で斬りかかる、という直接的な方法ではない。殺害対象の仲間を偽り、潜り込むというものだった。
ただし戦闘経験に乏しく、仲間ではなく“武器”として使いどころを見極める必要があるとも思っていた。
それが彼女は自分から、他の人間を殺すための作戦を考案し、実行に移して見せたのだ。
それも刀で斬りかかる、という直接的な方法ではない。殺害対象の仲間を偽り、潜り込むというものだった。
『これでも、涼宮ハルヒのクラスメイトを演じてきたわけだから。設定された身体年齢に近しい有機生命体とのお話は得意よ』
というのは、当時の朝倉の言だ。どうやら彼女には潜入工作の心得があるらしい。
こちらには武器が揃っており、殺害対象である北村に警戒は見られなかった。
朝倉の言うような策を持ち出さずとも、殺害は容易であったのだ。
ならばそんな回りくどいやり方を取る必要はない、と師匠はこれを却下しようとして、しかしやめた。
こちらには武器が揃っており、殺害対象である北村に警戒は見られなかった。
朝倉の言うような策を持ち出さずとも、殺害は容易であったのだ。
ならばそんな回りくどいやり方を取る必要はない、と師匠はこれを却下しようとして、しかしやめた。
興味を抱いたと同時、こちらも試してみようと思ったからである。
この朝倉涼子が、自分の契約主に相当する存在となり得るかどうかを。
この朝倉涼子が、自分の契約主に相当する存在となり得るかどうかを。
(失敗してしまうようならそこまで。利用する価値なしと見なし切り捨てる予定でしたが、まあ及第点でしょう)
結果、朝倉は見事北村の仲間として潜り込んで見せた。
師匠はその間、適当な理由をつけて別行動を取っていたのだが、実は温泉内に潜み朝倉の首尾を観察していた。
直後に姫路瑞希、筑摩小四郎の二人が加わったが、それすらも欺いて見せた。演技は得意なのかもしれない。
素人と見るには明らかに異質だった筑摩小四郎を、ただの人間としか捉えなかったのが大いにマイナスではあるが。
師匠はその間、適当な理由をつけて別行動を取っていたのだが、実は温泉内に潜み朝倉の首尾を観察していた。
直後に姫路瑞希、筑摩小四郎の二人が加わったが、それすらも欺いて見せた。演技は得意なのかもしれない。
素人と見るには明らかに異質だった筑摩小四郎を、ただの人間としか捉えなかったのが大いにマイナスではあるが。
「なんにせよ、次はありませんよ。あなたの手腕はもとより、この方法は時間をロスしすぎです」
「わかったわ。でもね師匠。私に下された採点をさらにプラスする要因は、まだ残っているのよ?」
「わかったわ。でもね師匠。私に下された採点をさらにプラスする要因は、まだ残っているのよ?」
出発に踏み切る直前になって、朝倉は得意気にそれを取り出して見せた。
入浴の間、客間にまとめて置かれていた荷物。その中から抜き取った北村の支給物だろう。
朝倉の手には『お宝写真!』と書かれた茶封筒があり、師匠は黙ってそれを受け取った。
中身を確認すると、出てきたのは三枚の写真である。
入浴の間、客間にまとめて置かれていた荷物。その中から抜き取った北村の支給物だろう。
朝倉の手には『お宝写真!』と書かれた茶封筒があり、師匠は黙ってそれを受け取った。
中身を確認すると、出てきたのは三枚の写真である。
「姫路さんの服からこっそり抜き取っておいたの。それ、お宝らしいから“SOS料”としてどうかしら?」
入っていた三枚の写真をしげしげ眺め、師匠は唖然とした。
一枚目に写っていたのは――メイド姿のアキちゃん。
二枚目に写っていたのは――メイド姿のアキちゃん(パンチラ☆エディション)。
三枚目に写っていたのは――ブラを持って立ち尽くすアキちゃん(着替え中メイド服着崩れバージョン)。
二枚目に写っていたのは――メイド姿のアキちゃん(パンチラ☆エディション)。
三枚目に写っていたのは――ブラを持って立ち尽くすアキちゃん(着替え中メイド服着崩れバージョン)。
ため息を零し、これを朝倉に返却した。
「採点を改めましょう。減点一。あなたへの評価は――零点です」
「ええ、どうして!?」
「ええ、どうして!?」
人当たりのいい優等生として知られる朝倉涼子が、初めて零点を取った瞬間だった。
【E-3/温泉付近/一日目・早朝】
【師匠@キノの旅】
[状態]:健康、ポニーテール
[装備]:FN P90(30/50発)@現実、FN P90の予備弾倉(50/50x19)@現実、両儀式のナイフ@空の境界
[道具]:デイパック、基本支給品、金の延棒x5本@現実、医療品、フィアット・500@現実
[思考・状況]
基本:金目の物をありったけ集め、他の人間達を皆殺しにして生還する。
1:朝倉涼子を利用する。
2:天守閣の方へと向かう。
[状態]:健康、ポニーテール
[装備]:FN P90(30/50発)@現実、FN P90の予備弾倉(50/50x19)@現実、両儀式のナイフ@空の境界
[道具]:デイパック、基本支給品、金の延棒x5本@現実、医療品、フィアット・500@現実
[思考・状況]
基本:金目の物をありったけ集め、他の人間達を皆殺しにして生還する。
1:朝倉涼子を利用する。
2:天守閣の方へと向かう。
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:健康、ポニーテール
[装備]:シズの刀@キノの旅
[道具]:デイパック×4、基本支給品×4、金の延棒x5本@現実、軍用サイドカー@現実、蓑念鬼の棒@甲賀忍法帖、
フライパン@現実、人別帖@甲賀忍法帖、ウエディングドレス、アキちゃんの隠し撮り写真@バカとテストと召喚獣
[思考・状況]
基本:涼宮ハルヒを生還させるべく行動する。
1:師匠を利用する。
2:天守閣の方へと向かう。
3:SOS料に見合った何かを探す。
[備考]
登場時期は「涼宮ハルヒの憂鬱」内で長門有希により消滅させられた後。
銃器の知識や乗り物の運転スキル。施設の名前など消滅させられる以前に持っていなかった知識をもっているようです。
[状態]:健康、ポニーテール
[装備]:シズの刀@キノの旅
[道具]:デイパック×4、基本支給品×4、金の延棒x5本@現実、軍用サイドカー@現実、蓑念鬼の棒@甲賀忍法帖、
フライパン@現実、人別帖@甲賀忍法帖、ウエディングドレス、アキちゃんの隠し撮り写真@バカとテストと召喚獣
[思考・状況]
基本:涼宮ハルヒを生還させるべく行動する。
1:師匠を利用する。
2:天守閣の方へと向かう。
3:SOS料に見合った何かを探す。
[備考]
登場時期は「涼宮ハルヒの憂鬱」内で長門有希により消滅させられた後。
銃器の知識や乗り物の運転スキル。施設の名前など消滅させられる以前に持っていなかった知識をもっているようです。
【アキちゃんの隠し撮り写真@バカとテストと召喚獣】
明久に送られた脅迫文に同封されていた、アキちゃん(女装した吉井明久の意)の隠し撮り写真。
通常のメイド服バージョン、パンチラ☆エディション、着替え中メイド服着崩れバージョンの三種類が茶封筒に収められている。
世間に晒されてしまえば吉井明久の底辺に近い評価をさらに落とすこと確実な代物だが、
一部女子には好評で、とりあえずスキャナーを購入し全世界にWEBで発信する者も現れかねない威力を持っている。
明久に送られた脅迫文に同封されていた、アキちゃん(女装した吉井明久の意)の隠し撮り写真。
通常のメイド服バージョン、パンチラ☆エディション、着替え中メイド服着崩れバージョンの三種類が茶封筒に収められている。
世間に晒されてしまえば吉井明久の底辺に近い評価をさらに落とすこと確実な代物だが、
一部女子には好評で、とりあえずスキャナーを購入し全世界にWEBで発信する者も現れかねない威力を持っている。
【人別帖@甲賀忍法帖】
伊賀と甲賀の「不戦の約定」が解かれたことを記した巻物。
記された忍者二十人の名には血のすじが引かれており、末尾に忍法合戦決着の模様も書き加えられている。
原作ラストにおいて、甲賀弦之介が書き加えた状態のもの。
伊賀と甲賀の「不戦の約定」が解かれたことを記した巻物。
記された忍者二十人の名には血のすじが引かれており、末尾に忍法合戦決着の模様も書き加えられている。
原作ラストにおいて、甲賀弦之介が書き加えた状態のもの。
【マリアンヌの器@灼眼のシャナ】
坂井悠二を攫った直後、シャナとの決戦においてフリアグネの“燐子”であるマリアンヌが器としていたマネキン人形。
花嫁を模したのかウエディングドレスを纏っており、またマネキンの造りは他のものと比べても精巧。
これが単なるマネキン人形であったのか、マリアンヌの意思総体が混在していたのかは、定かではない。
坂井悠二を攫った直後、シャナとの決戦においてフリアグネの“燐子”であるマリアンヌが器としていたマネキン人形。
花嫁を模したのかウエディングドレスを纏っており、またマネキンの造りは他のものと比べても精巧。
これが単なるマネキン人形であったのか、マリアンヌの意思総体が混在していたのかは、定かではない。
◇ ◇ ◇
空が白み始め、夜の帳は朝の日差しに天壌の席を譲る。
眩しさはまだ訪れず、直視するには問題もない。
なので、しばらくはこうしていても大丈夫、と。
眩しさはまだ訪れず、直視するには問題もない。
なので、しばらくはこうしていても大丈夫、と。
――少女は、思う。
温泉裏手の街路に置き捨てられたむき出しの肢体に、力はなく。
ぼうっとした意識だけが残り、閉じかけの瞳で天を仰いでいた。
ぼうっとした意識だけが残り、閉じかけの瞳で天を仰いでいた。
――衣服を纏わず、地べたを背中に、仰向けとなって外気を味わうのは、姫路瑞希だった。
朝倉涼子に殺されるかと思ったところでこのような仕打ちを受けた彼女は、思う。
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。ただそれだけを、後悔とともに念じる。
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。ただそれだけを、後悔とともに念じる。
◇ ◇ ◇
「……驚いたなぁ」
朝倉涼子による、浴場での突然の暴行。
まさかの溺れ死にを味わうかと思った姫路瑞希は、我武者羅に腕を振り回し、どうにか朝倉の魔手から逃れ、浴槽から脱したのだ。
まさかの溺れ死にを味わうかと思った姫路瑞希は、我武者羅に腕を振り回し、どうにか朝倉の魔手から逃れ、浴槽から脱したのだ。
「火事場の馬鹿力ってやつかしら。あなたにそんな力が残っていたなんて、予想外」
「けほっ、かぁ……はっ」
「けほっ、かぁ……はっ」
咳をするように飲んでしまった湯を吐き捨てる瑞希。
傍らには、同じく浴槽から出てきた朝倉の裸体がある。
暴行から一時的に逃れることはかなっても、逃げ続けることはかなわない。
朝倉は依然微笑を浮かべたまま、タイル敷きの床に膝をつく、瑞希の体に触れた。
傍らには、同じく浴槽から出てきた朝倉の裸体がある。
暴行から一時的に逃れることはかなっても、逃げ続けることはかなわない。
朝倉は依然微笑を浮かべたまま、タイル敷きの床に膝をつく、瑞希の体に触れた。
「ねぇ姫路さん。あなた、さっきこう言ったわよね。助けて、って」
「……っ」
「……っ」
息苦しさが癒えるよりも先に、朝倉が語りかけてくる。
表面上は可愛らしい女の子なのに、その中身は得体が知れない不気味さが秘められている。
どう受け答えをしたとしても、助かりはしない。助けを願ってはいても、本能は既に諦めかけていた。
表面上は可愛らしい女の子なのに、その中身は得体が知れない不気味さが秘められている。
どう受け答えをしたとしても、助かりはしない。助けを願ってはいても、本能は既に諦めかけていた。
「“恋する女の子”のパワーってやつなのかな……うん。あなたに少し、興味が湧いたの。
どうかしら、私のお願いを聞いてくれるって言うんなら、この場は助けてあげるのだけれど」
どうかしら、私のお願いを聞いてくれるって言うんなら、この場は助けてあげるのだけれど」
嘘だ、と腹の底から叫びたい衝動に駆られた。
先ほどまでの朝倉の行動は、明確な殺意あってのものだ。
今さら悪ふざけでしたなど、どうして信じられようものか。
先ほどまでの朝倉の行動は、明確な殺意あってのものだ。
今さら悪ふざけでしたなど、どうして信じられようものか。
「あなただけじゃないわ。あなたの大切な吉井明久くんも。これは交渉。姫路さんには、私の手伝いをしてほしいのよ」
怯える瑞希は未だなんの言葉も返せないまま、朝倉の底冷えするようなまっすぐすぎる目を見てしまった。
身が竦む。この少女は平然とした顔つきで、狂気にまみれた言動を繰り返しているのだ。
身が竦む。この少女は平然とした顔つきで、狂気にまみれた言動を繰り返しているのだ。
「ここであなたを殺すのは簡単。でも、あなたみたいに脆弱な有機生命体一人蹴落としたって、実りは少ないわ。
どうせなら、師匠にも知られないところでもう一つくらいコミュニティを築いておきたいのよ。
よく聞いてね。私は涼宮ハルヒという存在を生き残らせるために行動している。具体的に言うと、
涼宮ハルヒを害するかもしれない存在の排除、平たく言えば、涼宮ハルヒ以外の全員を殺害することが私の目的ね」
どうせなら、師匠にも知られないところでもう一つくらいコミュニティを築いておきたいのよ。
よく聞いてね。私は涼宮ハルヒという存在を生き残らせるために行動している。具体的に言うと、
涼宮ハルヒを害するかもしれない存在の排除、平たく言えば、涼宮ハルヒ以外の全員を殺害することが私の目的ね」
先の朝倉の質問を思い返す。吉井明久一人のために、姫路瑞希は殺人者になれるか、否か。
瑞希は、なれないと答えた。しかしこの朝倉は、涼宮ハルヒのために殺人者になったというのだ。
内包されているのがどのような想いなのかは知れないが、それが瑞希のような恋心でないことだけは見て取れた。
瑞希は、なれないと答えた。しかしこの朝倉は、涼宮ハルヒのために殺人者になったというのだ。
内包されているのがどのような想いなのかは知れないが、それが瑞希のような恋心でないことだけは見て取れた。
「でも、それは私たちだけじゃとても手が追いつかないの。北村くんの推論が当たっているとしたら、
最悪七十二時間が経過しても大勢の人間が残ってしまうと思うし。そしたら涼宮ハルヒ共々全滅よ。
それだけは回避したい。だから、ね。姫路さんにも涼宮ハルヒ以外の有機生命体を殺して回ってほしいの」
最悪七十二時間が経過しても大勢の人間が残ってしまうと思うし。そしたら涼宮ハルヒ共々全滅よ。
それだけは回避したい。だから、ね。姫路さんにも涼宮ハルヒ以外の有機生命体を殺して回ってほしいの」
饒舌に語る朝倉の顔から、目が逸らせない。
瑞希は戦々恐々としたまま、聞き漏らすまいと努めた。
瑞希は戦々恐々としたまま、聞き漏らすまいと努めた。
「あ、でもこの行動は契約に反すると思うし、師匠はこれ以上の同行者を良しとしないだろうから……うん。
姫路さんは姫路さんで、私たちとは違うところで頑張って。涼宮ハルヒ以外なら、誰を殺してくれても構わないから」
姫路さんは姫路さんで、私たちとは違うところで頑張って。涼宮ハルヒ以外なら、誰を殺してくれても構わないから」
姫路瑞希は運動があまり得意ではなく、性格も温厚で、争いごとは苦手だ。
自分でもそう思っている。だからこそ、朝倉が見当違いな願いを言っているように思えてならない。
自分でもそう思っている。だからこそ、朝倉が見当違いな願いを言っているように思えてならない。
「引き受けてくれるなら、私はあなたを殺さないし、吉井明久くんに会っても殺さないでいてあげる。
計算どおりにいけば、最後は私と師匠、涼宮ハルヒ、姫路さんと吉井明久くんの五人になるでしょうから、
そうなったら改めて殺し合うといいわ。私としては、師匠の存在が最終的な懸念にもなると思うし、
あなたという不確定要素がいてくれればやりやすいことこの上ない。つまり、約束は残り五人になるまで継続ね」
計算どおりにいけば、最後は私と師匠、涼宮ハルヒ、姫路さんと吉井明久くんの五人になるでしょうから、
そうなったら改めて殺し合うといいわ。私としては、師匠の存在が最終的な懸念にもなると思うし、
あなたという不確定要素がいてくれればやりやすいことこの上ない。つまり、約束は残り五人になるまで継続ね」
もし、朝倉涼子と吉井明久が対面してしまったならば――考えたくもない。
今の自分の身以上に、彼の安否を気遣えばこそ、朝倉の提案は魅力的であるはずだった。
今の自分の身以上に、彼の安否を気遣えばこそ、朝倉の提案は魅力的であるはずだった。
「贅沢を言うとね、あなたというちっぽけな存在がどこまでやれるか、観察したいところではあるの。
この熱意は涼宮ハルヒに向けていたものとは違うし、情報統合思念体の意思というわけでもない。
有機生命体――人間に近しい存在となってきている“私”のための、まあ努力と言ったところなのかしら」
この熱意は涼宮ハルヒに向けていたものとは違うし、情報統合思念体の意思というわけでもない。
有機生命体――人間に近しい存在となってきている“私”のための、まあ努力と言ったところなのかしら」
朝倉は瑞希に殺人者としての才覚でも見たというのだろうか。
彼女が自分に対して、なにをそんなに期待しているのかわからない。
朝倉の腕を振りほどいたこととて、無我夢中だっただけなのだ。
それを暴力として、他人の命を刈り取るために使えるかといえば、
彼女が自分に対して、なにをそんなに期待しているのかわからない。
朝倉の腕を振りほどいたこととて、無我夢中だっただけなのだ。
それを暴力として、他人の命を刈り取るために使えるかといえば、
「私の言葉が信じられない? じゃあ、これならどう?」
答えは語るまでもない。
そのはずなのに――朝倉涼子は、姫路瑞希の左手中指に手をかける。
そのはずなのに――朝倉涼子は、姫路瑞希の左手中指に手をかける。
爪と皮膚の間に、朝倉の指の爪が食い込んだ。
なにをされるのか、わからなかった。
爪と皮膚の密着部が、べりり、とわずかに離れた。
少しばかりの痛みを感じて、身が縮こまった。
爪が皮膚から、べりりりっ、と音を立てて剥がされた。
激痛に、瑞希の絶叫が木霊した。
なにをされるのか、わからなかった。
爪と皮膚の密着部が、べりり、とわずかに離れた。
少しばかりの痛みを感じて、身が縮こまった。
爪が皮膚から、べりりりっ、と音を立てて剥がされた。
激痛に、瑞希の絶叫が木霊した。
「姫路さんが断れば、私は今からあなたを殺して、その後にすぐ、吉井明久を殺しにいくわ」
そう言ってから、朝倉は爪を剥がした指の隣の指、瑞希の左手薬指に手をかける。
逃れたくても逃れられない。朝倉に手首をきゅっとつままれ、足だけがじたばたした。
逃れたくても逃れられない。朝倉に手首をきゅっとつままれ、足だけがじたばたした。
「これが、私の本気。自分以外の存在のために……私とあなた、それぞれ頑張りましょう?」
薬指の爪が、乱暴に毟り取られる。
二本の指の爪が、そうしてなくなってしまった。
二本の指の爪が、そうしてなくなってしまった。
◇ ◇ ◇
ちらり、と自分の左手に目をやる。
中指と薬指の爪がない。
綺麗に剥離された指は、まだ血が残っている。
真っ赤になったそれは感覚も薄く、ずきずきと痛んでいた。
中指と薬指の爪がない。
綺麗に剥離された指は、まだ血が残っている。
真っ赤になったそれは感覚も薄く、ずきずきと痛んでいた。
あの後、朝倉は師匠に気づかれぬようこっそりと瑞希を運び出し、裸のまま裏手に放置した。
本人としては種でも撒いた気分なのだろう。どこか純真にも見えたあの瞳は、本当に瑞希を殺人を期待している。
本人としては種でも撒いた気分なのだろう。どこか純真にも見えたあの瞳は、本当に瑞希を殺人を期待している。
瑞希といえば、それどころではなかった。
爪を剥がされた痛みよりもまず、殺されそうになったというショックが、彼女を打ちのめしていた。
爪を剥がされた痛みよりもまず、殺されそうになったというショックが、彼女を打ちのめしていた。
空が明るくなり始めても、起き上がる気にはなれない。
街路のど真ん中で、恥ずかしげもなく裸体を晒している。
羞恥よりも恐怖が勝っていた。
動けばなにかが崩壊するような気がした。
街路のど真ん中で、恥ずかしげもなく裸体を晒している。
羞恥よりも恐怖が勝っていた。
動けばなにかが崩壊するような気がした。
命は助かったが、瑞希が求めた助けは訪れなかった。
振り分け試験の最中、高熱を出した自分を気遣ってくれた声は、
清涼祭のとき、チンピラに暴行されそうになった自分を助けに来てくれた彼は、
手作りのお弁当を美味しそうに食べてくれた男の子は、いつだって隣にいてくれた瑞希の好きな男の子は、
振り分け試験の最中、高熱を出した自分を気遣ってくれた声は、
清涼祭のとき、チンピラに暴行されそうになった自分を助けに来てくれた彼は、
手作りのお弁当を美味しそうに食べてくれた男の子は、いつだって隣にいてくれた瑞希の好きな男の子は、
「明久君……明久、くん。うっ……あ、あぁ……」
助けに来てはくれなかった。
ここは、そういう場なのだ。
ここは、そういう場なのだ。
でも、
だからといって、
いやだからこそ、
だからといって、
いやだからこそ、
朝倉の言うとおりに、殺人を肯定することなどできない。
体以上に心をずたずたにされ、それでも瑞希の意思は強くあった。
体以上に心をずたずたにされ、それでも瑞希の意思は強くあった。
と、そこへ。
「……君、大丈夫?」
まったくの事情を知らない優しげな声が、瑞希の上より降りかかった。
◇ ◇ ◇
それを見た瞬間、黒桐幹也の心臓は肋骨を突き破り外に出た。もちろん比喩である。
心臓が跳ね上がる、どころではないざわめきが、彼の思考を支配し身を束縛した。
心臓が跳ね上がる、どころではないざわめきが、彼の思考を支配し身を束縛した。
あれはなんだろうか。人間だ。一糸纏わぬ裸の人間が、道の途中に転がっている。
空は既に明るくなり始めていた。だからこそ気づけた。ピクリとも動かぬ女の体に。
空は既に明るくなり始めていた。だからこそ気づけた。ピクリとも動かぬ女の体に。
これはいったいどんな状況だろう。考えるよりも先に過ぎった予感は、忌避したいほどの可能性。
どこの世界に、往来で裸を晒しながら寝る女性がいようものか。まさか、と前置きしなくとも。
どこの世界に、往来で裸を晒しながら寝る女性がいようものか。まさか、と前置きしなくとも。
死体じゃないか。
朝焼けもそろそろという時刻、黒桐幹也は進路上に横たわる女性を発見して、動けなくなった。
思い起こされるのは、数時間ほど前の一件だ。黒桐は今と同じように、女の子の死体を発見した。
守れなかった、己が死なせてしまったにも等しい、吉田一美との別れ。
その次なる邂逅は、先の一件とまったく酷似した、できることならこのまま逃げ出したいほど悲惨なものだった。
思い起こされるのは、数時間ほど前の一件だ。黒桐は今と同じように、女の子の死体を発見した。
守れなかった、己が死なせてしまったにも等しい、吉田一美との別れ。
その次なる邂逅は、先の一件とまったく酷似した、できることならこのまま逃げ出したいほど悲惨なものだった。
(それでも、もう逃げることはできない)
罪悪感とは使命感と同じもの。それは人によっては正義感とも呼ばれ、安易に掲げる者は偽善者として罵られる。
それも甘んじて受けようじゃないか、と黒桐は一歩を踏み出した。
転がっているそれが、本当に死体なのか否かを確かめるために。
それも甘んじて受けようじゃないか、と黒桐は一歩を踏み出した。
転がっているそれが、本当に死体なのか否かを確かめるために。
「明久君……明久、くん。うっ……あ、あぁ……」
声が、聞こえてきた。
足下から発せられる、弱々しい嘆きの声だった。
黒桐はほっと胸をなでおろす。安堵も早々に、彼女を救おうと身を屈めた。
足下から発せられる、弱々しい嘆きの声だった。
黒桐はほっと胸をなでおろす。安堵も早々に、彼女を救おうと身を屈めた。
「……君、大丈夫?」
上着を脱ぎ、裸体を隠すようにして少女に覆い被せる。
少女は横目でこちらを見た。目と目が合い、彼女がひどく消耗していると気づいた。
女性の裸体ゆえ、しげしげ眺めることは躊躇われたが、一見しただけでは外傷は特になかったと思う。
少女は横目でこちらを見た。目と目が合い、彼女がひどく消耗していると気づいた。
女性の裸体ゆえ、しげしげ眺めることは躊躇われたが、一見しただけでは外傷は特になかったと思う。
なにか、目立たぬ部分で酷い目に合わされたのか。
すぐに吉田一美の――そして白純里緒の顔が頭に思い浮かび、しかし首を振る。
今はなによりも、彼女を保護することが先決だ。
黒桐は少女を安心させようと、懸命に声をかける。
すぐに吉田一美の――そして白純里緒の顔が頭に思い浮かび、しかし首を振る。
今はなによりも、彼女を保護することが先決だ。
黒桐は少女を安心させようと、懸命に声をかける。
「なにがあったかは聞かない。僕は君になにもしない。だから落ち着いて」
「あ……う、あぁ……」
「体は動くかい? 無理に喋る必要ない。でも立てるなら、どこか落ち着ける場所に移動したほうが――」
「あ……う、あぁ……」
「体は動くかい? 無理に喋る必要ない。でも立てるなら、どこか落ち着ける場所に移動したほうが――」
慟哭が激しくなり、少女はゆったりした動作で黒桐の胸元に飛び込んできた。
「あっ……あぁ、ああぁぁぁ…………っ、あぁ~…………っ」
嗚咽とも、涙とも取れない、純粋な悲しみ。
黒桐はこの偶然の出会いを、どう受け取るべきかと悩んだ。
今はただ、少女が泣き止むまで待とう。
そう心に決め、胸を貸すのだった。
黒桐はこの偶然の出会いを、どう受け取るべきかと悩んだ。
今はただ、少女が泣き止むまで待とう。
そう心に決め、胸を貸すのだった。
――いったいここでなにがあったのか、と目の前の温泉施設を睨みつけながら。
【E-3/温泉付近/一日目・早朝】
【姫路瑞希@バカとテストと召喚獣】
[状態]:精神的ショック大、左中指と薬指の爪剥離
[装備]:黒桐の上着
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:死にたくない。死んでほしくない。殺したくない。
0:明久君……。
1:朝倉涼子に恐怖。
[状態]:精神的ショック大、左中指と薬指の爪剥離
[装備]:黒桐の上着
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:死にたくない。死んでほしくない。殺したくない。
0:明久君……。
1:朝倉涼子に恐怖。
【黒桐幹也@空の境界】
[状態]:健康 、罪悪感、強い悲しみ、使命感
[装備]:なし
[道具]:デイパック、血に染まったデイパック、基本支給品×2、ボイスレコーダー(記録媒体付属)@現実、七天七刀@とある魔術の禁書目録、ランダム支給品(確認済み)1~3個
[思考・状況]
基本:式、鮮花を探す。
1:少女(姫路瑞希)を落ち着かせる。
2:吉田さんの知り合いを見つけ、謝罪しレコーダーを渡す。
3:浅上藤乃は……現状では保留。
4:先輩ともう一度話をする。
[備考]
※吉田一美の殺害犯として白純里緒を疑っています。
※白純里緒が積極的に殺し合いに乗っていることに気がついています。
[状態]:健康 、罪悪感、強い悲しみ、使命感
[装備]:なし
[道具]:デイパック、血に染まったデイパック、基本支給品×2、ボイスレコーダー(記録媒体付属)@現実、七天七刀@とある魔術の禁書目録、ランダム支給品(確認済み)1~3個
[思考・状況]
基本:式、鮮花を探す。
1:少女(姫路瑞希)を落ち着かせる。
2:吉田さんの知り合いを見つけ、謝罪しレコーダーを渡す。
3:浅上藤乃は……現状では保留。
4:先輩ともう一度話をする。
[備考]
※吉田一美の殺害犯として白純里緒を疑っています。
※白純里緒が積極的に殺し合いに乗っていることに気がついています。
※温泉施設の客間に『お幻の鷹@甲賀忍法帖』の死骸と、『マリアンヌの器@灼眼のシャナ』が頭部を損壊した状態で放置されています。
【筑摩小四郎@甲賀忍法帖 死亡】
【北村祐作@とらドラ! 死亡】
【北村祐作@とらドラ! 死亡】
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| 前:ハローグッバイ | 北村祐作 | 死亡 |
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