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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • 信じるものは -all or nothing-

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

信じるものは -all or nothing-

最終更新:2010年10月18日 18:01

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だれでも歓迎! 編集

信じるものは -all or nothing-◆IEYD9V7.46



ガタ、ガタ。
「痛、またぶつけちゃったか……」
左手で引きずるように運んでいた箱から鈍い感覚が返ってきて、僕は思わずぼやいた。
最早道なんて呼べない森の中を、僕は必死で歩く。
足場は安定しないし、おびただしい量の草木が行く手を阻んでくる。
おまけに薄暗くなって視界まで悪くなってきた。
行くときにはまだ明るかったし、こんなに時間をかけるつもりなんてなかったんだけど、
どうやら見通しが甘かったみたいだ。
帰路についた今では、右手に持ったコンパスの文字を見るのが辛いくらいに影の密度が増していた。
手の中で左右に揺れる針を視野外に追いやり、辺りを見回す。
黒を多分に含んだ濃密な緑の世界。
その上方に、異彩を放つ光が見えた。
葉の密度が少ない場所から、オレンジ色の太陽の光が差し込んでいたんだ。
細かな網目を無理矢理通る光は、森という夜空に橙色の星が散りばめられているようにも見えた。
そろそろ本物の星も姿を現す時間になるんだろう。

視線を前方に戻し、足場を確かめながら歩く。
どこまでも続いていそうに見える暗い森の中に、僕一人。
ここに来てからの自分……いや、ここに来る前も含めてかな。
暗がりに一人というのは孤独な自分のことを象徴しているみたいだった。
元の世界では宿命に従って、姉妹たちと対立して一人になった。
後ろめたさがないと言えば嘘になる、だけどそれが彼女たちに対する裏切りだとは思っていない。
僕の願いは、お父様の願いなのだから。
僕はその信念を揺るがせたくなかった。だけど、状況はそれを許してはくれなかったんだ。
状況というのは、言うまでもなくこの島での殺し合いのことだ。
アリスゲームはドールと、そしてミーディアムだけで決着をつけるべきもの。
何も知らない他人が姉妹を破壊したとして、そのおこぼれで得たローザミスティカに、どれほどの価値があるというのか。
そんなこコソ泥が、アリスに相応しいはずなんてない。
だというのに、ジェダはドールも人間も関係なく殺し合えと言う。
だから僕は迷った。こんな特殊な状況下でアリスゲームを続行するのか、
信念を覆してでも翠星石たちを助けに行くのか。……ごめん、これは嘘だ。
最初から僕の意思はみんなを助けてここから脱出する方向に傾いていたんだ。
けど、僕はやはり動けないままだった。
しかも、情けないことに自分の行動の転機を他人に委ねようとまで思っていたんだ。
そうして、僕はすぐにタバサに出会い……、
「?」
ふいに闇が途絶えて、開けた場所に出た。
考え事に夢中だったせいで気が付かなかったけど、どうやら目的地に辿りついたらしい。
全身を包む赤みがかった黄金色の光が、やけに懐かしく感じた。
空を見上げる。
そこにそびえるのは、天高く屹立した一つの塔。
柔らかな太陽の光を纏うのがごく当たり前のように思える、
そんな神々しささえ放つ塔だった。
僕はこの凄惨な島には似合わない芸術をぼんやりと眺めて、こう思った。
森の闇は、ここに来たばかりの僕のことを象徴していた。
ならば、闇を抜けた先にあった光の塔が象徴するのは、もちろん――


  *  *  *


一本の塔が建っていた。
塔の周りにはまるで侵入者を拒むためにあるのではないかと思える、深い深い森がある。
そんな勇猛さを持つ森も、塔の極近い部分だけは、
塔を中心に周囲を丸くくり貫いたようにほとんど草木が生えていない。
広場となっているその場所に、二人の少女が向かい合っていた。
激しすぎる温度差を伴った、二人の少女だった。

蒼星石は最後の警告をするつもりだった。それ以上続けると、
自分でも分からない感情の波に潰されてしまいそうだったから。
イシドロの死を目の当たりにしたときに流した涙のあとから、
また熱いものが目の下に溜まる。
その痛みに負けないように、蒼星石は声を震わせて立ち向かう。
「……タバサ、イシドロを埋めてあげよう。……手伝って、ほしい」
その弱弱しい言葉には、載せられるだけの願いが詰められていた。
そして、
「? どうして? そんなことしちゃだめだよ蒼星石。
 それよりもイシドロを運ぶ方法を何か考えようよ」
その場違いに明るい声は、磨耗した蒼星石の心を吹き飛ばすのに充分なものだった。

――あぁ、やっぱりか。

蒼星石はそれ以上何も言わなかった。
タバサに背を向けて、柔らかい地面に片膝をつく。
そしてバイオリンの弓を逆手に持ち、黙々と地面に突き立て始めた。
金糸雀のものを勝手に、しかもこのような用途に使うのは気がひけたが、
穴を掘るのに手ごろなものが他にない。
それに、何か他のことをやっていなければどうにかなってしまいそうだった。

ザッ、ザッと土と砂と弓が擦れあう音が等間隔で生まれる。
今の蒼星石を見て、この人形は生きていると言っても誰も信じないだろう。
そのくらい、蒼星石の動きは調整された自動人形のように機械的なものだった。

突然押し黙り、こちらを拒絶するように背を向けた蒼星石を見て、
タバサは急に不安になり始めた。
「蒼星石……?」
そう呟くと同時。
サーッ……、と。ふいに吹いた風が言葉の端を攫っていく。
森を吹き抜け、葉を揺らし、二人の髪をなびかせて風はあっという間に消え去った。
蒼星石は、何も答えなかった。
風の邪魔があったとしても、タバサの呼びかけは確かに蒼星石の背中に届いたはずだ。
しかし蒼星石はタバサのほうに振り向こうとしないどころか、
まるで何も聴こえなかったかのようにただただ穴を掘り続ける。
「ねぇ、蒼星石ってば……」
さっきの声が聴こえなかったのかと思ってもう一度呼んでみたが、
やはり蒼星石はなんの反応もしてくれなかった。
言葉を掛ける前と後で何も変わらない。
奇妙なほどに一定の間隔で刻まれるザッ、ザッという穴を掘る音が、
タバサの不安をどんどん煽っていく。
ここに至ってようやく、タバサは蒼星石が怒っているのではないかと思い始めた。
けれど、それが分かったところで何もできない。
タバサには蒼星石が怒っていること以外、何が起きたのか少しも分からなかったのだから。
もし蒼星石が怒っているとしても、いったい何が原因で怒っているのかちっとも分からない。
せめて、蒼星石の顔が見えればどうすればいいのか分かるかもしれない――
そう思い、足の先に力を入れて地面を蹴って進もうとするが、
タバサは最初の一歩を踏み出すことさえできなかった。
改めて見た蒼星石の後ろ姿が、「こちらに来るな」と威嚇しているように見えてしまったせいだ。
タバサとて幾多ものモンスターを屠り、大魔王にさえ打ち勝った戦士だ。
幼い身でありながらも、これくらいの威圧感など今までにいくらでも感じてきた。
だが、そのような敵意を仲間から感じたことなどありはしなかった。

自分よりもずっと小さい人形の背中が、更に小さく、遠くに見える。
歩幅にして10歩も離れていない距離のはずなのに、
蒼星石との間には越えることができないくらい深く、大きな溝があるような気がした。
それが悲しくて。けどそれ以上近づくのは躊躇われて、行くことも退くこともできない。
どうしようもなくなったタバサは、唯一自由に動く口を目一杯動かして、
とにかく言葉を投げ掛ける。
闇雲に言葉をぶつければ、どれかが蒼星石に対する答えになると願って。

「蒼星石……怒って……いるの?」
ザッ。ザッ。ザッ。
「……ねぇ、どうして?」
ザッ。ザッ。ザッ。
「何で穴を掘っているの……?」
ザッ。ザッ。ザッ。
「ダメだよ……、やめて……」
ザッ。ザッ。ザッ。
「そんなことしたら、イシドロが復活できなくなっちゃうよ……」

ピタリ、と音が止む。
まさかそれで止まるとは思っていなかったのだろう。
面食らったタバサはビクリと全身を緊張させ、恐る恐る蒼星石のほうを窺う。
丁度、蒼星石もタバサのほうへと身体を向けている最中だったらしい。
それから間を置かずに完全に向き直り、蒼星石は自身の表情をタバサの前へと晒した。
そこに、タバサが想像していたような憤怒の表情など微塵も存在していなかった。
代わりにあったのは、憑き物がとれたように穏やかな、見ようによっては諦めきったような顔。
出来の悪い生徒に一から十まで説明しようとする教師のような顔だった。
ただし、今の蒼星石がそこまで優しいかなんて分からない。
なぜなら、その顔はタバサよりずっと年上の教師のように見えるのと同時に、
怒りを通り越して感情を作る器官が破壊されてしまったようにも見えたのだから。
そのことが、タバサに更なる恐怖を与える。
蒼星石が何を考えているのか、欠片も掴むことができない。

  *  *  *

もううんざりだった。全部吐き出して吐き出して吐き出しつくして。
……楽に、なりたかった。
考えてみればこれが初めてなんかじゃない。
タバサがイシドロの腕をなんの躊躇いもなく切り落とした時から感じていたもの。
それがとうとう、我慢するには痛すぎるくらいに膨れ上がっただけのことなんだよ。
人とドールの感性の違い? そういう問題なんかじゃない。
いつの時代のミーディアムとも、そしてジュン君とだって言葉も心も通じてきたんだから。
例え、それが一時の繋がりだったとしてもね。
だから、種族の違いだとか、存在の違いだなんていう些細な問題じゃない。
きっと、もっと根源的で、致命的なところからずれているんだと思う。

……手を動かすことにしよう、やることはたくさんあるんだから。
まずはイシドロに義理を立てようと思う。
彼はこの結末を望んでいなかったし、僕たちを守りたいわけでもなかった。
僕たちの盾になったことを後悔するどころか、恨んでさえいるかもしれない。
恨むなら、それでも全然構わない。彼を埋葬するのだって僕のわがままだ。
ただ、彼がいなければ僕の命はきっと終わっていたのだから、
生き残った僕が彼のために時間を使うのも悪くない。
僕が勝手にそう思っているだけなんだ。
……そう、僕が勝手に思っているだけ。
それでも僕はタバサにも僕と同じ思いを抱いて欲しかった。
助かった。ありがとう。ごめんね。
一言でいいから、タバサにも彼の死を悼んで欲しかっただけなんだ。
それなのに。

ジワリ、と視界が歪む。
ダメだ、今は泣いたり悲しんだりする時間が惜しい。
早く埋葬を済ませて、みんなを探しに行かないとなんだから。
僕はそこで余計なことを考えるのをやめて、目の前だけに集中した。
タバサが何か言っている気がしたけど、もう僕にとってはそんなことはどうでも良かったんだ。
弓に力を込めて、振り下ろす。
弓に力を込めて、振り下ろす。
弓に力を込めて、

「そんなことしたら、イシドロが復活できなくなっちゃうよ……」

ドクン。
全てを遮断していたはずなのに、なぜかその言葉だけは胸を叩いて、僕は手を止めてしまった。
止めた後、なぜそんなものを気に留めてしまったのかと後悔した。
その言葉は過剰な量の薪を、火にくべられるのと同義だったのだから。
この期に及んでまだそんなことを言うタバサに、
言葉では到底表せないような感情が沸きあがる。
滾る心にあえて逆らうように、僕はタバサの方へゆらりと身体を向けた。
別に今さらタバサを説得したいわけじゃない。
単に、胸に詰まった泥を吐き出したいだけなんだ。
吐き出す先のゴミ箱がどんなものなのか、そんなことに興味なんてない。

「死んだ人間は生き返らない」
「何言っているの、……蒼、星石?」

死んだ人間が生き返る。
どうやら本気で信じているらしいタバサが、なんだか哀れに思えてきた。
そんな馬鹿なこと、あるはずがない。

「もう一度だけ言うよ」

もし死んだ人間が生き返るなら、それはさぞ素晴らしいことなのだろう。
僕たちドールに課せられたアリスゲーム、
その目的の半分である「死んだお父様に会うこと」が達成できるのだから。
代え難い姉妹を犠牲にせずにお父様に会えるのだから。

「死んだ人間は」

でも、現実はそんな都合のいいものじゃない。
だから僕は真紅たちと袂を分かち、最愛の姉である翠星石にまで刃を向ける覚悟を持った。
そして僕は水銀燈と戦って……。
戦って……。
たた、かって?

「…………え……ぁ……?」
「……蒼星、石?」

あれ、おかしいな。そんなはずないじゃないか。
落ち着け、もう一度冷静になって考えるんだ。
翠星石たちと別れて……
すぐに水銀燈と薔薇水晶が戦いを仕掛けてきて……
僕は水銀燈と戦って……
……戦って僕はどうした? どうなった?
思い出せ、何かがおかしいじゃないか。

剣と鋏を何度も、何度も打ち合って。
押し勝って、押し負けて。
隙を見せてしまった僕の胸に、病的に白い腕が伸びて――

「……僕は、水銀燈に負けた……?」

一度口に出してしまったら最後、その事実は僕の中に最初からあったように深く根付いた。
いや、実際にもとからあったに違いない。
ただ、無意識のうちにそのことを考えるのを避けていただけで。
もう否定することなんてできないし、する気力だってなかった。

「水銀燈にローザミスティカを奪われて……死んだんだ」

なら。もしそうならば。

「ここにいる僕は、いったいなんなんだ……?」

これは夢なのか。夢だとしたら、いったいどこからが夢なんだ?
ここに来てから? 水銀燈に負けてから? ジュン君に出会ってから?
前のミーディアムのところにいたときから? 
それとも……僕なんてものは最初から……?
違う、そんなはずないだろ!?

じゃあどうやって現状に説明をつければいい!?
僕は確かにローザミスティカを失った!
絶対にあのとき死んだんだ! 
そんなことも疑わなくちゃいけないなら、僕は何を信じればいいんだ!?

落ち着くんだ、僕! 本当に死んだならここは死後の世界っていうものなんじゃないか?

死後の世界……? あぁ、そうか。そうなのかもしれないね。
……だめだ、ここが死後の世界なら翠星石が、真紅も雛苺も金糸雀も!
みんな死んでいることになるよ!?

でもそう考えればジュン君がここにいないことにも納得がいくよ?
彼はきっと、今もアリスゲームとは関わりないところで生きているのだから。
契約していたドールが皆死んで、彼はミーディアムではなくなったんだよ。
それでも水銀燈たちに殺されていないのだから、喜ぶべきなんじゃないかな?

できない! それを認めたら、水銀燈か薔薇水晶のどちらかがアリスになるっていうことじゃないか!
そんなこと、事実だとしても尚更認められないよ!
くそ、違う、こんなものは違う!
なんで行き着く考えは都合の悪いものばかりなんだ!?
誰か否定してくれ。優しく諭して欲しいなんて贅沢は言わない、
だから僕の弱い考えを否定してくれよ!

「そんなに難しく考えることはないよ、蒼星石」

縋るものが欲しかった僕は叩かれたようにタバサのほうを見やる。
さっきまでの悲しそうな、怯えたような表情とは打って変わり、
タバサはいつも通りの微笑をたたえていた。
不思議だ。
抑えきれないくらいの憤りを蓄えていたはずなのに、
なぜかその笑顔を見て安心してしまう自分がいた。
今は誰でもいいし、何でも良かったのかもしれない。
僕に答えをくれるなら。

「蒼星石も生き返っただけのことなんだから。
 きっとジェダがザオリクを使ったんだよ」

生き、返る。
今となってはタバサのその言葉は世界中のどんなものよりも強いような気がしたし、
信じてしまうのが僕にとって一番の救いだと思った。

「でも……でも! ドールが、人だってそうだ!
 そんなに簡単に生き返れるはずないじゃないか!?」

それでも僕の心の中の最後の砦が、そんなことできるわけないと警鐘を鳴らしている。
とはいえ、それは既に抗弁するためのものではなく、
問いをぶつけることでタバサから更なる情報を引き出し、
裏付けるための手段でしかなかった。
既に僕の砦には白旗が揚がっていたのだから。
あとは空虚な跡地に何を満たしてくれるのか、そんなことしか考えられない。

「そんなことはないよ。私のいたところには殆どの町や村に教会があるの。
 そこにいる神父さまに頼めば誰だって生き返らせてもらえる。
 人も魔物もみんな平等にね。そんな人が、世界にはたくさんいるんだよ」
「……本当だとしても、それは君の故郷での話なんだよね。
 ここにいない人のことを言っても……」
「あれ、言ってなかった? 私のおにいちゃん、
レックスなら死んじゃった仲間を復活させることができるんだよ」
「っ、本当、に?」
「もちろん! レックスは天空の勇者だし、すごいんだよ!
 傷なんてベホマですぐに治しちゃうし、
 死んじゃってもザオリクで復活させてくれるの! ……でもね」

唐突にトーンが落ちる。
僕の心はまだ全然落ち着こうとはしなかったけど、
そんな状態でもなぜかタバサの気持ちを察することができた。
これから彼女は、自分の傷を抉って僕に見せようとしているのだと。

「……それでも、助けられない人はたくさんいたよ。
 私のおじいちゃんもおばあちゃんも、死体も残らずに殺されちゃったから。
 癒す箇所がなければ、復活させるためのもとがなければ魔法はかけられない……。
 でも、イシドロは違う。まだここにイシドロはいるし、
 レックスだってこの島にいるの! だから、助けることができるんだよ!」

胸を貫かれたような衝撃を受けた。
タバサの語ることは荒唐無稽な戯言でしかなかったはずなのに、
なんでこんなにもリアルに響くのだろう。
現実的じゃないって吐き捨てるなら、むしろ今僕がここにいること、
この島で行われている殺し合いのことのほうがよっぽど非現実的だ。
考えの浅い子供が作り出した陳腐な幻想なんかじゃない、
タバサの言葉には経験に裏打ちされた確かな骨組みがあると思った。
同時に、フッ――、と。
暗く深い海の底に沈んでいた僕の心に、煌々とした光が差し込んだ気がした。
その光を、僕はゆっくりと確かめるように辿り始める。

「ねぇ、タバサ。……お兄さんに頼めば、ここにいるみんなを生き返らせることも……?」
「できるよ。悪い人以外、私たちの仲間はみんな助けてくれる。
 一日じゃMPが足りなくなるかもしれないけど、何日もかければきっとみんな生き返れるよ」

……そうか、そうだったんだ。
やっとタバサの今までの行動の意味が分かった。
そして、呑み込みさえすればタバサの行動は理に適ったものばかりだと思った。
敵とはいえ、なぜ初対面の相手にあぁも徹底的な攻撃を加えることができたのか。
それは、例え殺してしまっても、蘇生する手段があると知っていたからなんだ。
倫理観が欠如しているなんて非難する意味はない。
多分、彼女の世界ではそれが当たり前なのだから。
タバサからしてみれば、きっと僕がいた世界にだっておかしいことはたくさんあるんだろう。
今はそんなどうでもいいことを考えるのではなく、素直に喜ぶべきなんだ。
姉妹に合わせる顔がなくて何もできないでいた僕が、この島で初めて手にした確かなもの。
レックスとタバサがいれば、みんな死なずにすむ。
ならば、僕がするべきことに迷いが生じるわけがない。
答えはこんなにも身近にあったんだ。
僕にはもうタバサの言葉を疑うことなんてできなかった。
一度認めてしまえば、こんなにも甘く、そして美しい果実を手放すことなんて出来るはずがなかったんだ。

「ごめん、タバサ……。僕は、君の言うことを今まで信じてあげられなかった。
 でも、もし今からでも許してくれるのなら……僕を君の本当の仲間にして欲しい」

虫が良すぎると思った。あれだけタバサのことを拒絶して、
傷つけたというのに、僕はなんて醜い言葉を投げているのだろう。
それでもタバサは、

「なに言ってるの蒼星石……。私たち、もうずっと仲間でしょ……」

指で自分の目の横を軽く拭いながら、こんなにも優しい言葉を掛けてくれる。
やっぱり僕は馬鹿だったんだ。
タバサは分かり合えない怪物なんかじゃない。
泣いたり、笑ったりできる強くて頼もしい女の子だったんだから。


  *  *  *


塔の中の一室の前に辿りつき、鈍い音を立てながら部屋の扉を開ける。
大人しく待っていてくれたか不安だったけど、杞憂だったみたいだ。
少しだけ眠そうにしながら壁に背を預けていたタバサはそこにちゃんといたし、
今は動けないイシドロだって変わらずに床に横たわっていた。
僕はそのことに安堵し、タバサと顔を見合わせる。

「ただいま」
「あ、おかえりー」

あれから、僕はタバサの意見に全面的に従うことにして、
イシドロを運び出すための手段を考えた。
何かいい手はないかと悩んでいた僕とタバサは、近くに廃病院があることに気がつき、
そこから必要なものを調達してくることにした。
タバサは付いてくると言って聞かなかったけど、僕はそれでもタバサをここに残した。
さっきの戦闘の傷が癒えないのだから、どうしても休ませるべきだと思ったんだ。
野外よりは屋内のほうがいいだろうと考えて、試しに近くの塔の中を軽く探索したら
幸運にも休めそうな個室を見つけられた。
人が住むための施設なのか相当疑わしいけど、塔の中を全て探検したわけではない僕たちが、
この塔がなんのためのものかだなんて想像できるわけもなかった。
少なくても、この部屋は安全そうだったから僕はタバサをここに残して廃病院に出向き、
タバサ所望のこれを持って無事に帰ってきた。
「白い棺桶……。少し色が落ちててボロボロだけど……うん、やっぱりこれがいいね♪」
タバサが蓋を開けて中を覗き込んだり、しきりに表面を観察したりしている。
顔なんか見なくても、声色からタバサの気持ちなんてすぐに分かる。
どうやら気に入ってくれたらしい。
タバサが言ったように僕が持ち帰ったのは白い箱型の棺だ。
廃病院の用具室にゴミのように放置されていたものの中で、一番状態がマシなものを選んだ。
最初は、担架とか車いすのほうがいいんじゃないかと思っていたんだけど、
タバサがどうしてもと言うから棺にした。
何でも、これじゃないとしっくり来ないのだとか。
よくよく考えてみたら、棺は蓋ができるし、
いくらかは丈夫に出来ているから実用的にもありなのかもしれない。
そもそも、こんな森の中で車いすを押すのも大変だし、
ちゃんと使える物があったのかも疑わしい。
まぁ、棺だって運び難いのは変わらないけどね。
驚いたことに、タバサは馬車が使えないときは、
これを引きずって旅をしたこともあったらしい。
中身が空っぽでも運ぶのはが大変だったというのに。
それだけでもタバサがしてきた旅の過酷さ、その一端を覗き見た気がする。

「蒼星石、ありがとう。重かったでしょ?」
「気にしないで。仲間が助けあうのは当然のことなんだから」

自分でも分からないうちに、口元が緩む。
一度は確かに仲間と決別したはずの僕が、
こうも自然に「仲間」と口に出せるなんてなんだか可笑しかった。

「タバサ、これからどうするのか決めよう」
「うん。えーと、……外に出るなら今出ないと森を抜けられなくなるかもしれないね」
「そうだね。あと少しで陽が落ちるから外に出るのは危険だ。
 夜までに安全な寝床を確保することを考えると……、
いっそのこと今晩はこの塔に居座るのもいいと思うんだ。どう思う?」
「うーん、そうだね……。どうしようかな……」

  *  *  *

ごめん。みんな。
君たちを探すことを後回しにする僕を、どうか許して欲しい。
僕は知ったんだ。
多くの命を助けることができる、一番の方法を。
そして、そのことを知った僕が何をするべきなのかを。
これは僕の役目。
僕が繋がなければいけない、繋ぎたいと強く思う希望の糸なんだ。
だから僕は、タバサとレックスを守ってみせるよ。
二人を守ることが、この島にいるみんなを守ることになるのなら。
この悪趣味なゲームが終わりを迎えるときに、
みんなで笑い合うことができる道が、そこにあるのなら。
僕は脇目を振らずに真っ直ぐと、その道を進もうと思う。
世界を救ったっていう天空の勇者たちの従者に、僕もなるんだ。
君ならきっと分かってくれるよね? 翠星石。
大丈夫、すぐに迎えに行くよ。心配しないで待っていて欲しい。
最後には、みんな助かるんだから。



【C-3/塔の中の一室/1日目/夕方】

【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]:全身打撲(度合いは不明)。疲労(中)
[装備]:バイオリンの弓@ローゼンメイデン、こぶたのしない@FF4、戦輪@忍たま乱太郎×9 、イシドロの死体in棺桶
[道具]:支給品一式、ジッポ、板チョコ@DEATH NOTE、金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン
[思考]:タバサとレックスは僕が必ず守るよ。
第一行動方針:塔を出るのか、それとも留まるのかを決める。
第二行動方針:タバサの『夢』に入ってレックスと接触する? そのための準備をする?
第二行動方針:レックスを最優先で探す。姉妹たちは後回し。
基本行動方針:タバサとレックスをどんなことをしてでも守る。

【タバサ@ドラゴンクエスト5】
[状態]:全身に大ダメージ、MP消費(大)、バリアジャケット解除(普段の服装に戻りました)
[装備]:バルディッシュ・アサルト@魔法少女リリカルなのは(カートリッジ残数2)(待機形態)(破損あり)
[道具]:支給品一式×2(イシドロの服の食料も回収済み)、手榴弾×2、ヴェルグ・アヴェスター@Fate/hollow ataraxia
[思考]:レックスを早く探したいけどもう暗くなるね。
第一行動方針:塔を出るか、留まるかを決める。
第二行動方針:自分と仲間の身は「何としても」守る。
第三行動方針:信頼できる仲間を捜す。
第四行動方針:イシドロを「復活」させる手段を考える。
基本行動方針:「どんな手段を使ってでも」レックスを捜し出し、仲間と共に脱出する。
[備考]:「ドラゴンクエスト5」内でタバサが覚える魔法は全て習得しています。
  ミッドチルダ式魔法について、バルディッシュからある程度説明を受けました。
  いずれイシドロは「復活」させるつもりです(最悪、全ての戦いが終わった後にでも)。
  白レンのことを見限りました。もう味方だとは思っていません。
  バルディッシュ・アサルトはダメージを受け、自己修復中です。
  受けたダメージは相当なものですが、少なくとも、手足が動かなかったり欠損したりはしていません。
  (具体的な怪我については後の書き手さんに委ねます)

[備考]:C-3に立つ塔の外壁に、大きな穴が1箇所開いています。
    塔の周囲の木々が、バルディッシュ・ザンバーの攻撃の余波で何本か倒れています。


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≪164:軋む器識/人間ノック 投下順に読む 166:全ての終わり、一つの始まり――そして誰かいなくなった(前編)≫
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