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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • 非常灯だけが見ていた

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

非常灯だけが見ていた

最終更新:2009年12月11日 23:05

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だれでも歓迎! 編集

非常灯だけが見ていた  ◆sUD0pkyYlo



……その部屋は、意外と便利な場所に位置していた。

売店や救急外来にも程近く、また、病棟や手術室に通じるエレベーターからもそう遠くない、1階の片隅。
専用の通路を持ち、専用の裏口を持ち、大きな車が停められる専用の駐車場まで備えている。
病院によっては地下階にある場合もあるが、しかしその「アクセスの良さ」だけはどこでも変わらない。
決して目立つ案内表示はされないが、それでもその立地条件の良さは、生半可な診察室をも凌駕している。

しかし、その部屋に求められる機能をよくよく考えれば、きっと納得できるはずだ。
不幸なことではあるが、病院中のほぼどこからでも「その部屋に向けて運ばれる」可能性がある。
不幸なことではあるが、その部屋から先は一方通行で「病院の外に向けて運ばれていく」運命が待っている。
速やかに運び込まれなければならない。
速やかに運び出されなければならない。
それが、その部屋の本来の機能であり、本来の位置付けである。
その部屋は、しかし立地条件の良さとは裏腹に、周囲から隔絶された不気味な雰囲気を纏っており。
ちょっと足を伸ばすだけで辿り着けるにも関わらず、普段はあえて近寄る者もいない。

霊安室。
それがその部屋につけられた名前である。
闘病虚しく命を落とした患者の遺体が辿り着く、僅かな休息のための部屋であり――
葬儀場行きの車が迎えにくるまでの、僅かな待ち時間のための部屋。

そこに今――「およそ1人分に少し足りないくらい」の遺体が、横たえられていた。

長い黒髪の、10歳ほどの少女である。
泥も汚れも拭き取られ、髪も丁寧に梳かされ、眼鏡も掛け直されている。
血の気の引いた、しかし穏やかな表情だけ見れば、それはただ眠っているだけのようにすら思えるだろう。
ただし。彼女の首と胴体との間は、ぷっつりと不自然に途切れてしまっていて。
服も、着ていない。遺体の「残された部分」を清め安置する過程で、破けた衣類の残骸は捨てられていた。
肩から下、裸の胴体にはシーツがかけられているが……その胸から腹部にかけては、不自然に凹んでいる。
欠落しているのだ。身体の全面、そして内臓の半ばほどが、ごっそりと。
ヒトならざる化け物に、喰い散らかされて。

「およそ1人分に少し足りないくらい」の、少女の遺体。
彼女の生前の名は、野上葵と言った。
友達を想う優しさと、人間らしい心の弱さを併せ持った、不幸な少女だった。

彼女を追い詰め、彼女の死体を傷つけ、けれど、彼女を清め整え謝罪した2人組は、もういない。
命の気配は全て去り、残されたのは動かぬ死者のみ。
深夜の病院に、豊穣な沈黙が満ちる。
まるで彼女のために世界全てが喪に服しているかのような、静謐な空気。
ただ緑色の非常灯だけが――そこに描かれた、片足を上げて走る人物のアイコンだけが、見つめていた。
声もなく、動きもなく、ただ、全てを静かに、見つめていた。

もう目覚めることのない少女の、永遠の眠り――しかし。
その静寂は、間もなく、破られることになる。

病院の入り口に、ゆっくりとした足音が響く。

命の灯火を抱えた存在の接近が、あれだけ溢れていた死の気配を、あっさりと吹き飛ばしてしまう。

霊安室にも近い売店の前、体温を持った何者かが、通り過ぎていく……。


  *   *   *


明神弥彦は、そして、とうとう力尽きて崩れ落ちた。
全身が重い。目の前が霞む。意識が遠のきそうになる。
それでも彼は、最後の力を振り絞って、「この場にいるもう1人」を見る。

キルア=ゾルディックは――眠っていた。
この部屋、つまり、病院の1階にいくつも並んで存在していた、診察室の1つ。
その、診察用の寝台の上に、丁寧に横たえられ、穏やかな寝息を立てていた。

実のところ、弥彦は彼の手当てをするつもりでこの病院にまでやってきたのだが――
明治時代の頭に生きる少年にとって、この近代的な医療施設は想像を超えた存在だったのだ。
大きすぎる建物。無数の部屋。そして、遥か未来の医薬品の数々。
剣道修行での怪我も多い彼は、打ち身に効く軟膏くらいなら自分にも分かると思っていたが……甘かった。
この病院に置かれている医薬品は、彼の知る漢方薬の類ではない。
生化学の粋を集めて合成・精製され、効果は高いが副作用も大きく、扱いに専門知識を要する薬の数々だ。
とても、疲れきった弥彦の手に負えるものではなかった。

それでも、なんとかキルアを寝かせられる寝台を見つけ、彼を背から下ろして――
素人判断ながらも、彼の体の傷を検分し、頭の骨が折れても凹んでもいないことを確認し――
一応、血の滲んでいた頭に、鉢巻のように包帯を巻いて手当てをして――
さてこれからどうしよう、と思ったところで――力尽きた。

とりあえず、キルアは助かるだろう。
先ほどの戦いで負わせた怪我で、死ぬことは多分もうない。
そう思った途端に、一気に疲労が襲い掛かってきて……耐えられなくなった。

全身に負った小さな傷の、積み重ね。
そして、小柄な身体で背負いきれないほどの、疲労の蓄積。
明神弥彦は、とうの昔に、限界だったのだ。

彼はもはや、言葉を発する余裕もなく、キルアの眠る寝台にもたれるようにして膝をつく。
今、気を失うわけにはいかない。誰か危険人物が近づいてきたら2人揃って死にかねない。
そんな懸念が弥彦の脳裏を過ぎるが、しかしすぐにその思考も泥のような疲労に飲み込まれ、融けて消える。
深夜0時を間近に控えた、深夜の病院。
激しく対立した2人の少年の寝息が、綺麗に揃って響き始めた。

扉の上に沈黙を守る緑色の非常灯、そこに捕らわれたシルエットだけが、この安らぎの一時を見守っていた。


  *   *   *


満月に影が差し、冥王の眷属の復活劇が上演される。
予告なき冥王の演説が、島の隅々まで響き渡る。
少なからぬ者が眠りから覚め、その歓迎せざる独演会、あまりに大雑把な天気予報に耳を傾ける中――
病院は、静かに眠り続けていた。

殺しを決意した少年も。
殺しを否定した少年も。
殺されて死体と成り果てた少女も。
皆、ただ眠る。
皆、ただ深き眠りの底に沈んでいる。

うっすらと灯る緑色の非常灯、そこに浮かび上がった人影だけが、ただ黙って全てを聞いていた。


  *   *   *


……遠くから響く雨の音と、ひんやりした空気。キルア=ゾルディックはゆっくりと目を覚ました。
頭が痛い。
夢と現の狭間、ぼんやりした意識のまま、怪我した頭に手を伸ばした彼は、巻かれた包帯に気が付いて――
ようやく、覚醒する。
全てが一気に思い出される。明神弥彦との対立も、戦いも、その結果も。
全てが一気に理解される。傍らで寝息を立てる弥彦の姿と、手当てを受けた自らの姿から。

傷の具合は――大したことはない。
あれだけの勢いをつけて、逆刃の刀とはいえ、鉄の塊が叩き付けられたのだ。
常人であれば致命傷にもなりうる攻撃だったが……生憎と、キルアは常人から半歩外に踏み出している。
殺し屋としてのエリート教育を受けてきたキルア、念能力も習得したキルアなら、なんとか耐えられる。
むしろ、そんなキルアを気絶させた弥彦の強さをこそ賞賛すべきだろう。

キルアはしばし、思案する。
今、すぐ傍で無防備な姿を晒して眠っている弥彦を、殺しておくべきかどうか。
どう考えても、彼はキルアの『敵』だ。
どう考えても、彼はキルアと相容れない哲学の持ち主だ。
どう考えても、彼が目覚めれば再びキルアの邪魔をするだろう。
そしてキルアは、彼の邪魔をする者にも容赦しない、と既に心に決めている。

しばし思案して、しかし――キルアは溜息1つつくと、弥彦の身体を抱え上げた。
つい先ほどまで自分が横たわっていた寝台の上に、好敵手を横たえる。
診察室を見回し、包帯や薬を掻き集め、弥彦の着物をはだけて応急処置を施していく。

悔しいが、借りを作ってしまったことは事実だ。
外は雨が降っている。弥彦が運んでくれなければ、キルアはあの雨の中に放置されていたはずだ。
良くて、服が濡れて不快な思いをする程度。
下手すれば、体温を奪われ風邪をひき、今後の戦いにおいては致命的にすらなりうるハンデを抱え。
最悪の場合、水溜りに顔を突っ込む形で、溺れて死んでいた可能性すらあるのだ。
弥彦自身も傷つき、疲労していただろうに、ここまで運んでくれた借り。
せめてその分くらいは、返しておきたいと思った。
そのくらいの矜持は、今のキルアにも保たれていた。

病院の外では、延々と雨が降り続いている。
弥彦に一通りの応急処置を施し終えたキルアは、弥彦の着物を整え直し、そしてようやく腰を上げる。
自分の分の荷物だけ持って、その診察室を静かに出て行く。

借りは返した。だから、ここから先は弥彦の運命。
目覚めてなおキルアの邪魔をするなら、容赦なくリベンジさせてもらおう。
目覚めずキルアの邪魔をしないなら、それこそ万々歳だ。
寝ている間に誰かに襲われても、流石にそこまで面倒は見きれない。
それよりも今は、自分のことを考えなければ。
少し眠ったお陰か、疲労はかなり回復している。あと必要なのは……パワーの補充。
ここが『病院』なら、きっと『アレ』があるはずだ。
キルアはそして、彼の求めるモノを探して探索を開始した。

何も語らぬ非常灯上の影法師だけが、淡い緑の光を背に、その姿を眺めていた。


  *   *   *


島の上空、どんよりと垂れ込めた雨雲のその上で、Q-Beeは激しく触覚を震わせていた。

彼女(?)が冥王ジェダに与えられた指令は、3つ。制限時間は4時間。
指定された8体の死体の存在を、参加者に気付かれないよう気をつけ、確認して回ること。
首輪なき生存者を発見したら、ジェダへ報告すること。
今までの通常業務――ご褒美の配達と死者の報告――は続けること。

1つ1つはそう複雑でもない仕事だ。だから理解力に乏しいQ-Beeにも、なんとか務まる。
さて、では何から取り掛かるべきなのか?
……そうだ、ジェダは優先順位を、並べていた。
最初に、野上葵。次に、太刀川ミミ。ニア。そこから先は……名前は覚えているが、順位は曖昧だった。
頭は悪いが生真面目なQ-Beeは、ジェダが「最優先」として挙げた名前を、文字通りの最優先事項とした。

49番の首輪のP-Beeに、再度連絡。位置情報を送れ――返信あり。受信。現在地把握。
全首輪のP-Beeに、当該地点近傍に今居るものは返信せよ、と命令――返信あり。42番と82番。
42番と82番に連絡、共に行動していた人物の数を報告せよ――返信あり。共に「すぐ傍に1人のみ」と報告。
数を照合。合わない。首輪をつけた死体が傍にあるなら、あと1人分なければならない。
ゆえに、42番『トマ』と82番『レベッカ宮本』が、49番『野上葵』の『首輪だけ』を運んできたと判断。

Q-Beeはしばし思案する。良くない頭を振り絞って考える。
ジェダに命じられたのは、「死体の確認」だ。首輪の確認ではない。
死体に首輪がついていれば簡単なのだが、そうでない以上、多少の推測はせねばならない。
本来、Q-Beeが最も不得手とする知的活動だが……類似するイメージを思いつき、直感的に理解する。

首輪だけを持っているということは、きっと死体を「どこかで落としてきた」のだろう。
運びきれずに、どこかで「落としてきた」のだろう。Q-Beeはそういう形で理解する。
魔界で餌を漁る蟲の群れも、時に「1匹では運びきれないような大きな獲物」を見つけることがある。
P-Beeは欲張って頑張って丸ごと運ぼうとするのだが、途中で千切れて、獲物の一部分しか持ち帰れない。
さて貪欲なる魔界の蟲たちは、しかしその欠落が許せないわけで。
その取り落とした「残りの部分」は、貴重な餌は、一体どこを探せば見つかるのだろうか?
……簡単だ。獲物の一部分を持ち帰った、そのP-Beeが辿った道筋を、逆に辿らせればいい。
知能は低いが空間感覚には優れた魔界の蜂の群れ、その程度のことは、簡単にできる。
理屈でなく、本能でできる。

Q-Beeは再度P-Beeに指令を出す。
42番と82番、日没後から今に至るまでの移動経路の概要を報告せよ。――返信あり。ルート確認。
シェルターから発して南の病院に向かう、1本の道筋がQ-Beeの脳裏に浮かび上がる。
――これを辿れば、その途中にきっとある。
42番と82番の2人が「落としてきた」野上葵の死体が、きっとある。
細かいことは、実際に現地に行ってからだ。血の匂いも参考にすれば、きっと見つけられる。
Q-Beeはそして、分厚い雨雲を突きぬけ、遥かな下界目指して舞い降りた。

病院の中、ほんのり緑色に灯る非常灯。
Q-Beeの目がそこに描かれたシルエットを捉えるまで、さほどの間はかからなかった。


  *   *   *


――バチン。

救急外来受付のすぐ近く。
緑色の非常灯の明かりに照らされた、暗い部屋の中。
1つの診察室に、雷のような音が響く。
除細動用のカウンターショック、その電極。いわゆる「電気ショック」のための機械。
弱った心臓に一撃を加える荒療治。本来、感電事故に最大限の配慮を要するそれを……

うっすらと煙を上げながら、キルア=ゾルディックは両手に直に持っていた。

キルアの念能力は、変化系。『オーラを電気に換える能力』。
その習得の過程のせいか、制約と誓約の一種か……彼が能力を万全に発揮するためには、『充電』が必要だった。
元より、自らの腕にスタンガンを押し当てて身につけた能力である。
この程度の電撃、痛くはあるがダメージを受けるほどではなく……手っ取り早い『急速充電』を図ったのだ。
バチン、バチンと2度3度繰り返し、やがて電極を手放したキルアは確かめるように拳を握り締める。

ぐっ。軽く握っただけで、その表面に紫電が走る。
充電完了。これでようやくフルパワーと言ったところか。
考えてみれば、この島に連れ込まれてからはマトモに充電している時間はなかった。
弥彦相手に不覚を取ったのも、1つには残り少ない電撃を出し惜しみするという愚を犯したからだ。
出し惜しみする一方で、色々な技を試すという浪費に走ったからだ。
もう、負けない。
身に課せられた制限の度合いは正確に把握したし、パワーも十分。
今なら、誰にも負ける気がしない。

だがしかし、悲しいかな。
今はこのパワーを、今までの鬱憤を、ずっと渦巻いている苛立ちを、叩き付ける相手もいないのだった。
キルアは感情を隠そうともせず、小さく舌を打つ。
小さく舌を打って……ふと、気がついた。

それは、ほとんど偶然のように耳に飛び込んで来た、微かな羽音。
明らかな、生命の気配。
キルアの全身が、一瞬歓喜に沸き立って……すぐさまそれは、冷徹な冷たさへと置き換わる。
彼の存在自体が、薄くなるような錯覚。
念能力の基本技能、『絶』の発動。
全身の精孔が閉じられ、無意識に身を包んでいた分のオーラまでも掻き消える。
身に纏った気配そのもの、存在感そのものを押し隠し、そしてキルアは忍び足で歩き始めた。

相手が何者であれ――もう決して、イニシアチブは渡さない。


  *   *   *


――49バン、ノガミアオイ。死体カクニン。

声無き声で、Q-Beeは確認する。
霊安室。
微かな非常灯の明かりの下、横たえられた少女の遺体、その顔を記憶と照合。完全一致。
P-Beeから報告されたルートを逆走してきたのは正解だった。
微かに感じた、固まりかけた古い血の匂い。それが終着点、つまり死体の位置を告げていたのだ。
かくしてQ-Beeは、最優先の任務を果たしたことになる。

さて、次は何をするのだったっけ?
ジェダから釘を刺されていた注意事項、『参加者に気付かれるな』については、多分大丈夫。
この病院に入り込む少し前、首輪の中のP-Beeと念話を交わし、他にも参加者がいることを確認している。
しかし同時に聞き出した情報から、少し離れた場所にいることも、それぞれ移動が無いことも確認している。
それが分かっていたからこそ、こんな所まで――咄嗟には飛んで逃げられない建物の奥まで来ているのだ。
あとはここを立ち去って、次の仕事に移るだけ、なのだが。

…………ゴハン。

Q-Beeの視線が――頭の上に載せられた複眼からの数十の視線が、安置された遺体に向けられる。
確実な死を確認するためシーツは剥ぎ取られ、遺体は無惨な傷口を露わにしている。
こじ開けられた胸郭。引き裂かれた腹部。欠落した内臓。

Q-Beeには、一目で分かる。
これは、「他の誰か」が、食べた跡だ。
弱肉強食の掟に従い、既に誰かが喰い散らかした跡だ。
獲物を仕留めた狩猟者(プレデター)は、まずは内臓を喰らう。柔らかく栄養豊富な内臓から喰らう。
その段階で打ち捨てられた「残りの部分」は、ハイエナ的な腐肉漁り(スカベンジャー)の食餌となる。
食べやすい所の肉から順番に喰われていき、最後は骨さえも噛み砕かれて骨髄まで啜られる。
それが、肉食の――あるいは、雑食の者たちの日常。

目の前には、誰かが無法な食事を楽しんだ痕跡。
最優先事項を果たし終え、次の行動を心に決める前の、理性の間隙。
Q-Beeの胸の内に、尽きることのないたった1つのシンプルな欲望が燃え上がる。

喰ベタイ。目ノ前ノ肉ヲ、思イッキリ。

ああしかし、思い返せばジェダには強く釘を刺されている。
幼子を殺すな。幼子には手を出すな。幼子の死体にも手を出すな。
確かにジェダは、そう言っていた。
恐ろしく小さな頭脳の奥底で、Q-Beeは煩悶する。
この底なしの食欲を簡単に満たしてくれるモノが眼前にあるというのに、手を出せないという苦痛!

ああ、でもせめて、舐めるくらいなら。
滲み出し零れる体液を、舐め取るくらいなら。
Q-Beeは胸の内の苦悩を表情に出すことなく――
もっとも、擬態に過ぎぬその顔が動くことなどめったにないのだが――
そろり、そろりと、少女の生首を持ち上げる。
首輪を取り去るため、レベッカ宮本とトマの2人が、泣きながら懺悔しながら切り離した首を、その手に取る。
押さえきれぬ歓喜に打ち震えながら、Q-Beeは、接吻でもするように、少女の顔に、唇を近づけて、

「……へぇ。誰かと思ったら、最初の時にいた蜂女か」

あと1ミリで、伸ばした舌が届く。
そんなタイミングでかけられた、嘲るような声。
その瞬間、Q-Beeの乏しい脳細胞からは、ジェダの指令も警告も、全てが一瞬で吹き飛んでいた。
いかなる動物も、その食餌の途中で邪魔されることを最も嫌う。
ましてやそれが、食欲の塊と言ってもいいようなQ-Beeにあっては。

食べたいお腹すいた最優先任務終了まずは報告帰って食事ああでもまだ他の仕事が目の前には誰かの食い残し誰かが食べた跡が自分も食べたい食べたいでも食べるわけにはいかないジェダの命令が禁止が舐めるだけならせめて味だけでもああだけどこいつがこいつが邪魔を逃げなきゃでもこいつのせいで食べたい食べられない何もかもこいつがこいつのせいでこいつ殺す殺して食べる殺す殺食殺食食食食……。

羽根を震わせ、牙を剥き。

「…………ギギギッ!!」

Q-Beeは、激怒した。


  *   *   *



「なんでこんなところに居るのか、知らねーけどさ――」

キルアは知らない。
Q-Beeに与えられたジェダの密命を、知るはずもない。

「そういや、お前に手を出しちゃいけないとは、ジェダも言ってなかったよな――」

キルアは聞いていない。
先の臨時放送を、ジェダの警告を、一切合切丸ごと聞いていない。

「ちょうどオレもさ、誰でもいいから八つ裂きにしてやりたい気分でさ――」

キルアは気付かない。
ジェダが半ば本気で警告を発したQ-Beeの強さに、昂ぶるキルアは、気付かない。

「そういや、『ご褒美』ってのはお前が配って歩いてるんだよな。なら、力づくで奪うのも一興かな――」

キルアには分からない。
自分が言っていることがいかに無茶苦茶か、いかに無謀な話かを、分かっていない。
絶好の不意打ちの機会を自ら棒に振ってしまったことの意味を、分かっていない。

そして、Q-Beeは。
そんなキルアに対して、懇切丁寧に理を説くだけの知性も理性も、持ち合わせてはいなかった。
ただ、食餌を邪魔された。その苛立ちだけに支配されていた。


  *   *   *


……静かに、緑色の光を放つ非常灯だけが、辺りを照らしていた。
そこに描かれた、避難する人を模った模様だけが、その無意味なる戦いの目撃者であったが――
彼は、物を見る目も、物を聞く耳も、何かを感じる心も、何かを考える知能も、もちろん持ってはいなかった。
だから、当然のこととして、それは黙っていた。
ただ、そこに存在していただけだった。

緑色の淡い光の下、Q-Beeが怒りに任せて手の内の生首を握り潰す。
意味があっての行為ではない、ただ、彼女の憎悪の反映でしかない行動。
辺りに血と、脳漿とが飛び散って――
そのうちの一滴が、非常灯に描かれたピクトグラムの所まで、弾けて飛んで――

それが、この不毛な、誰も幸せにならないであろう衝突の、ゴングとなった。






【G-7/病院1階・診察室/2日目/深夜】
【明神弥彦@るろうに剣心】
[状態]:疲労(大)、全身に打撲と青痣と擦り傷と火傷(全て一通り応急手当済み)。気絶中。
[装備]:逆刃刀・真打@るろうに剣心、サラマンデルの短剣@ベルセルク
[道具]:基本支給品一式、首輪(美浜ちよ)、核鉄(バルキリースカート)@武装錬金
     コンチュー丹×5粒@ドラえもん、
[服装]:道着(ドロと血と吐瀉物で汚れている。右腕部分が半焼け、左側袖も少し焼けてる)
[思考]:…………。
第一行動方針:???
第二行動方針:キルアが目覚めたら、人を殺さないよう説得を続ける? 必要なら何度でも叩きのめす?
第三行動方針:いい加減、食事を取りたい。
第四行動方針:出来れば南西市街地に点在する死体(しんのすけ・ちよ・よつば・藤木)を埋めてやりたい。
基本行動方針:この手の届く限り、善悪問わず一人でも多くの人を助ける(目の前にいる人を最優先)。
         それ以外のことはあえて今は考えない。
[備考]:バルキリースカートは、アームが一部破損した状態です(現在自己修復中)。
    深夜12時の臨時放送を、完全に聞き逃しました。


【G-7/病院1階・霊安室/2日目/深夜】
【キルア@HUNTER×HUNTER】
[状態]:疲労(少)。頭にたんこぶ。鉢巻のように巻かれた包帯。充電フルパワー。
[装備]:ブーメラン@ゼルダの伝説、純銀製のナイフ(9本)、
[道具]:基本支給品×3、調理用白衣、テーブルクロス、包丁×2、食用油、 茶髪のカツラ
    天体望遠鏡@ネギま!、首輪(しんのすけ)、水中バギー@ドラえもん、
    殺虫剤スプレー、ライター、調味料各種(胡椒等)、フライパン
[思考]:やる気か?(ニヤニヤ)
第一行動方針:とりあえず目の前の蜂女(Q-Bee)を叩きのめす。
第二行動方針:殺し合いに乗っている者・乗ろうとしてる者は容赦なく殺す(間違えても気にしない?)。
第三行動方針:キルアを邪魔しようとする者も容赦なく殺す。
      ただし、気絶している弥彦は、今はトドメは刺さない(目覚めて邪魔するようなら殺すかもしれない)。
第四行動方針:太一とゴンの仇をとる。ゴーグルも取り返す。
基本行動方針:仇討ちも兼ねて、殺し合いに乗っている者を積極的に探して殺していく。
       いわゆるマーダーキラー路線。その後のことはあえて今は考えない。
[備考]:自らの念にかけられた制限、制限下における念能力の効果を、ほぼ完璧に把握・理解しました。
    深夜12時の臨時放送を、完全に聞き逃しました。



【Q-Bee@ヴァンパイアハンター】
[状態]:健康。空腹(小)。激しい苛立ち。
[装備]:不明(なし?)
[道具]:不明(なし?)
[思考]:???
第一行動方針:目の前のキルアへの対処
第二行動方針:ジェダの指令をこなす
第三行動方針:(…………ゴハン)
基本行動方針:本能に逆らえる範囲内で、ジェダの指令を忠実にこなす
[備考]:野上葵の死体の存在を確認しました。


[備考]:G-7病院の1階にある霊安室に、野上葵の遺体が安置されています。
     ただし衣類はつけておらず、首と胴体が分断され、内臓がいくつも欠落しています。
     また、その頭部はQ-Beeの手によって乱暴に握り潰されました。
     一度は綺麗に拭き清められましたが、潰れた頭部から飛び散った破片が再び辺りを汚しています。


[備考]:作中には擬人化を思わせる表現がいくつかありましたが、
     もちろん当然ながら、病院の非常灯に描かれたピクトグラムは、ただの絵です。念のため。
     ちなみに、誰もが知ってる、こんな感じのものです。↓


 _________
 |  ,- ‐、     |
 |  {   }     .|
 |  ,`  '―――、 |
 |_/ ,、   「 \_} .|        ‐┤├‐  ┌`┴'┐  ┌─‐┐
 ┌―′|   |、   |        ‐┤├‐    [二]    │  .│
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 |  、‐、       \
_\_\ \_____\___________________


≪251:Compare 時系列順に読む 255:月の下で≫
≪251:Compare 投下順に読む 253:星影のワルツ≫
≪241:殺意×不殺×轟く雷光
≪245:臨時放送、あるいはイレギュラー
明神弥彦の登場SSを読む 257:この結末は──≫
キルアの登場SSを読む

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