『ゲゲゲの鬼太郎』は、水木しげるによるマンガ、及びそれらを原作とするマルチメディア作品である。欧米ではあまり知られていないが、日本では絶大な人気を誇り、ビデオゲーム・劇場アニメ・TVアニメも多数存在する。
1989年、日本の同人グループ「鬼太郎座」は、このシリーズを基にした非公式映画『女禍』を制作した。この「鬼太郎座」は、TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』を基にした自主制作映画の制作を目的に結成されたファン集団である。絵はあまり動かなかったものの、多くの業界・公式関係者が制作に関わっていたため、ファン作品としては驚異的なクオリティだったと報告されている。
概要
映画の上映時間は約30分。セル画をスライドショーのように投影し、効果音や透過光で演出を付ける「ダイナビジョン」と呼ばれる技術でアニメーション化された(訳注:戦闘シーンなど要所要所では動画も使われている)。
水木しげるは関係するスタッフに自身のキャラクターの使用を許可し、映画の試写会にも立ち会った(訳注:本作の脚本と絵コンテの監修も行っている)。声優のほとんどは「鬼太郎座」のスタッフ、もしくは一般公募で集められたファンが担当しているが、目玉おやじだけは「あの声を欠いて『鬼太郎』は作れない」と、公式声優の田の中勇が起用されている。
エンディングテーマはMIQ(当時はMIO名義)が歌う「月読幻想」。MIQは『戦闘メカ ザブングル』や『重戦機エルガイム』などのアニメの主題歌・挿入歌を歌っていることで知られている。
この映画は1989年3月26日に開催された「妖怪ちゃんぽん上映会」で非公式に上映された[1]。これ以降一般上映やメディア販売がされた記録はない。
『女禍』の上映後まもなく「鬼太郎座」は解散したが、メンバーの多くは後のプロジェクトで一緒に活動することとなる。
水木しげるは関係するスタッフに自身のキャラクターの使用を許可し、映画の試写会にも立ち会った(訳注:本作の脚本と絵コンテの監修も行っている)。声優のほとんどは「鬼太郎座」のスタッフ、もしくは一般公募で集められたファンが担当しているが、目玉おやじだけは「あの声を欠いて『鬼太郎』は作れない」と、公式声優の田の中勇が起用されている。
エンディングテーマはMIQ(当時はMIO名義)が歌う「月読幻想」。MIQは『戦闘メカ ザブングル』や『重戦機エルガイム』などのアニメの主題歌・挿入歌を歌っていることで知られている。
この映画は1989年3月26日に開催された「妖怪ちゃんぽん上映会」で非公式に上映された[1]。これ以降一般上映やメディア販売がされた記録はない。
『女禍』の上映後まもなく「鬼太郎座」は解散したが、メンバーの多くは後のプロジェクトで一緒に活動することとなる。
ストーリー
本作は、TVアニメシリーズ『ゲゲゲの鬼太郎』第3作(訳注:1985~88年にかけて放送)のその後を描いている。キャラクターは第3作に準拠しているが、同作のオリジナルヒロイン「天童夢子」は登場しない。
基本的なあらすじは以下の通り。[2]
基本的なあらすじは以下の通り。[2]
ゲゲゲの森で暮らす鬼太郎の下を地獄童子が訪れ、禁断の呪詛「反魂の術」によって死者が現世から呼び戻される事件が多発していることを告げる。術によって魂を肉体に戻された死者は、永遠の苦しみを味わうことになる。術者を発見し阻止するため、鬼太郎は人間界へ向かう。
ようやく発見した術者は安田精次郎という青年だった。考古学者・今来野教授の助手だった安田は、日本書紀に月読命についての情報が少ないことに興味を持ち、教授と共に研究していた。やがて彼は「月読命が妖怪を生み出した神であり、兄弟神によって封印された」と記された文献を発見する。この伝説を立証するため、安田は月読命の墓から5つの古代の宝玉を盗み出し、その力で死者の魂を生贄として吸収、月読命を復活させようと試みていたのだった。
復活を止めようとする鬼太郎と地獄童子をねじ伏せ、最後の生贄を手に入れた安田。直後に宝玉が光り輝き、安田は炎の柱に飲み込まれてしまう。
突然、大地が揺れてひび割れ、巨大な蛇のような怪物が地面から現れた。目玉おやじは、その怪物が中国神話の神「女禍」(訳注:蛇の体に人の頭を持つ女神で、人類を創造したとされる)であるとすぐに気付いた。月読命の正体は女禍だったのだ。
女禍が完全に目覚めるには、自らが生み出した全ての妖怪のエネルギーを集めなくてはならない。女禍は目玉おやじを吸収し始めたが、重傷を負った鬼太郎たちには成す術がなかった。
今来野教授に救われた鬼太郎・猫娘・地獄童子は、女禍を倒し、妖怪の仲間たちと日本全体を救うために立ち上がる。
突然、大地が揺れてひび割れ、巨大な蛇のような怪物が地面から現れた。目玉おやじは、その怪物が中国神話の神「女禍」(訳注:蛇の体に人の頭を持つ女神で、人類を創造したとされる)であるとすぐに気付いた。月読命の正体は女禍だったのだ。
女禍が完全に目覚めるには、自らが生み出した全ての妖怪のエネルギーを集めなくてはならない。女禍は目玉おやじを吸収し始めたが、重傷を負った鬼太郎たちには成す術がなかった。
今来野教授に救われた鬼太郎・猫娘・地獄童子は、女禍を倒し、妖怪の仲間たちと日本全体を救うために立ち上がる。
キャスト・スタッフ
キャスト
スタッフ
監督・制作:有里紅良
選曲:佐藤恭野[3]
作画:入好さとる、竹田欣弘[4]
編集スタッフ:夢来鳥ねむ、しむらかずみ、杏ひみろ、五十嵐みつる、藤本七郎
スーパーバイザー:水木しげる、田の中勇
協力:青二プロダクション
制作:鬼太郎座
選曲:佐藤恭野[3]
作画:入好さとる、竹田欣弘[4]
編集スタッフ:夢来鳥ねむ、しむらかずみ、杏ひみろ、五十嵐みつる、藤本七郎
スーパーバイザー:水木しげる、田の中勇
協力:青二プロダクション
制作:鬼太郎座
発見状況
ファンメイド作品であるため、公式にリリースされたことは一度もない。「妖怪ちゃんぽん上映会」に参加した関係者がVHS版を入手できたという証言もあるが、その真偽は2021年まで確認できなかった。
2021年、 Twitter上の匿名ユーザーが『女禍』のVHS版を所有していることが判明し、日本の『ゲゲゲの鬼太郎』ファンの間で再びこの映画への関心が高まり始めた。
2022年8月、Twitterユーザーの「猫間川よしを」は、一連のツイートで『女禍』のスクリーンショットをアップロードした [5]。映画はコンピューターで視聴されているように見え、VHS版がデジタル形式に変換された可能性が示唆されている。しかし、同氏は後にこれらのツイートを削除、映画をオンラインにアップロードする許可を得ていなかったとして謝罪した。幸いこれらの画像はほぼ全てが復元され、「Internet archive」で閲覧できる[6]。
2022年8月、Twitterユーザーの「猫間川よしを」は、一連のツイートで『女禍』のスクリーンショットをアップロードした [5]。映画はコンピューターで視聴されているように見え、VHS版がデジタル形式に変換された可能性が示唆されている。しかし、同氏は後にこれらのツイートを削除、映画をオンラインにアップロードする許可を得ていなかったとして謝罪した。幸いこれらの画像はほぼ全てが復元され、「Internet archive」で閲覧できる[6]。
2025年3月13日、「Internet archive」にユーザー「Media-Monster Alt」が本作の15分間の予告編(訳注:正確には2分半のショート予告編と12分半のロング予告編のセット)を投稿した[7]。2026年現在、視聴可能な本作の映像はこの予告編のみである。
訳注:『女禍』と「鬼太郎座」の現在
原作者公認かつ本家スタッフも参加した作品ではあるが、あくまで二次創作なので営利目的の上映ができず、一般公開は不可能な状態にある。監督の有里紅良が2015年に死去したことで、当時上映に使われた35mmフィルムの所在も不明となっている。ただし上記の通り関係者に配布されたVHS版が存在し、2026年4月20日にはフリマサイトに26万5000円で出品された[8]。このVHS版を用いた個人的な上映会も何度か開かれている模様。
前述の予告編では、本作の中盤までの内容を観ることができる。制作や流出の経緯については不明。アップ者曰く「映画全編だと思ってVHSテープを日本から購入したが、この予告編しか入っていなかった」とのこと。
前述の予告編では、本作の中盤までの内容を観ることができる。制作や流出の経緯については不明。アップ者曰く「映画全編だと思ってVHSテープを日本から購入したが、この予告編しか入っていなかった」とのこと。
「鬼太郎座」は、1986年に作家・映像編集技師の有里紅良を中心に結成された制作チーム。メンバーの技術力と人脈によって、同人集団でありながらセミプロに近い活動を行っていた。1989年の『女禍』公開をもって解散したが、半年後に「月読温泉旅行倶楽部」として再結成。『女禍』メイキング本など3冊の同人誌を発行し、1992年に再び解散。1995年にはメンバーである夢来鳥ねむを中心とした創作集団「ら・むうん」を設立。『HAUNTED』シリーズを始めとするオリジナルの演劇・マンガ・ライトノベルを多数発表した。2020年以降目立った活動は見られないが、公式ファンサイトによるオンラインイベントは2026年現在も行われている。
メディアギャラリー





『月読幻想』を歌うMIQの動画。冒頭で本作について言及している。
外部リンク
- Joka (partially found animated fan film based on anime series); 1989 元記事
- Wikipedia:女禍
- ら・むうん畑 「ら・むうん」の公式サイト。「月白宮博物館」に「鬼太郎座」の情報がある
- [1]爆走!花も荒らしも夢街道:そして『妖怪チャンポン上映会』 夢来鳥ねむのブログ
- [2]ら・むうん畑:月白宮博物館-オリジナルダイナビジョン『女禍』 結末までのストーリー
- [3]佐藤恭野のツイート
- [4]竹田欣弘のツイートのアーカイブ
- [5]猫間川よしを氏のツイートのアーカイブ
- [6]保存されたスクリーンショット
- [7]女禍 (Extended Trailer) 予告編映像
- [8]Yahoo!フリマの出品情報