マクロスFRONTIERでエロパロ まとめwiki

3-578

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578 後日譚 キミの未来 2008/10/06(月) 09:48:28 ID:Mh/EYyJY

“センターより通達。天候の悪化が予測される為、C・Dブロックの作業員は
 速やかに帰還して下さい。繰り返します――”
オペレーターの指示に従い、アルトは採取したサンプルを入れた専用ポットを
電子ネストに詰め込み、EX-ギアでその場から飛び立った。

フロンティアと名付けられたこの惑星に入植してからもう数ヶ月が経過した。
人々は新天地に希望を抱き、安定した生活を送れるという期待を膨らませていたが
事はそう簡単には運ばない。住居の件だけでも様々な問題が山積みになっていた。
人が住むのに適した惑星とはいえ、そこには未知の環境が広がっている。
何があるかわからないまま、おいそれとその地に足をつけて元の暮らしをするという
わけにはいかないのである。
レオン三島の失脚により混乱の極みであった上層部は、残った人員で暫定政府を結成、
ギャラクシーの吸収合併という形で戦争が終結した今、その機動力に目を付けて
広大な大地の調査に協力するようパイロット達に要請した。
かくして組織されたフロンティア調査団の仕事内容は、区分けされた地域までバルキリー
あるいはEX-ギアで飛び、携帯端末に示されたポイントに存在する、
地質・水質・生態系にまつわるサンプルを採取し、その分析を行うことである。
アルトもまた、この任務に就いていた。

サンプルの入ったポットを回収にあたっていた職員に手渡し、アルトはEX-ギアの
ロックを解除した。各パーツ毎に分けて手入れをし、収納ボックスに丁寧に収め
指定の位置へ戻す。
壁にもたれて用意された飲料水で喉を潤し、一息ついていると、聞き覚えのある声が
自分の名を呼んだ。
「もう上がりか? サボリはいかんぞ!」
周りを見渡すも、視界に入ってきたのは収容ポットの積まれた大きなカートのみで
声の主の姿が見えず、アルトはキョロキョロと目線を動かした。
ここだバカ者、とカートの陰からひょっこり顔を出したのはクランであった。
マイクロン化した彼女の身体は小さく、カートにすっぽりと隠れてしまっていたらしい。
「天候の悪化で帰還命令が出たんだよ、サボリじゃない」
白衣を着たクランに説明すると、アルトはさりげなく彼女からカートを受け取った。
どこまで運ぶんだ? と尋ねる彼に「第3ラボまで頼む」と礼を述べてからクランは言う。
彼女は大学で生物学を専攻していたこともあり、調査団の研究室で働いていた。

戦争が終結してから、SMSはビルラー氏の援助が消えたことにより解体し、
仲間たちはそれぞれ別の道を歩み始めていた。
オズマはその経験を買われ、政府軍の教官として新兵の教育を任されている。
キャシーは元大統領の息女としての人脈を暫定政府の人間に望まれて、その安定の為に
奔走した。現在、暫定政府が機能しているのは彼女の力によるところが大きく、
次期大統領に彼女を推す声も多くあるのだが、キャシーは頑なに拒否した。
現在彼女は、政府の形を議員制に移すことを提案している。
ルカはLAIに戻り兄たちと共にその技術を住民の生活に役立つよう流用・開発に尽力していた。
意識は回復したものの未だリハビリが必要なナナセを助けながら。
ランカは現在、戦争によって家族を失った人々やシェルターでの生活を
余儀なくされている人々への慰問を中心に活動している。
それは決して易しい道のりではなかった。初めのころは彼女に対して非難の声が上ったり、
ひいては罵声を浴びせる輩も少なくはなかった。
事情を知る周囲の人間たちは彼女に釈明することを薦めたが、首を振って笑った。
「上から何を言ったところで、みんなの心には届かないから」と。
過酷な状況の中、彼女はひたすら笑顔で人々と接し、励まし、歌を届けた。
その地道な努力が実を結び始めている。

「そっちも忙しそうだな」
カートを押しながら、アルトは横を歩いているクランに言った。
よく見れば彼女の目の下には隈が出来ている。
「まあな。ちょっと前までは私も採取作業で飛べたんだが……」
今は人手不足でもっぱら研究室に監禁状態だ、とクランは苦笑いを浮かべる。
ミシェルの遺した機体に乗って彼との思い出を静かに振り返る時間を持てるのは
まだ先のことになりそうだ。
「ま、忙しいのは良いことだ」
「あまり無理をするなよ」
アルトが労わりの言葉を掛けると、彼女はわかっていると頷いた。
「お前こそ、最近家に帰ってないだろう?」
「そうだけど、今日は早く上れたし明日は休みをもらった」
ふぅん、とクランは含み笑いをして、ここでいい、とアルトからカートを受け取る。
「シェリルによろしくな。今度お茶でも飲もうと伝えておいてくれ」
「……了解」
クランと別れて、アルトは帰り支度を始めた。一通り済むとそっと左耳のイヤリングに触れる。
彼女は今頃、歌っている最中だろうか。
そんなことを考えながら。

戦争が終結して間も無く、自然な流れで二人は一緒に住むことになった。
しかし、ここ何週間かお互いに忙しく、顔を滅多に合わせることないすれ違いの生活を
送っている。
初めて身体を合わせた夜、彼女は笑顔で彼にこう告げた。
「橋渡しをね、したいの。いい思い出なんてないけど、それでも私の故郷だから」
吸収合併された後も、戦争の原因を作ったギャラクシー側への反発は想像以上であった。
一般市民レベルでも差別が始まり、所々で諍いが絶えない。
それをシェリルは何とかしたいと考えていたのだろう。
「こうやって触れ合えば、理解り合えると信じたいのよ」
首に腕を回す彼女の背中を、アルトは優しく撫でたのだった。
そして彼女は精力的に、その活動を行った。
チャリティーコンサートにインタビュー。大勢の人間に語る機会を得る度に、
シェリルはいかに争い事が虚しいことであるか、許しあい助け合う努力が重要であるかを
その歌と自身の経験によって訴え続けた。
彼女の戦いは現在も続いている。

アパートの前まで来て、ふと見上げると部屋の明かりが付いているのがわかった。
アルトは慌てて階段を駆け上がり、鍵を開けるのももどかしく中に足を踏み入れた。
リビングにはテーブルの上に顔を伏せて転寝をしているシェリルの姿があった。
しかし足音に反応したのかぱっと顔を上げると、こちらを見て2,3度瞬きをする。
「あ、……お帰りなさい」
「お、おう。早かったんだな」
「アルトこそ、今日は早く帰れたのね」
しばらく顔を見ていないせいか、お互いに気恥ずかしく口調がぎこちない。
二人共に会えなかった時間を埋めたい想いを抱きつつも、二の句が告げないまま
固まってしまった。
しばしの沈黙の後、同時に口をついた言葉。

「なに緊張してんだ?」
「なに緊張してんの?」

目を丸くして、それからぷっ、と二人して笑い出す。
ん~、と腕を広げて催促するシェリルを、アルトは自分の腕の中へ迎え入れ抱き上げた。
「寂しかった?」
「そっちこそ、どうなんだよ?」
クスクスと笑いながらの問答に、シェリルはふと腕の力を緩め、真顔で彼の瞳を覗く。
「すごく、寂しかった」
オレもだ、とアルトは噛み付くように彼女の唇を塞いだ。

「……なんか、強姦されたような、気分」
「……悪い」
息を弾ませながら途切れ途切れにシェリルが発した言葉に、アルトは赤面した。
久しぶりの逢瀬に高ぶる感情を抑えきれず、半ば乱暴とも思えるような形で
彼女の身体を貪ったのであった。
「反省しなさい」
ぺしっと彼の額を軽く叩いてから、シェリルは悪戯っぽく微笑んで嘘よと囁いた。
「いいの。それだけ私を求めてくれたって思えて――」
嬉しかったから。そう言ってアルトの乱れた黒髪を指で梳く。
それから二人はシーツに包まって互いの近況を報告しあった。
「そう言えば、今日クランに会った」
「ホント? 彼女、元気にしてた?」
「多少疲れてるみたいだったがな。お前によろしくってさ」
今度茶でも飲もうと言ってたぞ。話しながらアルトはシェリルのすべすべした二の腕の
感触を楽しむ。
連絡しなくちゃ、と嬉しそうに頬を摺り寄せる彼女の額にキスをしながら
少し思案顔になった。
「どうしたの?」
「いや……。改めて、皆自分のやるべきことをやっているなと思って」
クランもルカもランカも、そしてお前も。どこか遠くを見つめ、呟くようにアルトが言うと、
シェリルはその上半身を起こして上からアルトと視線を合わせる。
「アルトだって、調査団の仕事をがんばっているじゃない」
「まぁ、そうなんだが……」
「何よ。はっきり言いなさい、早乙女アルト」
彼女の物言いに苦笑しながら、すこし間をあけてアルトは告げた。
「フロンティアの状況がもう少し落ち着いたら、軍から退こうと思ってる」
彼の言葉に一瞬驚きの表情を見せたシェリルだったが、一言「そう」と頷く。
「何故か聞かないんだな」
「じゃぁひとつだけ。アルトは何かを始めたいのね?」
それは質問と言うよりは断定に近く、彼女が凡そのことを察しているらしいことを
示していた。
シェリルの言葉には答えず、アルトはぽつりと言った。
「この間、早乙女の家に行って来た」
そして彼はその時の出来事を思い出す。


アルトは早乙女と書かれた表札の下がる門を、以前とは違う心持でくぐった。
戦いの中で得たものは、彼の父親に対する感情にも作用し、変化させたのである。
屋敷は多少損壊の跡が見えるものの、既に応急処置がなされており
人が普通に生活できる様子であった。
そのことに安堵しつつ、彼は父親の姿を探す。会えば出て行くように言われるだろうが
無事なことを確認できさえすれば、今はそれでいい。
するとどこかから見ていたのか、笑顔を浮かべた矢三郎が玄関から出てきて言った。
「どうぞお入りなさい。先生がお待ちです」
父親が自分と話をする意向があるということに少なからず驚いたが、兄弟子に促されるまま
アルトは応接間に足を運んだ。そこには以前病院で見かけた時に感じさせた小ささを
どこにも見つけることができない、子供の頃に恐れさえ抱いた威厳の塊が座っていた。
アルトは父親の前に置かれた座布団に腰を降ろし、「ご無沙汰しております」と
指をついて頭を下げた。そして正面から十八代目宗家と視線を合わせる。
嵐蔵は腕組みをしたまま短く「うむ」と頷き、その後は一言も話さなかった。
アルトもまた、口を開かずに父の目を見続けていた。
どのくらいの時間が経っただろうか。
矢三郎の運んできた茶がすっかり冷めてしまってもまだ、二人は身じろぎもせずに
視線を合わせ続けていた。その間、無言である。
しかし静寂は唐突に終わりを告げた。
「それでは、失礼いたします」
「ああ」
それは傍から見れば奇妙な光景だっただろう。しかし帰りの門をくぐった時、
アルトは胸の内がすっと軽くなるのを感じていた。


「何も話をしなかったのに?」
よくわからないといった表情で、シェリルはアルトの鼻をつついた。
「話はしたんだ。ただ、そこに言葉が無かっただけで」
「それで、アルトは役者に戻るつもりなのね?」
「……ああ」
いいんじゃない? とシェリルは何故かむくれて彼に背を向けた。
「何を怒ってるんだよ?」
「別に怒ってないわ。ただ、ちょっと羨ましくなっただけ」
親子の絆か、と少し寂しそうに呟く彼女を、アルトは背後から抱きしめる。
戦後の調査により、シェリルはあのマオ・ノームの孫だということが判明した。
そして母親と思われる女性の名とその姿が映った写真も発見されたが
ギャラクシーには彼女の両親についての記録が残っていなかった。
恐らくグレイス・オコナーが消去したのであろう。
「ねぇアルト。一日だけでいいから、あなた私の父親になりなさい!」
「はぁ!?」
「体験してみたいのよ」
「何を?」
「父親に欲しいものを買ってもらうとか、我侭聞いてもらうとか、甘えるとか!」
あなた役者でしょ、と言うシェリルに、今はまだ違う! と返すアルト。
大体、父親という条件を除けば、一緒にいる時はいつもしてやってることじゃないか。
ぶちぶちと言うアルトの頬を「いいから言うとおりにしなさい」と抓る。
「無理」
「どうしてよ?」
アルトは彼女の手首を掴んで自分の頬から離し、そのままベッドに押さえつけた。
「娘にはこういうことが出来ない」
そう言ってシェリルに深く口付け、柔らかな丸い膨らみを手のひらで包むようにして揉む。
やがて彼女から甘い吐息が漏れ始めると、アルトは唇を離してツンと尖った先を咥えた。
手はしっとりとした感触の太ももを愛でたあと、指先を滑らせてその奥に進ませる。
「あっ……ん、や……あぁっ!」
そこはもう充分に濡れていたが、アルトは指での愛撫を続けた。
「さっきのお詫び」
「はっ、んぁ……、だ、めぇ! あぁぁっ!!」
頂点に達するまでの彼女の表情を楽しんでいたアルトに枕が投げつけられる。
「馬鹿ッ!!」
頬を上気させて怒るシェリルだったが、その顔は笑っていた。
そんな彼女にキスをして、彼はゆっくりと中に入っていく。
時間はまだたっぷりある。
シェリルの体温を感じながら、アルトは余裕をもってその快楽に身を委ねた。

「シェリル……」
事後の艶めいた声で、アルトは腕の中の温もりに話しかけた。
「ん……、なぁに?」
「お前はさ、いい母親になると思うぞ」
「……」
「そのうち嫌でも経験する。親子とか、家族とか」
だからそれまで楽しみにしておけよ、と微笑む。
「アルト……」
シェリルは少し濡れた瞳で彼を見つめていたが、ふとその表情が悪戯な顔に変わった。
「それ『オレの子を産め』ってことかしら? ずいぶん生々しいプロポーズね」
「えぇっ!? や、ちが……、いやその」
「そうなると、嵐蔵さんは私のおとうさんになるわけね。明日にでも伺おうかしら」
「お、おいおい」
「アルトも一緒に行くぅ~? 挨拶も兼ねて」
「こいつっ!」
自分の慌てぶりにケラケラと笑う彼女を、アルトはもう一度組み敷いた。


END


読んでくださってありがとうございました。
アルシェリの足りない部分を書いてやる、と思って始めましたが
コレを書いていて、一番愛情を注いだのはランカとグレイスだったかも。
この二人、好きなんです。だからよけいに本編では悔しい思いをしました。
後日譚は、まあ、その、ねぇ?w

みなさんのコメを見て、ちょっと思いついたので、
夢で映像化して見てから、また投下したいと思います。

今日もいい夢見れますように。

※続きは3-7776-006
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