アラキの旅 #2-2

(投稿者:A4R1)


キキ>

「ジェリーフィッシュが集って来やがる…!!」
水面に数えたく無くなる量のジェリーフィッシュが…。

「船内に海戦MAIDが乗り込んでいたな…ここはお前らと海兵隊に任せる!!」
「しゃちょうさんは!?」
「海戦MAID達の支援に向かう!!稼ぎどころだからな!!」
そう言うと船内に駆け込んでいってしまった…。
「後半が本音だよね…。」
「えぇ…。」
「商売の絶好の機会なんだろ…。」

「…そんなことより!!」
突然船内に続くドアが勢いよく開き、
「二時の方向より大型Gが接近中!!迎撃の配置に就け!!」
海兵隊員の皆さんが甲板に備えられた砲塔に次々乗り込む。

リリさんが、拳銃をボクに手渡し言う。
「私達も応戦しましょう!!」
その一言に、はっ、と呼吸が一瞬滞る。
「Gとの初交戦じゃねぇか…うぉっ、ゾクゾクしてきやがったぜ。」
「怖いの?」
「何言ってやがる、武者震いに決まってんだろ!!」
強気に笑うイイを見て、胸の中央が仄かに暖かくなったような…。

「キキ、大丈夫?」
「えっ?う、うん。」
リリさんが、見透かしたかのような顔をしてボクの胸元を触れた。
「うん…大丈夫ね。」
微笑みながらそう言うと、船首に向き返り、
「…来ます!!」
ボクらを囲むように降って来たワモンに銃を向けた。


『君達はMAIDか!?』
「はい!!」
銃架から乗り込んでいる兵隊さんの声が聞こえた。
ガスマスク越しのこもった声が聞こえてくる。

『Gを生み出す新種の超大型Gが前方上空より接近している!!』
「そのGを撃破すればいいんですね!!」
『あぁ!しかし、甲板に降り立ったGの撃破を優先してほしい!!
 船体に被害を出すわけにも行かない上、Gは生きている間、瘴気を常時放出する!!
 Gの瘴気を長時間受けると、君達MAIDにも悪影響が出る!!』
呼吸すると器官にピリピリとした刺激が感じ取れた。
臭いがどうとかなんて呑気な事が言えない。
長時間吸引すると生命に関わる事が本能的に感じ取れた気がする。
「Gが近いとキツいよー!!」
「近づかれる前に対処するのがセオリーですが…。
 甲板上では移動できる範囲が限られますね…。」
新たなGのグループが飛来する…。
「確かに―
『ぐあぁっ!!』
「きゃあっ!!」
銃架の一つが突然爆発して、そこに陣取っていた兵隊さんとミミが吹き飛んだ!
『ベン!!』
「ミミ!!」
咄嗟に二人の前方に躍り出ると、二人を襲撃したと思われるワモンが眼前に立ちはだかった。


『無理するな!!』
『止めないのか?』
「無理かもしれないって思っているなら戸惑うだろうさ。
 躊躇しないなら無理じゃないんだろうよ。無闇に止めるのは、かえって躊躇させちまうかもしれないからよくないと思ってさ。」
『そうか。』


ウォーリアと思われる三体のGの前足には対物火器を射出する発射筒が握られていた。
火器を扱うG…?でも、スポーンであるとは一概に言えない…。
まさか、高等な知識を持つ新種!?
そこまで考えている間に二体のGを撃ち倒す。
『パンツァーファウストか!?』
そう叫んだベンと呼ばれていた兵隊さんにウォーリアが腕を向ける。
まさか…?
咄嗟にそのウォーリアーの腕とベンさんの射線上に腕を差し出すと、
鋭い何かが突き刺さるような感覚を受けた。
「くっ…。」
もう一方の腕でウォーリアーを撃ち倒すと、衝撃を感じた自分の腕を確認した。


黒々とした輝きを放つ爪のような物体が刺さっている。
爪…いや、小型の杭という表現をした方が正確かも…。
この物体が目にも留まらない速度で飛んできたなんて…。
まともに受けていたら人体に容易く突き刺さりそうだ…。
いや、ボクはまともに受けちゃったんだけど。


リリさんはさっき、この船が対して広くないというような事を言っていたと思うけど、
対空迎撃機関砲を始めとした多数の兵器が搭載されるこの連絡船は、悲観するほど狭い訳ではないと思う。

でも、海に転落したら間違いなくジェリーフィッシュの餌食になるのは確実…。
紛れもない危険地帯に居るのには変わりない。

『ジェリーフィッシュの襲撃の余波で舵がやられてしまった。
 現在、海戦MAIDと他の兵士をジェリーフィッシュの殲滅の戦力にしている。』
「船底を破壊されたら…。」
「いやぁーーーっ!!」
「いちいち叫ぶな!!」
その上、飛び道具を扱うGと交戦するという予想だにしていなかった状況に直面しているし…。
思った以上に険しい旅の出だしだよ…。

『対物火器を扱うGか…。』
『もしかすると、他の銃器を扱う奴もいるかもしれないぞ!!』
「でも、扱う為の知能は最低限しかないみたいですね。」
『弾頭の無い筒を破棄せずに第二弾を撃とうとしている…。』
「でも、杭状の硬質の物体を弾丸のように撃ちだして攻撃するみたいです。」
『飛び掛かるとは別の脅威か…。
 近くても離れても…。』
『取敢えず、今は「プライマー(雷管)」と呼ぶ事にしよう。』
「プライマー…。」


『幸い、ここに現存するGは母体から生み出されているもののみだ。
 母体がワモンを生み出すピッチは、さほど早くはない。』

超大型Gの下腹部から歪な球に近い物体が複数個甲板に落下してきた。
その表面を破り、中から多数のワモンが這い出る。
「卵か!!」
「イイ待って!!」
何だ!!と言いたげだけど、銃の片方を投げ渡して
「ワモンだって直進するロケット弾をむざむざ受ける程単純じゃないよ。
 下手したら、この船に直撃してワモンどころかボクらまで海の藻屑になっちゃうよ。」
「そうだったか!!」
うっかりしたといった顔でボクを見る。

『きょ、強化ロケット弾は本当に扱いに気をつけてほしい!!』
『使用するならば超巨大Gを迎撃する際に使用するのが最適か。』
「うあぁーっ!!めんどくせぇーっ!!」
兵隊さん二人の言葉に豪を煮やしちゃったみたいで、ボクが投げ渡した銃を投げ返して、ワモンに掴みかかる。


『お、おい!!正気か!?マルト!止めないのかよ!!』
うろたえるベンさんが、イイが身を潜めていた銃架を操作していた兵隊さんに叫ぶ。
ワモンやプライマーをちぎっては投げを繰り返すイイの姿を動じることなく観察している。

『私が手を出すべき方ではないな。
 私達が足を引っ張る程度で済むような戦い方を好まないような方でしょうから。
 コウスケ。彼女に被弾する恐れがある。援護射撃は慎むべきだ。』
ボクが身を隠していた銃架を操作していた兵隊さんに発言を仰がれる。
その声は全く揺らぐ素振りを見せない。
ボクは三人の会話を後ろに聞きながら、飛来するフライやワモン、プライマーの迎撃に勤しむ事にした。

『しかし…MAIDとはいえ、初対面の人に頼る我々のやり方は理に適っていると言えるだろうか…。』
『コウスケ…迷うのは無理は無いけどs『Gという共通の敵を撃破するという目的の者同士が助け合う事に、誰も罪を論ずるとは思えないが?』
『人が話しているあいd『だが、マスター不在のMAID達を勝手な判断で戦わせていいものか!?』
『お前もかy『戦いの意志があるからこそ、彼女たちは戦禍の中で逞しく戦う事が出来る。
 戦う意思の無い人は船内に真っ先に逃げ込んでいた。それを見れば十分では。』
『俺n『戦う事に対する意志は人一倍あると豪語してきたが『戦う事は武力が全てだと誰が言うか。
 護、救、駆付…助ける事自体に戦いが組み込まれている事を忘れている人は、誰よりも早く争いの中で身を滅ぼす。』
『…『マルト…。』
『解って貰えたか。コウスケ。彼女ら、いや、MAID達の戦いを補助するという事が、今私達が立ち向かうべき戦いだ。』
『共に武器を取り戦う日々で何かが引っかかっていると思っていたが…恩に着る…。』
『光栄。私達が出来る戦いをこなすまでです。』

『で…真ん中でプライマーとレスリングしてる男はどうすれば…。』
プライマーの首根っこ(?)を左手に掴んだままのイイが
『『『「「「あ。」」」』』』
もう片方の手でベンさんの首根っこを掴み
「オレは男じゃねえぇぇ!!!!」
『うおおぉっ!!』
ああぁ…。
上半身から木箱に目掛けてぶん投げて突き刺してしまった…。
『沈黙を保つという戦いに負けた結果ですね。』
「なんか言ったかァッ!?」
『いいえ。』

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最終更新:2009年02月01日 22:02
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