概要
「私には「次」を作る事はできない……次に作られる私も、結局は私自身」
アリス(Alice)。
月門計画に基づいて製造されたMAIDの一つ。多数の火器を携行し、時として武器の見本市呼ばわりされる重装MAID。
クロッセル連合から引き渡された素体を使用したため、金髪碧眼の典型的西洋人の外見を有し、同様に洋風な名前もその影響による。
ただし製造・教育は楼蘭国内で行われたため、生活習慣や母語は一般的な楼蘭人に準ずる。
計画内においては後天的異能発現試験体として実験に供されたものの一切の能力を発現せずにいたが、
当時月門計画は行き詰まりかけており、一体でも多くの成果を上げる事が必要とされていたため成功体に偽装される事となった。
強化能と訓練のみで作動する専用装備を与えられ、計画が中止された現在も操作系能力の発現成功体として(表向きには)扱われる。
また専用装備の存在を怪しまれないよう、計画内で試作されていた複数の装備をデコイとして持たされている。
ある意味では張子の虎とも言うべきMAIDではあるが、武器の取り扱いの巧拙のみを論ずるならば一線級のMAIDに比肩する。
計画中止後は
楼蘭皇国陸軍に所属し主にザハーラ戦線での戦闘に従事しているが、友軍の安否を案ずるあまり自らを省みずに突入する事も多い。
己が身を痛めつけるようにして友軍を救う様はある種の賞賛を以て迎えられるが、内心では戦闘行為を好んでおらず、周囲との温度差に悩んでいる。
なお、彼女が異能MAIDでない事を知る者は偽装に直接関与した一握りの関係者のみである。
通称 |
「懺悔の在珠」、「七挺の銃器遣い」 |
出身 |
楼蘭皇国(クロッセル連合王国) |
装備 |
多数、後述 |
身長 |
152cm |
誕生 |
1941年4月5日 |
素体年齢 |
外見16歳(実働四年) |
教育担当 |
嘉藤保憲、他 |
献身 |
★★★★ |
熱血 |
- |
重装 |
★★★★★ |
技量 |
★★★ |
装備
在珠は月門計画で扱った試験装備をそのまま戦線へ持ち込んでいるが、整備人員や資材は現地に依存せざるを得なかった。
このため後述する装備の一部は時として整備未了あるいは補給途絶のために使用不可という事態も少なからず発生する。
これは彼女に限らず過酷な前線で構造の複雑な装備を取り扱うMAID全般に言える問題だが、彼女の場合は特にその傾向が顕著である。
AE40EX-S
EARTH製のMAID用特殊戦闘装備。銃器に取り付けるガン・コンバタント(Gun Combatant、ガンコム)と同軸ワイア及びリールによって構成される。
MAIDの身体から発せられる筋電信号を制御系に利用し、ガンコムと接続された銃器の有線操作を可能とする、いわば変則的な義肢である。
ガンコムの空中保持は複数のリレー・リールから繰り出されるワイアを強化固定する事によって行われ、挙動もリールの三軸可動に依存する。
運用可能な銃器は自動式かつ比較的軽量な拳銃の類に限られ、またワイアの保持と照準基線の関係から延長距離は最大でも10m程度に留まる。
また筋電信号を利用する事から運用MAIDには特殊な訓練が必要であり、その訓練を受けてもなお制御には多大な集中力を必要とする。
Gに対してこのような変則攻撃は非効率であるとの理由から制式化されず、在珠が偽装を受けるまでは倉庫に放り込まれていた。
在珠が運用する各ガンコム及び対応銃器は以下の通り。
頭部ガンコム:FH M1906
FH社製、ポケットモデルと呼ばれる.25ACP弾使用の自動拳銃。
髪留めのように装着する関係からバレルを切り詰めグリップセイフティも省略、
直径10cmの円盤状ケーシングにリールを含むすべての機構を格納できるよう手が加えられている。
威力はGに対して効果を見込める最低限度でしかなく、もっぱら牽制用、あるいは非番の際の護身用として使われている。
モデルはFN M1906。
種別 |
自動拳銃 |
製造 |
Fabrique Herstal |
口径 |
6.4mm |
銃身長 |
49mm |
使用弾薬 |
.25ACP |
装弾数 |
6+1発 |
作動方式 |
シングルアクション/ストレートブローバック/ストライカー式 |
全長 |
100mm |
重量 |
0.25kg |
発射速度 |
- |
初速 |
230m/s |
有効射程 |
20m |
両肩部ガンコム:CAM-F44 フリント
Flint。
CF社製、9mmパラベラム弾使用のMAID用小型拳銃。
非使用時はケープの下に二挺が収納されており、リールも両肩に固定されている。
フリントはコールトン社の亜国軍制式拳銃M1911A1(いわゆるガヴァメント)を9mmにコンバートしたカスタム銃であり、
MAIDによる運用を前提とする事で多弾倉と小型化を両立したハイパワー・サブコンパクトとして比較的多くが流通している。
軽量で隠し持つにも便利なため、在珠は非番の時でもガンコムと分離した状態で持ち歩いている。
モデルはパラ・オードナンスHawg9。
種別 |
自動拳銃 |
製造 |
Cross Formula |
口径 |
9mm |
銃身長 |
76mm |
使用弾薬 |
9mmx19mm(9mm Parabelllum) |
装弾数 |
12+1発 |
作動方式 |
シングルアクション/ティルトバレル・ショートリコイル |
全長 |
165mm |
重量 |
0.68kg |
発射速度 |
- |
初速 |
350m/s |
有効射程 |
50m |
両脚部ガンコム:ダキアス Dk659
旧ダクテクニカ・イアスティル(Dactechnica Iastir:DACIAS、ダキアス)社製、9mmパラベラム弾使用の機関拳銃。
リールはスカートの下に二挺分仕込まれており、非使用時の本体も同様に収納される。
Dk659はプレス加工を積極的に取り入れるなど開発当時としては極めて先進的な設計のクローズドボルト式機関拳銃であり、
高サイクルと小振りなサイズに起因するフルオート制御の困難を除けば安価かつ高火力、整備性と携帯性にも優れた近接火器と言える。
ダキア王国の滅亡と共に同社も失われ、現在製造されているものは他国メーカーによるコピーモデルだが、
在珠が使用しているものは残り少なくなりつつあるオリジナルモデルである。性能はコピーと同一。
モデルはIMIマイクロUZI及びダキアス・ガン・システム DKS type a6/59。
種別 |
機関拳銃 |
製造 |
Dactechnica Iastir |
口径 |
9mm |
銃身長 |
1171mm |
使用弾薬 |
9mmx19mm(9mm Parabellum) |
装弾数 |
20/25/32/40/50+1発 |
作動方式 |
シングルアクション/クローズドボルト/ストレートブローバック |
全長 |
250mm |
重量 |
1.95kg |
発射速度 |
毎分1250発 |
初速 |
360m/s |
有効射程 |
50m |
AE39MS/A11
在珠が胸部に装備するEARTH製の攻性瘴壁ユニット。被攻撃時に外装式瘴炉から得られた攻性エネルギーを展開し、無力化を図る装備である。
陳腐化した初期型瘴炉をレストアし、機能を瘴気の吸収と転換、瘴壁の展開に限定して使用している。
元々汚染を軽減するために出力が抑えられている上、外装式である事から転換効率が低く、瘴壁を常時展開する事は不可能。
このため戦闘中は攻性エネルギーを充填しておき、攻撃を回避できないと装備MAIDが判断した時のみ瞬間的に瘴壁を展開する。
瘴壁の展開範囲は上半身のヴァイタルパートのみであるが、実体を伴った攻撃に対する防御性能は非常に高い。
月門計画において実施された耐弾試験では150mm榴弾砲を完全に防御、更に240mm榴弾砲の直撃に対しても抗堪した。
ただし一部MAIDの有する形成系能力や放出系能力、あるいはそれらによって発生する光剣・光弾に対してはほぼ無意味である。
また低出力とはいえ瘴炉には違いなく、長期間にわたる運用は本人や周囲に悪影響を及ぼす可能性が高い。
なお、中核となる瘴炉自体の新造がほとんど行われていないため、この装備も量産には到ってはいない。
試製二号永核光刀 水神
在珠が腰に差している特殊刀。
月門計画において試作されたMAID用装備の一つである。全長四尺、刃長三尺四寸。
出力刃励起用発振器に研削した永核を用いる事で長大かつ集束率の高い出力刃を展開する。
また形成系能力に依存する従来の光剣とは異なり、無能力MAIDでも出力刃を発生させる事ができる。
が、現状においては武器一つのために永核を加工するだけの価値があるとは到底言えず、試作のみで終わった。
「光刀」と名付けられてはいるが自発的な発光はほとんどなく、また刀身は他の光剣と異なりはっきりとした境界層が視認できる。
これは可視光放射による出力損失を抑え、また単純な力場による焼夷・破砕作用ではなく刀としての形態による切断作用を重視した設計による。
刀身自体はあくまで非物質であり出力が失われれば消失するが、
アンドゥリルのような実体晶剣と混同される事も多い。
なお、鞘は防塵蓋及びバランス用の錘としてのみ機能しており、実際の出力刃長よりも短い。
親斗国家の装備としては一般的な7.92mmx57弾使用の汎用機関銃。ザハーラ戦線にも大量に持ち込まれている。
在珠が使用するモデルは標準よりも一回り大きいバレルジャケットを備えた熱帯仕様であり、型式の末尾はそれを示すものである。
放熱性の改善と共に銃そのものの質量が増加したため、わずかではあるが火線が安定しやすくなっている。
物々しく武骨な外見は「MG以上にMGらしい」と言われる事もしばしば。
なお、銃身半ばに装着されているのは中遠距離射撃用のケーニヒ・イコン社製ZF42型1.5-6倍可変光学照準器。
ヴァトラー・カンプフピストーレ
カール・ヴァトラー社製の単発擲弾銃。26.6mm径の各種擲弾を運用可能な多目的戦闘拳銃である。
対G戦闘から信号弾の使用、夜戦における照明弾投射まで可能なため、利便性の高い銃として携行するMAIDは多い。
在珠は右脚にホルスターを留めて持ち歩いている。
モデルはワルサー(ヴァルター/ウォールサー)カンプピストル。
種別 |
擲弾発射器 |
製造 |
Carl Watler GmbH |
口径 |
26.6mm |
銃身長 |
155mm |
使用弾薬 |
Wurfgranatpatrone326LP、他 |
装弾数 |
1発 |
作動方式 |
シングルアクション/ブレイクオープン |
全長 |
245mm |
重量 |
1.45kg |
初速 |
72m/s(W326LP弾) |
有効射程 |
400m(W326LP弾) |
対G用無反動砲。低初速のために高速目標に対しては命中弾を得がたいが、重甲殻を容易に貫徹する威力は重宝される。
使い捨てとはいえ、接近さえできれば射手の巧拙を選ばない兵器である。
在珠はこれを背嚢に二挺くくりつけており、大型Gを迅速に撃破する必要がある場合などに使用する。
大型の榴散弾地雷に柄を取り付け、投擲用に改装したもの。
手榴弾としては非常識に重く、MAIDでもなければ安全距離からの投擲は不可能である。
とはいえ元が地雷だけあって威力は格別であり、半径90m程度の範囲に存在するGを容易に殺傷しうる。
在珠はこれをケープに留め、対空迎撃などに活用している。
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最終更新:2010年03月01日 01:26