烈日の太陽に熱せられた荒野は、夕暮れと共に吹いた風にさわさわと吹き冷まされていく。
いまだ昼間の熱を含んだ生ぬるい埃が風に吹き上げられては、方々で揺らめく炎と黒煙に入り混じって虚空に消えていく。
赤と黒の極彩色に彩られた戦場は、暮れなずんでいくにつれて急速にセピア色に褪せていこうとしていた。
ぽかん。
レゲンダの頭の中で気の抜けたマヌケな音がした。
すると脳みそに湧いたあぶくが弾けるようにして、レゲンダは今の今まで思い巡らしていたことをスッカリサッパリ忘れてしまった。
ハテ?なんだったかな?大事なことだったような気がする。
水平線の向こうに沈んでいくでっかいミカンみたいな太陽をぼんやりと見送りながら、レゲンダは何か胸のうちに郷愁のようなものが湧き上がるのを覚え、我知らず落涙していた。
だがその郷愁が何であったかを今の拍子にさっぱり忘れてしまって、胸中に空虚な穴がポッカリ。
そしてその穴の中になんともいえないモドカシサだけわだかまっている。
その如何ともし難いモドカシサにしばし悶々としていると、不意にグゥと、レゲンダの腹が鳴った。
とりあえず飯にしよう。このことは後から思い出せばいいや。
そうしてレゲンダは夕餉にあずかるが、しかしそれを平らげる頃にはそんなこともスッカリ忘れて、やがてとろとろと眠気が目蓋を重くしていくと、それに促されるままレゲンダは床に就いたのであった。
毎日がだいたいこんな感じ。そしてあくる日も……。
雑記
こんなはずではなかった。ネタに詰まって適当に筆を走らせたら歯止めが利かなくなった。
書いてるときにはウホッ俺天才とか思ってたけどそれが醒めてみると急激に恥ずかしくなってきた。
そんなこんなで先行き不透明なまま連載を始めてみた。
後書き
というわけで歳も押し迫る中、どうにか完結にこぎつけることが出来ました。
連載を始めて1年余り。その間にも当初の構想から(そんなもんなかったが)逸脱して紆余曲折を繰り返しました。
チェコの作家フランツ・カフカ曰く、小説を書くというのは「暗いトンネルを進むようなものだ」と言うとおり、執筆に当たっては先の見通せない無明長夜でした。
話の結末自体は大分前から考えていたのでしたが筆者の気まぐれか、晦渋な思考によってか次々と変わりました。
また文体もその時の気分や趣向にことごとく作用され、各話ごとに、酷いときにはは文節ごとにばらつきの有る乱雑なものともなりました。
ですが最初に立てた、巧拙はともあれとりあえず最期まで完結させようという低い志は、どうにか貫徹することが出来ました。
これもひとえに読者諸兄のご愛顧のお陰であります。この場を借りて感謝を述べると同時に、それにも拘らず感想に対してろくにレスも返さなかった筆不精を深謝します。
これまでに頂いた感想には、なるべく速やかにレスを返していきますのでご容赦の程を。
2009/12/29
以上シナリオが行き当たりばったりの香港形式でお送りしました。
最終更新:2009年12月29日 11:04