ネットワーク管理システムの設計で使用する共通フレームワークが、「Open Systems Interconnection (OSI) 」のFCAPSモデルです。しかしながら、ほとんどのネットワーク管理システムの実装では、全ての機能を網羅しているわけではありません。FCAPSでは、次の管理機能を定義しています。
障害管理の目的は、ネットワーク障害の検出、ログ、ユーザへの通知、(可能ならば)自動修復を行い、ネットワークの可用性(必要なときに必要な人が使用できること)を向上することです。障害はネットワークの停止や性能劣化の原因となりえます。障害管理は、ほとんどのOSIネットワーク管理エレメントに実装されています。障害管理の主な目的は、次のとおりです。
構成管理は、ネットワーク管理者の最初の業務です。最初はネットワーク機器のインストールで始まり、その後、常にその構成管理情報を維持・更新していく必要があり、終わりがありません。構成管理の目的は、いろいろなバージョンのハードウェアとソフトウェアをネットワーク越しに設定管理できるようにし、ネットワークシステム全体の構成(IPアドレス、接続情報管理など)を把握することです。これにより、システムの構成変更、機器増設、ソフトウェアアップグレード、障害対応、セキュリティ管理などに備えることが可能です。
それぞれのネットワーク機器のソフトウェアやファームウェアは、さまざまなバージョン情報を持っています。構成管理サブシステムは、これらの情報を容易に管理できるようにするために、データベースに情報を保持します。障害が発生した場合、データベースに保存されているこれらの情報を問題解決の糸口として利用します。
課金管理の目的は、ユーザまたはグループユーザのネットワークの使用率、使用状況を測定することです。これにより各ユーザに対する使用状況に応じた課金や公平なネットワークリソースの割り当てを行うことが可能となります。 課金管理の最初の業務は、重要なネットワークリソースのすべての使用率を計測することです。この結果の解析により、現在の使用パターンを見極めることができ、適切なリソースの割り当てが可能になります。リソースの測定により、課金情報をもたらし、継続的に公正で最適化されたリソースの使用が可能となります。
性能管理の目的は、ネットワークの可用性を維持するために、ネットワークの状態を計測して効率良くネットワークを利用することです。性能値の例としては、ネットワークのスループット、レスポンスタイム、使用率などがあります。 性能管理は、3つの手順から構成されます。
継続的に性能値の監視を行い、しきい値を超えた場合、アラームが生成されてネットワーク管理システムに送信されます。性能がユーザの定義したしきい値を超え、容認できない状態になった場合、性能管理システムはメッセージを送信します。また、ネットワークのシミュレーションは、ネットワークの拡張がパフォーマンスにどのように影響を与えるかを予測するために行われます。そのようなシミュレーションは、発生する恐れのある問題を管理者に通知することができます。
機密管理の目的は、組織のアクセス管理ポリシーに基づき、ネットワークリソースへのアクセスを制御することです。したがって、ネットワークは、(故意かどうかに関わらず)アクセスが阻止され、適切な認証なしでは機密情報にアクセスできません。たとえば、機密管理サブシステムは、ネットワークリソースへログオンするユーザを監視し、適切でない認証情報を入力したユーザからのアクセスを拒絶します。機密管理システムは、ネットワークリソースを認証が必要なものと必要ではないものに分割します。機密管理システムは、次のような機能を実行します。