児○法? 私の時代には、そんな法はなかったわよ ◆x/rO98BbgY 氏
爽やかな朝の空気に似つかわしくない、狂気の放送は終わった。
告げられた死者の数は四十と一人。
それが本当だとするなら、殺し合いの開始からただの六時間で、およそ半数以上が減った事になる。
いや、放送で告げられた内容は事実なのだろう。
死んだ曹操の連れと、その加害者の名も正しく呼ばれているのだから。
告げられた死者の数は四十と一人。
それが本当だとするなら、殺し合いの開始からただの六時間で、およそ半数以上が減った事になる。
いや、放送で告げられた内容は事実なのだろう。
死んだ曹操の連れと、その加害者の名も正しく呼ばれているのだから。
そしてその四十一人の中には、曹操の知る人間も二人いた。
武人として戦場に斃れる宿命は知れども、交誼を結んだ友の死は、覇王の魂にも重く圧し掛かった。
関羽と馬超。
曹操は暁の空を見上げて、二人に想いを馳せずにはいられなかった。
武人として戦場に斃れる宿命は知れども、交誼を結んだ友の死は、覇王の魂にも重く圧し掛かった。
関羽と馬超。
曹操は暁の空を見上げて、二人に想いを馳せずにはいられなかった。
馬騰の子、馬超よ。
西涼にその人ありと謳われた、父の名に恥じぬ戦いは出来たかしら?
西涼にその人ありと謳われた、父の名に恥じぬ戦いは出来たかしら?
そして……関羽。
思えば奇妙な縁であったわね。
艶やかな貴方の黒髪を、初めて見た時から必ず手に入れると決めていたけれど……。
結局、手に入れられないまま、貴方は先に逝ってしまった。
ふふ、こんな事だったら、無理矢理にでも手折っておけば良かった。
花の命は短いとは言うけれど、関羽――貴方は、逝くには早過ぎたわ。
思えば奇妙な縁であったわね。
艶やかな貴方の黒髪を、初めて見た時から必ず手に入れると決めていたけれど……。
結局、手に入れられないまま、貴方は先に逝ってしまった。
ふふ、こんな事だったら、無理矢理にでも手折っておけば良かった。
花の命は短いとは言うけれど、関羽――貴方は、逝くには早過ぎたわ。
軽くロールの入った金髪が、風に揺れる。
21世紀の冷たい人工物に囲まれた市街地の風の匂いは、古代の少女には異質なもので、曹操はそれであっさりと短い追憶を打ち切る。
そう、今は悲しみに打ち沈む時ではない。
悲しむのは、全てが終わってからでいい。
そのためにするべき事は――。
21世紀の冷たい人工物に囲まれた市街地の風の匂いは、古代の少女には異質なもので、曹操はそれであっさりと短い追憶を打ち切る。
そう、今は悲しみに打ち沈む時ではない。
悲しむのは、全てが終わってからでいい。
そのためにするべき事は――。
先の放送には色々と思う所はあったが、それは追々考えれば良い事だ。
まずは目前の現実に対処する事を、曹操は選び取る。
まずは目前の現実に対処する事を、曹操は選び取る。
「ワァーーーーーーーーーン! ウワワアアアーーーーーーーン!! リーネェ……サーニャッ……」
道路の片隅に座り込み、堰を切ったように泣き続ける小麦色の少女。
彼女もまた、放送で知り合いの名が呼ばれたのか。放送前よりも、その慟哭は激しさを増している。
誤って殺してしまった少年への罪悪感、加害者として名前が呼ばれた事への動揺、知り合いの死を告げられた衝撃。
そういった諸々の激しい感情が胸の中で渦巻いて、心が上手くそれに対処出来ないのだろう。
彼女もまた、放送で知り合いの名が呼ばれたのか。放送前よりも、その慟哭は激しさを増している。
誤って殺してしまった少年への罪悪感、加害者として名前が呼ばれた事への動揺、知り合いの死を告げられた衝撃。
そういった諸々の激しい感情が胸の中で渦巻いて、心が上手くそれに対処出来ないのだろう。
無理もない。
そんな過酷な現実に対処するには、少女はあまりにも幼すぎた。
激情のままに泣きわめくことでしか、過度のストレスを発散する術を知らないのだ。
そんな過酷な現実に対処するには、少女はあまりにも幼すぎた。
激情のままに泣きわめくことでしか、過度のストレスを発散する術を知らないのだ。
「ルッキーニ……とか呼ばれていたわね。立ちなさい」
しかし、曹操はその甘えを許さない。
聞きだしたい情報があった。
ヒルシャーを射殺したとされる『坂東』、そしてエイラと呼ばれた少女とルッキーニによる空中戦は、
曹操の知る戦の常識からも、ヒルシャーたちから得られた情報からも想像の付かないものだ。
聞きだしたい情報があった。
ヒルシャーを射殺したとされる『坂東』、そしてエイラと呼ばれた少女とルッキーニによる空中戦は、
曹操の知る戦の常識からも、ヒルシャーたちから得られた情報からも想像の付かないものだ。
そして、その想像も付かない現実というものは、それを知らない人間にとっては天災のようなものだ。
なにせ、予測もしていなかった突発的な事件には対処が出来ない。
おそらく四十を超える死者の多くは、そういった『未知との邂逅』の前にあえなく死んでいったのではあるまいか。
正常な立ち会いであれば、関羽ほどの剛の者が容易く破れるはずもないのだから。
ゆえに、情報の収集はまさに生死に直結する重大な案件なのだ。
なにせ、予測もしていなかった突発的な事件には対処が出来ない。
おそらく四十を超える死者の多くは、そういった『未知との邂逅』の前にあえなく死んでいったのではあるまいか。
正常な立ち会いであれば、関羽ほどの剛の者が容易く破れるはずもないのだから。
ゆえに、情報の収集はまさに生死に直結する重大な案件なのだ。
「ヒィッ、ご、ごめんなさい、ごめんなさいっ! そんなつもりじゃなかったのっ」
しかし、曹操の硬質な声を聞いて、上を向いたルッキーニの顔が恐怖にひきつる。
曹操は先程、剣司を殺された怒りのままに銃を撃ち、ルッキーニの命を危うく奪うところだったのだ。
追いかけてきた曹操を見て、また責められると思ったのだろう。
少女は身を丸くして、その小さな体を震わせる。
曹操は先程、剣司を殺された怒りのままに銃を撃ち、ルッキーニの命を危うく奪うところだったのだ。
追いかけてきた曹操を見て、また責められると思ったのだろう。
少女は身を丸くして、その小さな体を震わせる。
「……そうね。あれは事故のようなもの。貴方にそんなつもりはなかった事は認めるわ」
そんなルッキーニの心の重荷を取り外すように、耳元で囁かれる曹操の言葉。
その囁きに救いを求めるかのように、ルッキーニの濡れた双眸が曹操に向けられた。
曹操はしゃがみ込むと、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったルッキーニの顔を、手巾で拭ってやる。
泣き腫らして、赤くなった顔が愛らしかった。
曹操は、そんなルッキーニを見て、微笑した。
その囁きに救いを求めるかのように、ルッキーニの濡れた双眸が曹操に向けられた。
曹操はしゃがみ込むと、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったルッキーニの顔を、手巾で拭ってやる。
泣き腫らして、赤くなった顔が愛らしかった。
曹操は、そんなルッキーニを見て、微笑した。
「ゆ、許して……くれるの?」
「ええ、貴方の知り合いに会ったら、事の顛末を説明してあげてもいいわ。それなら誤解も晴らせるでしょう?」
「ええ、貴方の知り合いに会ったら、事の顛末を説明してあげてもいいわ。それなら誤解も晴らせるでしょう?」
ルッキーニの表情が、少しだけ生気を取り戻す。
彼女を苦しめる三大ショックの内、二つを曹操は取り除いてやったのだ。
彼女を苦しめる三大ショックの内、二つを曹操は取り除いてやったのだ。
「でも、貴方の介入が私の部下を殺す原因になった事も、また事実」
「フニャ……」
「フニャ……」
しかし、曹操はそこに釘を刺す事も忘れない。
実際には、彼はルッキーニの介入がなくても、おそらく死んでいただろう。
更に言うなら、エイラの襲撃がなくても、近い将来に死んでいたと曹操は思う。
ファフナーという巨大兵器に乗りこむ専用操縦兵らしかったが、それがなければただの子供。
この戦場で、生き抜ける力量があったようには見えなかった。
だからせめて、ルッキーニの心に撃ち込む楔くらいにはなってもらおうと曹操は考える。
実際には、彼はルッキーニの介入がなくても、おそらく死んでいただろう。
更に言うなら、エイラの襲撃がなくても、近い将来に死んでいたと曹操は思う。
ファフナーという巨大兵器に乗りこむ専用操縦兵らしかったが、それがなければただの子供。
この戦場で、生き抜ける力量があったようには見えなかった。
だからせめて、ルッキーニの心に撃ち込む楔くらいにはなってもらおうと曹操は考える。
「――だから償いなさい。貴方が私の部下として、この殺し合いを打破する力になると言うのなら……。
慰めてあげるわ。その身も心も……」
慰めてあげるわ。その身も心も……」
巧みに提示された、救済への扉。
はちきれんばかりに溢れだしてくる苦しみに、押し潰されそうだったルッキーニの心は、曹操の開けたその扉に向かうより他にはない。
ルッキーニは――こくりと頷くと、曹操の差し出した手を取った。
自信に満ちた曹操の言葉は、今のルッキーニには抗いがたくも魅力的に思えたのだ。
はちきれんばかりに溢れだしてくる苦しみに、押し潰されそうだったルッキーニの心は、曹操の開けたその扉に向かうより他にはない。
ルッキーニは――こくりと頷くと、曹操の差し出した手を取った。
自信に満ちた曹操の言葉は、今のルッキーニには抗いがたくも魅力的に思えたのだ。
そして舞台は、電光掲示板で部屋を選択すると、鍵が出てくるタイプの宿泊施設へと移る。
曹操に手を引かれるままに、ここへと辿り着いた少女の眼に、もう涙はない。
小さいながらも凝った内装の部屋のベッドに、しどけなくルッキーニは横たわっていた。
曹操に手を引かれるままに、ここへと辿り着いた少女の眼に、もう涙はない。
小さいながらも凝った内装の部屋のベッドに、しどけなくルッキーニは横たわっていた。
悲しみが癒えたわけではない。
同じストライクウィッチーズのメンバーである、リーネとサーニャの訃報がもたらした痛みは、いまだルッキーニの中に鋭く残っていて、
彼女たちの親友である芳佳やエイラの心中を思うと、もっと悲しくなってくる。
エイラはあんな風だけど、サーニャの事を大切に想っている事だけは、基地のみんなが知っている事だった。
そして芳佳は、いつもリーネと一緒だった。
だからルッキーニは、ここに至ってようやく自分とシャーリーにも別れ別れになってしまう可能性がある事を想像した。
それは、とてもとても怖い事だった。
同じストライクウィッチーズのメンバーである、リーネとサーニャの訃報がもたらした痛みは、いまだルッキーニの中に鋭く残っていて、
彼女たちの親友である芳佳やエイラの心中を思うと、もっと悲しくなってくる。
エイラはあんな風だけど、サーニャの事を大切に想っている事だけは、基地のみんなが知っている事だった。
そして芳佳は、いつもリーネと一緒だった。
だからルッキーニは、ここに至ってようやく自分とシャーリーにも別れ別れになってしまう可能性がある事を想像した。
それは、とてもとても怖い事だった。
それに、ずっと同行していたナガスミの死も堪えた。
結局、彼が探していたサンもルナも死んでしまったらしい。
ルッキーニは、誰ひとり守る事が出来なかったのだ。
いや、それどころか、守ろうとした少年の命を、自身の魔女の力で奪ってしまって――。
結局、彼が探していたサンもルナも死んでしまったらしい。
ルッキーニは、誰ひとり守る事が出来なかったのだ。
いや、それどころか、守ろうとした少年の命を、自身の魔女の力で奪ってしまって――。
それらの事を、考えれば考えるほど、ルッキーニは悲しくなってしまう。
だからまだまだ泣き続けたかったのに、ルッキーニの涙腺はもはや涙を枯らしてしまったのか、主の欲求に応えられない。
目頭が、まだ熱い。
喉が、とても痛かった。
それなのに涙が出せない不快感は、少女の中で行き場のないストレスとして、泥のように堆積していった。
そうして活発だったはずの少女は――まるで人形のような虚ろな状態で、湯からあがってきた曹操にその黒髪を撫でられていた。
だからまだまだ泣き続けたかったのに、ルッキーニの涙腺はもはや涙を枯らしてしまったのか、主の欲求に応えられない。
目頭が、まだ熱い。
喉が、とても痛かった。
それなのに涙が出せない不快感は、少女の中で行き場のないストレスとして、泥のように堆積していった。
そうして活発だったはずの少女は――まるで人形のような虚ろな状態で、湯からあがってきた曹操にその黒髪を撫でられていた。
「美しい黒髪ね……」
「ん……そうかな……」
「ん……そうかな……」
曹操の肌の熱に、暖められた掛け布団の中は心地良い温もりに満ちている。
早朝の高高度での戦闘で、氷のように冷えきったルッキーニの肩を、髪を撫でていた曹操の指が伝っていく。
慰めてくれているのだろう。
曹操の指遣いは正直くすぐったかったが、じわりと熱が伝わる様な、他者とのスキンシップはそんなに嫌ではなかった。
早朝の高高度での戦闘で、氷のように冷えきったルッキーニの肩を、髪を撫でていた曹操の指が伝っていく。
慰めてくれているのだろう。
曹操の指遣いは正直くすぐったかったが、じわりと熱が伝わる様な、他者とのスキンシップはそんなに嫌ではなかった。
ルッキーニは目の前に在る胸――あまり大きくはない――に顔を埋めて、髪を撫で続けてくれる曹操にその身を預ける。
純然たる大艦巨乳主義者のルッキーニにとって、曹操の形状の美しさはあまり興味をそそるものではないが、全ての胸に共通する
母性に満ちた柔らかさと、すべらかな肌触りは、ささくれ立ったルッキーニの神経を優しく包んでくれていた。
純然たる大艦巨乳主義者のルッキーニにとって、曹操の形状の美しさはあまり興味をそそるものではないが、全ての胸に共通する
母性に満ちた柔らかさと、すべらかな肌触りは、ささくれ立ったルッキーニの神経を優しく包んでくれていた。
その感触に、少しだけマーマを思い出してうっとりしているルッキーニの軍服は、いつのまにか布団の外に放り出されている。
丸みを帯び始めたばかりの、未成熟な肉体に直接触れられて――ルッキーニはようやく、その事に気付いた。
丸みを帯び始めたばかりの、未成熟な肉体に直接触れられて――ルッキーニはようやく、その事に気付いた。
「あれ? なんで――」
「黙って」
「黙って」
休む時はいつも薄手の下着姿が基本のルッキーニであったが、人に脱がされた事になんとなく違和感を感じて疑問の声をあげる。
しかし、曹操は薄紅色のルッキーニの唇に人さし指を当てて、少女の口を閉ざさせた。
しかし、曹操は薄紅色のルッキーニの唇に人さし指を当てて、少女の口を閉ざさせた。
「全部、私に任せなさい」
耳元で囁かれるのは、命じる事に慣れた支配者の声。
その声はなんとなくいけない事をしている雰囲気を伴って、ルッキーニの耳朶を妖しく震わせた。
だが、ルッキーニはその声に逆らえなかった。
命じられるがままに、曹操に身をゆだねるのは、とても楽だったから。
その声はなんとなくいけない事をしている雰囲気を伴って、ルッキーニの耳朶を妖しく震わせた。
だが、ルッキーニはその声に逆らえなかった。
命じられるがままに、曹操に身をゆだねるのは、とても楽だったから。
だから曹操は耳元まで身体を寄せた体勢のまま抵抗も受けず、ルッキーニの細い首筋に唇を近付けていったのである。
「ン……ふぅ。く、くすぐったいよ、ソウソウ……」
「華琳よ、私の事は、華琳様と呼びなさい」
「うにゃ? カリンサマ? ソウソウじゃないの?」
「名は曹操、字は孟徳、真名が華琳。貴方は私の部下となったのだから、特別に真名で呼ぶ事を許すわ」
「華琳よ、私の事は、華琳様と呼びなさい」
「うにゃ? カリンサマ? ソウソウじゃないの?」
「名は曹操、字は孟徳、真名が華琳。貴方は私の部下となったのだから、特別に真名で呼ぶ事を許すわ」
いっぱい名がある事を不思議に思ったルッキーニだが、直面している事態はそれどころではなかった。
曹操のルッキーニを見つめる瞳は、女豹のような鋭い輝きを秘めていて、その印象に反する事無く果敢に獲物を狩り立てていく。
曹操のルッキーニを見つめる瞳は、女豹のような鋭い輝きを秘めていて、その印象に反する事無く果敢に獲物を狩り立てていく。
「ニャハ、ニャハハ、く、くすぐったいってばカリンサマァ……あっ、はにゃ、そ、そこ……メだよっ、あっあっ……」
「ふふ、しっとりつやつやだった関羽と違って、こっちの方はまだまだ子供なのね」
「か、関羽? それって……」
「ふふ、しっとりつやつやだった関羽と違って、こっちの方はまだまだ子供なのね」
「か、関羽? それって……」
曹操の為す行為に戸惑い、上擦った声で抗議するルッキーニであったが、曹操は聞く耳を持たない。
いまやたった一枚きりの防壁となった横ストライプの防御陣をも軽く突破して、百戦錬磨の曹操軍の総進撃が始まった。
乱れる呼吸。
冷えた身体に、熱が入る。
じっとりとした汗をかきはじめたルッキーニは、たちまち布団の中が暑くなって、しなやかに伸びた褐色の足で掛布団を撥ね飛ばした。
現れた白のシーツの上では、黒と金の髪が絡まり、流麗な絵柄を描きだしている。
そしてやがてルッキーニの意識は、戸惑いも、悲しみもない純白へと染まっていき――何もかもが、わからなくなっていく。
いまやたった一枚きりの防壁となった横ストライプの防御陣をも軽く突破して、百戦錬磨の曹操軍の総進撃が始まった。
乱れる呼吸。
冷えた身体に、熱が入る。
じっとりとした汗をかきはじめたルッキーニは、たちまち布団の中が暑くなって、しなやかに伸びた褐色の足で掛布団を撥ね飛ばした。
現れた白のシーツの上では、黒と金の髪が絡まり、流麗な絵柄を描きだしている。
そしてやがてルッキーニの意識は、戸惑いも、悲しみもない純白へと染まっていき――何もかもが、わからなくなっていく。
「フニャーー、な、なにこれっ。変だよ、あたし……これって……これって!?」
「いいわっ、そのまま私に集中なさいっ」
「いいわっ、そのまま私に集中なさいっ」
背筋を伝う、未知の感覚。
切羽詰まったルッキーニの悲鳴に、手を重ねながら曹操が命じる。
ぎゅっと握られた指と指が絡まった瞬間、ルッキーニの意識が爆ぜた。
切羽詰まったルッキーニの悲鳴に、手を重ねながら曹操が命じる。
ぎゅっと握られた指と指が絡まった瞬間、ルッキーニの意識が爆ぜた。
「――――――――ッッッ!!」
言葉にならない絶叫。
だが、痙攣する小麦色の肢体が、若鮎のように仰け反った肉体が、ルッキーニの受けた初めての衝撃を雄弁に語っていた。
だが、痙攣する小麦色の肢体が、若鮎のように仰け反った肉体が、ルッキーニの受けた初めての衝撃を雄弁に語っていた。
硬直から脱力への変化を経て、生まれたての子猫のように震えるルッキーニに、曹操は布団を掛けてやる。
そして汗で張りついてしまった少女の黒髪を、かき分ける曹操の瞳は、これまでになく優しいものになっていた。
それはルッキーニを通して、誰か違う人間を見ているかのような優しい視線で――
落ちついてきたルッキーニは、芳佳を見るバルクホルンの目を思い出す。
そして汗で張りついてしまった少女の黒髪を、かき分ける曹操の瞳は、これまでになく優しいものになっていた。
それはルッキーニを通して、誰か違う人間を見ているかのような優しい視線で――
落ちついてきたルッキーニは、芳佳を見るバルクホルンの目を思い出す。
「ねぇ、カリンサマ。さっき言ってた関羽ってヒト……放送で呼ばれてた……よね?」
最初のステージで于吉と対話していた事と、放送で于吉が反応していた事で、ルッキーニはその名を覚えていた。
だからつい尋ねてしまったのだが、口に出した事を後悔した。
だからつい尋ねてしまったのだが、口に出した事を後悔した。
「ええ……私と閨を共にする事もなく――先に逝ってしまった大馬鹿者よ」
あの自信に満ちていた曹操が――、一瞬、とても哀しそうな目をしたから。
その後ベッドの中で情報交換を済ませた二人は、一緒にお風呂に入ってから、それぞれの身支度を整える。
ストライクウィッチーズ――女性だけの航空戦闘部隊の話を聞いた曹操は、彼女たちを配下に収めるという野望に燃えていた。
先程出会ったエイラはともかくとして、他の人物は放送でも加害者として名を残していない。
しかも半数が死に絶えた参加者の内、残り六名という高い生存率を見せている。
これは名簿でグループ分けされた集団の中では現在最大の人数であり、主催に反抗する者たちとして、これ以上ない戦力候補と言えるだろう。
先程出会ったエイラはともかくとして、他の人物は放送でも加害者として名を残していない。
しかも半数が死に絶えた参加者の内、残り六名という高い生存率を見せている。
これは名簿でグループ分けされた集団の中では現在最大の人数であり、主催に反抗する者たちとして、これ以上ない戦力候補と言えるだろう。
一方で、未知の感覚を知ったルッキーニは、自分の気持ちが随分と楽になっている事に気付いていた。
曹操に何をされたのかは良く判らなかったが、あの行為の最中は、辛い事を全部忘れている事が出来た。
その事が元々楽天的な、ルッキーニの精神に良い影響を与えたのだ。
曹操に何をされたのかは良く判らなかったが、あの行為の最中は、辛い事を全部忘れている事が出来た。
その事が元々楽天的な、ルッキーニの精神に良い影響を与えたのだ。
(リーネ、サーニャ見ていてね。絶対エイラを止めて、こんなゲームぶっこわしちゃうから……。
ケンジも、それであたしの事、許してくれるよね?)
ケンジも、それであたしの事、許してくれるよね?)
「行こっ、カリンサマ。みんなを探して、一緒にこのゲームを終わらせちゃおー!」
おー!
と、元気よく気勢を上げるルッキーニに、しかし曹操はストップをかける。
未だ身支度の済んでいない彼女は、なにかを探しているようで、その彷徨う視線がルッキーニのお尻で止まる。
と、元気よく気勢を上げるルッキーニに、しかし曹操はストップをかける。
未だ身支度の済んでいない彼女は、なにかを探しているようで、その彷徨う視線がルッキーニのお尻で止まる。
「ちょっと待ちなさい、私の下着が……って、あああっ」
そう――、
ルッキーニの小ぶりなサイズのお尻を包む布地は、横ストライプのそれではなく、曹操が身に着けていたはずの黒い布地へと変わっていたのだ。
ルッキーニの小ぶりなサイズのお尻を包む布地は、横ストライプのそれではなく、曹操が身に着けていたはずの黒い布地へと変わっていたのだ。
「そ、それを返しなさいっ、ルッキーニ!!」
「やーだよ。カリンサマに汚されちゃったんだから、洗ったズボンが乾くまで借りとくねー」
「やーだよ。カリンサマに汚されちゃったんだから、洗ったズボンが乾くまで借りとくねー」
逃げるルッキーニのお尻は、再び躍動感に満たされている。
それを慌てて身支度を済ませた曹操が、追っていったのは言うまでもないだろう。
それを慌てて身支度を済ませた曹操が、追っていったのは言うまでもないだろう。
その豪奢ながらも短いスカートの下に、何もはいていないまま、ではあったのだが。
【一日目 G-3 宿泊施設 朝】
【フランチェスカ・ルッキーニ@ストライクウィッチーズ】
[状態]:疲労(小) 魔力消費(小)、曹操に少し精神依存
[装備]:箒@現実、包丁@現実、FN Five-seveN(20/20)@GUNSLINGER GIRL
[道具]:基本支給品、未確認支給品0~2、Five-seveNの予備マガジン×4、商店街で手に入れた道具、謎の魚肉の塩漬け、洗濯したズボン
[思考]
基本:シャーリーや芳佳たちを探して、殺し合いに乗っている人たちを止める
1:みんなと一緒に殺し合いを止める
2:ケンジを殺した贖罪をする
[状態]:疲労(小) 魔力消費(小)、曹操に少し精神依存
[装備]:箒@現実、包丁@現実、FN Five-seveN(20/20)@GUNSLINGER GIRL
[道具]:基本支給品、未確認支給品0~2、Five-seveNの予備マガジン×4、商店街で手に入れた道具、謎の魚肉の塩漬け、洗濯したズボン
[思考]
基本:シャーリーや芳佳たちを探して、殺し合いに乗っている人たちを止める
1:みんなと一緒に殺し合いを止める
2:ケンジを殺した贖罪をする
※少しだけ大人になりました。
※華琳の名前をカリンサマだと思っています。
※華琳の名前をカリンサマだと思っています。
【曹操@真・恋姫†無双】
[状態]:ダメージ(微小)、お肌つやつや、はいてない
[装備]:SIG SAUER P220@現実 9/9 予備弾倉x2
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:再び于吉を倒す
1:ストライクウィッチーズを中心として対主催集団を作り上げる
2:必ず後悔させてやるわ
3:ルッキーニから下着を奪い返す
[状態]:ダメージ(微小)、お肌つやつや、はいてない
[装備]:SIG SAUER P220@現実 9/9 予備弾倉x2
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:再び于吉を倒す
1:ストライクウィッチーズを中心として対主催集団を作り上げる
2:必ず後悔させてやるわ
3:ルッキーニから下着を奪い返す
054:おしまいの朝 | 投下順に読む | 056:[[]] |
時系列順に読む | ||
044:嘲笑 | 曹操 | 0:[[]] |
フランチェスカ・ルッキーニ |