21世紀深夜アニメバトルロワイアル@ウィキ

順応

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順応◆PuVQoZWfJc


日も昇ったというのにその場はひどく血なまぐさかった。先程大勢の人間の訃報があったが
彼に何の感慨も齎しはしなかった。フレディの名が呼ばれた際は僅かに顔を曇らせたが
それもすぐに消えてしまった。

ゴリラは考えていた。何故自分が振られたのか。何故黒龍号が裏切ったのか。
自分はこの島の中で当然のことをしただけだし、メスは強いオスに従うものだ。それが
何故にこうまで拒絶されるのか。ゴリラはしばし考えた。

そしてすぐにあることに思い至った。前にいた場所では強いオスは多くいたが不思議なことに
誰一人として連れ合いを持っていなかったのだ。どの群れにも、あのフレディにさえ
いなかった。そしてその理由に気付いたのは自分が寿司屋の見習いとして働いていた時の事だ。

兄弟子や店長の下で寿司の握り方を学び、寿司のネタを腕力によって奪うのではなく、
技量や交渉によって手に入れていた日々に答えはあった。
自分たちほどの力はなくとも魚市場の人々の中には伴侶を持つ者はいた。

自分と何が違ったのか、違ったのはメスの方だとゴリラは解する。オスを選ぶ基準が腕っ節ではない
何かだったのだろう。ゴリラはその時は物好きな奴だと思ったがこの基準がさっきのメスにも
当てはまったのなら振られたのも納得だった。

つまりさっき殺したオス(竹之内)は腕っ節以外の何かであのメス(咲良)に選ばれたのだ。
そして自分はそれを持っていなかったが為に所有権が移らなかった。

未だに顔に蹄鉄の後を付けながら、ゴリラは真剣に考えていた。その何かとは何だったのか。

今となっては分らないがメスの好みが異なるということは理解した。あとはどれだけそれを知り、
集められるか、ゴリラは前にいた街で連れ合いのいたオスの姿を片っ端から思い出す。

街の中で見かけたのは車に乗ってる奴、金を持ってる奴、飾りをたくさん付けている奴、
逆にメスに使われている奴などなど。このゴリラに限った話ではあるが車や金を持ってる奴というのは
よくわかる。セリでいいのを落としては大型の車に載せて持って行ってしまう。

「力」があるのだという事はゴリラにも分かった。飾りの奴は鳥と同じだ。最後のはたまたまだろう。
確かに考えて見れば腕力でくっついているケースは全くといっていい程なかった。
つまりこの島であの手の小さいメスを得るにはそれぞれの好みを持っていなければいけない
ということになる。他のオスを力で排除しながらその一方で力以外のものでメスを手に入れなければ
ならない。ゴリラは面倒臭く思ったがやらない訳にはいかない。

おまけにメスは軒並み小さかった覚えがある。最初のは子ザルとすぐに分かったがその辺も要注意だ。
好みのメスがいそうにないのがゴリラに一層義務感を募らせた。

他のオスに分かりやすく自分の強さを知らせる物が必要だった。
他のメスの好みにあった物を手に入れる必要があった。

後者は心当たりがなかったのでこれから集めるしかないが前者はすぐに思いついた。以前いた場所
で相手の穿いているものを奪うという連中が出たことがあったがあれと同じだ。参加者と自分に共通した
飾りを集めておけばいいのだ。集めた数が多いほど差は歴然となる。

ゴリラはそれを手早く手に入れることができる場所へ急いだ。体の中に埋まった散弾が気持ち悪かったが
取れず、触れば出血がひどくなりそうなので今は放っておくことにした。

そしてゴリラは以前来た場所へと戻ってきた。そこでは6人の人間が死んだ場所だったが遺体は3人分
しか残っておらずいずれも子ザルの集まりだったが贅沢は言っていられない。

ゴリラは彼らの飾りを取るためにデイパックの中から両刃の伐採斧を取り出すと細い首を次々と刎ねていく。
切る際に力任せではなく僅かに角度を合わせて引くように振り下ろす様は素材を捌くような手つきだ。

躊躇うこと無く死体の細い首に斧を振り下ろす。
既に死体だったせいか刎ねられた首がきれいに放物線を描くことも
勢い良く血が吹出すということもなかった。空いた傷口からは濁濁と血が流れたがそれにも勢いはない。

ゴリラは首を斬ることを決めた時、切るための道具が包丁しかなかったらその時は諦めようかとも
思ったのだ。幸か不幸かにも出てきた物は包丁ではなかったが。彼の中では包丁は争いに使う道具ではない。

このゴリラは決して無法者ではない。それは彼のこれまでの暮らしぶりからも伺えることで今は
この島のルールに従っているだけだ。ゴリラは思う。その場のルールに合わせてに生きることは
何も悪いことではない。掟の中で全力を尽くすのは生き物としては当たり前のことだった。

ゴリラは今までとの掟の変容を敏感に察知したがその内容は掴みきれなかった。故に考えながら
あれこれと試している。考え直すこともなく。
手際よく文字通り首だけ切って目的の首輪を入手したゴリラは血糊のついたそれをデイパックにしまい
最初は拾わなかった子ザルの基本支給品も回収する。

その内の一つの食料と水を食べきり一心地つくと地図を見た。これからどこへいくか決めようというのだ。
メスか敵対するオスの集まりそうな所を思い浮かべたが自分の状態を鑑みるとそれは得策ではない。

先程銃で撃たれた時もそうだし、失ってしまったあの大きな武器も戦う上では欠かせない要素だ。
非力なメスでも危険になりうる道具が有る以上自分の手持ちの道具をちゃんと把握する必要がある。
ゴリラはここまで理解すると今いる位置から北上し始めた。

確か「調べれば分かる場所」という程度に記憶している所へ向かって。


【一日目 B-1 遺跡 午前】

【ゴリラ@魁!!クロマティ高校】
[状態]:ダメージ(小)、出血(小)、(疲労)、小頭に軽度の打撲、顔面に蹄鉄の跡
[装備]:伐採斧@現実
[道具]:基本支給品×3、ランダム支給品×5、首輪×3
[思考]
基本:弱肉強食。
1:?(何考えているか解らないが、ルールだけは把握できている様子)
2:首輪とメスの好みそうな物を集める
3:図書館へ向かう

備考:秋水、直井、リネットの首を刎ねました。


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