邂逅~とまどい~ ◆PuVQoZWfJc
「トリエラ!」
惨劇の会場から他の者が次々と消えて行く中で彼、ヒルシャーは咄嗟に自分のフラテッロ(兄妹)である
少女に手を伸ばした。だがその手は空を切り気が付けばどことも知れない場所に手を前に突き出した姿勢
のまま立っていた。突然の明暗の変化に目が追いつかない。目を擦って辺りを確認する。どうやら今は
夜で、ここはどこかの建物のテラスか何かのようだ。
惨劇の会場から他の者が次々と消えて行く中で彼、ヒルシャーは咄嗟に自分のフラテッロ(兄妹)である
少女に手を伸ばした。だがその手は空を切り気が付けばどことも知れない場所に手を前に突き出した姿勢
のまま立っていた。突然の明暗の変化に目が追いつかない。目を擦って辺りを確認する。どうやら今は
夜で、ここはどこかの建物のテラスか何かのようだ。
そしてこの場には自分以外にもう二人の人間がいた。一人はごく普通の日系人の少年、そしてもう一人は
トリエラとはまた違ったタイプのツインテールの髪型をした、しかしトリエラより小柄でどこか育ちの良さそうな
少女だった。変わった服を来ており、金髪だが顔は大陸系だ、ハーフなのかも知れない。少年はといえば至って
普通のシャツにジーンズという格好だ、特徴て言えそうなものは外見上は見当たらない。
トリエラとはまた違ったタイプのツインテールの髪型をした、しかしトリエラより小柄でどこか育ちの良さそうな
少女だった。変わった服を来ており、金髪だが顔は大陸系だ、ハーフなのかも知れない。少年はといえば至って
普通のシャツにジーンズという格好だ、特徴て言えそうなものは外見上は見当たらない。
彼は二人がまだ目を覚まさない内に自分の荷物のルールブックを確認する。服はいつものスーツ姿の
ままだが財布や身分証などの私物も軒並み取り上げられていた。思考をまとめる為に情報を整理しようと
作業に集中するが優勝の際の褒賞に目が止まり思わず息を飲む。「死者の蘇生を含むどんな願いも叶う」
ままだが財布や身分証などの私物も軒並み取り上げられていた。思考をまとめる為に情報を整理しようと
作業に集中するが優勝の際の褒賞に目が止まり思わず息を飲む。「死者の蘇生を含むどんな願いも叶う」
死者の蘇生、確かに彼には生きていて欲しかった同僚がいた、だが今はトリエラの方が彼の中では大きな
存在となっていた。
存在となっていた。
「どんな......願いでも......だって?」
ヒルシャーは自分のフラテッロとなった少女の事を思い浮かべる。最早何時まで生きられるか分からない
偽物の体の少女、国の目もあり止めることもできずに普通の少女として生きられない彼女を、
自分や公社と縁を切り普通の体で普通の少女として人生を送らせることができはしないか。
ヒルシャーは自分のフラテッロとなった少女の事を思い浮かべる。最早何時まで生きられるか分からない
偽物の体の少女、国の目もあり止めることもできずに普通の少女として生きられない彼女を、
自分や公社と縁を切り普通の体で普通の少女として人生を送らせることができはしないか。
そんな風に考えた後、短く息を吐いて頭を振る。ありえない。これまでの人生とさっき会場で
見せられた惨状からそんな夢を見る気にはなれない。それに優勝するという事はつまり
見せられた惨状からそんな夢を見る気にはなれない。それに優勝するという事はつまり
「んぅ、ふうっんく、あ、愛紗」
この目覚めた少女を殺すということだ。そんなことは絶対にできない。絶対にだ。
この目覚めた少女を殺すということだ。そんなことは絶対にできない。絶対にだ。
「目が覚めたかい、それじゃ、彼もそろそろ起こした方がいいな」
そう言ってもう一人の少年を起こす。少年は起きるなり自分を見て悲鳴を挙げると大きく後ずさる。
無理もない、あんな事があった後にお世辞にも人相が良いとは言えない自分の顔が間近にあったのだ。
殺されると思ったとしても仕方ない。だが少女の方は警戒こそすれ怯えた様子はなく自分の体をあちこち触って
調べている。ヒルシャーは彼女が自分に何かされたとでも思っている事に気づき、仏頂面になる。心外だ。
そう言ってもう一人の少年を起こす。少年は起きるなり自分を見て悲鳴を挙げると大きく後ずさる。
無理もない、あんな事があった後にお世辞にも人相が良いとは言えない自分の顔が間近にあったのだ。
殺されると思ったとしても仕方ない。だが少女の方は警戒こそすれ怯えた様子はなく自分の体をあちこち触って
調べている。ヒルシャーは彼女が自分に何かされたとでも思っている事に気づき、仏頂面になる。心外だ。
46 : ◆PuVQoZWfJc :2010/10/02(土) 18:17:10 ID:6dI/mNjs
「いきなりで済まないが単刀直入に聞こう、君たちは殺し合いをするのかい」
先手を打って釘を差しておく。当然ながら元とはいえ警官だったヒルシャーはそうするつもりは微塵もない。
眼前の彼らのような者は保護し、必要があれば戦うといった姿勢でいる。
「いきなりで済まないが単刀直入に聞こう、君たちは殺し合いをするのかい」
先手を打って釘を差しておく。当然ながら元とはいえ警官だったヒルシャーはそうするつもりは微塵もない。
眼前の彼らのような者は保護し、必要があれば戦うといった姿勢でいる。
聞かれた二人は言うと別々の答えを返した。
「そ、そんな事はしない!そんな事してたまるか!」
「そう言うってことは返答によっては当方に迎撃の用意ありってとこかしら」
「そ、そんな事はしない!そんな事してたまるか!」
「そう言うってことは返答によっては当方に迎撃の用意ありってとこかしら」
少年は明らかにまだ狼狽しているが少女の方は既に余裕を取り戻している。まるでこんな事は慣れっこだという態だ。
つくづくこういう少女と縁があるとヒルシャー苦い思いを抱く。
「一応そういう事になるが、僕にそのつもりはない。子供を襲うような事はしない」
そういうと少女は目を細め気に入らないとでも言いたげに鼻で笑う。
つくづくこういう少女と縁があるとヒルシャー苦い思いを抱く。
「一応そういう事になるが、僕にそのつもりはない。子供を襲うような事はしない」
そういうと少女は目を細め気に入らないとでも言いたげに鼻で笑う。
「甘いわね、、まあ今回は相手が黒だって分かってるから乗らないでおいてあげるけど」
そう返されて内心で安堵しながらも、今の短い言葉を聞き咎める。
「君はあの主催者を知っているのか」
そう返されて内心で安堵しながらも、今の短い言葉を聞き咎める。
「君はあの主催者を知っているのか」
いきなり普通に話しだした二人を少年は戸惑いつつ交互に見る。対応が早過ぎる、彼女らは何者なのかと
「まあね、女の子の方は知らないけど、男の方は一度死んでるはずなのよ」
少女、曹操、(真名は華琳)は男の方の名は于吉といいかつて自分と仲間が討伐したはずだと告げた。
「と、討伐ってそんな、冗談かなんか」
少年が疑ってかかるも途中で「乱世で相手は逆賊、当然でしょう」とあっさり斬って捨てられると言葉を無くす。
少女、曹操、(真名は華琳)は男の方の名は于吉といいかつて自分と仲間が討伐したはずだと告げた。
「と、討伐ってそんな、冗談かなんか」
少年が疑ってかかるも途中で「乱世で相手は逆賊、当然でしょう」とあっさり斬って捨てられると言葉を無くす。
「死人の復活、案外自分に限ってはできるのかも知れないわね、とりあえず互いに自分の荷物の確認と
自己紹介を済ませましょう、それで何か分かる事もあるかも知れないし」
自己紹介を済ませましょう、それで何か分かる事もあるかも知れないし」
いつの間にか完全に取り仕切っている曹操に従い二人は、といってもヒルシャーは既に確認しているので
少年、近藤剣司は言われるがままにルールブックを確認し、名簿を見て絶句する。
少年、近藤剣司は言われるがままにルールブックを確認し、名簿を見て絶句する。
47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2010/10/02(土) 18:17:20 ID:nLpYaLF+
48 : ◆PuVQoZWfJc :2010/10/02(土) 18:18:04 ID:6dI/mNjs
結論から言えば自己紹介で分かった事は3人が3人とも別々の場所、世界から連れてこられたことと、互いの不信感が
僅かに高まったことくらいだった。
「フェストゥムにファフナー......」「黄布党に太平道とか聞いたことが無いぜ」「全く埒が明かないな」
結論から言えば自己紹介で分かった事は3人が3人とも別々の場所、世界から連れてこられたことと、互いの不信感が
僅かに高まったことくらいだった。
「フェストゥムにファフナー......」「黄布党に太平道とか聞いたことが無いぜ」「全く埒が明かないな」
だがもう一つ分かったことがある。必ず誰かしら知人がいてその者もこの殺し合いに参加させられているということだった。
「でも参加者全員が全員、別々の時代から攫われてきたってわけじゃないのね」
そういうとイタリアの警官だと名乗ったヒルシャーも同意する。
「確かに、もしかすると主催の本命もこの中にいて、それを隠すために他の者も一塊で連れられて来られたのかも知れない」
「でも参加者全員が全員、別々の時代から攫われてきたってわけじゃないのね」
そういうとイタリアの警官だと名乗ったヒルシャーも同意する。
「確かに、もしかすると主催の本命もこの中にいて、それを隠すために他の者も一塊で連れられて来られたのかも知れない」
そう言うと酷く言いづらそうに剣司が反論して来た。
「いや、その俺たちの知り合いの事だけど、連れてこられた時期は違うのかもしれない、もしこの名簿の参加者が
全員生きているのなら、の話だけど」
「いや、その俺たちの知り合いの事だけど、連れてこられた時期は違うのかもしれない、もしこの名簿の参加者が
全員生きているのなら、の話だけど」
言っている事が分からない二人はそのまま剣司が続けるの黙って待つ。
「おかしいんだよ、この名簿、衛は死んでて、咲良もまだ起きられるほど良くなってない、一騎だって、
他にも戦って死んだ人やここに普通にいられない奴ばっかりで、でも死んでなかったりしてあの時も
皆揃ってて、オレ夢でも見てんのかって思って......」
他にも戦って死んだ人やここに普通にいられない奴ばっかりで、でも死んでなかったりしてあの時も
皆揃ってて、オレ夢でも見てんのかって思って......」
途中から声が震えだし、声も掠れていく。何故だと言わんばかりの声と涙に少なくとも嘘は感じられなかった。
「だが、それならどうやって、やはり死者の蘇生が可能だと言う事なのだろうか」
ヒルシャーが疑問を口に出すと曹操はたぶん違うと否定する。
「だが、それならどうやって、やはり死者の蘇生が可能だと言う事なのだろうか」
ヒルシャーが疑問を口に出すと曹操はたぶん違うと否定する。
「あいつがわざわざ最初に言ってたじゃない、死んだ人間は生き返らないって、ならたぶんこの子の言ってる事が
正しいのよ。コレに書かれてるのは嘘っぱち、でなきゃ誤植とか言うつもりなんでしょう。それにもしかしたら私達への
当てつけもあったのかもね、自分は死なないがお前たちは死ぬって言う」
正しいのよ。コレに書かれてるのは嘘っぱち、でなきゃ誤植とか言うつもりなんでしょう。それにもしかしたら私達への
当てつけもあったのかもね、自分は死なないがお前たちは死ぬって言う」
「なるほど、最初に訂正はして筈だという事か、そして最初の会場に参加者の故人の知り合いに扮した者を置いてあの騒ぎを
起こす。遠めで気づいても確かめられないからもしやと思う。後はその事に気付かない者がコレを信じて殺しあうという訳か。
君、友達とはちゃんと会って確かめたのかい」
起こす。遠めで気づいても確かめられないからもしやと思う。後はその事に気付かない者がコレを信じて殺しあうという訳か。
君、友達とはちゃんと会って確かめたのかい」
ヒルシャーから問われたが剣司は小さく首を横に振るばかりだ。
「やはりか、君たちと会っていなければ僕も騙されていたかも知れないな」
この後どうするつもりだと二人に聞くと、剣司は皆を探すと言う。自分と同じだと言うが曹操からは待ったがかけられた。
この後どうするつもりだと二人に聞くと、剣司は皆を探すと言う。自分と同じだと言うが曹操からは待ったがかけられた。
49 : ◆PuVQoZWfJc :2010/10/02(土) 18:20:27 ID:6dI/mNjs
「待ちなさい、それぞれ個別に行っても自殺行為よ、私達が生き残るためにはなるべく人を増やす事が先決。戦いにおいて
数は力、足手まといも盾にすれば立派な戦力よ、これから私達がやるべき事は首輪を外して、島を脱出し、主催を倒して
あわよくば願いも叶えることよ!こっちが逃げられるようになれば必ず向こうからやって来るわ」
「待ちなさい、それぞれ個別に行っても自殺行為よ、私達が生き残るためにはなるべく人を増やす事が先決。戦いにおいて
数は力、足手まといも盾にすれば立派な戦力よ、これから私達がやるべき事は首輪を外して、島を脱出し、主催を倒して
あわよくば願いも叶えることよ!こっちが逃げられるようになれば必ず向こうからやって来るわ」
全部と言ってしまえばそれまでの事を曹操は平然と言ってのけ聞いている男二人は呆然としている。
リアリストである筈の彼女は時にその身以上に大きな野心を抱くが正に今、久しぶりに火がついたようだった。
リアリストである筈の彼女は時にその身以上に大きな野心を抱くが正に今、久しぶりに火がついたようだった。
それからの行動は早かった。互いの探している人間の名前と風貌、支給品の確認と武器の再分配とレクチャーを行いながら
3人はそこを後にする。曹操は銃を知らないが使い方だけはすっかり覚えたようで剣司よりもずっと上手くなっていた。
主導権を奪われた二人はすっかりお付のようになっている。
3人はそこを後にする。曹操は銃を知らないが使い方だけはすっかり覚えたようで剣司よりもずっと上手くなっていた。
主導権を奪われた二人はすっかりお付のようになっている。
(それにしても私のお付が誰もいないなんて、最近寝屋に呼んでいなかったからかしら、だとしたら自業自得かも
知れないわね、帰ったら全員呼んであげようかしら)
知れないわね、帰ったら全員呼んであげようかしら)
そんな事を考えながらも彼女は進む、自分で決めた勝利を目指して。
【一日目 H-1 灯台 深夜】
【近藤剣司@蒼穹のファフナー】
[状態]:健康、困惑
[装備]:スタンガン@現実
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~1
[思考]
基本:竜宮島の仲間の安否の確認と保護
1:曹操と一緒に皆を探す
2:確かめたいような、そうでないような
[状態]:健康、困惑
[装備]:スタンガン@現実
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~1
[思考]
基本:竜宮島の仲間の安否の確認と保護
1:曹操と一緒に皆を探す
2:確かめたいような、そうでないような
【曹操@真・恋姫†無双】
[状態]:健康
[装備]:SIG SAUER P220@現実 4/9 予備弾倉x3
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:再び于吉を倒す
1:兵隊を集める
2:必ず後悔させてやるわ
[状態]:健康
[装備]:SIG SAUER P220@現実 4/9 予備弾倉x3
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:再び于吉を倒す
1:兵隊を集める
2:必ず後悔させてやるわ
【ヴィクトル・ヒルシャー@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:健康
[装備]:コルトパイソン@現実、6/6 予備弾丸 24発
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:民間人と保護して公社の人間と合流する
1:曹操達と行動しながらトリエラを探す
2:トリエラ.........
[状態]:健康
[装備]:コルトパイソン@現実、6/6 予備弾丸 24発
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:民間人と保護して公社の人間と合流する
1:曹操達と行動しながらトリエラを探す
2:トリエラ.........
025:DEAD OR ALIVE !? | 投下順に読む | 027:―テイク・オフ― |
時系列順に読む | 007:黄昏 | |
000:胎動 | ヴィクトル・ヒルシャー | 033:“事故”る奴は……“不運”(ハードラック)と“踊”(ダンス)っちまったんだよ…… |
曹操 | ||
近藤剣司 |