巫護座◇オンステージ！〜にわか雨の悪竜と、四神巫女の初LIVE！〜１ - 神薙の巫女と堕ちし龍Wiki

「うええ…またにわか雨…びっしょびしょだよ…」

5月のはじめ、わたし達が高校2年生に進級してまもない頃の話。
わたし達は今月に入って3度目のにわか雨にやられて意気消沈していました。

「ここのところ、ずいぶんと多いよねぇ、にわか雨」
「せめて傘持ってる時に降って来いってーの」
「……そんな都合のいいにわか雨は無いけど、同感」

口々にぶつぶつ言うのはわたしの幼馴染たち。
長い三つ編みでおっとりした口調で話す「朱夏亭ひなた」。
ショートボブでちょっと荒っぽい、でもすごく優しい子の「白秋院みのり」。
サラサラのロングでクールな感じの「玄冬殿みゆき」。
みんな大切な友達で、わたしの仲間。
あ、自己紹介が遅れました。
わたし、「青春堂さくら」といいます！
冒頭でも話しましたが、この春進級したばかりの高校2年生です！
わたし達４人、みんな高２ってこと以外もうひとつ共通点があって…

「あ、ヤバ！もうレッスンの時間じゃん！急げ急げ！」

そう、わたし達、「神装巫女」なんです！
神装巫女っていうのは話すと長くなるけど、簡単に言うと「歌と踊りで信仰を集め、集めた信仰を力に変えて、悪い竜を退治する、アイドルみたいなもの」だそうです。
……その、「みたいなもの」っていうのは……実はまだ「本番」を経験したことが無くて、まだまだレッスンとリハーサルしかやったことがないから、こういうしかないからなんです。
でもでも！神装巫女のさらに上、「巫女」さまが5年前、年号が変わった時に荒ぶる台風龍を鎮めた伝説の「ライブ」は、今でも動画サイトとかで見返すくらいすごい出来事で、わたし達４人の憧れなんです！
いつかわたし達もあんなふうにみんなを守るスーパーライブをやれるのかな……なんて思ったり思わなかったり。