ロボ×女の子 2 1-639様
私の名はヴァンダル。元首の身が真に危険な際にかの方を守るフラッドというロボット兵だった。
遠い昔、暴虐な元首の命により、深い地の底にこの身を繋がれたが、エリアスという少女が私を鎖から解き放ち、この名を与えてくれた。
彼女の語る所によると、今の世も堕落した愚かな者が治めているという。
彼女の唇と引き換えに、共にこの治世への復讐を果たそうと、元首の城下であるこの都市に舞い戻ってきたわけだが・・・。
遠い昔、暴虐な元首の命により、深い地の底にこの身を繋がれたが、エリアスという少女が私を鎖から解き放ち、この名を与えてくれた。
彼女の語る所によると、今の世も堕落した愚かな者が治めているという。
彼女の唇と引き換えに、共にこの治世への復讐を果たそうと、元首の城下であるこの都市に舞い戻ってきたわけだが・・・。
「エリアス・・・、お前は何をしているんだ。」
「腹が減ってはなんとかができぬって言うじゃない?」
ヴァンダルの手を引いたエリアスが最初に訪れたのは、小奇麗な喫茶店だった。しかし、都市の荒みようを表すかのように、店内にほとんど人影はなく、ヴァンダルが好奇の目に晒される事はなかった。座るには小さすぎる椅子に座った彼の対向には、既に空になった器が何枚も重ねてある。
それをじっと見ていると、少女が付属のメニューを差し出してきた。
「青と緑と紫、どれがいい?よく知らないけど、フラッドもお腹減るんでしょ?」
「青で頼む。」
なぜ中途半端に食物を摂らなければならない体なのか。目前の誘惑に負けた自分が恨めしかった。
「おねぇさん、青のエネルギーチャージひとつ。」
そう言うエリアスの声を遠くに聞きながら、ヴァンダルはテーブルに肘をついた。やがて彼にはやや不似合いな可愛らしい装飾の施された器が運ばれてきたがここでもう彼は目の光を落としていた。
「食べさせてあげよっか?」
「不審者とフラッドには優しくするなと教わらなかったのか?」
状況とは裏腹に、痛々しい気さえするほどに屈託なく笑う少女は、それだけ追い詰められていたのだろう。
不意に外に面したガラスを叩く音がした。見ると、壮年の男がエリアスを呼んでいる。
「ティト!」
テーブルを倒す勢いで立ち上がり、彼女は脱兎のごとく外に走り出た。
「ティト、よかった!あなたは無事だったのね!」
「僕はオペレーターだからね。かのお優しい元首様に顔は割れていないのさ。皆死んでしまったと思ってたけど・・・。」
ティトはエリアスの後ろに立つフラッドを一瞥して、苦々しげに吐き捨てた。
「まさか、君ともあろう者がフラッドなんかと共謀してるとは思わなかった!どうりであの殺人兵器から逃げおおせたわけだ!」
「ちがっ・・・!」
「腹が減ってはなんとかができぬって言うじゃない?」
ヴァンダルの手を引いたエリアスが最初に訪れたのは、小奇麗な喫茶店だった。しかし、都市の荒みようを表すかのように、店内にほとんど人影はなく、ヴァンダルが好奇の目に晒される事はなかった。座るには小さすぎる椅子に座った彼の対向には、既に空になった器が何枚も重ねてある。
それをじっと見ていると、少女が付属のメニューを差し出してきた。
「青と緑と紫、どれがいい?よく知らないけど、フラッドもお腹減るんでしょ?」
「青で頼む。」
なぜ中途半端に食物を摂らなければならない体なのか。目前の誘惑に負けた自分が恨めしかった。
「おねぇさん、青のエネルギーチャージひとつ。」
そう言うエリアスの声を遠くに聞きながら、ヴァンダルはテーブルに肘をついた。やがて彼にはやや不似合いな可愛らしい装飾の施された器が運ばれてきたがここでもう彼は目の光を落としていた。
「食べさせてあげよっか?」
「不審者とフラッドには優しくするなと教わらなかったのか?」
状況とは裏腹に、痛々しい気さえするほどに屈託なく笑う少女は、それだけ追い詰められていたのだろう。
不意に外に面したガラスを叩く音がした。見ると、壮年の男がエリアスを呼んでいる。
「ティト!」
テーブルを倒す勢いで立ち上がり、彼女は脱兎のごとく外に走り出た。
「ティト、よかった!あなたは無事だったのね!」
「僕はオペレーターだからね。かのお優しい元首様に顔は割れていないのさ。皆死んでしまったと思ってたけど・・・。」
ティトはエリアスの後ろに立つフラッドを一瞥して、苦々しげに吐き捨てた。
「まさか、君ともあろう者がフラッドなんかと共謀してるとは思わなかった!どうりであの殺人兵器から逃げおおせたわけだ!」
「ちがっ・・・!」
否定の叫びは、空を切った鉄の音にかき消された。ヴァンダルのナイフのような指が、一寸の狂いもなくティトの喉に突きつけられている。
「エリアスを傷つけるな。」
「これでも違うと言うのか?このフラッドは建築用には見えないぞ!」
「ヴァンダル、やめて、やめてったら!この人は違うの!」
エリアスは彼の腕にぶらさがるようにして手を下ろさせたが、ティトはヴァンダルを軽蔑しきった目で見ていた。
「ヴァンダル、かつて地中海を荒らし回った民族の名か。お似合いだよ!」
エリアスは下唇を噛んで、言いようの無い悔しさに拳を固く握った。
不意に、背後で刃物を振り上げるような音がし、彼女はまたヴァンダルが腕を振り上げたのかと思ったのだが、違った。
「フラッド!」
振り返った瞬間、一瞬であったが、真っ赤なガラス越しの照準器と目が合った。そのフラッドの手には槍が握られている。
体中の血が氷になったような錯覚さえ覚えたが、感覚さえ凍りつく前にヴァンダルによって地に伏せられた。
頭上の空気を切り裂いて槍が飛び、それは衝撃で吹き飛ばされたティトの頭の真横に突き刺さった。地を滑るように武器を抜きにきたフラッドは足元のティトを一瞥した後、ゆっくりと銀色の穂先を彼の額に突きつけた。
「元首殿ハ、反逆者ト共ニイル者ハ同罪ト仰ッタ。」
余りの恐怖に言葉さえ発せられず固まっていた、おそらく次の瞬間には死が訪れる事さえ認識していなかったティトに救世主が現れたのは真っ暗になるはずだった次の瞬間だった。力無い音を立てて槍が砂の上に落ち、続いて、漏電してバチバチと光を放つフラッドだった首が地面を転がった。
状況が飲み込めた時、救世主はヴァンダルだったと確認できたが、それが完全に脳に受理される前に、目まぐるしく事は流れていた。
「嫌あぁっ!離してっ!」
「エリアス!」
エリアスはフラッドの援軍に腕を掴まれ、今にも殺されんばかりの状態だった。ヴァンダルは即座に振り返り、エリアスを束縛するフラッドに向かって腕を振り下ろしたが、それは肩付近に薄い傷を残したにすぎなかった。
「エリアスを傷つけるな。」
「これでも違うと言うのか?このフラッドは建築用には見えないぞ!」
「ヴァンダル、やめて、やめてったら!この人は違うの!」
エリアスは彼の腕にぶらさがるようにして手を下ろさせたが、ティトはヴァンダルを軽蔑しきった目で見ていた。
「ヴァンダル、かつて地中海を荒らし回った民族の名か。お似合いだよ!」
エリアスは下唇を噛んで、言いようの無い悔しさに拳を固く握った。
不意に、背後で刃物を振り上げるような音がし、彼女はまたヴァンダルが腕を振り上げたのかと思ったのだが、違った。
「フラッド!」
振り返った瞬間、一瞬であったが、真っ赤なガラス越しの照準器と目が合った。そのフラッドの手には槍が握られている。
体中の血が氷になったような錯覚さえ覚えたが、感覚さえ凍りつく前にヴァンダルによって地に伏せられた。
頭上の空気を切り裂いて槍が飛び、それは衝撃で吹き飛ばされたティトの頭の真横に突き刺さった。地を滑るように武器を抜きにきたフラッドは足元のティトを一瞥した後、ゆっくりと銀色の穂先を彼の額に突きつけた。
「元首殿ハ、反逆者ト共ニイル者ハ同罪ト仰ッタ。」
余りの恐怖に言葉さえ発せられず固まっていた、おそらく次の瞬間には死が訪れる事さえ認識していなかったティトに救世主が現れたのは真っ暗になるはずだった次の瞬間だった。力無い音を立てて槍が砂の上に落ち、続いて、漏電してバチバチと光を放つフラッドだった首が地面を転がった。
状況が飲み込めた時、救世主はヴァンダルだったと確認できたが、それが完全に脳に受理される前に、目まぐるしく事は流れていた。
「嫌あぁっ!離してっ!」
「エリアス!」
エリアスはフラッドの援軍に腕を掴まれ、今にも殺されんばかりの状態だった。ヴァンダルは即座に振り返り、エリアスを束縛するフラッドに向かって腕を振り下ろしたが、それは肩付近に薄い傷を残したにすぎなかった。
「ぐっ!」
背後からの衝撃に、ヴァンダルはくぐもった呻きを吐き出して崩れ落ちる。
「ヴァンダル!」
がむしゃらだったが、フラッドの一瞬の隙に、エリアスは枷を振り払った。一歩、二歩と進む後、ヴァンダルに膝をつかせた張本人の顔を見た。
「・・・元首。」
「フラッド、その子は殺してはいけないよ。」
異様に生き生きとした元首の顔には、権力の味を占めた腐食が見て取れた。フラッド達に命令した後、元首はヴァンダルの頭を踏みつけながら、エリアスに嫌らしげな笑みを向ける。
「お嬢さん、残念でしたねぇ。せっかく生き残ったのに。まあ、お馬鹿さんには丁度いいでしょう。」
「ふざけないで!わたし達から搾り取るだけ搾り取って、よくもそんな事が言えるわね!」
「そんな事を言っていられるのは今の内だけですよ。フラッド!このお馬鹿さんとその裏切り者を連れていきなさい!」
エリアスが再び拘束され、ヴァンダルが引きずられていく中、呆然とするティトに向かって、元首は言い放った。
「お騒がせして申し訳ございませんでした。」
動悸ぶる胸を押さえつつ、ティトが立ち上がったのは、元首一行が完全に視界から消え去った後だった。
「恩は返さないとな。」
彼は砂煙の中、閉鎖的な元首の居城に一人歩き出した。
背後からの衝撃に、ヴァンダルはくぐもった呻きを吐き出して崩れ落ちる。
「ヴァンダル!」
がむしゃらだったが、フラッドの一瞬の隙に、エリアスは枷を振り払った。一歩、二歩と進む後、ヴァンダルに膝をつかせた張本人の顔を見た。
「・・・元首。」
「フラッド、その子は殺してはいけないよ。」
異様に生き生きとした元首の顔には、権力の味を占めた腐食が見て取れた。フラッド達に命令した後、元首はヴァンダルの頭を踏みつけながら、エリアスに嫌らしげな笑みを向ける。
「お嬢さん、残念でしたねぇ。せっかく生き残ったのに。まあ、お馬鹿さんには丁度いいでしょう。」
「ふざけないで!わたし達から搾り取るだけ搾り取って、よくもそんな事が言えるわね!」
「そんな事を言っていられるのは今の内だけですよ。フラッド!このお馬鹿さんとその裏切り者を連れていきなさい!」
エリアスが再び拘束され、ヴァンダルが引きずられていく中、呆然とするティトに向かって、元首は言い放った。
「お騒がせして申し訳ございませんでした。」
動悸ぶる胸を押さえつつ、ティトが立ち上がったのは、元首一行が完全に視界から消え去った後だった。
「恩は返さないとな。」
彼は砂煙の中、閉鎖的な元首の居城に一人歩き出した。
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