穢血

最終更新:

hamachi

- view
メンバー限定 登録/ログイン

穢血


基本情報

仮想全高 1~2m / 元となった生物で異なる
仮想質量 20〜100kg / 元となった生物で異なる
存在規模 一〜五号級 / 階級によって異なる
穢装等級 Ⅰ~Ⅴ

ステータス

存在強度 C〜B / 階級・被害者によって異なる
疑似知覚 D〜B / 階級・被害者によって異なる
穢装出力 F~ / 被害者の肉体変質を含む複数の霊的現象が発生する
空間機動力 F~ / 階級・被害者によって異なる

概要

 ケガレチ、エケツ、あるいはヴァンパイアと総称される知的界異の一種。外見はその穢れの影響を受けた人間(以下被害者)によって統一性がないものの、赤い目や白い肌、犬歯の発達、科学的手法によって同定が出来ない血液型等の肉体的特徴を有する。

 穢血は穢れの影響を受けた人間(以下被害者)の肉体に憑依・変質させることで現世に顕現する。この顕現方式は穢耳と類似しているが、穢血の場合は穢れを含有した血液(以下穢血因子)が体内に直接転移することで憑依・変質が行われる。肉体への憑依は死体・生体を問わず、また転移に限らず現世に顕現済みの穢血からの血液感染によっても憑依が可能。この典型例が吸血であり、歩骸や受肉型界異の一種であるとみなされることも多い。
 血中に転移した穢血因子と被害者本人との適合割合や血中穢血因子量によってその階級が変化し、界異の性質として大気中の穢れを吸収することにより自己成長することも多々ある。そのため、穢血に憑依された被害者を放置することは極めて甚大な被害を及ぼしうることが多い。
 また穢血は人間に近しい社会性を有した社会性生物であり、知的界異としては最も知られた――或いは穢耳よりもよほど現代での知名度が低い界異の一種である。ロードと呼ばれる個体を頂点とした主従関係、或いは家族かマフィアの組織構造に近い社会を有することが確認されており、既存の穢血による吸血或いはその他の手段によって感染した穢血被害者は眷属としてその親に従属する体制を取る。その頂点は必然的にロードであり、以下公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵と自称される貴族たち、そうして準貴族(ジェントリ)とそれ以外の平民、および人間を指す血袋たちの順で階層構造を取るものとみられる。
 このうえ、穢血は一般的に吸血することでその勢力を拡大し、戦術を用い、祓魔術や技術を学習することで人類への対策を取る。古くはフス戦争や中世オスマントルコによるバルカン半島侵攻においても穢血による“王国”が形成されていたとの説もあるほどであり、自身に備わった式法「生体を操る能力」を応用して生体科学兵器を作成・装備する場合も多々存在する。

 これらの要因により人類社会に対して大きな脅威として古くから認識されていた穢血は、他の“ヴァンパイア”或いは“吸血鬼”と称される界異と混同されて
 世界的に見れば19世紀末ごろまでにヨーロッパ地域で活動していた形跡が見られ、特にイギリスのヴァン・ヘルシング教授やオーストリア・ハンガリー帝国のヴォルテンベルグ男爵、バチカンのジョン枢機卿、果てはアメリカ合衆国元大統領エイブラハムなど多数の穢血ハンターの逸話が現代でも伝わっている。
 ただし19世紀末イギリスにおいてロードの1人、大家令“貴顕”とその一門が祓滅され、20世紀中ごろにはロシア・ソヴィエト連邦共和国にてロード、海軍卿“星夜”とその一門が殺害されたことにより、人類社会に対する脅威の大半は失われた。
 現代まで生き残っているロード、即ち大蔵卿“険峻”と枢密院議長“学長"の2体とその一門は勢力拡大や人類への積極的敵対行為に興味がないらしく、時折世界各地に現れては甚大な被害を及ぼして回る以外の活動は行っていない。

穢血の階級

穢血はその存在強度に応じて4-5種類に大別できる。以下に各種における特徴について記す。

【真祖】
 一部の高位貴族の発言からしか確認されていない伝説上の存在。ロードを生んだ始まりの穢血と思われるが、詳細は不明。
 その性質上、穢血を穢血たらしめる血中の因子そのものが真祖の一部分である可能性も示唆されており、階級が上がるごとにその体組織構成比率が上がることを考えると、まさしく幽世のどこかに所在する「穢れに満ちた血の海そのもの」ではないかという考察も存在する。

【ロード】
 事実上最高位の穢血個体。現在までに9体(或いは10体+2体?)存在したと言われており、人間が確認できた中では4体のみ。それ以外の個体は“護国卿の乱”なる内部抗争で死に絶えたのだという。
 外見は両目が赤いことと長い犬歯を持つこと、そうして「肉体的な損傷を殆ど無視でき、自由に制御可能な自身の血と接続されている限り思考と肉体の再生が可能である」ということ。これらの事から、ロードとは実のところ、真祖という穢れた血の海から湧き上がってきた純度100%の血液スライムなのではないかという推察も存在する。
 その存在等級・穢装等級は5号級から崇神級に匹敵すると推定され、その存在強度に見合った身体強度・霊体強度と「生体を操る能力」に加え、穢血社会で育まれてきた独自の“科学技術”……筋肉や骨や神経その他の生体部品を制御するという術式体系「死霊学術」に精通している事も多い。これらは存在等級を除き貴族とも共通する特徴であるが、ロードの場合その能力が「複数指定可能な対象に、無条件に、特定の疾病を発症させる」という形式で特化している。
 用いる死霊学術の最大規模は基本的に現代都市を1つ陥落せしめることが可能である規模なのだとか、なんだとか。
 ロードたちは大家令や海軍卿と翻訳可能な役職を保持している。これらは以下に記述する貴族の爵位よりも上位に位置し、尊称と合わせて発言することが常なのだとか。
 ソヴィエト連邦がロードの1人、海軍卿“星夜”を捕獲し、数多の拷問の末に得た情報によると、9体のロードは以下のように名簿化される。

役職 個体名 能力によって発症可能な疾患 備考
大家令 “貴顕” 脳血管疾患 (19世紀末、聖ディートフリート騎士団その他により祓滅済み)
大法官 “頓黙” 肺炎 (死亡済み?)
大蔵卿 “険峻” 肝疾患 (生存)
枢密院議長 “学長" 多臓器不全 (生存)
王璽尚書 “震顫” 腎疾患 (死亡済み)
大侍従卿 “警咳” 肺疾患 (死亡済み)
大司馬卿 “巌窟" アルツハイマー (死亡済み)
軍務伯 “死都" 心不全 (死亡済み?)
海軍卿 “星夜”ミラ 感染症 (20世紀中ごろ、ソ連によって殺害済み)
―――― “護国卿” 悪性新生物 (死亡済み)
―――― “将軍”サラ 免疫疾患 (生存)
―――― “庶民院議長” 外傷 (19世紀末、イギリスにて消滅)


 穢血という種族の特性上ロードの性質によってその集団の目標や思想、および式法や死霊学術の得手が大きく左右される。中でも最も特異な集団として、「人間という種に対して極めて親和的であり、自らも人間風の名を自称する」海軍卿“星夜”――或いは“星夜”ミラの一門がいた。そして、滅びた星夜の思想を受け継ぐような形で“将軍”サラは「人間との共存という新たな穢血の道を作るためには自分以外の穢血をすべて絶滅させなければならない」という最も急進的な姿勢を示した。故に“将軍”サラはその名を出すだけで、穢血より嫌悪され、警戒される。
 また、“将軍”サラは一門を有さず、死霊学術により作った民兵(ダンピール)という死者の軍勢(別名、大陸軍)を率いているため、誰一人信用していない唯一のロードとなっている。



【貴族】
 ロードに、或いは他の貴族に吸血され、穢血因子に適合した個体。その適合率の高さと存在強度・穢装等級から5つの階級に区分されるが、その強さと穢血社会における地位以外に大差はない。
 外見は片目が赤いこと以外に共通項はない。肉体も一般的な生物の弱点である脳および心臓の破壊或いは穢れを帯びた血液の大量出血等で機能を停止するため、ロードほど無法ではない。――――脳か心臓か血液か、どれか1つのみの破壊では普通に戦闘が可能である、ということを除けば。
 その存在等級・穢装等級は3号級から5号級に相当。爵位によって上下する。存在強度に見合った身体強度・霊体強度と「生体を操る能力」に加え、穢血社会で育まれてきた独自の“科学技術”……筋肉や骨や神経その他の生体部品を制御するという術式体系「死霊学術」に精通している事も多い。これらはロードとも共通するものの、用いる能力には何らかの条件が付帯している。(例:触れた者の心臓を1分間止める、10名以上を対象とした能力発動は出来ない、人間が即死するレベルの症状悪化は引き起こせない等)
 用いる死霊学術の最大規模はその爵位によって変動するものの、公爵の場合数千人の兵士たちを相手にとって不足がないレベルなのだとか、なんだとか。
 貴族は「(特定のロードの役職名)“(ロードの個体名)”の血脈、公爵“○○”の嫡(最も適合率が高いか個人的に寵愛を受ける筆頭眷属の場合。筆頭以外では臣)、(爵位)“○○”の嫡(最も適合率が高いか個人的に寵愛を受ける筆頭眷属の場合。筆頭以外では臣)……(以下その系譜を列挙)……“○○(個人名)”」と言う名乗りを持つ。この列挙が長ければ長いほど血が薄まっている個体であり、単純な式法の強さや存在強度で言えば徐々に劣化しているらしい。ただ死霊学術の力量や戦闘経験、単純な才能などで爵位を越えた戦闘能力を保持することもよくある。備えよう。
 だいたい、その式法や存在強度に限った場合、現代で言えば公爵=4-5号級、侯爵=4号級、伯爵=3-4号級、子爵3号級、男爵=3号級くらいの号級算出になるらしい。

 ちなみに、爵位はすべて自称である。

【準貴族】
 ジェントリ。貴族に吸血という手法以外で血をぶち込まれた穢血、或いは吸血されたものの適合率が低い穢血……いわゆる平民アンデッドたちが、穢れを吸収することで存在強度を成長させた存在。貴族と同じく知恵を持ち、死霊学術を学ぶことができ、式法も存在するが、貴族と比べてその式法は無茶苦茶弱い。
 外見は元の被害者の眼に対し、徐々に赤みが混じっている感じ。片目のみであり、両目ともが赤みが買っているということは殆どない。肉体も一般的な生物の弱点である脳および心臓の破壊或いは穢れを帯びた血液の大量出血等で機能を停止するため、ここら辺は本当に貴族と同じである。
 存在等級・穢装等級は2号級から3号級に相当。貴族よりもだいぶん弱いが、存在強度に見合った身体強度・霊体強度が単純に脅威。具体的にはライフルですらあんまり効果がないくらい。どころか死霊学術を学んでいる個体であれば、自己の身体組成を変更することで大砲にすら耐えることがある。祓魔術や浄気機関の無い場合での交戦は普通に自殺行為である。
 準貴族ですらこれならば、貴族やロードなどはそれを超える強度を発揮しうるということで――――。

 穢血の社会では、これらジェントリを穢血の同胞として認めるか否かという論争が現代まで長らく続いている。大家令“貴顕”の一門では「成り上がり者は貴種たる穢血としてみなさない」として徹底的に使い潰される運命であるし、海軍卿“星夜”の一門では「同じ血の兄弟姉妹!」として物凄く厚遇される。これらの考え方の違いは直接人間に対する考え方の違いに直結しているらしい。

【平民】
 貴族に吸血という手法以外で血をぶち込まれた穢血、或いは吸血されたものの適合率が低い穢血。および、死霊学術によって作り出されたアンデッドたちのこと。
 アンデッドとはいえどもほんのわずかではあるが穢血因子が混じっていたり適合率が低いだけだったりするので、一応まあ穢血の範囲に含められる。
 強さはだいたい1号級から2号級に相当。知恵はなく、術も使えず、式法もないに等しい。ただし数が多いため注意が必要。

推奨対処法

  • 憑依防止手順
 かつては防止手順はなかった。だが今は違う!(ギュッ)
 そもそも穢血の増加と拡大は全くの未知であったが、1862年にフランスの科学者が穢血因子を発見。1865年にはイギリスの医師が穢血に対する加護煮沸消毒を考案し、感染拡大を防止することが可能となってきた。
 1890年代ごろ以降は日本人の医師たちが共同開発した加護と中和した穢血因子を動物に注射し、取り出して出来る“耐穢血清(イコル)”がその防御策の筆頭となり、現代医学の発展と共に穢血の肩身が狭くなりつつある。

  • 祓滅手段
 実は、一般的に言われるヴァンパイアの弱点というモノは殆ど穢血に対して効果を及ぼさない。上記の防止手順はあくまで「自らが穢血にならないこと」を念頭にそなえられたものであり、「穢血をより容易く祓うこと」には関係しない。
 なので実力で殴り飛ばすしかなく、せいぜい感染拡大を防ぐくらいのことしかできなかった――直接祓滅の効率が極限まで高まった現代でも、それくらいしか出来ていないのである。

  • 血中穢血濃度測定
 穢血に感染した被害者や死体などの血中に含まれる穢血因子量を測定する方法。死体に見せかけて祓滅を偽装するずる賢い個体や人間の中に混じる個体などを見出すことが出来る。
 ステージⅠ:血中穢血濃度0.05-0.1%。1号級界異に相当する身体強度(存在強度)の変化がある。だいたいの平民はこれ。
 ステージⅡ:血中穢血濃度0.11-0.15%。2号級に相当する。ちょっと成長したらこれくらい。一気にぶち込まれると精神が壊れる(急性症状)のがこの辺。吸血されたけど適合率が低いカスどもはここら辺に入る。
 ステージⅢ:血中穢血濃度0.16-0.3%。3号級に相当する。0.2%を超えたあたりから知恵が出てきて新たな人格が出来る。ジェントリは大体この辺。
 ステージⅣ:血中穢血濃度0.31-0.4%。4号級に相当する。伯爵以上の穢血はこの辺に位置する。存在強度と能力が強くなるだけ。
 ステージⅤ:血中穢血濃度0.41%以上。5号級に相当する。一部の公爵のこと。
 ロードの場合:血中穢血濃度測定不能。

関連ページ

権利者と合意が取れている場合は、関連する組織、キャラクターや界異、祭具・用語のページリンクを張ることができます。(任意)

権利情報

権利情報は全ての項目を必ず記入するようにしてください。
権利者 浜地
コンタクト先 X(旧Twitter) https://x.com/hamachi_writer
他作品での使用範囲 全て許可
登場作品 https://syosetu.org/?mode=ss_detail&nid=375644

タグ:

界異 浜地 穢血
ウィキ募集バナー