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nightmareofmio

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万華鏡




「まわります、鏡のなまえは鏡のだいすきなひとにつけてもらったということです」

くるっと華麗に一回転。白い装束が赤い空に綺麗に映えた。
踊るように優美幽玄に、ひらひらと枯れ草をなびかせて、ぐるぐると。
回る白の周囲には、ぽかんと見つめるものがたくさん取り巻いて。
円を描いて見守っている。真ん中で、ひたすらに、彼は舞い続ける。

「鏡はまわるからでした、鏡はまわります、もっともっと」
両手を広げたら飛ぶように、窄めたら小回りに。
覚束無い足取りでも確り踏んで、すこし飛び跳ねるように無邪気に回る。
「鏡のだいすきなひとは、鏡をだいすきなひとです」
「鏡のことをかぞくとよんでくれたひとです」
「でも、ここへきてわすれてしまいました、鏡のこと、ぜんぶ、わすれてしまいました」
「鏡のことをおぼえていません」
「みんなそうです、鏡のかぞくはみんな鏡を鏡だとわかってくれません」
「さみしいです、鏡はないてしまいそうです」

突然、ぴたりと動くのをやめた。

「鏡をわすれてしまうなんて、鏡をわすれてしまうなんて…かなしいです」
「でも」
「鏡はうれしいです、いまならきっと、鏡にはできるのです」
「なんでも」
両腕を真上に振り上げる。
首にかかった数珠がふわりと広がって、彼の頭上へ抜ける。
「こんなことだって」
まるで蛍のような朧な輝きが、数珠から生まれて飛んでいく。
その光球は、周囲で見守っていた群衆の、ひとりひとりの額につうっと吸い込まれた。
「いきますよ、コウちゃんをさがしに」
群集はまるで統制された軍隊のように、彼に従って、規則正しい歩調で集まってくる。
その目はみな一様にまるで夢を見ているよう。
また、明い光が数珠から零れて、各々の手に灯された。
彼を先頭に歩き出した群は、大人しい歩みで葬列のように厳かだ。

「そらがあかいです、あかくてもいいです、鏡はコウちゃんをさがします」
「コウちゃんがいてくれれば」
「コウちゃんが鏡をおぼえていてくれれば」

「ああ コウちゃんはどこにいるんでしょう」
「しっています、かくれんぼがじょうずなことは」
「たいがいみつからないのは、しってます、だからはやく」
「ないちゃいますよ、コウちゃん」
「どこにいるの…?」

光の群はひたすらに道を、終わりの見えない道なき道を、ただただ歩いて行くばかり。






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