ある晴れた空の霹靂
『高度1000、着陸姿勢に入ります』
「了解」
「了解」
流線型を描く美しい飛行機は、ゆっくり機首を下げて赤い地面を目指す。
するりと静かに羽根を休めて、≪03≫は風防を開いた。
中からするりと背の高い男が現れて、ヘルメットとゴーグルを投げ捨てるように外した。
周囲は何もない、時々風が思い出したように吹き抜けるだけの場所だ。
彼は休むときは、いつもここへやってきた。
本来なら帰還して、戦闘状況や破損状況などを報告するべきなのだが、
今はまだ戦闘中であり、こちらの損害はゼロだ。
上司からは帰還命令は出されていない。彼は何もない地面に寝そべった。
するりと静かに羽根を休めて、≪03≫は風防を開いた。
中からするりと背の高い男が現れて、ヘルメットとゴーグルを投げ捨てるように外した。
周囲は何もない、時々風が思い出したように吹き抜けるだけの場所だ。
彼は休むときは、いつもここへやってきた。
本来なら帰還して、戦闘状況や破損状況などを報告するべきなのだが、
今はまだ戦闘中であり、こちらの損害はゼロだ。
上司からは帰還命令は出されていない。彼は何もない地面に寝そべった。
空があんなに遠い。
何処まで飛んでも空というものに実体は無くて、掴むことすらできないけれど。
ここは、空の中じゃあない。地面の上だ。
空、宇宙、尽きることの無い、美しい場所。
三日月に右手を伸ばした。掴めそうで掴めない。
その手を不意に捕まれて、思わず飛び上がる。
無人であることは、≪03≫のレーダーで確認しているのに。
目の前に、空から抜け出たような、美しい女が立っていた。
何処まで飛んでも空というものに実体は無くて、掴むことすらできないけれど。
ここは、空の中じゃあない。地面の上だ。
空、宇宙、尽きることの無い、美しい場所。
三日月に右手を伸ばした。掴めそうで掴めない。
その手を不意に捕まれて、思わず飛び上がる。
無人であることは、≪03≫のレーダーで確認しているのに。
目の前に、空から抜け出たような、美しい女が立っていた。
「こんばんは」
上司との無線連絡は途絶えている。彼は後退って、腰に下げた拳銃を抜いた。
「……何者だ」
「 です」
吹き抜けた風に言葉はかき消されてしまい、聞こえない。
しかし銃を突きつけられても、逃げる気配すら見せないとは。
彼は銃の安全装置を戻し、仕舞いこんだ。
「…立ち去れ、ここは戦闘区域だ」
「そのようですね」
「危険だと言っているんだ」
剣呑な調子で言葉を吐き捨て、睨みつける。
それでも女はそこを一歩も動かなかった。もう一度、彼の右手をとった。
「危険なのは、あなたです」
「何?」
女の目は、空のように澄んでいる。
足元が、ぱらぱらと風化するように崩れていった。眼下に広がるのは、あお。
上司との無線連絡は途絶えている。彼は後退って、腰に下げた拳銃を抜いた。
「……何者だ」
「 です」
吹き抜けた風に言葉はかき消されてしまい、聞こえない。
しかし銃を突きつけられても、逃げる気配すら見せないとは。
彼は銃の安全装置を戻し、仕舞いこんだ。
「…立ち去れ、ここは戦闘区域だ」
「そのようですね」
「危険だと言っているんだ」
剣呑な調子で言葉を吐き捨て、睨みつける。
それでも女はそこを一歩も動かなかった。もう一度、彼の右手をとった。
「危険なのは、あなたです」
「何?」
女の目は、空のように澄んでいる。
足元が、ぱらぱらと風化するように崩れていった。眼下に広がるのは、あお。
海、だった。
「あなたにとって、辛いのは現実のほうでしょう」
「何を言っている?」
「でも、あの人たちは、あなたを愛してくれているあの人たちは」
潮騒。
胸に何か、何かがよぎった気がした。
「あなたをずっと、待っているんですよ」
「あなたにとって、辛いのは現実のほうでしょう」
「何を言っている?」
「でも、あの人たちは、あなたを愛してくれているあの人たちは」
潮騒。
胸に何か、何かがよぎった気がした。
「あなたをずっと、待っているんですよ」
『このツンデレエアームド! ばーかしらね!! フン!』
『だから寄ってくるな、…じりょく? なに、それ?』
『トレーニング済んだら肉食おうぜー肉!』
『 、無理はするなよ』
『ねー さん、あそぼーよー』
『だから寄ってくるな、…じりょく? なに、それ?』
『トレーニング済んだら肉食おうぜー肉!』
『 、無理はするなよ』
『ねー さん、あそぼーよー』
『おいで、 。お前はもう、わたしたちの家族なんだから』
誰かが手を伸ばした。
その手を掴もうと、手を伸ばそうと、した右腕が持ち上がらない。
不信に思い、強引に引き寄せる。
鈍い音が静寂を切り裂いて、鮮血が飛び散り、女も彼も、誰かまでも濡らしていく。
右腕は、肩にむけてざっくりと裂けていた。
「―――ッぅああああああああああああああああああ!!!!」
その手を掴もうと、手を伸ばそうと、した右腕が持ち上がらない。
不信に思い、強引に引き寄せる。
鈍い音が静寂を切り裂いて、鮮血が飛び散り、女も彼も、誰かまでも濡らしていく。
右腕は、肩にむけてざっくりと裂けていた。
「―――ッぅああああああああああああああああああ!!!!」
蘇る。
すべてが無に帰して行く瞬間。
暗い水底へ引きずり込まれ。
意識が白い絹のように細く。
その糸が身体を雁字搦めにして引き裂こうとして。
逆流していく。
赤の帯が海面へ伸びる。
そこは空のように澄んでいる。
≪03≫がいた。
変わり果てた鉄屑の姿で。
手を伸ばそうとした。
体中何処も言うことをきかない。
ぜんぶぜんぶ落ちていく。
それは、
すべてが無に帰して行く瞬間。
暗い水底へ引きずり込まれ。
意識が白い絹のように細く。
その糸が身体を雁字搦めにして引き裂こうとして。
逆流していく。
赤の帯が海面へ伸びる。
そこは空のように澄んでいる。
≪03≫がいた。
変わり果てた鉄屑の姿で。
手を伸ばそうとした。
体中何処も言うことをきかない。
ぜんぶぜんぶ落ちていく。
それは、
「あなたは生きた」
女の声にはっとした。海は消えて、あの場所が戻ってきた。
姿は見えないが、女によく似た月が頭上にかかっている。
「悔やまないでください、生きていることを…」
空は尚遠く。
彼をいざなう様にそこに在る。
インカムからは砂嵐しか聞こえない。
左手でそれを毟り取った。
「………そうだった」
赤い瞳からは、一筋の涙。
「…No/05、03機はもう戻れない……」
女の声にはっとした。海は消えて、あの場所が戻ってきた。
姿は見えないが、女によく似た月が頭上にかかっている。
「悔やまないでください、生きていることを…」
空は尚遠く。
彼をいざなう様にそこに在る。
インカムからは砂嵐しか聞こえない。
左手でそれを毟り取った。
「………そうだった」
赤い瞳からは、一筋の涙。
「…No/05、03機はもう戻れない……」
右手から、赤い雫が滴っていた。
「もう俺は…03は居ない。俺は、ソラだ……」
それは死だ。あの時確かに03は死んだ。
代わりに、生きた身体に与えられた名があった。
「もう俺は…03は居ない。俺は、ソラだ……」
それは死だ。あの時確かに03は死んだ。
代わりに、生きた身体に与えられた名があった。
『おいで、ソラ。お前はもう、わたしたちの家族なんだから』
その手を確かに、左手で受け取った。
その手を確かに、左手で受け取った。
*
震える左手で拳銃を引っ張り出してきた。
もしこれが夢だとすれば。いや、夢だと確信している。
目覚めるための方法。
ひとつだけ、よく知っている方法があった。
変な夢でも見たときには、これが一番よく効く。
もしこれが夢だとすれば。いや、夢だと確信している。
目覚めるための方法。
ひとつだけ、よく知っている方法があった。
変な夢でも見たときには、これが一番よく効く。
銃口をこめかみに押し当てる。
引き金に指を添える。
安全装置を外す。
引き金に指を添える。
安全装置を外す。
…でも、撃てない。
深呼吸をしてもういちど挑戦してみた。
けれど、やっぱり撃てなかった。指先が震えて仕方がない。
もしかしなくても、怖い。夢だとわかっているのに、死が怖ろしい。
けれど、やっぱり撃てなかった。指先が震えて仕方がない。
もしかしなくても、怖い。夢だとわかっているのに、死が怖ろしい。
「…この夢は」
まともでない、そんな気がした。
まともでない夢からまともな醒め方をしようとしても、できないのではないか。
銃をしまった。どうしようもない。≪03≫はもう無い。
…現実なら。
まともでない、そんな気がした。
まともでない夢からまともな醒め方をしようとしても、できないのではないか。
銃をしまった。どうしようもない。≪03≫はもう無い。
…現実なら。
夢は普通、意思とは関係なく展開されていく。
しかし。ごくまれに、思い通りにできる夢、がある。
これが、その夢なら。思い込みさえすれば。
≪03≫は在ると思えば。
しかし。ごくまれに、思い通りにできる夢、がある。
これが、その夢なら。思い込みさえすれば。
≪03≫は在ると思えば。
ゆっくり目を閉じて、そうっと開いてみた。
そこには傷一つないメタルの翼、≪03≫が鎮座している。
「…03、」
≪No/03、どうかされたのですか?≫
滑らかな口調は全く変わらない、『記憶の中の』03そのもの。
「眠りを妨げてすまない…俺はもう飛行士でもないし、お前はもう亡い、けれど」
≪………≫
「俺に力を貸してくれ」
03は暫く思考する様に黙り込んでいた。
≪…私のトップオーダーはいかに巧妙に敵を殲滅するか、です。
No/03はその実現に不可欠な私の搭乗者です。
私はNo/03の言葉に従う義務があります。≫
抑揚のない声で平坦に滑らかに、陽子力頭脳は言葉を紡いだ。
ソラは≪03≫の翼にやさしく触れた。そして、慈しむように目を閉じた。
そこには傷一つないメタルの翼、≪03≫が鎮座している。
「…03、」
≪No/03、どうかされたのですか?≫
滑らかな口調は全く変わらない、『記憶の中の』03そのもの。
「眠りを妨げてすまない…俺はもう飛行士でもないし、お前はもう亡い、けれど」
≪………≫
「俺に力を貸してくれ」
03は暫く思考する様に黙り込んでいた。
≪…私のトップオーダーはいかに巧妙に敵を殲滅するか、です。
No/03はその実現に不可欠な私の搭乗者です。
私はNo/03の言葉に従う義務があります。≫
抑揚のない声で平坦に滑らかに、陽子力頭脳は言葉を紡いだ。
ソラは≪03≫の翼にやさしく触れた。そして、慈しむように目を閉じた。
鉄は大きな窓からぼんやりと空を眺めていた。
そろそろ昼食を作る時間だが、まだ飛行機が飛んでこないのだ。
いつもならもっと早く、2時間以上前に、定刻通りきっちり飛んでくるのに。
「…何かあったかなあ、まいすうぃーと……」
しゅんと落ち込む音がした。
「…今日は私が作りましょうか?」
「そんな! 冥にそんな無茶させらんね!」
がばっと起き上がって気丈に台所を睨んだものの、すぐにその視線が垂れ下がった。
名残惜しげに窓を見る。けれど、空はうんともすんとも言わない。
「何事もなきゃあいいんだけどなー…」
エプロン代わりにしている布切れをまとって、彼が窓を離れた時。
か細い声が、彼を呼んだ。
「んー、どったの紅」
「…飛行機が」
「ひこうき!!!」
鉄は飛行機さながらの速度で窓へと舞い戻り、張り付くようにして空を見た。
「何処!」
「…右のほうの、」
「おや、ほんとですね…」
「だぁりん無事だったのかー!! よかったよかったぁぁぁ!!」
きゃっきゃとはしゃぐ鉄、なにやら喜ばしげな冥と紅。
飴はじいっとその飛行機を見つめて。
「…こっちに来るんじゃ…あれ」
その言葉通り、飛行機は次第に高度を下げて、こちらへ向かっているようだ。
そして家から僅かに離れた場所へ、羽根でも落ちるように静かに舞い降りる。
鉄は窓を開け放つと、銀と赤の飛行機めがけて一目散に駆け出した。
そろそろ昼食を作る時間だが、まだ飛行機が飛んでこないのだ。
いつもならもっと早く、2時間以上前に、定刻通りきっちり飛んでくるのに。
「…何かあったかなあ、まいすうぃーと……」
しゅんと落ち込む音がした。
「…今日は私が作りましょうか?」
「そんな! 冥にそんな無茶させらんね!」
がばっと起き上がって気丈に台所を睨んだものの、すぐにその視線が垂れ下がった。
名残惜しげに窓を見る。けれど、空はうんともすんとも言わない。
「何事もなきゃあいいんだけどなー…」
エプロン代わりにしている布切れをまとって、彼が窓を離れた時。
か細い声が、彼を呼んだ。
「んー、どったの紅」
「…飛行機が」
「ひこうき!!!」
鉄は飛行機さながらの速度で窓へと舞い戻り、張り付くようにして空を見た。
「何処!」
「…右のほうの、」
「おや、ほんとですね…」
「だぁりん無事だったのかー!! よかったよかったぁぁぁ!!」
きゃっきゃとはしゃぐ鉄、なにやら喜ばしげな冥と紅。
飴はじいっとその飛行機を見つめて。
「…こっちに来るんじゃ…あれ」
その言葉通り、飛行機は次第に高度を下げて、こちらへ向かっているようだ。
そして家から僅かに離れた場所へ、羽根でも落ちるように静かに舞い降りる。
鉄は窓を開け放つと、銀と赤の飛行機めがけて一目散に駆け出した。
≪着陸、成功しました≫
「了解」
夢だからひょっとしたら操作なんてしなくても飛ぶんじゃなかろうかと思った。
しかし、身体に染み付いた慣れた動作だ。やめようとしても勝手に手が動く。
丁寧に機体を停止させて、ソラは≪03≫を降りた。
「…たしか…ここだ」
夢と気付かずに飛び回っていた頃に、なんどか見覚えがある。
平原にぽつんと建った、ちいさな一軒家だ。
そこから人がやってくるのが見えた。
猛ダッシュでやって来た男(多少美化されている気がする)は、よく知った顔だ。
少し遅れてのんびり着いてきた包帯男は知らない。
「クロ!」
そう呼びかけて返事をしたのは、何故か包帯男のほうだった。
「はい?」
「ちょう、冥いつのまに俺のだぁりんと!!」
「いえ、知りませんって、初めてお会いしました!」
ソラはもう一度、『彼に』呼びかける。
「……クロだろう? トウガンのボスゴドラの」
「トウガン? なに? だれ? だぁりんどったの?」
「俺たちのパートナーだ! どうしたのはお前の方だ! つかだぁりんって誰だ!!」
肩を掴んでゆすぶっても、わけがわからない顔をしている。
包帯男が、二人のやり取りを遮った。
「あの…ちょっとかまいませんか」
「…俺か?」
そして包帯男は彼にすこし席を外すように言った。
何故かまた彼はぶーたれたが、強引に追い出されてしまう。
「了解」
夢だからひょっとしたら操作なんてしなくても飛ぶんじゃなかろうかと思った。
しかし、身体に染み付いた慣れた動作だ。やめようとしても勝手に手が動く。
丁寧に機体を停止させて、ソラは≪03≫を降りた。
「…たしか…ここだ」
夢と気付かずに飛び回っていた頃に、なんどか見覚えがある。
平原にぽつんと建った、ちいさな一軒家だ。
そこから人がやってくるのが見えた。
猛ダッシュでやって来た男(多少美化されている気がする)は、よく知った顔だ。
少し遅れてのんびり着いてきた包帯男は知らない。
「クロ!」
そう呼びかけて返事をしたのは、何故か包帯男のほうだった。
「はい?」
「ちょう、冥いつのまに俺のだぁりんと!!」
「いえ、知りませんって、初めてお会いしました!」
ソラはもう一度、『彼に』呼びかける。
「……クロだろう? トウガンのボスゴドラの」
「トウガン? なに? だれ? だぁりんどったの?」
「俺たちのパートナーだ! どうしたのはお前の方だ! つかだぁりんって誰だ!!」
肩を掴んでゆすぶっても、わけがわからない顔をしている。
包帯男が、二人のやり取りを遮った。
「あの…ちょっとかまいませんか」
「…俺か?」
そして包帯男は彼にすこし席を外すように言った。
何故かまた彼はぶーたれたが、強引に追い出されてしまう。
「…この世界は」
「…夢だ、そうだろう?」
包帯男は安堵したように、そして寂しそうにため息をついた。
「彼は…まだこの世界が夢であることを知りません。この世界での名は、鉄、といいます」
「俺にも別の名があった」
No/03、そして、ソラ。
「私はこの世界では冥と名乗っています。彼は…本当の名をクロと言うのですね」
ソラは頷いた。彼は確かにクロに違いない(美化されているが)。
しかし、ここでの名前が鉄である以上、そう呼ばなければ答えないだろう。
ソラはすこし離れてつまらなそうにしている彼に呼びかけた。
「鉄」
「んっ、なぁにーだぁりん」
「…それ、やめろ、きもちわるい」
実際そう呼ばれる度にぞわっと何かが背中に走るのだから仕方がない。
「だってだぁりんはだぁりんだし! だぁりん何か変だし!!」
「煩いやめろバカゴドラ」
「ばっ…何! ナンなの今日は!! ご機嫌ななめの日!?」
ソラは頭を抱えた。
まさか…まさかとは思うが。
この夢の中では、このアホゴドラと自分が何をまかりまちがったか恋人同士らしい。
ツンデレているわけではなく、真剣に寒気がした。
そして、ふと思いつく。
…よもや死ねなかったのは。
「だぁりんがドSだようおぅおぅぉぅぉぅ」
「…夢だ、そうだろう?」
包帯男は安堵したように、そして寂しそうにため息をついた。
「彼は…まだこの世界が夢であることを知りません。この世界での名は、鉄、といいます」
「俺にも別の名があった」
No/03、そして、ソラ。
「私はこの世界では冥と名乗っています。彼は…本当の名をクロと言うのですね」
ソラは頷いた。彼は確かにクロに違いない(美化されているが)。
しかし、ここでの名前が鉄である以上、そう呼ばなければ答えないだろう。
ソラはすこし離れてつまらなそうにしている彼に呼びかけた。
「鉄」
「んっ、なぁにーだぁりん」
「…それ、やめろ、きもちわるい」
実際そう呼ばれる度にぞわっと何かが背中に走るのだから仕方がない。
「だってだぁりんはだぁりんだし! だぁりん何か変だし!!」
「煩いやめろバカゴドラ」
「ばっ…何! ナンなの今日は!! ご機嫌ななめの日!?」
ソラは頭を抱えた。
まさか…まさかとは思うが。
この夢の中では、このアホゴドラと自分が何をまかりまちがったか恋人同士らしい。
ツンデレているわけではなく、真剣に寒気がした。
そして、ふと思いつく。
…よもや死ねなかったのは。
「だぁりんがドSだようおぅおぅぉぅぉぅ」
そんなはずが…あってたまるか!!!