指の隙間から零れてゆく 泡
緩やかに沈んでゆく身体では 届かない所へ 飛んでゆく
うっすらと開いた瞳を、また、ゆっくりと閉じて、呟く。
「姉、さん。」
泡が弾ける音と共に プツン、と意識が途切れた。
***
「・・・ハァ。」
なんなのだろう、この世界は。
目に映るのは、紅い闇。
肌が感じるのは、生暖かい空気。
いつから世界は、こうなっていたのだろう。
というか足に刺さったガラスの破片が痛い。
「・・・アァ。」
望んだ景色は、こんなんじゃなかった。
―――――ならば、誰かが、変える?
否。 自らの手で、切り開く。
***
「レイ」
女が、呟く。
「レイ。」
蒼い髪が、さらりと音を立てて、彼女の肩から流れ落ちる。
キミは、何処に居るの?
女が、呟く。
ねぇ、僕はキミの為に綺麗になったよ。
美しい蒼い髪にサファイヤの瞳。
細い足とか腰とか豊満な胸とかその他もろもろ。
全部、全部、キミの為。
だから、早く、キミに見せたいんだ。
キミに相応しくなった、僕を。
他の誰かに、魅せる前に。
ねぇ、キミは何処に居るの?
***
「・・・ッ」
頭が、痛い。
手に持っていた生ぬるい水を仰ぐと、些かマシになったような気がする。
ここ数日、ずっとそんな感じだ。
気が付けば見慣れない景色に囲まれ、
仕方無しに眠るように死んでいる(風に見える)世界を歩きまわされてる。
何か心当たりを思い出そうとする度に来る激痛が、水を飲むことで
些かマシになる事に気付くと共に民家(だったようなモノ)に落ち着かなければ、
いい加減生きることを放棄していたかもしれない。
要するに、そうさせるだけの不安がこの世界にはあるのだ。
「・・・何が、あったんだか。」
呟き、コップの底に残った水滴を飲み干す。
溜息一つ、ついた後に ゆっくりと、目蓋を閉じた。
――願うなら、早くこの悪夢が醒めますように。
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