何も出来なかった僕の事を、必要としてくれた人が居た。
僕はその人に恋をした。
夏の木漏れ日のような眩しい金の髪。
紅の混じった、けれど美しい黒の瞳。
少しマイペースだけれども、とても勇敢で、とても優しい性格。
そして胸に秘めた、とても大切な願い。
その願いは、とても残酷な運命を引き起こした。
僕の愛したその人は、ある事件でとおいばしょへといってしまった。
何も出来なかった。
僕は、何も出来なかった。
彼を止める事も、彼を救う事も、彼と共に居る事も、彼と共にいく事も。
僕は何も出来なかった。
彼を愛する事さえ、認められないことだった。
それでも僕は、彼の事が好きだった。
そして、僕から彼を奪ったあの緑の事が赦せなかった。
彼が還ってきてからは、平穏な日々が続いていた。
そんなある日、僕は不思議なゆめを見た。
ゆめの中で、僕の姿は変わっていた。
長かった蒼の髪は、さらに長く、美しくなっていた。
肌は、白く。腕や腰は、細く。足も美しくなっている。
服装が変わっていたのも気にはなったが、一番は、体形。
白魚の指に触れるは、柔らかく豊満な感触。
白い頬が、紅潮する。
(僕・・・女の子になってる。)
周りを見渡せば、まるで、そう、未来世界のような廃墟。
少し濁った、小さな水溜りを覗き込めば、空の紅と、僕の瞳の蒼が映った。
他から見れば、きっと完璧な女の子だ。
僕の胸が、期待に高揚する。
これなら、叶うかもしれない。
願わくば、この身を彼のものに。
「今逢いに行くよ、レイ。」
Superred snapdragon = リナリア(私の恋を知ってください)