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いちごてりあ

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miduku

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いちごまちちゅう、かふぇてりあ



澪は、敵を一掃したと確信を持っていた。人の少ない路地裏、足元に転がるのは焼け焦げたもの達。彼女はブーツの音を鳴らして一歩踏み出す。
澪は気付かなかったが、牢は異なった角度から彼女を見ていた牢はいち早く動いた。

とっさに彼女の手を掴み自分の後ろまで引っ張ると、残っていた残党の攻撃を鉄パイプで受け止める。
煤に汚れた、手で。


*


「本ッ当意味分かんない、あんな猿みたいな男を私が殺せないとでも思ったの?」
「…ごめん」
「うっさい、喋らないで」
「……」

澪はつかつかと前を行く。その後ろを牢は少し早歩きでついていっていた。乱暴な足取りは、顔が見えなくとも明らかに苛ついていると分かる。分かりたくなくとも分かるほどに明確な苛立ち。対しての牢は、いつもと変わらない無表情。反省しているのか反抗心を抱いているのかそれすら、判別できない。

澪はまだ先を行く。いつもそこで眠る小さな家まではまだ少しだけ距離がある。

「…何なのよ、本当に」
「……澪、」
「うるさいって言ってるでしょ!」

大声は空気を素早く伝う。澪が後ろを振り替えったのと同時に、牢の黒い髪を<ひのこ>が掠めた。

「…アンタは黙って、私の言うこと聞いてれば良いのよ。余計なことしないで」
「…」

牢はこくりと頷く。…一方うるさいと言った当の澪は、大きくため息をついた。
というのも何が澪を苛立たせてるかと言えば、この正直すぎる牢の忠誠心があった。うるさいと言えば黙るし、殺せと言えば殺す。そしてきっと、

「…死ねと言ったら、死ぬのね」

牢はまた頷く。その行為に迷う様子は全くなかった。
澪と牢はしばらく向かい合って立っていたが、やがて澪は再び深いため息をついた。再び進行方向に向き直り、先程よりはゆっくりと歩き始める。
そして牢に届くか届かないか、その位の音量で一言呟いた。

「…つまんない」


澪の赤い瞳は酷く暗く陰る。
牢に捕まれ汚れた箇所に反対の手を添えて、澪はゆっくり歩を進めた。





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