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TRULY TRULY

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nightmareofmio

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トゥルリ、トゥルリ



やわらかいにおいがした。
くすぐるようにあたまをなでるゆび。あったかいわらいごえ。おれはうれしくなった。
いつまでも、めがさめなきゃいいのに。






軽塵を巻き上げて倒れ伏す相手。背中から響く暖かい称賛、勝者を讃える歓声。
俺を待っている暖かい腕。挙げられた拳をぶつけ合う。
「おれ、もっとつよくなりたい。だれにもまけないくらい。きっとおまえとなら、できるはずだ!」
お前は笑ってた。
でも、俺の慢心を見透かす眼光は笑わない。お前は俺の手に、機械の箱を押し付ける。小さな「64」の刻印。
「使え。いつか渡そうと思ってたところだ。最近知り合いに譲ってもらってな」
俺は喜んで、すぐに中の円盤を取り出した。お前は俺をずっと見ていたけど、やがて俺の手をとった。
たくましいゆび。あたたかい。
「いいか、コウ。そいつは切り札だ。むやみやたらにひけらかすモンじゃない。
 そして、できる限り使ってはダメだ」
俺には、その時のお前が言いたかったことが、今やっと伝わってる。お前は俺の目をまっすぐ睨んだ。
「自分の身を犠牲にしてまで勝っても、何もカッコよくはないさ。確かにその精神は立派ではあるがな、」
ゆびは、やさしく俺を撫でる。笑う唇。擬音は、にやり。
「本当に強くてカッコいいヤツは、仲間はもちろん、自分も、敵だって守り通すんだ」




ゆびを、のばす。

からだじゅうがいたい。おれはなにを、していたんだっけ。
なあ、いたいよ。
のばしたゆびが、なにかにふれた。

なあ。
おれは、まちがってた、のかな。

「ううん。」
だきしめるては、おまえみたいにあったかい。

「コウちゃんは、まちがってなかったよ。」
仲間はもちろん、自分も、敵だって守り通す。
「あのままつづけてたら、むこうもこっちも、ただではすまなかったですから」
くすぐるように揺れる金髪。枯れ草のようなうつくしい色。
鏡。俺の大切な仲間。応えるように見上げる。
「…でも」
鏡の唇は、微笑んだまま。つう、と赤が、筋を引く。

「いたいよ、コウちゃん」
白い装束が、ぱちんとはじけるように深紅に染まる。鏡の痩躯は音ひとつ立てないで崩れ落ちた。
巨龍の絶叫が、空を裂いて赤い空に響き渡った。



「俺は…強くなりたい。強いヤツになりたい」
人の姿を捨ててまで。
己の身体を引き千切ってまで。
強く、強く、ただ強くありたいと、そればかり願って。
「…いいだろう。『強くなりたい』か。実に立派な志だ」
「強くなれるのか? 俺は」
「願いなさい。求めるものに、私は与えることを拒まない」
誰かを思う言葉を失った。誰かを抱きしめるための腕を捨てた。誰かの危機に駆けつけるための脚もない。
ゆっくりと停止していく思考の中で、お前の言葉は擦り切れ風化する。
…ちがう。俺は、こんなふうになりたかったんじゃない。





「コウちゃん」
鋼の揺り篭の奥底に響く呼び声。光の射すほうから、囁くように。
ああ、そこにいたのか。"みがわり"でも使ったのか? 悪戯好きの"ドーミラー"。
そっと触れてくる指の温かさに目を閉じる。もう、驚かせないでくれよ。
「コウちゃん、」
俺はそっと、目を開けた。そこに見えるはずの世界を思いながら。

「コウちゃ、ん」
やめろ! 咄嗟に目を閉じたのに、噴き出した真紅は俺を直撃した。
ちがう。ちがうんだ、俺の欲しかったのはこんなものじゃないのに。
きっと俺は、何か悪い夢でも見ているんだろう。
落ち着いてもう一度、ゆっくりゆっくり目を開けた。

「…どうしたの、コウちゃん」
瓦礫を背景に、笑顔で呼びかける鏡がいる。
これは夢だろうか、それとも現実だろうか、どれが夢で本物で、幻で真実で。



俺は、瓦礫の山の中で途方に暮れた。





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