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Freesia-violet

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kyomu

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昼間。僕の時間。

不穏な赤い空を見上げて、思い出したことがある。

これは、僕の話す、僕じゃない僕の話。





その世界には、色が無かった。

黒、黒、黒。全てを、闇が包んでいた。

有るのは、唯個の色だけ。

色の無い黒色の世界で、ぽつり、一つだけ、そこにそれは居た。



そこに居た"紫"は、一人だけど、独りじゃなかった。

自分が、居た。自分と、自分と、自分と、自分が、居た。

でもそれは自分だから、紫はやっぱり一人だった。

自分は、語った。「この世界は、緑に満ち溢れていた。」

自分は、語った。「この世界は、色に満ち溢れていた。」

自分は、語った。「この世界は、人に満ち溢れていた。」

自分は、語った。「この世界は、生に満ち溢れていた。」

蓄積された自分の中の時間。過去が、過去を物語る。

自分は、呟いた。「この世界には、何もないじゃないか。」

最果ての記憶が叫ぶ。遠い記憶が嘆く。中程の記憶が語る。近しい記憶が囁いた。

隣りの記憶が、呟く。

「僕の所為じゃ、ないのに。」

嗚呼、嗚呼。

僕の所為では、ないと言うのに。

この世界の緑など、生えない、生えない、生えない。

この世界の色など、見えない。見えない。見えない。

この世界の人など、生きない、生きない、生きない。

この世界の生など、感じない。感じない。感じない。

近しい記憶が鏡を覗く。緑色の、美しい瞳。

隣りの記憶が、泣いた。

否、泣ける訳がない。その瞳は、空虚。

「僕の所為じゃ、ないのに。」

緑なんて無い、色なんて見えない。

人なんて居ない、生なんて生きていない。

黒の暗黒世界で、只、絶対なる支配者に支配されるだけの操り人形。

黒の狂気に操られ、只、自らの住処を侵すモノを無差別に襲うだけの快楽人形。

黒色に怯え、狂気に怯え、他人に怯え、自分に怯える、惑い人形。

そう、いつしか、自分の声にまで、怯えるようになって。

「一人で在りたい」「独りは嫌だ」「一人で生きたい」「独りじゃ生けない」

自分の声が、自分の声が、自分の声が、自分、の、声、が、声が声が声が

「君の望みは、なんだね?」

声が、聞こえた。



僕の話す、僕じゃない僕のお話。

夜の彼は、今、はしゃぎ疲れて眠ってる。

僕の、所為じゃ、ないのに。

僕の、所為で、彼は、壊れ、た。

僕が。僕が。僕が悪い。僕が、悪いんだ。

僕が。僕が狂気に。狂気に操られなければ。


「力が、欲しい。」



紫の髪が、黒い風に翻る。

108番目の為の、力が。


「僕が、彼に成る、力を。」
『我が、我で在る、力を。』


Freesia(紫) = フリージア(花言葉:あこがれ)

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