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Freesia-red

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kyomu

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――夢を、見たんだ。

幼い我の、夢を。



我が気づいた時には、世界は黒だった。

光なんて無い世界。

隣の、隣の記憶が呟いた。

「この世界は闇に閉ざされた」と。

隣の記憶は、我に何も言わなかった。

ただ一言、誰に言うのでもなく「ごめんなさい」とだけ呟いた。



――幼き日の我は、光に憧れていた。



何時だったろう。気がついたのは。

遠い記憶が語るものは、我にはわからなかった。

隣の隣の記憶が呟くものは、我には見えなかった。

我と、隣の記憶だけだった。わからなかったのは。見えなかったのは。



気がついたのは何時だったろうか。

百と七に支えられた我が、緑の青年のなかにはいった時だった。

黄色の少年が見えた。 蒼の少年が見えた。

自分の姿が、見えた。



紫の長い髪。周りに居る百と七。

病的に白い肌。長い暗色の紫の衣服。



目に巻かれた、黒の布。



嗚呼、我には光が届かないのだと。



隣の記憶が、「ごめんなさい」と呟いた。










黒に閉ざされた空間の中で、紅に染まった自分の手を見た。

もうすぐ日が昇る。空が朱に染まる。

我の時間が、終わる。

後はまた、世界が夜に更けるまで、我は眠りにつくだけだ。



「――つまらんナ。」



嗚呼、この体は我のものだと言うのに。

一日の半分を隣の記憶に譲らないといけないなんて、非常に面白くない。

まるで玩具を横取りされたようだ。楽しいものを、取り上げられた気分。


「不満かい?」


不意に後ろから聞こえた声。

嗚呼、この声は確か。


「不満だナ。我は欲張りなんダ。」


この世界の"神"と名乗る漆黒。

我はこいつの事は知らない。唯、好める人種ではないことだけは確か。


「今の願いでは、足りないと。」

「あぁ、足りナイ。」

「そうか。君が望むなら、私は手を伸べよう。」


漆黒の口が三日月に釣り上がる。





空が、明けた。





「君が望むなら、私は願いを叶えよう。」



世界が、朱に染まる。



「足りない」

『もっと』

「『強くなりたい』」



「それが、君の、願いなんだね?」



「――君達の。」



漆黒の三日月が微笑む。

新緑の瞳と、深緑の瞳が交差する。



「待っ・・・待て、我は、そんな事はっ・・・!」

「すまないが、彼が望んでいるんだ。」

「僕が、望んだんだ。」



長い紫髪が、風になびく。



「白ッ・・・!我はお前を認めて居ナイ!!」


「知ってる。僕は、君に認められてないんだ。」

「だから、僕は。」

「君に認められる存在になってやる。」


「強く。強く。」

「君が僕を欲するまで。」



新緑の瞳が、我を見据える。

――本気だ。

一歩。また一歩。近づいてくる。


「・・・シャドー、ボール・・・ッ!?」

「無駄だよ。」


気を発しても、新緑に届く前に霧散する。


「僕は君。君は僕。僕達は、繋がっているんだ。」


細い指が、我に触れた。

その手を、叩き落とす。

白い肌が赤くなった。・・・我の手に、鈍い痛みが走る。


「"いたみわけ"に"ふういん"。それに、"じこあんじ"。僕達にはこれが常にかかってる。」

「それが、貴様の願イか?」

「そう、僕がカミサマにお願いしたんだ。君に認めてもらう前に殺されちゃ叶わないからね。」

「何故。何故そこまでスル。貴様こそ"ダークライ"を憎んでいるのダロウ?」

「確かに僕はダークライは嫌いだ。・・・でも、カミサマは僕のお願いを叶えてくれる。
 僕から奪うんじゃない。僕に与えてくれるんだ。」


新緑の目が三日月に歪む。


「クッ・・・」


深緑が、逃げ出す。


「黒ッ!僕は君に欲される存在になってやる!」


遠くから、自分と同じ声が聞こえた。


Freesia(赤) = フリージア(花言葉:純潔)

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