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nightmareofmio

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alive? relive!



脚が、思うように動かない。
"でんじふゆう"で持たせてはいるが、銃で撃ち抜かれた傷はまだ塞がっておらず、巻き付けられた包帯はぐずぐずに染まっていた。
重い脚を一歩踏み出すごとに、星は顔をしかめた。
何歩か歩いては休み、歩いては休み、ゆっくりと進んでいく。

こんなところで立ち止まっている場合ではないのだ。
星を撃ち抜いたソラは、風の攻撃を受けて何故か冬に――星が守るべき者に変わった。
理由はわからない。けれど、彼の身に何かあったことには違いないだろう。
ゆっくりしていられない。未だ右腕の火傷も癒えてはいないが、満身創痍でも進まなくては。
ところが踏み出した脚はがくりと地面に落ちた。技の効果が切れたらしい。
思いと裏腹に、体は動かなかった。いやに体が熱いのは、熱が出ているのだろうか。

「こんなところで…。」

ああ、でも身体中が痛くてうまく動かない。
冷たい地面に接吻て、星はゆっくり目を閉じようとした。




「終わるのか?」

誰かが呼んだ。

うっすら開けた目に、黒が広がる。先の尖った革靴と、豪奢な金をあしらった衣装。
気高ささえ感じさせる透き通る声。けれど星には返事をする気力すら、ない。

「終わってもこの世界からは逃れられない。永久に縛られて、朽ち果てることもない。目覚めても悪夢は終わらない。」

唯一自由の利く左腕を伸ばす。その手を強く握られた。

「目を閉じるな。夢を見続けるんだ。逃亡即ち君の敗北。もしも君が本当に、彼を助けたければ、尚更ね。」

星は必死でもがいた。崩れそうな身体をたたき起こす。
喉の奥から叫びがほとばしった。不意に体が軽くなる。
一瞬で傷が、消えていた。

起き上がると既に、声の主はそこにいなかった。でも、星にはわかっている。
暗闇に問い掛ける。

「…星は、何をすればいい?」
「探せ。"彼"はまだここにいる。見つけるんだ。そうしたら、返してあげる。」
「了解、星に任せろ。ただし…」

「この熱烈な歓迎をどうにかしてから、だな…。」

星は煩わしそうに金髪を振った。目の前には、影から這い出したような真っ黒の人の群れ。


その中心で、ほんのりと光る枯れ草の髪がたなびいた。





"10まんボルト"が網目のように広がる。電撃に絡めとられた影は悲鳴のような声を立てた。

「次から次へとッ…!!」

星の苛立ちに呼応するかのように、さらに雷撃は激しくなった。
地面を断ち割りながら"ほうでん"し、影を退ける。

「いい、加減に…、しろ!」

光の砲弾が弾けた。敵陣の中央に撃ち込まれた"ラスターカノン"。
影を消し去るほどのまばゆさで以て、それを退ける。
息を整え、そこにいた誰かの名前を呼ぼうとした。
けれどその言葉が捩曲がる。喉から出たのは、全く違う名前だった。

「――"鏡"!」

鏡のちいさな体は、力無く垂れ下がっていた。
今や瓦礫と化した教会の、もともとは屋根の頂上に建っていた十字架。そこに、吊されて。
鎖ががっちりと、腕と脚に絡み付いている。一筋縄ではいかなさそうだ。

「くっ…」

非力な腕ではどうしようもない、がちゃがちゃと鳴るだけの鎖と楔。
やがて、鏡がゆっくりと目を開けた。

「…だれ、ですか。」
「星。助けなきゃならない人が居る。そのためにはお前をどうにかしなきゃならないみたいなんだ。」
「やめて…鏡はもうおわるんです…。」

あどけない、幼い顔に湛えられた絶望。

「鏡は、しんだ。鏡のゆめは、もうおわったんです…。」

ざぁっ。厭な風が吹いた。星の背後に、影が集まりだす。
振り返った星に、"サイコショック"が襲い掛かった。
慌てて"ひかりのかべ"を張るが、そのバリアをすり抜けて、嘲笑うように弾丸は飛来した。
星は教会の瓦礫に叩きつけられる。鏡の頬に、少し色が戻る。

「鏡を、ほろぼしにきたんですね。」

影から立ち上がったそれは、にいやりと唇を釣り上げた。
腕で真っ直ぐ、鏡を指す。その先に光が灯った。"ラスターカノン"が収縮する。

光の砲撃は、"ミラーコート"に弾き返された。

「この星に不意打ちとは卑怯だな…! …鏡! どういうことだ説明しろ!」
「どうも、こうも。あれが"鏡"ですよ。鏡をほろぼして、"鏡"が鏡になるのですよ。」



鏡は吊るされたまま、笑った。


「鏡がはたせなかったゆめを、"鏡"がはたそうとしているんですよ。」



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