やーだ。
「…くーろ。」
何度目の呼びかけなのやら。
鉄は弱りきった笑顔で自分の肩口に呼びかける。そこにもたれる冥は、微動だにしなかった。
「なーんですか?」
「いやそれこっちの台詞。なーにしてるのさ。」
「もたれてますー。」
「…十分もたれたでしょうがよう。」
ちらっと鉄が壁掛け時計に目を走らせた。時刻は18時ちょっと過ぎ。とっくに放課後で帰宅推奨時間だ。
「何か帰らなきゃいけない用事でもー?」
何度目かの冥の質問。少しだけ位置をずらし、首元に唇を埋めた。鉄のにおいだなぁ、なんて思ったり。
鉄はくすぐったそうに目を細めたが、甘えてるとしか思ってないのだろう。律義に質問に答えた。
「用事…は別にないんだけどなー…。」
後ろ髪を引かれるのはもうすぐ終わるタイムセール、そこで買いたかった食材、そして明日に備えて下準備したい弁当、等そんなところ。
しかしどれも冥を振り切る程の用事じゃない気がして、どうにも振り切れない。
「………。」
冥はにぃっと小さく笑い、唇だけを無音で動かした。"オヒトヨシ"。
「うにゃ…冥、俺くすぐったいってばもう。」
「知ってます。くすぐったがりですよね。」
「ひどいっ、冥ってば知ってて意地悪するなんてっ!」
「えぇ。」
体温を思う存分独占しながらしたたかに、にこり。
放課後は空のために使いたいことも。
でも断れる程の用事がないことも。
鉄は重度のお人よしであることも。
冥に甘くて多少のわがままならきいちゃうことも。
「知ってます。」
何度目の呼びかけなのやら。
鉄は弱りきった笑顔で自分の肩口に呼びかける。そこにもたれる冥は、微動だにしなかった。
「なーんですか?」
「いやそれこっちの台詞。なーにしてるのさ。」
「もたれてますー。」
「…十分もたれたでしょうがよう。」
ちらっと鉄が壁掛け時計に目を走らせた。時刻は18時ちょっと過ぎ。とっくに放課後で帰宅推奨時間だ。
「何か帰らなきゃいけない用事でもー?」
何度目かの冥の質問。少しだけ位置をずらし、首元に唇を埋めた。鉄のにおいだなぁ、なんて思ったり。
鉄はくすぐったそうに目を細めたが、甘えてるとしか思ってないのだろう。律義に質問に答えた。
「用事…は別にないんだけどなー…。」
後ろ髪を引かれるのはもうすぐ終わるタイムセール、そこで買いたかった食材、そして明日に備えて下準備したい弁当、等そんなところ。
しかしどれも冥を振り切る程の用事じゃない気がして、どうにも振り切れない。
「………。」
冥はにぃっと小さく笑い、唇だけを無音で動かした。"オヒトヨシ"。
「うにゃ…冥、俺くすぐったいってばもう。」
「知ってます。くすぐったがりですよね。」
「ひどいっ、冥ってば知ってて意地悪するなんてっ!」
「えぇ。」
体温を思う存分独占しながらしたたかに、にこり。
放課後は空のために使いたいことも。
でも断れる程の用事がないことも。
鉄は重度のお人よしであることも。
冥に甘くて多少のわがままならきいちゃうことも。
「知ってます。」
「…くーろぉ…;;」
残り15分のタイムセール。ついに鉄が音をあげはじめた。
残り15分のタイムセール。ついに鉄が音をあげはじめた。
やーだ。
(恋は、策略勝負。)
fin.