重力作戦
先陣を切ったのはアノニマスの『メガトンキック』だった。
焔に避ける術などない。ふっとぶ焔を見やったアノニマスはダメージゼロだ。
「けたたっ、遅い遅ぉいよッv」
焔は受け身を取ったが重力の重さで膝をつく。すぐにおいついたアノニマスは殴る蹴るの猛攻を仕掛けた。愕然と遅くなった焔に対し、アノニマスのスピードはめざましく速い。
仕上げに『ダストシュート』。投げつけた実験廃棄物は外れることなく焔に当たる。
焔の頭がぐらりと揺らぐのが見えた。…毒の手応え、アリ。
「こんなものぉ?遊びがいなくってツマンナイよぉ?」
「ッぐが…殺…ス…ッ!」
その間も焔は『きりさく』を連発し、翼も炎もアノニマスを襲う。けれどアノニマスは少し首を振る程度で全てかわした。
「やる気ナイなら…オワリにしちゃうー?」
ふいにアノニマスは背をかがめ、がらあきの腹を前ににたりと笑った。
次の瞬間、とてつもない衝撃に焔が目を見開く。
『ギガインパクト』。
血を吐きながら焔は転がり、対するアノニマスもふらついた。
「…はれ?動けなぁい。」
「当然です馬鹿、腕よこしなさいッ!」
その横を冥が駆け抜けた。冥もアノニマス程ではないが、それに準ずるスピードになっている。
りょーかいと笑ってアノニマスは両腕を溶かす。紫のジェルは冥へと飛び、浮遊型の義手へと変化した。
その腕で冥は焔を殴った。一発目はかわされたが、二発目で当たる。
期待するのは補助効果。計画通り『ばくれつパンチ』の効果は出た。混乱した焔は、焦点の合わない目でふらついた。
(アノニマスも暴れてくれたし、少しはダメージ受けただろう…か。)
毒+混乱+重力の焔を前に、つい油断して戦術を考え込んでしまった冥。
気づくと火を纏った爪がその眼前まできていた。
「冥ッ!」
焔の横から鉄が『もろはのずつき』。焔が吹っ飛んだので逆に鉄が驚いた。身体の軽さにも今頃気づいたようだ。
「…うっそ、俺様強い?でも痛いっ死んじゃうっ!」
「じゃあ『じしん』で援護お願いします。…このまま攻めますよ!」
冥は焔へ走り、アノニマスも駆けていく。慌てて鉄もその後を追った。
焔に避ける術などない。ふっとぶ焔を見やったアノニマスはダメージゼロだ。
「けたたっ、遅い遅ぉいよッv」
焔は受け身を取ったが重力の重さで膝をつく。すぐにおいついたアノニマスは殴る蹴るの猛攻を仕掛けた。愕然と遅くなった焔に対し、アノニマスのスピードはめざましく速い。
仕上げに『ダストシュート』。投げつけた実験廃棄物は外れることなく焔に当たる。
焔の頭がぐらりと揺らぐのが見えた。…毒の手応え、アリ。
「こんなものぉ?遊びがいなくってツマンナイよぉ?」
「ッぐが…殺…ス…ッ!」
その間も焔は『きりさく』を連発し、翼も炎もアノニマスを襲う。けれどアノニマスは少し首を振る程度で全てかわした。
「やる気ナイなら…オワリにしちゃうー?」
ふいにアノニマスは背をかがめ、がらあきの腹を前ににたりと笑った。
次の瞬間、とてつもない衝撃に焔が目を見開く。
『ギガインパクト』。
血を吐きながら焔は転がり、対するアノニマスもふらついた。
「…はれ?動けなぁい。」
「当然です馬鹿、腕よこしなさいッ!」
その横を冥が駆け抜けた。冥もアノニマス程ではないが、それに準ずるスピードになっている。
りょーかいと笑ってアノニマスは両腕を溶かす。紫のジェルは冥へと飛び、浮遊型の義手へと変化した。
その腕で冥は焔を殴った。一発目はかわされたが、二発目で当たる。
期待するのは補助効果。計画通り『ばくれつパンチ』の効果は出た。混乱した焔は、焦点の合わない目でふらついた。
(アノニマスも暴れてくれたし、少しはダメージ受けただろう…か。)
毒+混乱+重力の焔を前に、つい油断して戦術を考え込んでしまった冥。
気づくと火を纏った爪がその眼前まできていた。
「冥ッ!」
焔の横から鉄が『もろはのずつき』。焔が吹っ飛んだので逆に鉄が驚いた。身体の軽さにも今頃気づいたようだ。
「…うっそ、俺様強い?でも痛いっ死んじゃうっ!」
「じゃあ『じしん』で援護お願いします。…このまま攻めますよ!」
冥は焔へ走り、アノニマスも駆けていく。慌てて鉄もその後を追った。
*
「(…う…。)」
身体が重い。想像以上の影響に風は呻いた。廃墟の中で壁に身体を預ける。
冥のかけた重力とトリックルームは、風の身体にも重くのしかかっていた。
廃墟の中では静葉と、未だ眠る樹が身を潜めている。風と紅はここで二人を守る係だ。
紅も素早さはあがったらしく、ぴこぴこ揺れる耳がいつもより速かった。だが技が使えないのは変わらない。何かあったら自分が動かねばと、風は拳を握った。
「大丈、夫…?」
「(…ああ、大丈夫だ。)」
声をかけた静葉に口パクで返す。声は届かないが、静葉はある程度汲みとれたらしく心配そうに黙った。
紅はというと、じっと体育座りをしたまま動かない。静葉と樹に寄りそうように座っていた。彼なりに精いっぱい、任務を果たしている。
廃墟には窓があるが、そこには近寄ろうとしない。窓からは激しい打撃音が続いていた。
むしろ静葉の方が気が気じゃなくて、窓から様子を伺いたくなる。冥達は大丈夫だろうか。そして、焔は。
「だめ。」
窓に進みかけた静葉の、裾をひっぱって紅が止めた。
「紅…。」
「…だいじょうぶ。」
震える膝を、ぎゅっと抱きかかえて、それでもまっすぐ見つめて紅は言った。
「鉄たちは…だいじょうぶ。」
身体が重い。想像以上の影響に風は呻いた。廃墟の中で壁に身体を預ける。
冥のかけた重力とトリックルームは、風の身体にも重くのしかかっていた。
廃墟の中では静葉と、未だ眠る樹が身を潜めている。風と紅はここで二人を守る係だ。
紅も素早さはあがったらしく、ぴこぴこ揺れる耳がいつもより速かった。だが技が使えないのは変わらない。何かあったら自分が動かねばと、風は拳を握った。
「大丈、夫…?」
「(…ああ、大丈夫だ。)」
声をかけた静葉に口パクで返す。声は届かないが、静葉はある程度汲みとれたらしく心配そうに黙った。
紅はというと、じっと体育座りをしたまま動かない。静葉と樹に寄りそうように座っていた。彼なりに精いっぱい、任務を果たしている。
廃墟には窓があるが、そこには近寄ろうとしない。窓からは激しい打撃音が続いていた。
むしろ静葉の方が気が気じゃなくて、窓から様子を伺いたくなる。冥達は大丈夫だろうか。そして、焔は。
「だめ。」
窓に進みかけた静葉の、裾をひっぱって紅が止めた。
「紅…。」
「…だいじょうぶ。」
震える膝を、ぎゅっと抱きかかえて、それでもまっすぐ見つめて紅は言った。
「鉄たちは…だいじょうぶ。」
*
焔の身体から火のような燐光がにじみ出る。
気づいた冥は手を翳して念じた。焔と冥、両方から光球が浮かび上がり入れ替わる。『スキルスワップ』だ。
(今『猛火』を発動させる訳にはいきません…。)
『猛火』は体力が減ると攻撃力があがる特性。今の焔が攻撃力を増したら勝ち目はない。
しかしこの作戦には欠点があった。
「…あれぇ?」
急にがくん、と力が抜けてアノニマスが蹴りを止めてしまう。動かそうとしても足が動かないようだ。
欠点は冥の特性『プレッシャー』を与えてしまうこと。
ぼた、ぼた。頭から腕から血を落としながら、ゆらりと焔が顔をあげる。
気づいた冥は手を翳して念じた。焔と冥、両方から光球が浮かび上がり入れ替わる。『スキルスワップ』だ。
(今『猛火』を発動させる訳にはいきません…。)
『猛火』は体力が減ると攻撃力があがる特性。今の焔が攻撃力を増したら勝ち目はない。
しかしこの作戦には欠点があった。
「…あれぇ?」
急にがくん、と力が抜けてアノニマスが蹴りを止めてしまう。動かそうとしても足が動かないようだ。
欠点は冥の特性『プレッシャー』を与えてしまうこと。
ぼた、ぼた。頭から腕から血を落としながら、ゆらりと焔が顔をあげる。
瞬間、全員の身体がびたりと止まった。
「…ッ!」
突如、湧きあがった真っ黒い恐怖感に頭が塗りつぶされた。身体がぴくりとも動かない。『いあつかん』、の効果。
動けない時間はほんのわずかなものだったが
焔には十分すぎた。
突如、湧きあがった真っ黒い恐怖感に頭が塗りつぶされた。身体がぴくりとも動かない。『いあつかん』、の効果。
動けない時間はほんのわずかなものだったが
焔には十分すぎた。
獣でも上げないようなおぞましい咆哮。
両の羽根が大きく開かれる。
両の羽根が大きく開かれる。
『ねっぷう』が、吹き荒れた。