ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

挑戦者 その21

最終更新:

akakami

- view
メンバー限定 登録/ログイン

ジャイアンが目を開けた時、周りの景色は変わっていた。
静寂が耳を突いてくる――土の壁が僅かな音をも吸収してしまっているのだ。
そう、ここは地下、ただ均等に置かれた松明で辺りの様子はわかる。
ハッとジャイアンが振り返ると、そこは行き止まり。
そばには少し大きな三角錐の形をした岩がある。
「……ここがスタートってわけか」
そう呟くと、ジャイアンの顔には自然と笑みが浮かぶ。
「へ、迷路なんてちょろいもんだぜ!
 さぁて、行くか」
意気揚々とジャイアンは歩みだした。

「……あ、あれ?」
行き止まりに辿り着いたジャイアンが首を傾げる。
そばには少し大きな三角錐の岩――
「い、いやまさか!
 俺様が同じ場所に戻ってくるなんてありえねえぜ!」
大声で言いながら、ジャイアンは身を翻す。
「さぁて、今度こそ行くか!」

数分後。
例の三角錐の岩に持たれかかるジャイアン。
「……へ、へへ。
 俺様が素直になっていることが間違いだったんだ」
ポンと投げられるボールから、コドラが繰り出された。
‘お、兄貴悪そうな面してる……’
「コドラ、壁に向かってアメタルクローだ!」
ニッと笑って壁を破壊するコドラ。
「よし、俺様を遮るものは全て壊してやるぜ!」



スネ夫は銅メダルの迷路から入っていた。
今は目を瞑り、神経をその髪型以上に尖らせている。
(ムウマ、どうだい?)
その後、頭に送られてきたのは迷路の道筋。
スネ夫の現在位置から先、曲がり、下って、上って、また曲がって……やがて大空洞へ。
そこには誰かがいる。
(誰だ、そいつは?)
すると画面がトレーナーの肩にズームされていく。
銅メダルを持ったケーシィが座っている。
(なるほどね。でもいったい何をしているんだろ)
そのスネ夫の疑問を晴らすため、ムウマが画面をずらした。

「ふぅ、これで良し」
大空洞のトレーナーは汗を拭った。
「出て来い、ディグダ。穴は掘り終わっただろ」
暫くして、足元にわらわらと六匹のディグダが現れた。
全部このトレーナーのポケモンである。
今しがた、この大空洞の地下全域に穴を掘ったのだ。
「これで、この大空洞に入ってきた奴らは全員落下する。
 そこを突いてケーシィ倒しちゃえば――」
不敵に笑いながら、その場を去ろうとする。
だが、足は動かなかった。
「……な、なんだよこれ!?」
いくら足を踏ん張っても、そのトレーナーは歩けなかった。
「『くろいまなざし』だよ」
大空洞の入り口で、誰かの声。



「話聞いたけど、ずいぶん頑張って穴掘ったんだってねえ。
 まあ無駄だけど~」
入り口で目を細めるのは、スネ夫だ。
「な、なんだお前!?
 どうして俺の声が聞こえ、いや、計画に気づいた?」
「こいつだよ」
すると、スネ夫は指を鳴らした。
トレーナーの前に突如、ポケモンが現れる。
「ぅ、うわぁ!!」
尻餅をつくトレーナーを見下ろし、宙を漂うムウマはケラケラ笑った。
「安心しろよ。ただの『おどろかす』だよ」
スネ夫はいじらしく教えた。
「な、なんで命令もなし、に技を出せたんだ、ぉよぉ……」
トレーナーは乱れた呼吸を必死で堪えながら、質問した。
だが、言葉を無視して、スネ夫はドガースを繰り出す。
それに掴まるとふわふわ浮いて、トレーナーの傍に降り立った。
「ふふ、こうしないとこっちに来れないからね。
 あぁ、質問の答えは『ここをつかう』ってことさ」
スネ夫は頭を指差した。
トレーナーが眉を顰め、聞き返そうとする。
「ムウマ、サイケこうせん」
光線がケーシィの体にぶち当たった。
「ケ、ケーシィ!」
トレーナーは慌ててケーシィに触れた。
その瞬間ケーシィが煌き、少年もろとも消え去る。
「なるほど。これが脱落の仕方か……」
スネ夫はもっともらしそうに頷いた。



突然、大空洞に拍手が響く。
スネ夫は元々細い目を更に細め、大空洞の出口を見た。
「やぁ、すごかったね」
出口の少年は賞賛する。
右肩にはケーシィが座り、左肩にはピィが座っている。
「誰だい、君は?」
スネ夫はなるべく親密感を出しながら聞いた。
相手の少年も、笑顔を崩さない。
「僕の名前はユウト。
 君と同じように、銅メダルを持って二次予選に来たんだ」
(ムウマ、姿を消せ。あのユウトとかいう奴の挙動を見張れ)
「それで、そんな君がどうしてここにいるんだい?
 早くゴールしないとまずいんじゃないのかな」
スネ夫はユウトを見据えたまま、首を傾げた。
「実はね。僕は優勝なんかはどうでもいいんだ。
 行方不明の友達に会いたいだけなんだよ。
 君、こいつ知ってる?」
ユウトはポケットから一枚の写真を取り出した。
慎重さを保ちながら、スネ夫は近づいてその写真を見た。
「ぁ……」
慌てて口を閉じるスネ夫。
写真に写っていた好青年は、出木杉だったのだ。
(まずい、多分ここで知っているって言ったら)
スネ夫は恐る恐る、ユウトを見上げた。
途端に、鋭い眼光と目が合う。
ユウトは僅かに笑みを浮かべた。
「知ってるね」



「ま、待ってくれ!
 そいつがお前の友達なはずないぞ!」
スネ夫は距離を取りながら、必死で弁明した。
「?どうしてそう思ったんだい?」
ユウトは微笑んだまま聞いてきた。
暫く、沈黙。
やがてスネ夫は声を出した。
「そいつは……僕の知り合いで、僕らの町にいた。
 僕はお前と接点が無い。そして、そいつとお前との接点も見当がつかない」
そう一気に言い終えると、スネ夫はユウトの反応を待った。
ユウトはおもむろに口を開く。
「その通り。僕が探しているのはこいつじゃない。
 僕の友達は数日前、こいつと一緒にいたんだ。
 生憎証拠はこれしかないが、僕は確信しているんだ。
 こいつを見つければ友達も見つかるはずだってね。
 ところで、君はこいつを知っているんだろう?」
スネ夫は一瞬ビクッとして、それから平静を保つ。
「あ、ああ、出木杉って言うんだ。
 何で君の友達と一緒にいたのかは知らないよ。
 でも、そいつは多分このリーグの傍にいる。僕らも探しているようなものだからね」
「なら都合がいい!これから一緒に行動しようよ!」
ユウトは明るく提案してきた。
「ぇ、でもこのリーグに参加してるとは限らな」
「でも本選に行けば会えるかもよ。観客席にいるかもしれない」
ユウトは手を差し出した。
「さあ、握手しよ!
 同志としてね」    ―――