地平線まで醜悪な化け物がそこかしこにはびこる、紅き月の昇る世界
そこに、それらを片端から切り伏せる男が一人
そのルーンの刻まれたバスタードソードを振るい、魔を砂へと変える。
「…と言うか、これだけいるなら援護くらいよこせよ!?」
青いブレザーは肘まで袖をまくり、ネクタイはだらしなく緩められている。
いや、むしろ戦闘中に正しい制服着用なんてものを期待する方が間違っているが、
念のために言っておくと、彼はいつもこの服装だ。
立派に不良学生、という服装ではあるが、実質は立派な不幸学生である。
その不幸学生と呼ばれる所以であるが、
「くそ、キリがねえよ!」
こうして、世界の守護者に召喚(別称拉致)をされてこのような使われ方をしたり、
何故か学年が下がったり、いじられキャラとなり挙句の果てにレベルを下げられたり、
幼馴染に弱みを握られ言いなりになったりと、それこそ多岐に渡る。
「お前らをさっさと殲滅して、俺は学校に行く!」
そこに、それらを片端から切り伏せる男が一人
そのルーンの刻まれたバスタードソードを振るい、魔を砂へと変える。
「…と言うか、これだけいるなら援護くらいよこせよ!?」
青いブレザーは肘まで袖をまくり、ネクタイはだらしなく緩められている。
いや、むしろ戦闘中に正しい制服着用なんてものを期待する方が間違っているが、
念のために言っておくと、彼はいつもこの服装だ。
立派に不良学生、という服装ではあるが、実質は立派な不幸学生である。
その不幸学生と呼ばれる所以であるが、
「くそ、キリがねえよ!」
こうして、世界の守護者に召喚(別称拉致)をされてこのような使われ方をしたり、
何故か学年が下がったり、いじられキャラとなり挙句の果てにレベルを下げられたり、
幼馴染に弱みを握られ言いなりになったりと、それこそ多岐に渡る。
「お前らをさっさと殲滅して、俺は学校に行く!」
数分後、不幸学生こと柊蓮司の視界に映るエミュレイターはいなかった。
勿論、柊がその魔剣のみで斬り倒したのだ。この男は何かと不幸な目に合うが、ウィザードとしての能力は本物だ。
「あ~、学校の前に昼飯にしとくか…」
そう溜息をつくと、月衣の中に手を突っ込み、銀色をした弁当箱と水筒を取り出す。
なお、中身は普通の弁当であって断じて食べると昏倒したり逆に襲い掛かったりはしない。
それにこの弁当箱は銀色だが、実際にはステンレス製なのでそのような料理を保存することは不可能である。
そして食事を開始。
この弁当だけは日常的で、慎ましやかで特に主張の無い弁当である。
貧しい弁当とも言うが、そんな日常的な食品でさえ、今の柊にとっては心のオアシスであった。
勿論、柊がその魔剣のみで斬り倒したのだ。この男は何かと不幸な目に合うが、ウィザードとしての能力は本物だ。
「あ~、学校の前に昼飯にしとくか…」
そう溜息をつくと、月衣の中に手を突っ込み、銀色をした弁当箱と水筒を取り出す。
なお、中身は普通の弁当であって断じて食べると昏倒したり逆に襲い掛かったりはしない。
それにこの弁当箱は銀色だが、実際にはステンレス製なのでそのような料理を保存することは不可能である。
そして食事を開始。
この弁当だけは日常的で、慎ましやかで特に主張の無い弁当である。
貧しい弁当とも言うが、そんな日常的な食品でさえ、今の柊にとっては心のオアシスであった。
そう、そんなオアシスに油断していたのが祟ったのだろう
その弁当は確かに普通の弁当だったが、お茶を口にした瞬間、柊は眉をひそめた。
「……紅茶?」
はて、紅茶などと言う洒落たシロモノが我が家にあったろうか?
そう言えば、妙に水筒が新しいような気がする。自分の水筒はもっと傷ついていなかったか――?
そこまで思考が至ったところで、鉄格子が柊の周囲に突如、砂煙を上げながら突き立った。
「柊さん、ついに飲まれましたね?」
――気品と力が感じられる、どこか面白がるような少女の声
ぎちぎちとぎこちなく振り返ると、柊を面白いものを見るように見つめる
「ああ、柊さんが最近つれないものですから苦労しました。
――毎日毎日、心を閉ざしてしまった頑なな柊さんをおいしい紅茶で癒してあげようと奮闘する私の努力がついに実ったのですね!」
否、『ように』ではなく、確実に面白がっている。
そして柊は、その相手を確認した瞬間に吐ける限りの紅茶を吐き出していた
「ぶはっ!――アンゼロット!お前、また妙な毒入れたんじゃねーだろうな!?」
「心外ですわ!ただ少し、前に入れたものと同じレベルを下げる毒を入れただけですのに」
「だからそれのことだっ!」
そしてそんな言葉は当然のごとく聞き入れられずヘリのローターが回転する爆音と共に柊を閉じ込めた鉄格子は、遥か彼方の宮殿へと飛び去って行った。
その弁当は確かに普通の弁当だったが、お茶を口にした瞬間、柊は眉をひそめた。
「……紅茶?」
はて、紅茶などと言う洒落たシロモノが我が家にあったろうか?
そう言えば、妙に水筒が新しいような気がする。自分の水筒はもっと傷ついていなかったか――?
そこまで思考が至ったところで、鉄格子が柊の周囲に突如、砂煙を上げながら突き立った。
「柊さん、ついに飲まれましたね?」
――気品と力が感じられる、どこか面白がるような少女の声
ぎちぎちとぎこちなく振り返ると、柊を面白いものを見るように見つめる
「ああ、柊さんが最近つれないものですから苦労しました。
――毎日毎日、心を閉ざしてしまった頑なな柊さんをおいしい紅茶で癒してあげようと奮闘する私の努力がついに実ったのですね!」
否、『ように』ではなく、確実に面白がっている。
そして柊は、その相手を確認した瞬間に吐ける限りの紅茶を吐き出していた
「ぶはっ!――アンゼロット!お前、また妙な毒入れたんじゃねーだろうな!?」
「心外ですわ!ただ少し、前に入れたものと同じレベルを下げる毒を入れただけですのに」
「だからそれのことだっ!」
そしてそんな言葉は当然のごとく聞き入れられずヘリのローターが回転する爆音と共に柊を閉じ込めた鉄格子は、遥か彼方の宮殿へと飛び去って行った。
「これからする私のお願いに、”はい”か”Yes”でお答えください」
浮かぶ白亜の巨城、アンゼロット宮殿内部。目の前の世界の守護者はそう切り出した。
「毎度毎度のことだが、拒否権くらい与えてくれてもいいんじゃないか…?」
「まあ!引き受けて頂けるんですね!?」
「誰もそんなこと言ってねえっ!」
まあ、解ってはいた。言ってみただけでもある。
もはや慣れてきたことを自覚して少し泣いた。
浮かぶ白亜の巨城、アンゼロット宮殿内部。目の前の世界の守護者はそう切り出した。
「毎度毎度のことだが、拒否権くらい与えてくれてもいいんじゃないか…?」
「まあ!引き受けて頂けるんですね!?」
「誰もそんなこと言ってねえっ!」
まあ、解ってはいた。言ってみただけでもある。
もはや慣れてきたことを自覚して少し泣いた。
「で、結局何だ?」
「よくぞ聞いてくれました。ああ、柊さんの任務に対するモチベーションが上がっているようで何よりです!」
「お前は聞いてさっさと解決しねえといつまでも学校に行かせないだろ!?」
大げさに歓喜の表情を作るアンゼロットに声を荒げる、が
「では、任務の内容ですが……」
「聞けよ!?」
やはり軽く流された。
「よくぞ聞いてくれました。ああ、柊さんの任務に対するモチベーションが上がっているようで何よりです!」
「お前は聞いてさっさと解決しねえといつまでも学校に行かせないだろ!?」
大げさに歓喜の表情を作るアンゼロットに声を荒げる、が
「では、任務の内容ですが……」
「聞けよ!?」
やはり軽く流された。
世界結界、それは常識に世界を固定し、同時にエミュレイターの侵攻から世界を守る存在
非常識的な内容を自然に、時に強引に改変し、常識の範囲に隠蔽する。
が、そんなことをすればどうしてもその分の『歪み』が発生する。
通常この歪みは世界に拡散する。
しかしもしも、この歪みが大きくなれば、いつしか世界結界は崩壊するだろう。
そして、その歪みのしわ寄せが一箇所に現れた。そこは即ち、
「昭和58年雛見沢村、そこが現在の世界結界の歪みが集中して押し寄せている場所なのです」
本来なら歪みを過去に飛ばせば、世界結界としてはそれが無かったことになるのと大差はない。
しかし、ここのところ余りにも世界の危機が多すぎた。柊自身が関わったものだけでも片手の指に余る程だ。
そんな修正に継ぐ修正、後付けに継ぐ跡付けの果て、それがこの『過去への歪み』である。
そして、そんなところをエミュレイターに侵食されればたまったものではない。
まず間違いなく世界結界は崩壊し、魔王級のエミュレイターが平気でぽんぽん侵入してくるであろう。
だが、そんな場所にエミュレイターが出現するものであろうか?過去に起こってしまったことになど介入できるものだろうか?
その答えはYes、である。
歪み自体が指針として座標として決定されてしまったせいで裏界との『歪みのパス』のようなものができてしまっているのだ。
そのパスは非常に細く、そう強力なエミュレイターは通れない。下級エミュレイターを数体送るのが精一杯、と言ったところだろうか。
かつ、ある程度以上の『歪んだ存在』を置くことを許さない。つまり、何度かに分けて大群を送ることはできない。
こちらからもパスはできているのだが、問題なのは、制限もこちら側とて同じだということだ。
ウィザード側もかなりの低レベルでないと通ることはできない、しかし、駆け出しに任せられるほど軽い任務でもない。
「……と言う訳で、急ぐ話でもないのですが、レベルが下がり慣れていている柊さんにしか任せられないと判断したのです」
「下がり慣てるからってどんな理由だよっ!?」
と、締めくくるアンゼロットに突っ込みを入れるも、
「まあ、私は柊さんの実力を買っているのですよ?
レベルの低い状態に慣れ、熟練のウィザードでもある貴方以上にこの任務向きのウィザードなんて、今の世界にはいませんもの。
駆け出しのウィザードに任せられるほどこの任務は安全なものではありませんし」
と、すらりとした指でカップを持ち上げ、優雅に紅茶を口に含んで軽く流される。
自身を評価していると言う点は柊としても嬉しくない訳でもない。
が、ここで柊は違和感を覚えた。今の言い方はどこか引っかかるのだ……。
「……おい、今のはどう言う意味だ?」
となれば、聞き返すしかないのは道理であろう。
「ああ、この件、雛見沢の地には奇妙な風土病が関わっていて、それがエミュレイターに利用される可能性があるのです」
「じゃなくて!」
柊は改めて語気を荒げ、
「駆け出しって、お前一体どこまで俺のレベルを下げやがった!?」
「この病は強いストレスか雛見沢を離れることにより発生し、強制的にプラーナを開放させ、擬似的なウィザードを生み出します」
「だから話を聞けえええ!!」
無情にもアンゼロットは説明を続ける。
「裏界から送れるエミュレイターの規模は一定ですが、現地で力をつけることは自由です。恐らくエミュレイター側は十中八九それを狙ってくるでしょう」
一息ついて続けるアンゼロットを、柊は静かに見つめる。
もはや無駄であることは悟った上、かなり重大なことであることも理解したからだ。
「もしくは、相手は『火山の噴火での有毒ガスによる滅亡』という歴史を改変して世界結界にさらに歪める、それだけのことで世界結界は破れ、あちらの勝利となります。
故に、これは相当シビアな任務なのです」
悔しいが納得できる。
しかし納得しかけた柊に、納得できない情報が与えられた。
「――なお今回、こちらからのアクセスは可能でも、柊さんからのアクセスは不能です」
「おいっ!」
「なので、連絡するときはこちら側からしかできませんし、事件を解決するまで柊さんをこちらに戻すことは不可能です」
「さらにおいっ!?」
――何だそれは!?
「その特性上ロンギヌスも送れませんので、セーフハウスの用意などもできていません」
「ふざけるなっ!?」
「まあ、この紅茶でも飲んでまずは落ち着いてください」
「落ち着けるかっ!?」
すまし顔で紅茶を飲む悪魔アンゼロット、
実際、柊にとってはこの世界の守護者は悪魔だった。
「向こうの現地協力者として、ウィザードでもある『巫女』を確保しました。
今回の件を持ちかけたところ、運命とやらを打ち破る人材を求めると言う理由で彼女の家に住まわせていただけるそうですよ。
本当は野宿の方が面白かったのですが……、感謝しましょうね、柊さん?」
「面白いって何だよ!?」
流石に柊といえどツッコミ疲れたのか、方を上下させながら額の汗を拭う。
そう、突っ込みの一発一発に全力をかける、まさにプロの柊だからこその疲労だ。嘘だが。
しかし、その疲労が命取りとなった。
その、注意を払うことを忘れた瞬間、柊の足元に魔法陣が展開し、その中へ落ちてゆく
「頼みましたよ柊さん♪」
「アンゼロットォォォォォォ!!」
強い憎しみを目に浮かべ、何かにすがろうと右腕を上に伸ばすものの、虚しく空を掴み、柊は落ちていく。
浮遊感と閉ざされる視界、そして面白がるアンゼロットの笑み…
こうして、柊の居る年代は下がったのだった…。
非常識的な内容を自然に、時に強引に改変し、常識の範囲に隠蔽する。
が、そんなことをすればどうしてもその分の『歪み』が発生する。
通常この歪みは世界に拡散する。
しかしもしも、この歪みが大きくなれば、いつしか世界結界は崩壊するだろう。
そして、その歪みのしわ寄せが一箇所に現れた。そこは即ち、
「昭和58年雛見沢村、そこが現在の世界結界の歪みが集中して押し寄せている場所なのです」
本来なら歪みを過去に飛ばせば、世界結界としてはそれが無かったことになるのと大差はない。
しかし、ここのところ余りにも世界の危機が多すぎた。柊自身が関わったものだけでも片手の指に余る程だ。
そんな修正に継ぐ修正、後付けに継ぐ跡付けの果て、それがこの『過去への歪み』である。
そして、そんなところをエミュレイターに侵食されればたまったものではない。
まず間違いなく世界結界は崩壊し、魔王級のエミュレイターが平気でぽんぽん侵入してくるであろう。
だが、そんな場所にエミュレイターが出現するものであろうか?過去に起こってしまったことになど介入できるものだろうか?
その答えはYes、である。
歪み自体が指針として座標として決定されてしまったせいで裏界との『歪みのパス』のようなものができてしまっているのだ。
そのパスは非常に細く、そう強力なエミュレイターは通れない。下級エミュレイターを数体送るのが精一杯、と言ったところだろうか。
かつ、ある程度以上の『歪んだ存在』を置くことを許さない。つまり、何度かに分けて大群を送ることはできない。
こちらからもパスはできているのだが、問題なのは、制限もこちら側とて同じだということだ。
ウィザード側もかなりの低レベルでないと通ることはできない、しかし、駆け出しに任せられるほど軽い任務でもない。
「……と言う訳で、急ぐ話でもないのですが、レベルが下がり慣れていている柊さんにしか任せられないと判断したのです」
「下がり慣てるからってどんな理由だよっ!?」
と、締めくくるアンゼロットに突っ込みを入れるも、
「まあ、私は柊さんの実力を買っているのですよ?
レベルの低い状態に慣れ、熟練のウィザードでもある貴方以上にこの任務向きのウィザードなんて、今の世界にはいませんもの。
駆け出しのウィザードに任せられるほどこの任務は安全なものではありませんし」
と、すらりとした指でカップを持ち上げ、優雅に紅茶を口に含んで軽く流される。
自身を評価していると言う点は柊としても嬉しくない訳でもない。
が、ここで柊は違和感を覚えた。今の言い方はどこか引っかかるのだ……。
「……おい、今のはどう言う意味だ?」
となれば、聞き返すしかないのは道理であろう。
「ああ、この件、雛見沢の地には奇妙な風土病が関わっていて、それがエミュレイターに利用される可能性があるのです」
「じゃなくて!」
柊は改めて語気を荒げ、
「駆け出しって、お前一体どこまで俺のレベルを下げやがった!?」
「この病は強いストレスか雛見沢を離れることにより発生し、強制的にプラーナを開放させ、擬似的なウィザードを生み出します」
「だから話を聞けえええ!!」
無情にもアンゼロットは説明を続ける。
「裏界から送れるエミュレイターの規模は一定ですが、現地で力をつけることは自由です。恐らくエミュレイター側は十中八九それを狙ってくるでしょう」
一息ついて続けるアンゼロットを、柊は静かに見つめる。
もはや無駄であることは悟った上、かなり重大なことであることも理解したからだ。
「もしくは、相手は『火山の噴火での有毒ガスによる滅亡』という歴史を改変して世界結界にさらに歪める、それだけのことで世界結界は破れ、あちらの勝利となります。
故に、これは相当シビアな任務なのです」
悔しいが納得できる。
しかし納得しかけた柊に、納得できない情報が与えられた。
「――なお今回、こちらからのアクセスは可能でも、柊さんからのアクセスは不能です」
「おいっ!」
「なので、連絡するときはこちら側からしかできませんし、事件を解決するまで柊さんをこちらに戻すことは不可能です」
「さらにおいっ!?」
――何だそれは!?
「その特性上ロンギヌスも送れませんので、セーフハウスの用意などもできていません」
「ふざけるなっ!?」
「まあ、この紅茶でも飲んでまずは落ち着いてください」
「落ち着けるかっ!?」
すまし顔で紅茶を飲む悪魔アンゼロット、
実際、柊にとってはこの世界の守護者は悪魔だった。
「向こうの現地協力者として、ウィザードでもある『巫女』を確保しました。
今回の件を持ちかけたところ、運命とやらを打ち破る人材を求めると言う理由で彼女の家に住まわせていただけるそうですよ。
本当は野宿の方が面白かったのですが……、感謝しましょうね、柊さん?」
「面白いって何だよ!?」
流石に柊といえどツッコミ疲れたのか、方を上下させながら額の汗を拭う。
そう、突っ込みの一発一発に全力をかける、まさにプロの柊だからこその疲労だ。嘘だが。
しかし、その疲労が命取りとなった。
その、注意を払うことを忘れた瞬間、柊の足元に魔法陣が展開し、その中へ落ちてゆく
「頼みましたよ柊さん♪」
「アンゼロットォォォォォォ!!」
強い憎しみを目に浮かべ、何かにすがろうと右腕を上に伸ばすものの、虚しく空を掴み、柊は落ちていく。
浮遊感と閉ざされる視界、そして面白がるアンゼロットの笑み…
こうして、柊の居る年代は下がったのだった…。
暑い…。
そう、そこは夏の世界。
しかし、柊が暑いのはそういう理由とは少し違う。
と、言うか、むしろ熱い…。
それも当然のことだ。生身で大気圏突入なんてすれば空気との摩擦で熱いなんてことは常識である。
「ぬああああああああああああ!」
そして柊は着弾した。弾丸のように、衛星レーザーのように降ってきた柊を現すには『着地』なんて言葉では生ぬるいのだ。
色濃く鮮やかに茂る草木を粉微塵に破壊し、クレーターを作る柊に、
「……あなたが?」
年を経て冷め切った者だけが放つことのできる冷えた声が耳を打つ。
柊の開いた目に映るは、風にさらさらと乗る青い長髪
それを持つのは、どこか冷め切った少女
「――あなたが、守護者とやらの言う『優秀な魔法使い』、でいいのかしら?」
――それが、柊蓮司が昭和58年雛見沢村に来ての、初めての出会いであった……
そう、そこは夏の世界。
しかし、柊が暑いのはそういう理由とは少し違う。
と、言うか、むしろ熱い…。
それも当然のことだ。生身で大気圏突入なんてすれば空気との摩擦で熱いなんてことは常識である。
「ぬああああああああああああ!」
そして柊は着弾した。弾丸のように、衛星レーザーのように降ってきた柊を現すには『着地』なんて言葉では生ぬるいのだ。
色濃く鮮やかに茂る草木を粉微塵に破壊し、クレーターを作る柊に、
「……あなたが?」
年を経て冷め切った者だけが放つことのできる冷えた声が耳を打つ。
柊の開いた目に映るは、風にさらさらと乗る青い長髪
それを持つのは、どこか冷め切った少女
「――あなたが、守護者とやらの言う『優秀な魔法使い』、でいいのかしら?」
――それが、柊蓮司が昭和58年雛見沢村に来ての、初めての出会いであった……